2020-10-03

専業主婦/夫は寄生虫

世代より圧倒的に稼げる30代である

稼げると言っても、ただの労働者からサラリーちょっとマシってだけのアッパードルの域を出ないわけだが。

人より稼げるわけだから、人よりいいとこに住むわけじゃん。通勤やす暮らしやすちょっとお高いとこに。

で、車とか家具とかこだわるわけよ。学生の頃のどこまでもチャリで行く、ニトリの安物に囲まれ生活とは違うのよ。

でも所詮ただのサラリーマンなわけで、周りより稼ぐには周りより働かなきゃいけないわけ。激務の犠牲の上にある高給なわけ。

からいくら金があっても使い道がない。趣味バカスカ使えれば幸せなんだろうが、忙しくて趣味ももう疎遠になっちまったし。で、家具とか車とかぐらしか金をかけるとこがないわけよ。あっ、歯列矯正はしたな。まあ、そのぐらい。

あー毎日何のために働いてんのかな、とか虚しくなるんだよ。駐車場に止めっぱなしの外車とか、素敵な家具に囲まれてぐったり寝るだけの休日とか、広くて素敵だけど使われることのないキッチンとか、何のために集めたんだろって。

レベルを上げて上げて上げて、コツコツステータス値を増やしていって、やっとこさ年収いくらに届いて気づくのは、別に高いマンション外車地位ステータスもなにも求めてなかった自分なんだよ。

大学入って一人暮らしを始めたときピークだった。あんときに欲しかったもの全部が手に入っちゃったんだよな。自由時間自由お金、それだけで充分だった。

ともかくステータスを上げるために結婚した。スタンプラリーみたいに、全部集めれば上がりで幸せになれると思っていたから。

配偶者、顔よし稼ぎよし育ちよし。申し分ない。配偶者のことは愛している。この人以上に愛せる相手はいない。でも、顔を合わせる時間はほぼない。まず休みが合わないし、出勤時間も異なる。あちらは日も昇らないうちに出かけるし、帰りも遅い。喧嘩はないし仲も良好だが、関係希薄からそうなっているだけなのではないかとと時々思う。ぶつかり合うこともない、ぶつかれるほどそばにいない、そんな関係なのではないかと疑ってしまう。これでは何のために一緒に暮らしてるのかわからない。一緒に高い家賃を払うため?ほとんど居ない部屋の?などと考えると虚しくなる。

家事折半だが、お互い忙しいからあまりしない。洗濯クリーニングに出すし、食事弁当デリこちらが自炊するときは米刺身味噌汁、あちらがするときパスタラーメンうどん掃除はお互い綺麗好きじゃないのでほとんどしない。月に一度掃除機をかけるかかけないか。髪の毛は落ちてるし埃はつもってるが気にはならない。

丁寧な暮らしには程遠い、雑な生活だ。タイムイズマネーだというなら、確実にうちの夫婦は貧しい夫婦だ。雑で散らかった貧しい暮らしをしている。

実家暮らしていた頃はそうではなかった。専業主婦の母が家を快適にキーピングしていたし、稼ぎはそう多くないぶん時間のある父がそれを手伝い、自分は両親によく構われて育った。思えばあれが自分にとっての幸せ原風景だったのだ。

結婚を前提にした恋人を探していたあのとき、なんとなく周りの風潮に飲まれて「専業主○はないよな」「寄○虫だし」と思い込み、がっつり働きがっつり稼ぐ相手を選んでしまった。配偶者恋人としては最高の相手で、夫婦になる相手とても申し分ないが、結婚生活は望んでいたものとは全く異なる。もしかしたら、自分幸福に本当に必要だったのは寄生虫の方だったのではないだろうか。寄生虫がかえって体内環境を整えてくれたりするじゃん?アレ。アレが必要だったんじゃないか

他の人にとってはどうかわからないが、自分は養う相手がいたほうがきっと仕事意味を見出せる。誰かの為に何かするの自分結構好きだ。

配偶者の傷一つない素晴らしいキャリアを今更邪魔するわけにもいかない。誇りと情熱を持って働く仕事が生きがいの人なのだ。専業になって欲しいなら初めから稼がない人間を選ぶべきだった。とはいえ離婚したいわけではない。働く配偶者は素敵で愛おしい。

から今更どうってことないのだ。金もある地位もある結婚もした、でも1番欲しいのは時間だった。

いっそ自分仕事をやめて専業になろうかとも思った。一度「やめちゃおうかな。そしたら家事もできるよ」と冗談めかして言ってみたところ「えー!?いいの!?大歓迎!」と言われたことがある。たぶんあの調子なら許してくれるだろう。

が、かつて自分が人に同調して吐いた言葉寄生虫」がリフレインして踏み出せない。かつて友人と言い合った「自分が身を粉にして働いてる時に家にいる奴ってどうよ?」とか「経済的依存するってありえないわ寄生虫じゃん」だとかの言葉が今尚自分を縛り付けている。過去自分矛盾するのが恥ずかしいし、仕事を辞めるのも恥ずかしい。他人否定することが自分可能性を狭めるだなんてだれも教えちゃくれなかった。

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