2020-12-28

転職エージェント公務員民間企業への転職について語る~後編~


12/28追記

文字数制限に引っかかり切れていたので、前後編に分けました。

転職失敗例1人目 Oさん

性別:女

年齢:当時20代後半

職業地方公務員県庁

所属部署戸籍

採用先:機械メーカー

内定理由事務方面の経験及びポテンシャル

ここから先は失敗例だ。上の2人に比べて具体的な内容は減らしている。

Oさんは外見からも話し方から几帳面さが伝わってきた。履歴書職務経歴書も丁寧な書きぶりだった。誤字も脱字もレイアウトのずれもなく、統一的なデザインを保っている。

資格は持っていなかったが、学歴がよかった。学歴はごく当然に見られるので、いい学校を出ているに越したことはない。

Oさんは転職活動を始めて一か月後に、とある機械メーカー調達部門内定し、入社することとなった。

……さて、転職者の評価があまりにも低いと、企業転職エージェントに対して手数料の返金を求めることができる。

Oさんに関して、そういう旨の連絡が入ったのは返金を請求できる期限ギリギリだったと思う。

相手企業から寄せられた評価は、(良い点も悪い点も)オブラートに包んで言うと以下のようなものだった。

ミスほとんどない

報連相完璧である

・細かいところに気を配りすぎる。そのうえ同僚にもOさんの基準強要する

・短気であり、怒り出すと暴言を吐くことがある

手数料の返金の話だが、度重なる交渉の末に請求はされないことになった。

実際に、Oさんは事務方面の仕事であれば何でもできた。サプライヤーとの価格交渉まで含めて。腕前が優れていたのだ。でも、人柄が相手企業にとってマッチしなかった。

メーカーには穏やかな人が多いので、Oさんのように態度が厳しい人は適合しない。当時の私にOさんの人柄を見抜くことはできなかった。

以後、数年。エージェントとして修業を重ねた。そして、私は理解した。

どんなに一流のエージェントだろうと、1回の面談とたまにする電話相手の人柄を見抜くのは不可能だということを。

できることはといえば――会話をする度に、その人に対して誠実な関心を寄せて、本音で話し合う。ただそれだけしかできることはない。



転職失敗例2人目 Sさん

性別:男

年齢:当時20代後半

職業公営企業

所属部署上下水道

採用先:会計コンサルタント

内定理由財務方面の専門知識

前の3人よりは長くなる。

Sさんは寡黙で実直な印象だった。

公営企業財務会計担当していた。上で述べたとおり、公務員は2~3年で異動になるのだが、彼の場合は同じ部署に長期在籍していた。

そのおかげか、財務会計以外にも、債権回収、草刈りなどの現場仕事災害対応など、幅広い業務を身に着けていた。公営企業決算書を作る仕事をしていたということで、会計知識を生かせる会社を紹介することになった。

Sさんは苦戦した。私のエージェント人生の中で、彼がダントツで一番に――落ちた会社数が多い。公表は控えるが、百社はゆうに超えていた。転職活動は長期に及んだが、それでも彼は最後まで奮闘し、会計コンサルの名門のひとつ入社を決めた。

ひとつ懸念があった。その会社は、過去に弊社が推薦した転職者の評価が低かったとして、手数料の返金を要求したことがある。飲まざるを得ないのは残念だったが、何より無念だったのは、転職者が試用期間で切られてしまたことだ……せっかく入社できたというのに。また転職活動をしないといけない。

能力が低いことを理由として手数料の返金を求めるのはいい。しかし、採用したのであれば責任を持つべきではないか採用側には、雇用者人生の一部に対する責任がある。

Sさん入社意思を訪ねた時のことを覚えている。

Sさん。この会社自分で動けるタイプじゃないと厳しいですよ」

と念を押したところ、

「これまで幾つもの業務改善を担当してきました。次の会社でもやってみせます

という、なにがしかの決意に満ちた答えが返ってきた。

残念ながら、Sさん通用しなかった。入社してふた月も経たないうちに苦情がきた。こんな内容だったと大まかに記憶している。

チャレンジをしない。前例踏襲仕事を進めるうえでの根拠にしている

経験年数にしては会計知識レベルが低い。専門卒の子の方がまだましだ

コミュニケーション能力が低い。言葉のやり取りが受け身すぎて、仲間と良好な関係を築くことができない

といったものだった。

①については、正直こうなるだろうと思っていた。こういう現実Sさん自身が受け入れたうえで変わっていくしかないと考えていた。Sさんが行ったという公務員組織の中での業務改善というのは、裁決のルートを短くする(ハンコの数を減らす)こと、届出書の様式を簡略化すること、棚卸をしやすいように在庫レイアウトを変更するといったものだった。会計コンサルの名門だと、正直厳しい。

