2023-09-03

産後1週間で実母から金の無心をされた話

産後一週間。

産院を無事退院したのもつかの間、

予想外の背中スイッチに、1日中赤子を抱きかかえていなければならない状況に陥った。

これは無理、と思い、実母をヘルプに呼ぶことにした。

今になって思えば、睡眠不足で正常な判断が出来なくなっていたと思う。

年末差し迫る、寒い冬だった。

実母がソファーで娘を抱っこしていた。

抱かれた娘はすやすやと眠っていた。

テレビでは、コウノドリドラマが流れていた。

実母が口を開いた。

「ねえ、お金、ある?」

自分の中の糸がピンと張った気がした。

睡眠不足で正常な思考ができないはずなのに、この時ばかりは感覚が研ぎ澄まされた感じがした。

いやに冷静だった。

その言葉意味が「金がないから金を貸せ」なのはすぐに理解できていた。

「…いくら必要なの」

貸すとも貸さないとも言わず、私はそれだけ聞いた。

私の家庭は、いわゆる逆転夫婦で、妻である私が稼ぎ頭の共働きだ。

産休に入ると一時的給与はなくなるし、育休手当には上限があるため、計算額通りよりも少ない金額しかもらえないことが分かっていたため、

手元のキャッシュを増やしておいたところであった。

かといって、実母に貸す義理はないのだが。

実母は、黙ったまま、娘の顔を見ながらうつむくだけだ。

金額に回答しようとしない。

冷静だった私の心に、怒りがわいてきた。

産後1週間、これからお金がかかることが分かりきっているこの状況で、

私はなぜ実母に金の無心をされているのだ?

目の前の娘を見つめる実母の視線が汚らわしく思えて、すぐにでも娘を奪い去りたかった。

「黙ってちゃわからないじゃない。何とか言ったら。」

「…10万くらい」

10万で全部解決する状況なの?」

「…30万」

「…今、借金総額いくらあるの。」

また実母が黙った。

怒られそうになると、すぐ黙る。とにかくその場をやり過ごそうとする。

私は実母のそういうところが許せなかった。

実母は自己破産経験者だ。

私が小学6年生のときに、自己破産したはずだ。

両親は別居しており、私は実母の実家で、6歳下の弟とともに祖父母に育てられた。

幼いころに、祖母から自己破産の件は聞かされていた。

父親養育費を渡さないから、お母さんは借金してお前たちを育てるしかなかったんだよ、と。

大人になって知った真実は全く異なっていた。

実母は、父親の家庭に入ることがとても嫌で、私たち子どもを連れて勝手実家に帰っていた。

父親は転勤ありの公務員だったため、迎えに行くこともできず、養育費祖父母拒否されていた。

私たち幼稚園学費やその他食費などはすべて年金から祖父母が賄っていた。

実母の借金は、実母の遊ぶ金と交際費に使われていただけだった。

しかし、自己破産したことで、実母は安易お金を借りられなくなった。魔法カードはもうない。

からこそ私も安心していた。

だが、ブラックリスト10年もあれば真っ白になってしまうのだ。

うかつだった。また実母は魔法カードを作って借金を重ねていた。

沈黙が続いている間に、いろいろなことを思い出した。

前述した昔の話や、そういえば大学時代にも10万貸して、という電話がかかってきたなあ、などとぼんやり思い出していた。

それでも実母は話す気がなかった。

また私の娘に視線を落とし、とんとん、と手を娘の背中に当てているだけだ。

汚らわしい、やめてよ。

また私の中に怒りの感情が芽生えてきた。

「黙ってないで答えてよ。借金の総額いくらあるの。」

「…」

「なんとか言ってよ。総額が分からなかったら貸すものも貸せないじゃない。」

「わからないの」

「は?」

「いきなり言われたって、そんなのわからないの!」

おかしいんじゃない、としか思えなかった。

金の無心をしておいて、自分必要な総額もわからずに逆切れ

こんな話を生まれたての娘の前でしたくなかった。

テレビコウノドリが命の大切さを演出していることが、とても悲しかった。

「弟は知ってるの?」

実母は弟を溺愛していた。弟に言っているわけがないと思いながら、聞いた。

「言ってない。絶対言わないで。」

「なんで弟には言わないの。」

だって社会人になったばっかりだし、心配かけたくないと思って」

「じゃあ私には心配かけていいってこと?」

だってあんたは結婚もしてるし、働いてるし…」

「弟も社会人4年目で、きちんと働いてるよね。見ての通り、私は子どもが生まれたばかりで、仕事だって休んでるよね。なんで私ならよくて弟はダメなの?」

「…」

都合が悪くなると黙る。どうせこの繰り返しだ。いつだってそうだ。

公立中学給食費を振り込まずに使ってしまって、毎回職員室に届けに行った時も。

高校特待生になり、交通費名目支給されたお金を使い切ってしまった時も。

父親が用意してくれた大学学費を全部使い込み、学費免除になる国立大しか行けなくなった時も。

いつもその顔をしてたよね、お母さん。

「とにかく、貸すにしろさないにしろ、全部がわからないと行動できないから。弟も含めて借金を洗い出してから対応を決めるから。」

人生で何度目かわからない。どうしてこうなんだろう、という言葉を飲み込んだ。

まともに生きるってなんて難しいんだろう。

その後、弟も加えて、借金の総点検を行ったところ、

総額は600万強であることが分かった。

それが2年前のことであるが、まだこの問題解決していない。

100万を超えないくらいの援助はしたが、もう私も限界だ。

こんな未来のない身内よりも、将来の可能性がある子どもお金を使いたい。

そろそろ潮時だな、と思ったので、当時の感情を残しておきたくて書いてみた。

この9月で、何の進展もなければ親子関係をきっちりと切ろうと思う。

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  • 嘘松だと思われてることにびっくりする。私だってこんなクズ幻想だと思いたいよ。

  • うう… ご夫婦と娘さんと一緒に幸せになってくれぇ… (´;ω;`)ブワッ

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