スペックはアラサーのIT系人材。Web系はだいたい一通り触れてきてフロントエンドもバックエンドもある程度できるけどインフラは最低限くらいにしかできない程度に苦手。言語はPerlとJavaScriptから始まってPHP、Ruby、Python、Go、TypeScriptあたりは言語レファレンスを見なくてもある程度は書ける。非WebだとC++とかも一応書けるには書ける。フレームワークで言うとRailsとかDjangoみたいな全部込み込みのものからFlaskとかpeeweeとか選定して作るみたいなレベルまで色々経験してきたし、フロントエンドもnodeとio.jsが喧嘩してた頃からAngularとかBackboneを経由してReactやVueなんかに触れてきた。某転職サイトでは得意な言語は一通り偏差値65-70で某ポートフォリオサイトの技術力スコアは3.6くらい。運良く趣味やらバイトやらでWeb系をやってきたから外向きに見せられる実績もある程度あるしエンジニア人材マーケット内でもそこそこ需要があるといった感じ。ずば抜けた才能があるわけではないけどどんな現場でもそれなりにスキルを発揮できる器用貧乏タイプだと思う。
そんなこんなで博士に至るまでIT系のスキルを活かしつつだいぶウェット寄りの分野でプログラミングを駆使して色々なことに取り組んでた。民間のエンジニア人材としては平々凡々でも周りがプログラミングできない連中だらけのアカデミアの世界では神扱いされてちやほやされた。そんでもてはやされて勘違いして工学じゃなくて科学の博士課程に進んだのが間違いの始まりだった。
身バレするのが嫌だから詳細は伏せるけど、まあパワハラアカハラなんて日常茶飯だった。指導教員はまともに指導なんてしないし周りの教員たちも工学的なことばっかやってるのを見て好き勝手言ってきた。正直進む道を間違えたのは自業自得だけど、そのくせ「せっかく進学したのにやめちゃうの?」みたいなこと言って引き留めてくるからタチが悪かった。今からして思えばプログラミングができるレアな便利人材を手放したくなかったんだろうなって感じがする。
そんなこんなで博士の終わりが迫ってくる頃にはアカデミアに対してこれでもかというくらい嫌気が差していたけど、それでもやりたいことがあるから一応就活はアカデミア系と民間系で両方やってた。どちらもオファーが来たけど結論から言うとお話にならないくらい民間の方が条件が良かった。
まず給料は民間が1.5倍以上、アカデミアの技術職との比較だと2倍以上の開きがある。しかもこれは「民間の一番下」と「アカデミアの一番上」を比較した数字でそれぞれ逆をとったら正直目も当てられない。その上福利厚生もさまざまな手当も民間の方が条件がいい。給与の伸び代も民間の方がいいし就労条件も民間の方がいい。そもそもアカデミアでフルリモート可なんて存在しないんだから勝てるわけがないんだけど。その上で民間は原則として終身雇用に対してアカデミアは任期付きのポストばかり。就活を始める前からわかってたけどいざ現実として待遇の違いを突きつけられるともはや笑うことしかできなかった。
「それでもアカデミアは自分の研究ができるんだからいいじゃないか」と言う意見を目にするけど、結局はPIとして独立するまでは他の先生のラボで雇われになる。その間にうまくやらなきゃ一生そのまま下請け仕事をし続けることになる。そしてたとえ独立できたとして、選択と集中の名の下に文科省にとって都合のいい研究テーマを立案しなければまともに研究費を取ることすらできない。大口の予算を取ろうと思ったらいかにビッグマウスで役人を丸め込んでそれっぽいことをやれるかで全てが決まる。
自分が外れ値であることは否定しない。プログラミングが楽しくてWeb系の技術が好きで、可処分時間を使って夢中になって勉強したり色んなものを作って遊んだらして過ごしてきたからこそ今がある。でも正直少しでもプログラミングができるならアカデミアに残るより民間に就職した方が待遇もワークライフバランスもいい。きちんとリサーチすればカルチャーだってすごくいい会社はたくさんある。
それを承知の上でアカデミアに残る人は正直すごいと思う。自分がその立場にいることを想像したら気が狂いそうになる。もし似た立場で迷ってる人がいたら心から伝えたい。アカデミアやめて本当によかった。
目先の話に釣られて勿体ない。アカデミアに残れば40代で一本行ったかもしれないのに。
民間ならジョブホッピングで30代のうちに一本行くんだよなぁ みつを
サイエンスじゃなくてエンジニアリングが好きなのにサイエンスを専攻しちゃって苦しむ人って結構いるよね。