2022-03-23

ボートレースの最低体重制限は不当な差別である

2022年3月21日、第57回ボートレースクラシック鳳凰賞競走、総理大臣杯)にて、ボートレース史上初の女子選手によるSG競走優勝という歴史的偉業が達成された。

個人は素直に遠藤エミ選手の優勝を認め祝福している。

しかし、こうした偉業には必ずケチをつける人間存在する。

最低体重制限問題だ。

2022年3月21日時点で選手の最低体重制限は、男子が52.0kg女子が47.0kgとなっており、体重の軽い方が有利なボートレースにおいては、女子選手はハンデをもらっている状態(だからズルい、凄くない)というのが女子選手活躍に対してつけられるお決まりケチである

特に今回は2020年11月男子の最低体重制限が51.0kgから52.0kgへ引き上げられて男女の体重差が4.0kgから5.0kgと広がって間もない(と言っても1年数ヶ月経っているが)タイミングでの偉業達成だったこともケチをつけられる要因となっている。

この文章を書こうと思ったのは、そうしたケチ、つまり

『最低体重制限の男女差により女子選手はハンデをもらっている』

というのは果たして本当だろうか?と問題提起したかたかである

それどころか私はむしろ

『最低体重制限の男女差によってハンデをもらっているのは男子の方である

とさえ思っている。

その理由を書いていく。

(細かい部分で知識間違い等があるかもしれないが大筋の主張は変わらないはず)

まず、大前提として押さえておかなければならないのは、「最低体重制限は男女のハンデのために(女子を有利にするために)存在しているわけではない」という点だ。

まるでハンデのために最低体重制限があるかのように書いてあるブログニュース記事が当たり前のようにあって驚く。

それでは女子選手活躍ケチをつける人がいるのも仕方ないのかもしれない。

1988年以前、ボートレース(当時は競艇名称一般的だったがボートレース統一する)に最低体重制限はなかった。

最低体重制限がなければ勝ちにこだわる選手たちは当然少しでも有利になるように限界まで減量する。

1987年SG笹川賞で優勝した野中和夫選手は過度な減量でふらふらの状態だったそうで、それが最低体重制限導入のきっかけだと言われており、

1988年男子は50.0kg女子は45.0kgという最低体重制限が設けられた(本格運用1989年から?)。

要するに最低体重制限は、過度な減量から選手健康を守ること、ふらふらの状態で起こしてしま事故から選手を守ることが主目的で、女子を有利にするために存在しているわけではない。

女子選手の方が最低体重が軽いのは単に女子選手の方が元々の適正体重が軽いからだ。

まりに当たり前のことである

日本人の成人男女の平均体重を見ても5kgの差はむしろ小さいと言えるかもしれない。

ここまで「最低体重制限は男女のハンデのために存在しているわけではない」と書いてきたが、正確には「男女のハンデを考慮した最低体重制限の変更」は行われている。

2001年寺田千恵選手SG競走の1つ、グランドチャンピオン決定戦女子選手初の優勝戦進出、結果は5着に終わったものの、寺田千恵選手活躍きっかけで女子の最低体重制限が見直され、2003年女子の最低体重制限が45.0kgから47.0kgへと引き上げられた。

そう、つまり、「男女のハンデを考慮した最低体重制限の変更」は、本当は女子にとってはもっと軽い体重でも問題ないのにそれだと男子が不利になってしまうからという理由で行われたということだ。

これを『最低体重制限の男女差によってハンデをもらっているのは男子の方である』と言わずしてなんと言おうか。

女子がその体重の軽さという特性を活かして活躍するのは卑怯」で、

男子がその筋力の強さという特性を活かして活躍するのは卑怯じゃない」

というのはどういう理屈なのだろうか?

