2015-07-22

http://anond.hatelabo.jp/20150722194814

主観は人によって違うのでやむをえないが俺の立場は以下のとおり。

表の論点 安保法制合憲かどうか

私:憲法学者が言っているし、違憲だろう

君:今までの解釈の延長線上にあるから問題ない

俺:今までの解釈の延長線上にあるから問題ない

裏の論点 どのくらい現政権フリーハンドを認めるか

私:憲法範囲内で枠にはめたい

君:今は緊急事態からできるだけ憲法拡大解釈すべき。改憲大変すぎ。

俺:今までの解釈の延長線上にあるから、少なくとも新たな問題はない。(9条改憲するときにかかる時間コスト言及したのは、君の主張のデメリット矛盾をつくためにすぎない。俺は先の解釈変更や今般の安保法制のための程度なら9条改正不要との考え)

少し付け加える。

今までの解釈憲法範囲内だというなら今般の法制もすでに枠にはまっている

時の政権特に9条に関する限り、事実上ほぼ無制限解釈自由があることになると見ることが可能なのは事実だ。

しかしそれは、現在制度自体がもつ欠陥(統治行為論により9条に関する限り行政府の一部門合憲性を事実上最終的に判断する制度)に起因している。制度の欠陥を安部首相がついたとみてもよい。

これが9条だけの話ならばまだしも、他の条文にまで援用されると確かに恐るべきことになる。

論点の背景にある価値観の相違

私:民主主義大事。そのためには狭義の「国益」を多少犠牲にしてもやむを得ない

君:民主主義大事だが、国民幸福の前にはある程度の手続きショートカットは許される

俺:デモクラシーイデオロギーではなくプラクティスである

補足)

原語がデモラティズムではないことにそれは現れている。したがってデモクラシーによって守られるべき価値デモクラシーのものによって毀損されるのはゆるされず、その価値とは「国民幸福である

なお、侵略が許されないのは、それによって得られたなにかをわれわれ日本国民はもはや「幸福」とは呼ばないからである

また、近代デモクラシー以前から国家存在している。デモクラシー採用しない国民国家はありえるが、国民国家の基盤がないところに近代デモクラシー不可能さら国民国家国家の一種に過ぎず、国家領域人民暴力によってなる。(つまりよりもっとも野蛮な国家すら、領土人民防衛はその責務である。ましてや現代日本においてをや)

より下部にあるより基礎的な層への脅威はそのままわれわれのデモクラシーへのより根源的な攻撃でもある。これへの防御を表層の制度字義解釈に拘泥して阻害したり、それをもってデモクラシー破壊と叫ぶのは本末転倒。むしろ表層にある制度の欠陥が露呈したとみて、制度改善こころみるべきである

さら政治は結果である

制度改善が著しく困難な時には、より基礎的な価値防衛するために統治機構はさまざまな方便を考え出す。

今回の解釈変更も、そもそも安保自衛隊を黙認するための統治行為論もそれだ。

価値観を作る根っこにある、もっとも恐れている事態(たぶんこの部分のリスク計算が一番違う)

私:国内制度崩壊

君:外国侵略

これについては、まあ、君にはそう見えるかもしれんという感じか。

俺にとって外国侵略が君が考えるよりは重大な危機と考える理由の一部は「論点の背景にある価値観の相違」の補足に述べたつもりである。多少分かりにくいかも知れないが、筋道はおえるのではと思う。

ところで君は先に大戦惨禍を縷縷述べ、その原因を国家暴走にもとめた。

そして、それへの反省あるいは対策として、立憲主義の厳格なる遵守を要求していたように見える。わたしの考えもまた私の主観では立憲主義を厳格に遵守するものであるがそれはともかくとして以下の点を指摘する。

天皇親政により立憲政治を絶命させようとした二・二六事件立憲主義を逸脱した昭和天皇勅命によって頓挫させられた。先の大戦はやはり立憲主義を逸脱した昭和天皇聖断によって収拾された。

デモクラシーが前提とする立憲主義手続きを墨守することによる不利益デモクラシーコストとして甘んじて受けるべきだというなら、昭和天皇は指をくわえて見ているべきだったということになる。

もし本当にそう歴史が推移したならば、前者についてはより早く大戦突入する結果を招いたことであろうし、後者については惨禍がどれほど拡大したかはまったく俺の想像を越える。

こうした歴史をどう考えているのか。

しかし、これはもはやあまり脱線が甚だしい。縁があれば別の機会に議論することにしよう。

記事への反応 -
  • 憲法九条は変えないままでよくて、自衛隊も安保もまあまあOKで、しかも安保法制を違憲にしてくれる理屈が支配的って思い込ませたいようだけど、そんなことを言っている憲法学者が...

    • 国民は政権の説明より学者の意見に同意している、というだけ。衆議院議員総選挙に安部自民党は大勝したが、憲法を自由に解釈変更するには十分な権限ではない。 学者の意見に同意...

      • 一つだけ。 どこまでコストをかければ十分なのか? 憲法改正に必要なコストは、衆参両院での2/3の議決+国民投票での過半数だ。安保法制は、衆院の2/3の議決だけで実質的な改憲を...

        • 実質的にどうであろうと、形式的には改憲ではない。 一体憲法のどの条文が、内閣法制局長官の答弁内容の変更や、通常の法案の可決に「2/3の議決+国民投票での過半数」を要求してい...

          • そろそろ意見の相違は出尽くしたような気がする。必要だったら訂正してくれ。 表の論点 安保法制は合憲かどうか 私:憲法学者が言っているし、違憲だろう 君:今までの解釈の延長...

            • 主観は人によって違うのでやむをえないが俺の立場は以下のとおり。 表の論点 安保法制は合憲かどうか 私:憲法学者が言っているし、違憲だろう 君:今までの解釈の延長線上にあ...

              • なるほど。統治行為論を背景に、政府の憲法無視は9条にとどまる、という考えなのか。それは論理的にありうる立場だし、それに十分に信頼を置ければ安保法案への私の評価は変わる...

                • たぶんこんどこそ最後になるが一つだけ、 成立過程が恥ずかしくても制度は制度。日本国憲法の成立過程は独立国家としてまことに恥ずべきものだがそれでも俺は尊重はしている。 ...

            • 横だけど、暴走ってのは、各種権利条約やら、国際法やら、国連憲章やらを無視し始めるつってんの?

              • ロシアも中国も北朝鮮も国連に入っているし、国際人権規約を守っていることになってるよ。

                • なってねーよアホか

                  • めんどくさいな・・・。 国連憲章:ロシア、中国、北朝鮮ともに批准。これはソース出さないが、知ってるよな? 国連人権規約:ロシア、中国、北朝鮮ともに批准。 https://treaties.un.org/...

                    • http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000035873.pdf 北朝鮮では、過去にも現在にも、国やその機関、当局者による組織的、広範かつ重大 な人権侵害が存在する。

                      • 私が悪かった。丁寧に説明しよう。 元々の話は「日本が国連人権規約を無視するような暴走をすると思っているのか?」という質問だと理解していた。 それに対する私の回答は、「北...

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