2020-10-11

三次元彼氏と一緒にいると事あるごとに「夢小説か?」と感想を抱く

夢小説とは、中学生からの付き合いである。

親には「恋愛をしてはいけない」と漠然と言われ育ってきた。

それは今思えば、望まぬ妊娠暴力に晒されんことを祈り、娘を想っての言葉だったのだろうが、いかんせん言葉が足らなさ過ぎる。

モーセ十戒の内容だけを伝えても、伝えられた相手モーセがどんな人物か、聖書がどんな内容か、ましてや聖書存在理由などを理解してくれるわけねーだろうが!という感想しかない。

なので、隠れてエロ本を読むエロガキのような感じで夢小説を読み耽っていた。

ダメ」と言われるのは、極上のスパイスなのだから

多分内容は理解していなかったけど「悪いことしてる」感がたまんなかった。

子どもなのでバレて怒られていたが、その場ではションボリして、隙を見てまた読む。また怒られる。

私は「R-18」と書かれていると「まだ18才じゃないかダメだ」と激裏ページに行かないような、正真正銘エロガキだった。

親とかいう(兄と違い私は父親が違う説があるので、望んでかどうかは微妙だが)望んで子種をばら撒き、私を腹からひり出したという実績を持っているだけの他人言葉を信頼して拠り所にするのは間違いだったなと、今になって思う。

父親は気分が向いたら暴力振るうわ怒鳴るわ嫌味言うわ、かと思えば私の尻を触るし、親戚もそんな感じだし、兄は胸が大きくなってくると揉んできたし、使用済みナプキン漁るし勃起したちんこ見せてくるし家事してる私にちんこ押しつけてくるし。

母親祖母と組み、やれ話す言葉がいやらしいだの、着ている服が派手だの、下着の色までチェックされ、時には罵詈雑言を浴びせてくるし。

最悪アベンジャーズか?

「汚いわね、売春婦が着るような色の下着なんて着て」「お前の胸が大きいのはお前がいやらしいからだ」「お前の初潮が早かったのはお前がいやらしいからだ」

他にも色々あるけど、どれも自分の土壌を作れていないし知識も頭に入れてない子どもには、よーく刺さる言葉だった。

他にも近所のクソガキにレイプ未遂され、電車に乗れば痴漢され、小さい頃には誘拐未遂属性てんこ盛りである

文字に起こすと人生ハードモードで笑ってしまう。

こんなに意味ありげに羅列しといて何だけど、そんな感じだったからか、ぶっちゃけた所わかんないけど「私は恋愛をすべきではない」という気持ちが強く根付いた。

灰色パーカーを着て、毛玉がついたバッツバツレギンスを履く。

靴はかかと踏みまくったスニーカー

たるみきった体にはいから脂肪がつき、鶏むね肉の擬人化になっていた。

それから家に引きこもりオタクになり、サンホラを聴き、アリプロを聴き、謎にワンピースディスり(今は大好き)、孤独にもだんだんと慣れ、「私はずっとこのまま親のスネをかじり、恋愛とかできずに生涯を終えるのだろう」と薄らビジョンを描いていた。

とかなんとかしてたら、高校あがってすぐお母さんが死んだ。

持病だった。

良くも悪くも人生の転機だった。

お母さんっ子のティーンエイジャーが早々に母親の死が受け入れられるはずもなく、Twitterでは荒れまくった。怒り狂い、なんにでもキレてツイートする日々が続いた。

こんな事になるのなら母親もっと一緒にいればよかった。いっぱいお話すればよかった。いっぱいおいしいご飯を食べさせてあげればよかった。

いっぱい、優しい言葉ぐらいかければよかった。

鶏むね肉の擬人化は、自分を責める想いを、誰かを責める形で穴埋めしようとしたのだ。別にそれで自分はすっきり納得しないことを分かった上で。

「多分このままじゃダメなんだけど、時間解決してくれたらいいな〜」

とか言って、夢小説を読んだ気がする。

内容はよくわからなかった。

とか言ってたら、孤独な日々に光が差した。

彼氏ができたのだ。

私は超舞い上がった。ツイート頻度は減った。

でも今よりイキりまくった。

性器押し付けられたり、とにかく性的なことを強要されないことが幸せすぎて「生きてていいのかな?」と疑問さえ抱いた時もあった。

これまでも何度か喧嘩もして、「どうしよう」と慌てた。

そんな幸せ解像度が上がる中、pixiv夢小説を読み直してみると、解像度が上がりに上がった。

ぎゃあ!!!!!これが恋か!!!!!!!人を愛する想いか!!!!!!!!

お母さんにされて嬉しかたことだ、全部。

私はただ、愛して欲しかっただけなんだ…ってお母さん死んでから気づいたよ。隣にはもう彼氏しかいないよ。

もう、墓掃除くらいしかできないよ。

日々、彼氏と悲しいことも、幸せなことも分かち合う。

そんなある日に「そういえば彼氏の言うこと、全部夢小説で聞いたな????????」という考えに行きつき、電流が走ったような気持ちを味わった。

「君の髪、綺麗なんだから手入れしなきゃだよ」

「この料理おいしいよ」

「お前は華奢で小さいな」

可愛いね」

「その服、似合ってるよ」

「大好きだよ」

「愛してる」

一例でこんな感じである

ヤバい!!!!!!!!全部魔法のiらんど!!!HPフォレストで!!!pixivで見たことあっぞ!!!!!!

それを彼氏に初めて共有しようとした時、「…そうだね、俺もリボーンで、ちょっとね」と少し切なそうに笑っていた。

お前もかよ。

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