2013-11-19

最近話題のウイグル問題について、ちょっと語りたい

このまとめを見て、昨今のウイグル問題に関する文脈に一言物申したくなった。

http://togetter.com/li/591603

僕は親中というわけではないけど、とりあえず嫌韓ネタ出しとけばいいや、みたいな思考停止が嫌なのです。

そして話題が話題だし、ちょっと重い話も含んで語りたいから、増田で書く。推鼓する時間も無いので、とりあえず取り留めなく。


僕は日本に住む日本人だけど、過去中国在住8年。彼女ウイグル人で、向こう6年の付き合い。

まとめ元の井上氏とは、そういう意味ちょっと似てる立場なのかもしれない。

不思議日本国内には居ないのだけど、大陸には「新疆地方出身(※1)の知人・友人(※2)が何人も居る。

 ※ウイグル族には限らないです。新疆には沢山の少数民族が住んでいるし、漢民族ももちろん居る

 ※皆、いわゆる犯罪組織ヤクザメンバーではない一般人ですよ


もう少し背景を付け足すと、2009年ウイグル騒乱前にも、観光ベースで新疆をブラブラしていた事がある。

実は天安門事件前にも一ヶ月間、新疆に観光へ行っていた。シシカバブラグメン最高。ビールが気軽に飲めたらもっと最高なんだけどな。


上記の通り、僕は多少ウイグルに縁がある一般人というだけで、歴史学地政学に特別詳しいわけでも、何でもない。

なので、僕はなかなか文脈の中に出てこない現地(ウイグル地方出身一般人、あるいは旅先で現地の人に聞いた事を客観的にそのまんま書く。

詳しいレポや現地メディアの状況は@furumai_yoshikoや@dongyingwenrenのような専門家の方がずっと詳しいし、ためになる。

気軽にヘイトに走っちゃう人はぜひ、彼らが過去に書いた記事も、よく見てほしいのです。



以下、現地の複数少数民族にきいたこと


1. ウイグル族共産党政府はどう感じているの?

 ・別に、何とも思ってないよ

 ・無能特に公安ウイグル騒乱の時、彼らは漢民族ウイグル族も守らなかった

 ・景気が悪くて仕事が無いのを何とかしてほしいね

 ・政府の進める再開発で、立退き料ガッポリもらえてラッキー

 ・今度、政府が立ててくれる少数民族専用マンションに引っ越すんだ。

  しか家賃の8割は政府負担。最高じゃね?


2. あなたたちは弾圧されているの?

 ・他の少数民族と変わらないんじゃない?

 ・普段はいいけど、何か問題が起こった時に締め付けが厳しくなるのが面倒

  列車に乗るのも一苦労

 ・チベット族ほどじゃないと思うけど、差別を感じる事はよくある

 ・君らみたいな観光客の方が迷惑かな(※観光地モスクにて)


3. ラビア・カーディルって知ってる?

 ・知らないよ。誰?

 ・家族を捨てて海外に逃げた人だよね

 ・共産党政府の狗、今はアメリカの狗なんじゃね?

 ・大きな事件があった時に名前を聞くけど、何をしてる人かは知らない


4. 2009年以降どう?

 ・漢民族ウイグル族居住地区は、明確に分かれるようになった

  ※大きな街では、東西南北で町並みが全然変わっていた。東側は中国風、西側はイスラム風みたいに

 ・めっきり、お互いの民族間で交流しなくなった。市場他民族を見る事がなくなった

 ・(相手民族)が怖い。間違っても人通りの多い所には行きたくない

 ・あなたが行く事もオススメしないよ。彼らは野蛮だから

 ・南の方は観光客(※漢民族含み)が減って商売あがったり

 ・カザフモンゴルキルギス族の多い北の方は、逆に景気良いよ

  -.政府(※地方政府)がロシアから建築家招いて、超豪華な公衆トイレ作ってくれたんだぜ!日本トイレみたいだろ!

   →野原の中に超立派な公衆トイレ・・・



眠たくなってきたのでこの辺でいったん〆るけど、なんとなく現地人の雰囲気が伝わるような物をピックアップしてみた。

総体的に、彼らと話していて感じた事は「民族としての連帯が非常に緩い」「人生楽しそうだな」という事。

今、よく日本で言われている「少数民族としての劣等感」「独立意識」「民族弾圧」のような要素を感じる事は無かった。

政府への不満はよく聞いたけど、それは中国に住む人であれば皆同じ事を言う類のものだった。

よく漢民族の言う「少数民族優遇されている!」というのも、本当なのだなと思った。

日本で言う所の在日特権みたいな物も存在するんだけど、新築マンション家賃8割政府負担は恐れ入った。

はいえ、増え続ける失業者対策の一環なんだろうとは思いつつ。


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ちなみにウイグル騒乱の時は、彼女を通じてウルムチの様子をLIVEで聞いていた。広場ウイグル族に殴り殺された漢民族女の子の話、

仇を取ろうと仲間を集めて家を出て行ったその子の父親と、それを必死で止めた、ウイグル族の隣人。殺到する群衆を恐れて、

橋の下で夜通し隠れていたウイグル族の親子。その親子が深夜、公安保護されてようやく帰宅できた話。

異人系の顔立ちだから漢民族ウイグル族どちらからターゲットにされてしまカザフ族の話や、漢民族との勘違いを恐れて、

家の外に出られないモンゴル族の話。結果、ターゲットにされて腕を刺されてしまった男性の話。


この時、僕らは彼らに何も出来なかった。地理的な距離がありすぎたし、日本と違ってそもそも、支援する手段が無かったからだ。

※情勢が落ち着いた頃、新疆は冬が厳しいという話を聞いてユニクロヒートテックグッズを送ってあげた。

 寒い地域では本当に喜ばれるので、お土産オススメ


腕を刺された男性は、後日傷を見せてもらった。痛々しかった。でも命があって良かったと思った。こんなので刺されたら、普通死んじゃうわ。

http://www.koohji.com/upload/2009/4/200904111726561635.jpg


全て彼女の身近な人だったから、サンプルとしては凄く少ないのだけど、民族間対立とは、紛争とは何か、

中国という国は何かを考えさせられるには十分すぎる体験だった。

これは未だに考え続けていて、答えは見つからない。今後も考え続けるんだろう。

答えが見つかる気はしないし、誰かが答えを教えてくれる気もしない。どうしたもんかなあ。

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