楽天が一括的な送料無料を打ち出して話題となっている。三木谷浩史は公正取引委員会とやり合う姿勢を見せるも、送料無料化を一旦取り下げた。未だに楽天と楽天ユニオンとの対立は止みそうにない。
恐らく、同社の掲げている「ワンデリバリー構想」だろう。ここでは、楽天独自の配達サービス「楽天EXPRESS」や楽天ロジスティクスの物流センターの拡張を目標としている。本来ならば楽天が全て負担すればよいのだが、自前の配達網を作るということがそれをさせなかったのだろう。だが、楽天の思惑は必ず頓挫する。
そもそも楽天とAmazonは根本的に形態が違う。前者の場合は百貨店のように出店者から料金を取っている。商品の配送だって各店舗に任せている状態だ。後者は直売店のような形だ。だから配送のための倉庫ができた。
両者は見る先が違う。前者の場合は経営が身軽だが、後者が顧客を直視している以上優位性の確立はある意味必然だったのだろう。
三木谷浩史CEOは「楽天は出店者と共に成長する」と語った。しかし出店者に自社の都合を押し付けるままではその理想は達成できまい。下手をすれば楽天市場を脱退する出店者が相次いで商品の多様性が失われる危険がある。
楽天の本来の役割、それは実店舗のオンライン対応を助けることだろう。ECの三要素のポータル、決済、物流を備えさせるのだ。
楽天は出店者に送料無料を押し付けるよりも、出店者が自発的に送料を無料にするような環境を整えるべきなのだ。
基本的な方針は地産地消。そもそも日本自体が地方分散的な国だ。何もAmazonに目を囚われることはないだろう。
物流については、Amazonのような集中物流方式ではなく既存の店を分散型倉庫として利用する。さらに、テクノロジーを駆使してドローンやUGV等の無人配送を確立する。勿論物流センターの効率化にも役立てる。特に新型コロナが流行る今、無人配送は重要だろう。
楽天は出店者に物流におけるソリューションを提供しなくてはならない。
ドローン等の無人機については購入するか自社で造るかにする。以前に楽天は京東と連携したが、それを推進するのもよし、あるいはドローン等を手掛けるベンチャーを買収するのもよい。
地産地消を推進するためには、ポータルや決済における改革も進めるべきだ。
ポータルにおいては無闇にサービスや人気品を並べるのではなく、そのユーザーの住む地域のものや過去の購入データの傾向に合った物を優先的に表示する。無理にポータルの内容を画一化させる必要はない。
ポータルをスマートな形にすることで少しはUI等の問題も改善するだろう。
決済についてはブロックチェーン化を進める。楽天ポイントを全て仮想通貨の楽天コインに統合するのだ。以前に楽天ポイントが一部の仮想通貨と交換可能となったが、楽天コイン自体を共通的通貨とする。
ブロックチェーンの本質は非中央集権性。地方をトークンエコノミー化させることで信用創造が容易になるだろう。
楽天はポイント事業からは卒業した方がよい。docomoのTポイントの反攻、何よりもpaypayポイントの攻勢が脅威だからだ。paypayはスマホ決済において圧倒的なシェアを誇り、成長が早い。そもそもポイント自体が便宜性に欠ける。埒が明かないだろう。
三木谷浩史は早く社内の体制を整えるべし。賃金を二倍ほど引き上げることで生産性を上げるようなことはやるべきだろう。後、遠隔作業の推進も忘れずに。(モバイル事業を進めるならばテレワークのシステムも作れるのではと思うが)
楽天がやるべきことは実店舗のEC対応を支援することだ。これからの時代、ECとリアルとの融合は進む。楽天は本物のデータテクノロジー企業となれ。日本社会をアップデートするつもりで物事を進めなくてはならん。
この長文駄文が参考になれば幸いだ。