2021-08-28

推し仕事ファンが奪っていたかもしれない話

 最近推し界隈での誹謗中傷が多い。SNSの発達でいろいろなもの可視化されるようになったのは、いい意味でも悪い意味でも作用している。

 あまりにも最近頭が痛くなるような誹謗中傷(コロナ関連だったり仕事の偏りだったりその他あれこれ)が多いので、ちょっとした昔話をしようと思う。特にこれからデビューするユニット推してる人やいつかデビューしてほしいと思ってる推しがいる人……というか何かに推しがいる人はぜひ、読んでほしい。



 これは、推しがしたい仕事ファンが奪っていたかもしれないと知った時の話だ。ただそう考えた時のきっかけのことも振り返るので相当長文なので、無理だと思ったらUターンしてほしい。




 私には10年以上推しているアイドルがいる。一時期は彼の仕事が生きる糧であった。その推し所属するグループ一二を争う人気で、彼と同世代である小中学生女の子に人気が高かった。

 私が彼を応援していると同級生に言った時に印象的だったことがある。

『○○くんのファンって同担拒否の人多くない?』

『××さんは同担拒否ちゃうの?珍しいな』

同担拒否。同じ推しファン拒否する言葉。実際私の推しファンはそういう他人が多い印象だった。当時ネットがつながっていない、家に住んでいた私でさえ知ってたのだから結構いたのだろう。少なかったのかもしれないがその同担拒否さんたちが強烈だったのか…。まあ私が当時よくつるんでいた子が同担拒否(他担である。なお○○担は基本嫌いだけど私は別という…)だったのも、よく言われる理由になっていたのかもしれない。

 そして同担拒否が多かったゆえに起きたのかわからないが、推しデビューした一年目の夏にとある騒動が起きた。


 推しのことを好きだと言った子役を、一部のファンたちが袋叩きにしたのだ。ネット掲示板にはその子役に対して消えろ、死ねという誹謗中傷が羅列され、ネットニュースにもなってしまった。小学生女の子に無数の人間殺害予告を羅列するという異常事態。その子役は推しのことを好きと言わなくなった。

 その他にも似たようなことは続いた。

 推し同級生になって付き合っているという噂が流れた女優さんを嫌がらせし、転校をよぎなくさせるという騒動

 たまたまスタジオにいて手を繋ぐことになった先述の子役さんとは別の子役さんに対して殺意を向けているネット書き込みも見たことがある。


 そんな感じだからか、あそこのファンは怖いとよく言われるようになった。実際私も怖いと思っていた。いい人の方が多い。それは分かっている。ただ、やばい人は数が少なくても目立ってしまう。推し界隈は常に民度が悪いと言われていた。私は推し女優さんとの共演が決まるたびに、あぁまた一部の人たちが袋叩きするんだろうな、と思うようになった。

 いつか落ち着くかも、と思っていたがあまり変わらないまま気づけば推しデビュー10周年が近づいていた。私はそこで気づいてしまった。

 私の推しアイドルなのにラブストーリーをやっていない。両片思い状態の幼馴染がいる役はやったことがあるが、ラブストーリーと銘打ったものを彼はやったことがなかった。

 彼はとても早くデビューたから、子どもイメージが強かったというのも大きいとは思う。身長も人より小さかった。だが、人気アイドルであるはずなのに彼の過去出演作にはラブストーリーが一切ない。

 頭に数々の過去騒動がよぎった。行きすぎた誹謗中傷きっかけで自殺する芸能人ニュースも見たことがある。彼と共演したらやばい、と各事務所認識されているのかもしれない。なんともいえない絶望感があった。

 が、予想を反してその後彼は初のラブストーリーと銘打たれたドラマをやった。美しい彼が綺麗な女優さんを抱きしめたり熱っぽい目線を向ける姿は大変眼福だった。ただキスシーンは本当にしてるのかわからないものだった。だが、デビューから10年近く経ってようやく見れたそれらしきものは大変大変衝撃的だったらしい。TLは喜んでる人と阿鼻叫喚な人と混ざり合ってカオスだった。




 それから数年、相変わらず彼はラブストーリーが少ない中定期的にいろんな演技仕事を重ねていた。コメディドラマの中で恋人ができる話もあったがキスシーンはうまいこと隠されていた。あ、そこ隠すのか。まあ本筋とそこまで関係ないもんなと思っていた。


 彼もデビューして10年を超え、売り上げも安定しつつあった。ファン比較的落ち着いてきて居心地が良くなってきた頃、彼のとある雑誌でのインタビューがTLをざわつかせていた。

『俺も制服ラブコメとかやりたかった』

『でももう俺が制服を着るときついでしょ?』

 ざっくり言うとこんな内容だった。その頃、彼の後輩たちが制服姿でラブストーリーをやる仕事が次々と決まってニュースになっていた。ちょうど私自身が制服姿の彼のラブストーリーを見たかったなと思っていたゆえ、余計に苦しかった。

 彼も、やりたかったのか。普通ラブコメや甘酸っぱいラブストーリー。そりゃやりたいよな、ザ・アイドルっぽい仕事だし。…私だってたかった。同世代女の子や少し年上の女性に憧れる制服の彼を。きっと絵になったことだろう。いつか見てみたいとずっと思っていた。

 なんで来ないのかと思っていたけれど、そう考えるたびに先述した子役女の子モデルさんの騒動が浮かんだ。またあの人たちの時みたいに叩いたらどうしようと。彼の仕事の中で共演女優さんに対しての『横に立たないでほしい消えてほしい』とかい書き込みを見かけたらやめるように書き込んでいた時もあった。倍になって返されて疲れて、辞めてしまった。

 いつかいつかと思っているうちに、彼はもう、アラサーになっていた。見た目はぜんぜん見えないけれど、やはり貫禄や雰囲気高校生くらいの後輩たちと比べると圧倒的である

 過去の回想で制服を着ることがあっても、制服メインの話はもう彼には来ないだろう。

 彼がリアル制服だった頃に転校したのは彼と同じクラスモデルで、その少し前に彼とドラマで共演していた。仕事の都合とか、表だった理由はいろいろあるのかもしれないけれど、古くからファンに深くそ騒動は刻み込まれている。

 美しくて可愛らしくて、年齢よりは若く見られる彼は長く制服仕事はしていた方だ。でも、ラブストーリーが来なかった一端は過激ファンの動きが大きいと私は考えている。

 思っているより、現場の人たちはファンのことを見ている。ここ数年それを感じさせることが他界隈でも増えた。勢いのある後輩グループ感染症罹患したメンバーへのひどい誹謗中傷が目立ち、事務所声明文を出した。自殺したとあるスポーツ選手に対して誹謗中傷を行なっていた人間逮捕したりと、動きが大きく出てきている。

 昔からよくあることではある。でも、その誹謗中傷は大きく推し仕事を左右する。

 推し10年後を決めるのは売上もだが、私たちファン言動であることも皆さんに覚えていて欲しい。

 私はもう、『こんな仕事がしたかった』と嘆く推しを見たくない。

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