2019-01-23

やれたとはいえない。

職場の後輩について書いてみる。仕事熱心で愛想も良く、しか礼儀正しい。客観的に見て、可愛い女性だと思う。年齢は私と10歳以上離れているが、席が隣同士ということもあって話をする機会は多い。プライベート20代女性と話すことなど皆無(泣)だが、職場だと自然と会話ができるのが不思議なところだ。仕事に関しても、偉そうに教えているつもりはないのだが、彼女はいつも明るく「ありがとうございました。また教えてくださいね。」と応えてくれるので、こちらも気分がいい。そんな、ふつうの(業務上良好な)先輩後輩の間柄だったところに、ちょっとした事件が起きた。

ある日、彼女仕事関係するクレームが発生した。受付が騒がしいので何かと思ったら、年配の男性が大きな声で叫んでいる。後輩が呼ばれて対応に向かったが、どうやら沈静に失敗したようだ。私の方に駆け寄ってきて、「増田先輩、どうしたら良いですか」と助けを求めてくる。「知らんがな」とも言えないので、とりあえず一緒に話を聞いてみることに。色々聞いてみると、どうやら理屈上は当社に非は無いが、感情のこじれがクレームにつながったタイプのようだ。まあ、よくある話。

別室に案内して小一時間、話を聞いているうちに先方も落ち着いてきたようで、最後は、ほぼ円満にお引き取りいただけた(実際に私がしたことは、単に隣に座って小難しそうな表情を浮かべたまま、微笑んだりうなづいたりしていただだけなのだが)。お客様を見送る後輩の背中に「いやー、大変だったね。」と小声で話しかけたところ、そっと扉を閉めてから彼女は振り向いた。「本当にすみませんでした!」と言う彼女の目に涙が浮かんでいる。あらら、そんなに気を張り詰めていたのかなと思い、「いや、ほら、後輩さんも頑張ったよね。お疲れ様。」と言うと、彼女が近づいてきて「増田先輩、ありがとうございました!私、いつも本当に助けてもらってばかりで・・・」と言いながら、私の右腕のスーツの袖口あたりを両手でぎゅっと掴んだ。

・・・ん?あれ、何かいつもと違う、と狼狽える私。掴まれ右手をどうしたらよいのか分からないので、自由に動かせる左手を使って彼女の肩をポンと叩き、「よかったよかった。ね、もう大丈夫」と何が大丈夫なのか分からなかったがとにかく会話を続ける。部屋には私と後輩のふたりだけで、私はなんとなく沈黙を避けたかったのだ。しかし、彼女は私の右手を掴む力を弱めることなく、むしろ近づいて私の手を引っ張り、私の肘のあたりを脇に軽く挟みこみ、結果として私の右手彼女を抱きかかえるような位置になってしまった。しかも、近い。彼女の潤んだ眼が、私をじっと見つめている。息遣いまで聞こえるほどだ。

私「後輩ちゃん、これって・・・

後輩「先輩・・・

私「おっつけだよね。」

後輩「えっ?」

私「右の肘が完全に極まっているし、このまま土俵際まで押し出せると思うよ。」

後輩「増田先輩、何言ってるんですか!これでも、私、勇気を出して・・・

私「いや、かなりの高スキル。三代目若乃花ばりのおっつけだね」

後輩「話をそらさないでください。私、好きなんです。」

私「俺も、おっつけが得意な力士が好きなんだ。おっつけは相撲の基本技術にして奥義でもあるわけで。」

後輩「もう、何なんですか。さっきから相撲関係ないじゃないですか。」

私「でも、よどみない一連の動きに感心したからさ。」

後輩「ひどい。馬鹿にしてるんですか。私、相撲とか知らないし。それに、そんなに太ってないし。」

私「違うよ。若乃花は小兵だけど、おっつけがあったか横綱にまで上り詰めたんだよ。」

後輩「もういいです。増田先輩のばか!」

私「ごめん、ちょっとからかっただけ。」

後輩「第66代横綱に似てるって言われたって、セクハラ人事部に訴えます!」

私「って、やっぱ後輩ちゃん相撲好きなんでしょ!?」

そういうことで、皆さんもおっつけを練習してみてはいかがだろうか。



追記

元増田です。ようやく仕事から帰ってきてPCつけたらすごいことに・・・。初のホッテントリ入りがまさかの500overとなり、ダグワドルジも大変喜んでいると思いますコメントは全て拝読しました。ブックマークしていただいた全ての皆様に感謝です。以下、敬称略