その後、男子選手の最低体重制限

2015年に50.0kgから51.0kg

2020年に51.0kgから52.0kg

引き上げられたが、これらは男子選手の平均体重厚生労働省統計データにおける平均体重との差を是正し、且つ選手健康維持並びに身体能力の発揮による事故防止を目的に行われたものだ。

簡単に言えば男子選手が大型化したか基準も変えたということで、女子選手を有利にする目的ではない。

男子は2回も引き上げているのに女子は引き上げないのかという意見もあろうが、それは減量なしの通常体重が最低体重を割っていて逆に増量に苦しんでいる選手割合を男女で比較すれば、引き上げる必要がないことはわかるはずだ。

そもそも47.0kgの最低体重制限引き上げが不当な差別であったのだから、むしろ差が5kgに戻ってようやくまともになった(あるいはもっと差があってもいいのかもしれない)と言える。

ボートレースクラシックの優勝戦に乗った6人の体重は、遠藤エミ選手が44.0kgで他5人の男子選手は52.0kgか51.0kgとなっている。

おそらくこの5人の男子選手の中に体重が軽すぎて増量に苦しんでいる選手はいないと思われる(いたらごめんなさい)。

遠藤エミ選手意図的に最低体重以下まで減量した上で調整重量を積んでいるらしいので軽すぎて苦しんでいるタイプではないようだが、少なくとも最低体重を割ってまで無理な減量はしていないはずだ。

そう考えると、遠藤エミ選手健康に支障をきたさな範囲でもまだまだ減量できる余地があるということになる。

他の5選手も(最低体重制限導入のきっかけとなった野中和夫選手レベルの過度な減量をするならともかく)健康に支障をきたさな範囲の減量となると可能なのはあと数kg程度なのではなかろうか。

遠藤エミ選手と他の5選手健康に支障をきたさな範囲ギリギリまで減量した場合に、その差が5kgを超えるのならば、最低体重制限恩恵にあずかっているのは男子選手の方ということになる。

この問題で考えなければならないのは男女差だけではない。

同じ性別間でも身長差があるのに一律で最低体重が決められていてよいのかというのは議論されるべきだ。

身長の低い男子選手であればもっと減量可能なのに、身長の高い男子選手が過度な減量とならないように最低体重制限されているため減量できない状態ということだ。

男子の最低体重制限が52.0kgに引き上げられたことにより、今村豊選手が逆に増量がきつくなるという理由引退したのは記憶に新しい。

同じ性別間の身長差と最低体重制限問題女子選手においても同様である

最低体重制限の公正さを重視すればボートレーサー養成所の受験資格において、身長の上限を低くするのが本来は手っ取り早い。

ボートレーサーを志した理由には、低身長が有利なことに魅力を感じたからというものがかなり多い。

漫画モンキーターン』の主人公も低身長故に野球の道を諦めボートレーサーになった。

個人的には時代を巻き戻せるのならば、ボートレーサーは低身長の星として、受験資格男子身長165cm以下、女子身長155cm以下くらいにしておけば少なくとも同じ性別感の身長差と最低体重制限問題大分解消できたのにと思わないでもない。

しかし、実際には身長制限は段階的に緩和されており、過去基準であれば受験資格を得ていなかった身長170cm以上の選手現在活躍している(艇界No.1の実力を持つ峰竜太選手身長は173cm だ)ことを考えると、今更受験資格を狭めるわけにもいくまい。

また、ボートレース競技であると同時に興行でもあり、また公営競技なので公共性という意味でも、先鋭化するより門戸を広く開いて多くのファン選手志望者を獲得することが大事であるから受験資格緩和路線否定することはできない。

落とし所は男子身長160cmなら何kg、165cmなら……170cmなら……

女子身長150cmなら何kg

155cmなら……160cmなら……

という具合に男女別で身長によって最低体重を変えることかと思う。

話が逸れたが、この文章で1番言いたかったのは、遠藤エミ選手女子選手活躍に対して最低体重制限の男女差を理由ケチをつける人たちは間違っているということだ。

逆に女子選手は最低体重制限によって不当な差別を受けている。

体重の軽い女子選手はハンデをもらってて有利だからズルい、勝てて当然などと言われる筋合いはない。

遠藤エミ選手SG優勝は本当に称賛されるべき偉業である

最後あらためて、遠藤エミ選手優勝おめでとう!!

  • 艇と選手の合計重量で最低重量決めて足りないときはバラスト積むって発想はないのね。

    • 艇の重さは皆同じです。 なので選手の体重のみで男女別に最低重量が規定されており、足りなければ錘(バラスト)を積みます。 3.5kgまではベストのポケットに錘を入れ、3.5kgを超える...

