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「役不足」の正しい使い方は? 文化庁が言葉の本来の意味を“提供”する「ことば食堂」
http://hatenanews.com/articles/201404/20242
へえ、と思いながら公式サイトを見て目を丸くした。あの言葉がない。
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokugo_sisaku/kotoba_shokudo/index.html
「確信犯」。
平成14年度の国語に関する世論調査で「役不足」と並んで誤用が広く知れ渡り、
慣れ親しんだ意味で使おうものなら鬼の首を取ったように吊し上げられるようになったこの言葉がない。
いやいや、単に選ばれなかっただけでしょ?と考えるかもしれない。
違う。
ここに「確信犯」がないのは十中八九、悪いと分かっててわざとやる という意味が誤用ではなくなったからだ。
「確信犯」や「役不足」を誤用と断言した時点で、日常的に十分使われている=正しい日本語 ではなさそうだ。
何をもって正誤を判断したのか。
残念ながら資料を見つけることはできなかったが、フツーに考えて古今東西の辞書を根拠にしているのだろう。
他に出典を使う理由がない。もし学者のお偉いさんを連れてきているとしても、結局同じことだ。
で、「確信犯」という言葉は広辞苑第六版(2008年)で次のように定義されている。
>(1)道徳的・宗教的または政治的確信に基づいて行われる犯罪。思想犯・政治犯・国事犯などに見られる。
>(2)俗に、それが悪いことと知りつつ、あえて行う行為。
俗に…と濁した言い方はしているものの、(2)の意味として堂々と掲載されている。
同じ第六版の「役不足」であっちの意味がわざわざ誤用と明言されている(>誤って、力不足の意に用いることがある。)以上、
これは広辞苑的にはもはや誤用ではなく、定着した1つの用法と判断したと見て間違いないだろう。
既に広辞苑以外の辞書でも「確信犯」の意味を2つ載せているものは多い。
もう正しい意味で使われているのなら文化庁で取り上げる必要ないね、めでたしめでたし…
で済ませてしまっていいのだろうか。
文化庁の役目は正しい日本語を広めることであって、あれは実は誤用なんだよプププというウザいトリビアを広めることではない。
だからこそ、日本中に広まってしまった「確信犯のあの意味は誤用」という誤用を、文化庁自ら発信して正すべきではないか?
もちろん、文化庁が辞書以外のよりどころを持っていて、その信念に従って「確信犯は(未だに)誤用!」と断言するのであればそれでいい。
でもそれだったらなおのこと、ことば食堂に「確信犯」を載せて、正しい意味を啓蒙すべきではないか。
現状では、平成14年時点の情報で止まっている人が、最新の辞書の定義を知る人を笑っている。
これは文化庁が最も避けたい、日本語の乱れというやつではないだろうか?
まさか、あれだけ大々的に誤用アピールをしたのに今更違うだなんておかしいし辞書が変わったから正しい意味も変わりますなんて何だか言いにくいよ~ とか
そういう背景はないと思っている。ただ、今は誤用じゃないからという理由で取り上げないのだとしたら、やっぱりずるい。正用も言葉の変化も等しく広めるべきだ。