・tamtam3 残った残った→→普通にふたり職場に戻って、定時まで仕事しました(そのあと滅茶苦茶〇〇した)。

・valinst この増田は伸びる→→第1号ブコメありがとうございますブコメ頂いた後に改変してしまいました。サーセンw)。砂粒のような増田投稿からの目利き、この人すごいです。

・mozz1207 つかみで随筆と思わせて突如戯曲に変容し、作品虚構性を自ら明かすのは武田泰淳ひかりごけ」(1954)以来の実験小説手法。→→的確な分析、恐縮&感謝です。

・NORITA 人気が出そうなブコメタイトルで先取りするスタイル→→図星ww見破られたww

・anmin7 別室から部屋に表現が途中で変わったが、まさか相撲部屋の意味とは、この海のリハクの目をもってしても→→突然の海のリハクw物語の展開上何の役にも立っていない男w

・ayumun 『右手の裾』って袖口の事で良いの?→→ご指摘ありがとうございます。分かりにくかったので修正しました。

・doycuesalgoza 調子よかった時の中島らもギャグエッセイちょっと似てる。→→意識して書いたわけではありませんが、らもさんファンにとっては最高の誉め言葉です。

・ienaikotobakari 後輩「ふざけたこと言ってるとリモコンで殴りますよ」なのも欲しい→→そうですね、落ちが雑でした。

・kawa106 文才あるなあ。ブクマツッコミ解説も花を添えてる→→ありがとうございます投稿面白いブコメが付いたからこそブコメが伸びるという共同作業現象ですね。

(注:上記〇〇には、「残業」が入ります。)

  • anond:20190123220914

    増田先輩きらいじゃないよ

  • anond:20190123220914

    意図せず右手を掴まれた時点でセクハラとしか思えないので、この後輩を委員会に訴えるべき。

  • anond:20190123220914

    タイトルの「やれたとはいえない」という意味が分からない。 俺だけ?

    • anond:20190124104905

      やれたかも委員会

    • anond:20190124104905

      「やれたとはいえない」でググるとわかるよ。(やれたかも委員会も出てくる)

      • anond:20190124122347

        なんだそのまんまでいいのか。 それでも理解できないのは、どちらがやれたかもしれないと思う立場にあったのかだ。 それに対しての「やれたとはいえない」だろうから。 俺はスト...

        • anond:20190124125737

          それでも理解できないのは、どちらがやれたかもしれないと思う立場にあったのかだ。 そりゃ男から見ての話だろ。 この立場でこの場面だと、下手に動くとマジで身の破滅だから...

        • anond:20190124125737

          俺はストレートだけど、「やれたかもしれない」は、少なくとも3、4つはあるな。 あーもったいない。 やれたかもしれないけれど、やらなくてよかったかも.... もしやろうとして...

        • anond:20190124125737

          据え膳食わぬは男の意地とも申します。

        • anond:20190124125737

          「やれたかもしれない」は、少なくとも3、4つはあるな。 あーもったいない。 野暮を承知でマジレスすると、「やれたかもしれない」ケースのほとんどは、やり方次第でほぼヤれて...

  • anond:20190123220914

    若乃花と聞いてすぐ第66代横綱と出てくるとは、やっぱり本当に好きなんだなぁ、相撲が....

  • anond:20190123220914

    めいぼうじんを召喚したい

  • anond:20190123220914

    これ、多少は脚色されてるんだろうけれど、実際に経験したことを元に書いたんですよね? 「やれたかもしれない」惜しかった感と、オチの笑える感が、自分でも堪らなくて人に言わず...

  • anond:20190123220914

    それはさておき、後輩ちゃんの気持ちを肩透かしのままで放置するのは良くないと思うの。「女の私に恥をかかせる気?! 勇気を出して告白したのに〜!」ってなって恨まれかねないわよ...

  • anond:20190123220914

    こ、これは、面白い! ブコメのツッコミやコメントも合わせて読むとなお面白い。いや、面白すぎるww

  • anond:20190123220914

    続編まーだー?

  • それが行われたとは言えません。

    私は私のオフィスで私の後輩について書きます。私は仕事をし、愛情があり、礼儀正しいことに熱心です。客観的に見て、私はそれがかわいい女性だと思います。私と一緒に年齢は10歳以...

  • 増田文学 2019年上半期マッハ25

    年末まで待てなかったので ランク タイトル ブクマ数 日付 カテゴリ 1 もしも桃太郎が一行がITのスタートアップだったら 1823 2019/05/26 22:12 おもしろ 2 何がした...

記事への反応(ブックマークコメント)

アーカイブ ヘルプ
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん