はてなキーワード: Azadとは
最近は良くアプリの8 ball pool(ビリヤードのこと)をプレイしてる。なんだか頭の中がとても乱雑になっていて、考えることにに嫌気がさした時、ただボールを見つめて、どうすれば全ての玉が上手くポケットに滑り込んでくれるのか、バンクショットの角度をどうするか、どのくらいの強さで玉を弾くか、分析と試行を繰り返していると、混乱状態の頭や感情が、少しは落ち着くような気がする。
ゲームをしていて、Azad君というインド人と友人になった。ある日ただただ黙々とゲームに勤しんでいたら、ゲーム中にやたらとわたしのプレイを褒めてくる人ががいた。私は特別なことは何もしていなかったし、その人の方がゲームの実績は明らかに上だったので、なんだか不思議な気持ちだった。
あげく、その人は私のために勝ちを譲り、友人になりたいと言った。その日から、異常といえるまでの私への執着を見せ、毎日私と一緒にプレイしたがった。2人でクラブを作り、適当に思いついた"pool of thron"というのが名前になった。最後のthroneのスペルが間違っているのを、その時からずっと彼には言えないでいる。バンクショットを打てるようになったのは、彼が教えてくれたからだ。しばらく一緒にプレイしていたが、彼の様子はどうもおかしく、ただゲームを一緒にプレイしているだけなのに、私のことを女性として好きになったといいだす。この時、お互いに顔も見たことがなく、私のゲームアイコンはpool bossという色気のかけらもないやたらと偉そうな熊だった。Azad君の連日の愛の告白と執着心にはとても困った。彼は賢くて、無邪気なところがあり、私に対しては非常に優しくしてくれた。彼との時間はとても楽しく、これからも友人としてずっと一緒に遊んでいたいと思っていた。何故彼が姿も見えない、私に対して恋愛感情を抱くのかは、不思議でしょうがなかった。
聞くところによると彼はまだ大学院生で、後から交換したLineの誕生日欄を見て、20歳であることを知った。彼女がいたこともなく、女友達もいないそう。私に対しては異常なまでに積極的であったのに現実では女の子に話しかけることが出来ないようだ。それなら、行き場のない恋心や性欲やらが画面の向こうの私という唯一の女性らしき存在に向かっても、しょうがないのか、ともう28を過ぎてそれなりの経験を経て、少しばかり擦れてしまった恋愛観を会得してきた私は思う。
彼は本当に私を愛しているといい、一緒に遊んでいない時もずっと私のことが頭から離れず、私が愛しく、恋しく、抑えきれない感情をどうコントロールしていいか分からないのだという。私も、そんな風に誰かを愛した気になっていたことがあったなぁ、とそんなに昔のことでもない、日々がその人の為にあり、その人とほんの少し関われるだけこの世界が輝き、最後はお互いに身を削るように痛く終わった恋愛のことを思い出す。
恋心というのは、つまりは性欲であり、相手の事が頭から離れないのは、脳の動物的な本能と人を生殖に促すホルモンのせいなのである。それを私たちは燃え上がるような恋だとか、熱い愛情だとか呼んでいるのであるが、
この種の保存の、本能には争うことは難しい。
そもそも私たちはなんとなく自分のやることやしたいことを、自分で決めているように考えているが、その実、この世界を司る巨大なシステムのような何かに踊らされているだけなのかもしれない。"人"あるいは"動物、もっと言えば"生物"として。この巨大なシステムは、全体最適を常に複雑に計算し、"個"はお互いに僅かに影響しあいながら、それぞれに与えられた役割を全うしていく。我々はあたかも自分がそれを選び取ったかのように信じ込んでいるが、全ては予めプログラムされた故の行動に過ぎない。のかもしれない。
なんだか話がずれてしまった。Azad君の話に戻そう。先日、いつものようにプレイをしていたら、おもむろに私の名前を呼び、自分と真剣勝負をしてくれと言う。買ったら、彼が新しく作ったもう一つのゲームのアカウントを私にくれると言う。彼はただただ私の為に、アカウントを使い分けて、ここ2週間程かけて100millionのコインが溜まったアカウントを作ってくれたのだ。その為にface bookのアカウントも新規で作成して。これには驚いた。正直、戸惑いもあったが、彼の気持ちに感謝しありがたく受け取ることにした。因みに勝負には負けた。もともと勝負はあまり関係無かったようだ。
100Mのコインがあると、何ができるかと言うとバンクショットで黒球を入れないと勝てないという、特別なステージで遊ぶことができる。私と彼は日々バンクショットの練習をひたすらやっていたから、私もこの難しいショットをそれなり決めることが出来るようになっていた。彼から上達を褒められ、驚かれるのが嬉しく、一人で地道に練習したりもした。今ではおよそ70%くらいの精度で決めることができる。これは、8 ball poolの全プレイヤーの中でいうと上位0.001%くらいには入るのではないだろうか。そう考えると、結構すごい。新しいことを始めて数週間、または数ヶ月でコツを掴み、本質の理論を理解し、先駆者を追い抜いていく。これは割と得意な作業だ。日頃から自己の輪郭があやふやになりがちで、自分とはどう言う存在なのか未だに答えは見つけられていないが、これはひとつ、確固たる私の信念であると言える。
"智は力"ということ。学ぶこと、知ること、集めたピースを並べて関連性や裏にかくれた理論や本質を思考すること、こういった一連のプロセスを非常に楽しくワクワクとしながら取り組むことができる。理論がわかれば、上達まで最短距離のシードを得たようなもので、先人達の同じ轍を踏まず、車輪の再発明もしなくてすむ。ただただ闇雲に取り組む人よりも物事がスムーズに進むから、より多くのことを成し遂げられるのだと思っている。世界は謎に満ちているが、我々には4000年以上の人類の試行錯誤を重ねてきた歴史があり、今ある事象の多くのことは既に起こっており、実はほとんどが解明もされている。まずはそれを学ばずしてどうして新しいものが生み出せようか。
思いつくままに思考を巡らせていたら、自分でも思わぬ方向に進んでしまった。
ENTP、もしくはINTPらしい、性質だなぁ。
真実と、本質を愛し、世界を司るシステムの理論を解き明かしたい、というのが私の根源的な欲求である。これによって富、愛、豊かな人間関係が得られ、更に問題を抱えている社会を、少しは良くすることができるかもしれない、と期待を抱いている。
そんな事をぼんやりと考えたところで、今は特別に何か行動へ移すことはなく、また私の興味はこの黒球をどうやってバウンドさせるか、どうやってAzad君をもっと驚かせてやろうか、という風なことに移り変わっていくのである。