2020-03-09

ゲーム面白さは「未来」にある

ゲーム面白さ談義

以前増田にてゲーム制作増田猛虎弁だった)と面白さの要素とは何かという話になった。自分はとりあえず面白ゲームには繰り返し要素がある、とだけ返しておいた。しかし繰り返し要素が必ずしも面白さに直結しないのは自明で、繰り返すから飽きられるゲームと、繰り返したくなるゲームの違いは論じることができなかった。

実のところ、ゲームの繰り返しを行う上で脳内では「試行錯誤」が繰り返されている。何を当たり前のことを、と思うかもしれない。しかゲームにおける試行錯誤を更に還元すると「着地点/完成」を探している自分がいることに気づく。例えばハクスラRPG場合プレイヤーは沢山の装備や魔法職業を取捨選択して最適解を探す。言ってみれば安定するかどうかを探していると言っても過言ではない。なぜならこの鉄則は全てのゲームに当てはまるからだ。格ゲーもそうだ。格ゲーコマンド入力フレームリーチディレイなどを頭に叩きこんで安定して勝てるパターンを作り上げてゆく。パズル連鎖を頭に叩き込んで最も安定して高得点を出せるかどうかを練り込んでゆく。



未来とはなにか

ゲーム面白いと言えるシンプルな要素がある。それは「未知」だ。人は未確定で未知なるものを探求する脳の構造をしている。とりわけこれは狩りに必要だったらしく、やはりゲーマー殆ど男性である断じてジェンダー論に帰結するつもりはない)。未知のものを安定させる間が面白さになっている。曰くどう立ち回るか。曰くどう早解きするか、どうすれば早くアイテムを回収できるか。どうすればイベントが進行できるか。このときプレイヤーは未知を楽しみながら未来の着地地点を夢想している。この夢想が更にプレイへの希望をもたせることに一役買っている。まるで人生設計のようだが、実のところ未来への希望を抱いて確定できる「かも知れない」チケットを購入する時点で人生はまさにゲームである

となれば次なる問題は自ずと浮かび上がってくる。ゲームバランスだ。



ゲームバランス

ゲームバランス基本的にな何が破綻せず、何がノーマライズされているかを突き詰める作業ではないかと考えている。いわゆるバランスだけに絞れば出てくるアイテム能力も平均的なものにならざるを得ないし、一点突破させるには他の強さも並列して上昇させなければならない。実はこの問題には解決策がある。破綻した強さに弱点をつけるのである。これを国内で有名たらしめたのはかのFFシリーズだ。FF画期的な要素の一つとして弱点属性なるものがある。これは完全にじゃんけんになっており、いずれかが一方的に強いわけではない(もっとホーリーフレアなど規格外の無属性存在するが)。この完璧ではないもどかしさが重要である。数あるカードゲーをプレイした人はわかるかも知れないが、壊れカードには必ず致命的な弱点が存在する。弱点は完璧性の欠けであり、未来を夢見るプレイヤーにとってできうる限りの完璧を目指すきっかけとなる。ここで多くのプレイヤーが夢中になるのである完璧ではない現状に多くのプレイヤーは満足せず、何がしかの補助手段で弱点を埋めようとする。しかゲームバランスが優れたゲームはその補助も渋い仕様になっており、そう安々と運用させてくれない。

かくしてプレイヤースキルが上昇してゆく。

だが一方で、やりこまないタイプの人もいる。例えばバイオで一周すれば無限ロケランが手に入ると聞かされても、イージークリアすれば十分弾薬も足りるだろうという心境の人たちだ。



ストーリー

こうした人たちの楽しみとは、ゲームに一度きりだけ没入できる演出や飽きるまでの操作感、そして何よりストーリーだろう。

ストーリーは未知に対する動機の一つとなる。プレイヤーはまだ見ぬ着地点であるエンディングに向かってひた走る。少なくともゲームという体感する分野においてストーリー体験して消化する最も大きな要素の一つだ。しかし多くのゲームシナリオがメインではない。あくまでもその世界プレイヤーが何をするかが主軸になる。したがってシナリオクリア後、前述の彼らはゲームパッドを床においてしまう。なぜなら彼らにとってシナリオの完結はゲームという体感世界における完成形であり、それ以上のやりこみ意味を感じられないからだ。実はこの問題には以下のような仕組みがある。

例えばプレイヤーが一周目をクリアして隠し要素が姿を現したとしよう。この場合隠し要素を観るためにプレイヤーゲーム性のみならず「シナリオを含めて」続きをプレイすることになる。この隠し要素の方向性はとても大事だ。なぜなら新しい要素があることと、今までやりこんだ高難易度版が敵配置を変えて登場する、などでは意味が変わってくるからだ。後者場合基本的にはやってもやらなくても知ってることだらけであるし、前者の場合未知は残されている。また、マルチエンドのゲーム場合でも別ルートは未知であり、多くのプレイヤー分岐を試したくなってしまうだろう。

まとめるならば、ゲーム面白くしたいならば、「完成形に向かって未知を突き詰めようとするが、実際には完成形などない」状態を作り出すことだと言える。先程は人生に似ていると言ったが、この感覚習い事にも通底する。プレイヤー学校会社から帰ってきて、学習効率の良い箱庭でまるで仕事のような成長を楽しんでいるのだ。

わざわざである。この体験学習現実世界のロールプレイでもある。

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