はてなキーワード: 国語に関する世論調査とは
話は逸れるが、9月25日の日経新聞に国語に関する世論調査についての記事が載っている。
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所の『国語に関する世論調査』平成25年度版報告書では、平成14年度、平成20年度、平成25年度の比較として、各年齢別に一か月に本を一冊も読まない者、いわゆる不読者の調査結果を問10に載せている。
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/h25_chosa_kekka.pdf
これを見ると、分かることの要点は4つ。
その1、不読者は一貫して60歳以降の高齢者が多い。
その2、全体的に不読者の割合は平成14年度から増加している。
その3、10代後半と高齢者世代は平成20年度と比較すると不読者割合が低下している。
その4、平成14年度で不読者の少なかった20~40代は、その11年後の平成25年度調査で30~50代になっているが、不読者の割合が10パーセント以上増えている。特に平成14年度の40代は高齢者世代よりも増加幅が大きい。
毎日新聞社と全国学校図書館協議会による歴史ある共同調査『学校読書調査』においても、小・中・高の児童生徒の不読者割合は低下し、平均読書冊数は増加している傾向がみられる。20代以降の場合は労働時間が、児童生徒の場合は学校での「朝の読書」の影響が第一に考えられるが、原因が何であれ変化は変化である。
「役不足」の正しい使い方は? 文化庁が言葉の本来の意味を“提供”する「ことば食堂」
http://hatenanews.com/articles/201404/20242
へえ、と思いながら公式サイトを見て目を丸くした。あの言葉がない。
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokugo_sisaku/kotoba_shokudo/index.html
「確信犯」。
平成14年度の国語に関する世論調査で「役不足」と並んで誤用が広く知れ渡り、
慣れ親しんだ意味で使おうものなら鬼の首を取ったように吊し上げられるようになったこの言葉がない。
いやいや、単に選ばれなかっただけでしょ?と考えるかもしれない。
違う。
ここに「確信犯」がないのは十中八九、悪いと分かっててわざとやる という意味が誤用ではなくなったからだ。
「確信犯」や「役不足」を誤用と断言した時点で、日常的に十分使われている=正しい日本語 ではなさそうだ。
何をもって正誤を判断したのか。
残念ながら資料を見つけることはできなかったが、フツーに考えて古今東西の辞書を根拠にしているのだろう。
他に出典を使う理由がない。もし学者のお偉いさんを連れてきているとしても、結局同じことだ。
で、「確信犯」という言葉は広辞苑第六版(2008年)で次のように定義されている。
>(1)道徳的・宗教的または政治的確信に基づいて行われる犯罪。思想犯・政治犯・国事犯などに見られる。
>(2)俗に、それが悪いことと知りつつ、あえて行う行為。
俗に…と濁した言い方はしているものの、(2)の意味として堂々と掲載されている。
同じ第六版の「役不足」であっちの意味がわざわざ誤用と明言されている(>誤って、力不足の意に用いることがある。)以上、
これは広辞苑的にはもはや誤用ではなく、定着した1つの用法と判断したと見て間違いないだろう。
既に広辞苑以外の辞書でも「確信犯」の意味を2つ載せているものは多い。
もう正しい意味で使われているのなら文化庁で取り上げる必要ないね、めでたしめでたし…
で済ませてしまっていいのだろうか。
文化庁の役目は正しい日本語を広めることであって、あれは実は誤用なんだよプププというウザいトリビアを広めることではない。
だからこそ、日本中に広まってしまった「確信犯のあの意味は誤用」という誤用を、文化庁自ら発信して正すべきではないか?
もちろん、文化庁が辞書以外のよりどころを持っていて、その信念に従って「確信犯は(未だに)誤用!」と断言するのであればそれでいい。
でもそれだったらなおのこと、ことば食堂に「確信犯」を載せて、正しい意味を啓蒙すべきではないか。
現状では、平成14年時点の情報で止まっている人が、最新の辞書の定義を知る人を笑っている。
これは文化庁が最も避けたい、日本語の乱れというやつではないだろうか?
まさか、あれだけ大々的に誤用アピールをしたのに今更違うだなんておかしいし辞書が変わったから正しい意味も変わりますなんて何だか言いにくいよ~ とか
そういう背景はないと思っている。ただ、今は誤用じゃないからという理由で取り上げないのだとしたら、やっぱりずるい。正用も言葉の変化も等しく広めるべきだ。
先日ブクマを賑わした「「噴飯物」 正確な使用は20% NHKニュース」という記事は,文化庁の次のレポートが元になっている。
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/yoronchousa/h24/pdf/h24_chosa_kekka.pdf
同レポートでは次のような指摘が為されている。
「役不足」は,本来の意味を選択した人の割合が平成18年度には14年度から13ポイント増加したが, 今回の調査では,18年度と比べて余り変化がない。「流れに棹さす」は,本来の意味を選択した人の割合が調査のたびに少しずつ増加してきており,今回の調査でも,平成18年度から6ポイント増加している。しかし,「気が置けない」は,3回の調査を通して本来の意味を選んだ人の割合に余り変化がない。(21頁)
また,同レポートでは24年度調査での年代別正答率(なお,レポートは注意深くも「正解」という概念を用いていないが,このエントリでは「正解」があるという思想を前提とする)は載っているが,年代ごとの正答率変化は掲載されていない。
もっとも,同じ言葉について継続的に調査されているから,10年前のレポートにおける年代別正答率を参照することで,年代ごとに10年で誤用を改めた割合が求められる。平成14年度調査結果は下記。
「文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語に関する世論調査 | 平成14年度」
ただし,公表されたデータの中で比較できるのは,現在の30代,40代,50代である。
現在の20代以下は10年前のデータが不完全だし,60代以上は「60代以上」で纏められており,比較できない。
生年 | H14 | H24 | 改善 |
---|---|---|---|
1963-1972(現30代) | 26.9% | 44.3% | 17.4% |
1953-1962(現40代) | 25.1% | 45.0% | 19.9% |
1943-1952(現50代) | 22.9% | 38.1% | 15.2% |
生年 | H14 | H24 | 改善 |
---|---|---|---|
1963-1972(現30代) | 8.4% | 23.7% | 15.3% |
1953-1962(現40代) | 8.0% | 28.1% | 20.1% |
1943-1952(現50代) | 11.2% | 25.4% | 14.2% |
生年 | H14 | H24 | 改善 |
---|---|---|---|
1963-1972(現30代) | 39.6% | 35.4% | -4.2% |
1953-1962(現40代) | 41.1% | 44.3% | 3.2% |
1943-1952(現50代) | 49.4% | 44.6% | -4.8% |
以上を平均して改善率のようなものを算出すると,次のようになる。
年代 | 役不足 | 流棹 | 気置 | 平均 |
---|---|---|---|---|
現30代 | 17.4% | 15.3% | -4.2% | 9.5% |
現40代 | 19.9% | 20.1% | 3.2% | 14.4% |
現50代 | 15.2% | 14.2% | -4.8% | 8.2% |