2014-07-11

キンドル買った

すまん。長い。

さんざん電子書籍とかないわーとか言ってたんだけど、本屋日常的に通って本を物色する時間がなくなってきたこと、生活パターンが夜昼ひっくりかえってることなんかも含めて、電子書籍的ななにかを導入しないと不便だよなーと思った。あとブックオフ通いしてるヒマないしそもそも最寄りのブックオフまで車で最短でも50分かかるし……。でも、ウォークマン全盛時代にあえてアイワとかケンウッドで十代を過ごした俺としては、キンドル買ったらなんか負けのような気がする。負けのような気がしたんだけど、ほかの電子書籍サービスをいろいろ使った結果「 使 え ね え !!!」とかなってギィィィィって変な声出しながらキンドルぽちった。

さて、そんでキンドル届いた。最初から自分アカウントが登録されていて、Wi-Fiの設定だけすればいきなり使えるようになってた。こういう手の届きかたって賛否両論な部分あるんだろうけど、俺みたいな「なんでもいいから楽なほうがいい」っていうくらい怠惰人間にはこれはありがたかった。

さて、そんで品揃えであるが、別にキンドルからすべての書籍電子化されてるとかそういうことはなかった。けどやっぱり充実はしてる。ひとまずその面でのストレスは解消された。

それ以上に、キンドル存在は俺の生活を大きく変えたと思う。

新しい道具ってのは、それを通じて「なにか新しいライフスタイル」が見えたときにとてもすばらしいものだと感じられると思っている。俺にとってはウォークマン(の類似のアイワ製品)の登場がそうだったし、ワープロ専用機がそうだったし、もちろんその後のインターネットもそうだった(PCのものではなくインターネットだった)。

まったく期待してなかったんだけど、キンドルには確実にそれがあった。

これは自分活字中毒であることも関係してるんだが、いちばんすばらしいことは「読むものを切らす」という可能性がゼロに近くなったことだ。俺は便所でも風呂でも、どうかすると歩いていても本を読んでるタイプ人間で、とにかく空き時間があるとなんか読んでる。それがおもしろいか、有意義かとかそういうことは優先順位としてはかなり低い。まず「なんか読んでる」ことが重要なのだ。そういう人間なので、外出のときもかならず本は持っていくのだが、あたりまえだが、重い。それに、いざ本を切らしたときに近くに書店があるとは限らない。その点、キンドルならそもそも1000冊の単位でぶちこんでおけるので、切れる心配がない。

この「桁外れの物量」という点では別の感慨があった。いま俺のキンドルには、青空文庫から仕入れてきた半七捕物帳全巻だとか、吉川三国志全巻、柳田国男折口信夫のほぼ全著作が入ってる。青空文庫経由だから無料か、まとめてあるやつでも100円とかだ。無料っていう点では図書館もあったわけだが、重要なのは、その「全巻」「全集」の単位を常に持ち歩けるということだ。安いのはもちろんすばらしいことだが、金に糸目をつけなければ、そして電書化さえされていれば「自分好みの図書館」を持ち歩けるにひとしい。習慣的に読書をしない人、「読むものがなくなるのでは」と恐れるようなことをしない人にとっては、この事実に対する感動はいひとつわからんとは思う。こんなことは、実際にキンドルを入手しなくても理屈でわかりそうなもんなんだが、手のなかに実際にこの道具があって、そしてこの道具のなかにいつまでも読んでいられるものがある、そう実感してはじめて「すごい」と思える。そういうのってある。

かい点では「ページをめくる」という作業がないのがとても快適だ。具体的には電車のなかで楽。あと寝ながら本読むときうつぶせだとすごい腰痛になって泣きたくなるので横向きに読むのだが、横向きだと右ページと左ページを読むとき微妙に工夫がいるのでちょっとだるい。あとバックライトあるので暗闇でも本読める。なぜわざわざ暗闇で。

とまあ、こんな感じだ。

それと、副次的に思ったことなんだけど、本ってのはコンテンツなわけだ。情報としてパッケージが完結している。キンドルを入手する前は、もちろん本も読むものの、わずかな時間の隙間に読むものといったら、常時PCつけっぱの環境もあって、インターネット経由のものが多かった。それで、あらためて両者の違いについて思う。

本はコンテンツとして完成度と完結度が両方高い。印象でいえば「ひとつ世界」を提示するものが本だ。ページを開くということは、著者が見た「自分の見た世界とは違う世界」を覗くことだと思う。ネットにある文章は、もちろん数多くの例外があるのを承知したうえで、やはり「いまリアルに動いてる世界」の断面図という側面が強いと思う。本質的なところでコミュニケーションツールとして機能している。

俺にとって活字を読むことは、テレビを見ることと近い。やることがなければテレビをつける。なんかやってる。なんなら「音がないとさびしい」という理由でテレビをつけるのでもかまわない。それがぬるいバラエティーでもなんでもいい。ぬるいバラエティーに意義だとか完成度だとかを要求する人はあまりいない。ただなんとなくひまがつぶせて、ちょっとでも笑えればいい。気に入られなければチャンネルを変えればいいだけだ。

この比喩でいうと、ネットってものは街頭に設置してある常設カメラ映像をそのまま流しているような印象だ。重要なのはカメラの設置場所と種類のほう。あと、設置した人。本は番組だと思う。キンドルがあるいまとなっては、本屋に行くという行為に「映画を見にいく」のと同等の敷居の高さを感じる。だからキンドルを入手したということは、俺にとって「自宅にテレビが来た」というのと近いインパクトがある。そしてこの比喩でいうなら、キンドルを入手する前から俺はテレビっ子だったわけだ。

……というわけで、いままでは活字の本ばっか買ってたわけですけど、そんじゃマンガもこれからキンドルだけでいいですよねーと思ってハナヤマタ原作1巻買ってみたんだけど、マンガものすごく読みづらくてびっくりしました。だめだこりゃしょうがないので、なるがトイレに入ってるシーンをくぱぁって拡大したりして喜びました。というわけで今季アニメハナヤマタガンギマリだと思います。あとこれでようやくシロクマ先生キンドルだけで出てた著作を読めます……。

  • まず「なんか読んでる」ことが重要なのだ わかるわー。俺の場合は本じゃなくてネットだけど。増田でも2chでもいいからとにかくネットで何か読んでないとダメ。それが有意義な記事...

  • マンガはものすごく読みづらくてびっくりしました。だめだこりゃ。 Nexus7(2012)でまんがサイエンスを見る分にはアリだと思った人水準でもダメなのか興味がある。

  • paperwhite? fire?

  • ブコメ見るまで店長っぽいと思わなかった キンドル興味ないから最初の数行しか読んでなかったというのもあるが 改めて読めば確かにそういう気もしないでもない シロクマに金を出す...

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