彼氏→同級生専門職。母子家庭育ち→学生時代母親が恋人と蒸発した経験あり。
彼氏とは中学時代からの付き合いなのでもう人生の半分一緒にいる。
出会った頃から彼氏の家はハイパーごたごたしていてそれをネタに笑いをとるくらいだった。
付き合ってからも「俺は子供は作らない。変な家庭で育った人間は家庭を持たないほうがいい」というのが彼の持論で
私は「そんなことないでしょ~」とたしなめるのがお決まりだった。
私は両親も揃っているしずっと普通の家庭に育っていると思っていた。
高校生の頃はゴタゴタと仲が悪かったし、大学生の時もなるべく家族と顔を合わせないように授業とバイトを調整してたし
一人暮らしを目指して就職したけれど、別に変ったことではないと思っていた。
しかし私の就職したそこそこの安定した会社でその認識は打ち砕かれた。
若い人は親元にめっちゃ帰るし、既婚子持ちは子供や配偶者の話めっちゃするし家族に優しいし、家族に対する愛が溢れていて驚いた。
せっかく就職して一人暮らしを始めた安住を犯され壊される感じがして、職場の人間が怪物に見えた。
ウエディングドレスにも奥様業にも子供にも興味はなかったが、社会で生き抜くための責務と義務だと思っていた。
と、同時に「どうにかこの役割から逃げれないかなぁ」ともぼんやり思っていた。
彼氏のことは心の底から好きだけど、結婚することで今の関係から「夫」と「妻」になり
更に子供をもうけることで「父」と「母」になることを考えると嫌悪感でいっぱいだった。
子供を捨てたり虐待する母親はクズ中のクズだから絶対になりたくないが、子供というだけで私を縛り付け、仕事や社会生活を不利にする存在を
心の底から望み喜んで誕生させ育てなければならないという事実は許せないと思っていた。
しかも仕事をしながら育てるとなると両実家の協力は不可欠で、またあの実家と密にかかわりを持つのかと思うだけで憂鬱だった。
とにかく「経済的身体的自立を手放したくない」「実家と触れ合いたくない」という気持ちが強く、それが崩れるとなると泣きそうなくらい恐怖を感じた。
そんなこんなで、速攻でメンタルクリニックのお世話になった。
カウンセリングを受ける中で、私の強迫的なまでの自立への執着と家族に対する嫌悪感は生育家庭に問題があるのだな、という結論が出た。
私の両親は「こうあってほしい娘」像がすごく強固な人で、そこから外れることを許さない人だった。
どういう娘像かというと「成績優秀・スポーツ万能のオールマイティ優等生で、清楚で可愛くて、家の家事は全てこなし、家族に尽くすことを喜びとする」といった感じ。
私は運痴で地味だったので勉強と家事でその穴埋めをして家に置いてもらわないといけなかった。
年々親の求める学業のレベルと自分の出来るレベルにギャップが出来てきて、勉強と家事以外のことをしていると責められた。
更に父親はナチュラルに女性蔑視をかます人で、思春期以降は毎日セクハラ的なイヤミを言われ、女だからと母親や兄弟のケアを負わされた。
母はまさしく「社会に承認されるために子供を産んだ」としか思えない人で、仕事に忙しく子供に時間を割くことを本当に嫌がっていた。
勝手に進路を変えられたり入る部活や課外活動を決められたリ、といった学生時代だった。
親に認められないと生きていけないと思い込んでいたから結婚と出産子育てをしないといけないと思っていたけど、
親と過ごす生活や自分が親になることが感覚的に耐えられないから結婚出産子育てに嫌悪を感じる。
これがわかった時、彼の「変な家庭で育った人間は家庭を持たないほうがいい」という言葉がスッと飲み込めた。
いわゆる変な家庭で育っても結婚出産をして立派な家庭を築いている人はいる。
いるけれども、現在の私はその段階ではない。
彼氏とはずっと一緒に居たいけど、世間の求める夫婦の型にははまりたくないし、子供も欲しくない。
それは関わった全員が不幸になることだから。
このまま自分の治療を進めて、結婚して子供を持ってもいいなと思えるようになったときに
もう子供を産めない身体になっていたとしても、それは仕方のないことだ。
そう決めて、彼氏にもそう告げて、家族全員の電話とメールを着信拒否した。
今は薬を飲みながら、子供の頃できなかった趣味に手を出したり、勝手に進路変えられたせいで就けなかった仕事に就くために勉強している。
とても心が穏やかです。幸せになるぞー!