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2024-10-10

名作といわれるドラマおしんをみたので感想を書く その3

https://anond.hatelabo.jp/20240908082812から続く

おしんドラマとして優れている点は、登場人物自然体、未来を知らずただひたすら前を向いて行動していることである

現代価値観登場人物投影せず、今の人が言いそうなことはまったく口にしない。

まれ姑になるおしん描写にしても、素で無神経な女性になっているのであり、それを客観的おしんはすっかり変わってしまったなどと、神の目線ナレーションが入ることもない。

さて、最後に初子についてのメモを残しておく。

初子についてのメモ

初子は9歳で山形から奉公に来た後、田倉家で実の娘のように育てられ、戦後おしんを常に支えてきた人物である物語においても、竜三と並んで重要役割果たしている。終戦後、竜三の自決きっかけに、おしん人生に一区切りがついたと多くの視聴者が感じた。しかし、20代の初子役として田中好子が登場したこと物語は新たな展開を迎えることになる。

田中好子は、持ち前の包容力のある演技で、初子の内面を見事に表現した。中年期以降の初子は佐々木愛が演じ、その深みのある演技は、初子の内に秘めた感情を的確に伝えた。特に田倉家での初子の居場所探しの苦悩は、彼女の表情や視線に表れている。おしんにとっては実の娘のように思っていた初子であるが、初子自身戦死した雄への思いを抱えながらも、自分の居場所に悩み続けていたのである

ところで一視聴者として、初子が養女であるかどうかについて疑問があった。公式には養女として扱われているものの、養子縁組が明確に描かれていないため、その法的地位不安定だといつも感じてきた。それはさておいても、初子の存在は田倉家の中でも微妙で、特に仁の妻・道子からは「初子とかいうわけのわからないひと」と陰口をたたかれることもあった。この表現は、初子が抱えていたアイデンティティ危機象徴している。

初子にとっての転機は、八代希望のぞみ)の妻の交通事故死だった。彼女希望の息子、圭の世話をしながら、希望の家で新たな居場所模索していたのであるしかし、おしんが初子と希望結婚仲介しようとしたことで、結果的に両者を傷つけてしまう。この出来事を通じて、おしんの人の気持ち理解する力が衰えていたことが露呈したが、同時に初子の独立真剣に考えられるきっかけとなった。

おしんは年齢を重ねるにつれ、いまでいう老害のような昔の感覚若い世代押し付けるだけの年寄りになっていたのである

それをいつも優しくたしなめてきたのが初子であった。しかし、初子の心情そのものは決して台詞には表されず、表情のみによって表現されてきたのが、今回、視聴しての発見だった。初子には常に表のセリフと裏の表情がセットになっていたのである

戦後の田倉家で、初子の存在は常に微妙ものであり、彼女は嫁としても小姑としても、お手伝いとしても、内心では本当の居場所を見つけることができずにいたのが初子のほんとうの心情であるおしんはしばしば自分の肩をもんでくれる初子の言葉背中越しに聞いていることが多かった。しかおしんには気づけなった。初子の表情はおしんの目に入っていなかったのである

最終的に、田倉家が初子の独立支援するに至ったのは、これまで初子と二人で暮らしてきたおしん次男家族に同居することを決めたことがきっかであるおしん決断で、初子の居場所問題はついに崖っぷちに来てしまった。初子の居場所がないこと、そしてこれまでも初子は悩み続けてきたことににようやく気が付いたおしんは、あたらめて初子の長年の苦悩に思いをいたし、独立に向けて尽力することになる。老害化して久しいおしんがようやく初子の気持ちに気が付いたよと。視聴者は、この初子の救済の瞬間に感涙せざるを得ない。

この一件以降、おしん悟りを開いたかのように、人間の心情をくみ取れるようになってゆく。自分を痛めつけた佐賀の姑の思いも、故郷父親の思いも、そして兄と兄嫁・とらの思いも、そこには自分立場からみえなかった思いがあることに気が付いてゆく。私もこんな年の取り方をしてみたいとおもうけれど、老害のままで終わってしまうんだろうな。

その他の感想(番外編DVD「もうひとりのおしん」の感想

1983年放送放送されたおしんと同時代を生きた女性たちへの当時の貴重なインタビュー

主演の田中裕子撮影中、過労のため失神し、一ヵ月近く撮影が中断したのは有名な話。インタビュー番組はその穴を埋めるために制作された。

https://anond.hatelabo.jp/20240819053114

 
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