      • その筋力アドバンテージってのが定量的に見えないからそりゃ揉めるやろなぁってのが門外漢の印象

        • 筋力アドバンテージが定量的に見えないというのはその通りですが、筋力に劣る分に応じて女子の最低体重を下げろという主張ではなく、それぞれの性別(と身長)に応じた健康に支障...

  • 競馬での斤量差みたいな感じかね。ここ最近、牝馬優位が続いているが、斤量見直せって声もある。

    • 競馬に詳しくないので牝馬はG1で斤量マイナス2kgであることを今調べて知りました。 基本的には似たような話かと思いますが(競馬の方を正しく理解している自信がない)、ボートレー...

      • 競馬では、牝馬牡馬が同レースで出られるように牝馬に斤量減の有利が与えられているのだけど、日本ダービーをウオッカが64年ぶりに牝馬制覇して以来、アーモンドアイのように牝馬優...

        • でもまあ平場の勝率では圧倒的に牝馬劣勢なので「牝馬が強くなった」というのは単にトップオブトップだけの話なんだよな

  • この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。

  • 最低体重の規定がハンデとして作用しているという批判に対して 「ハンデとして作用していない」と反論するのではなく 「別の目的で規定されている」と論じることでミスリードを試み...

    • 女子の体重が軽い(から有利)のは最低体重制限で保護されいるからではないよね(むしろ有利度合いが小さくなっている)って話をしているのですが……。 最低体重制限を無くしたら...

      • あんまり匿名じゃない場所で言わない方がいいと思いますよ!!! どういうこと???

        • 馬鹿にされて恥ずかしい思いをしますよ、という意味です。

          • 理屈の話できなくなるとさ 人格否定とか みんな私の味方なんだぞって言いだすのは恥ずかしくない?

            • 本論のあとで まさか○○(明らかにおかしい内容)なわけじゃないですよね? だとしたら△△(侮辱的な言葉)ですよ! と煽るのは決まった言い回しで、「○○ではない」ことを前提...

      • 女子の体重が軽い(から有利)のは最低体重制限で保護されいるからではないよね(むしろ有利度合いが小さくなっている)って話をしているのですが……。 その話「今の規定ではま...

        • 読解力のない人に皮肉を言っても通じるわけがありませんよね。 申し訳ない。 女子の体重が軽いのは最低体重の規定に関係なく、元々男子より体重が軽いんですよ。 元々男子と同じく...

          • 元々男子と同じくらいの体重なのに最低体重の規定で優遇されて軽い体重にすることが許されているわけではないんです。 だれが、女子がもともと体重重いなんて話してんの? そうい...

            • 最低体重の規定がハンデとして作用しているという批判に対して 「単に規定上の事実として女子の方が軽い体重が許されていて、それが有利な効果出している」 これらに対して、...

              • これらに対して、別に規定で決まってるからじゃなくて規定がなくても女子の方が体重が軽くてむしろ規定のせいで体重差が縮まってるんですよという反論が詭弁なんですか??? 明...

                • あなたと会話しても意味ないのでこれで終わりにしましょう。

                  • 終わりたいならレスしなければ終わるのに 自分で主導権握って終わらせてやったぞ、みたいなアピールしなと我慢できないんだね

      • 論点先取 anond:20220323031524 anond:20220323065904 anond:20220324174554

  • でも体重が軽い分最高速度は上がるからな 健康面で、というのはわかるが、ハンデになってしまってるのも事実だろう だからすごくないとか言うつもりはないけどさ

    • その話は長々とやったけど 「(男より)女のほうが有利になっている」という指摘に対して 「(自然体の女より規定に従っている)女の方が有利になってるわけではない」っていうズレたこ...

      • 調べると、ウェイトが軽いと最高速が出る半面、ターンが難しくなるそうな 「だから一概に軽い=有利ではない」という主張ならわからんではないけど、それはなんだか謎だね

  • 最低体重規定なしにしていくらでも減量OKにするか男女とも同じ斤量かいっそのこと70kgとかにすれば平等になるんだけど、ある程度女子にハンデを与えて実力伯仲させないと賭博として...

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