②は意外だった。Sさん公営企業決算書を作っているという確証は得ていた。だから安心して推薦したのだ。会計コンサルでのSさん上司にあたる人が私に伝えたことが真実だとすると、彼がいた公営企業で行われていたやり方というのは単式簿記であって、上場企業会計基準でいえば問題外だった。私の認識が甘かった。青二才だった。

③についても、私の人を見る目がなかったということだ。こればかりは難しい。Sさんコミュニケーションができる人だと思っていたけど、あれはおそらく演技だった。人と交流するのが億劫タイプ人間だったけど、転職活動成功させるために必死背伸びをしていたのだ。

Sさんはその後、どうなったかというと……生き残ることに成功した。

財務会計仕事はお役御免になったけれども、隠れた専門能力があった。

特定可能性が極めて高いので言わないが、とにかくSさん路線を変えて生き残った。

因果ではあるが、Sさんのいる会計コンサルというのが、1人目に紹介したMさんのいた自治体が行った「改革的な仕事」をサポートしたところだ。

ここまで来ると隠すのが気持ち悪くなってきたので正直に話す。

全国にある官公庁の中で、最初期に税金をはじめとする公共料金をQRコード決済できるようにしたのが、Mさん所属していた、とある市町村の、とある税務系部署の、とあるチームだった。

タスクフォースに入らないかって先輩に誘われたんですよ~!」と、Mさんは何度目かの電話面談の時に、困惑した笑みとともに喋っていた。普段は、もっとクール淡々とした話し方なのだが……。



3.どんな人が民間活躍できるのか?

最後にまとめる。

私の経験上、いわゆる行政事務公務員民間企業転職するのは難しい。

キャリア官僚場合は違う。彼らの場合エグゼクティブ枠になるので、私のような者ではなく、もっとランクの高い転職エージェントがつくことが多い。

はっきり言おう。転職希望する公務員というのは、相手企業からするとウケが悪い。

問題を起こして免職処分になったのでは?」と邪推する人(気持ちはわかる。実際にそうなんじゃないかという人も来たりする)もいれば、「この人はうちで使えるかもしれない。興味はあるけど、データ不足で戦力かどうかを判断できない……試しに一か月だけ雇用できればいいのに」など、冷静なコメントをくれる人もいる。

転職やす公務員というのは、以下のような特徴をもっている。

専門性特定資格や専門知識があり、その業界で直接活かせるものである。この観点だと、やはり国家公務員は強い。その業界内での許認可を扱うので、必然的事業法関係の専門知識経験が身に付きやすい。地方公務員場合だと、ソーシャルワーカー精神保健福祉士手話資格を持った人が、同じく福祉系の会社公益団体転職できた事例がある。

積極性ルールや慣習が整っていない中でも、常にその場に合った答えを見つけられること。失敗を恐れることなく、本人にとってのベストを出し尽くす習慣があること。

協調性。誰とでも仲良くできること。私が受け持った公務員の中には、コミュ障な人が何人もいた。残念ながら、そういう人は会社員だろうと公務員だろうと、「現職に留まる」ことを強く勧めている。事実上登録拒否だ。本人のためになったと信じている。

お目汚しを失礼した。いろいろ書いてしまったけど、後で内容を修正したり、消したりしないように努める。

何かあった場合は私が責任を取る。

ここまで読んでくれてありがとう

  • こういうのって守秘義務ってねえの? 俺もエージェント使ったことあるがこういうので書かれてたと気づいたらクレーム入れると思うけどその覚悟で投稿したん?

    • たしかに、具体的過ぎるような

    • コメントありがとうございます。 各人について、本質を損ねない範囲でフェイクを入れているので特定の恐れはありません。 フェイクの設定を作るだけで相当な時間を要しました… 本...

      • で、出たーwww 怒られたら後付け設定する奴www 言われる前に書けばいいのにwww言われる前に書けばいいのにwww

  • 転職エージェントってただの口利き屋の分際で、 プライド高くて上から目線で自己顕示欲激しいのなんなの? お前のくだらない仕事の話とかどうでもいいし、守秘義務も守れないアホは...

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