はてなキーワード: 意匠法とは
でも、理由としては「意匠権や著作権は、そういう(増田達が考えるような)権利じゃないから」というのが正しいと思う。
両方とも、キャラやシステムを真似されたゲームを差し止められるような性質の権利ではない。
意匠法の保護対象は「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」
つまり、(産業上製造可能な)リアルの物品のデザインに対して主張できる権利だ。
ゲーム分野の場合、キャラグッズが最も近しい事例になるだろう。
意匠の出願の際は図面を提出して、「こういうデザインである○○(例えばキーホルダー、カップ、家具…)に対して意匠権を出願します」という書類も一緒に提出する。
必ず何かのリアル物品のデザインに対して権利を取得するのが意匠権なので、そもそもゲーム内のパクリキャラクターを叩きに行ける性質の権利ではない。
著作権の保護対象は「著作物」=「文芸、学術、音楽、美術などのように思想または感情を創作物に表現したもの」
つまり、創作のアイデアを具体的な創作物に落とし込んで初めて保護の対象になり、アイデア自体は保護されない。
そのため「ボールらしきものをぶつけてモンスターを捕獲する」というアイデアをパクられたとしても、それは著作権法の保護の対象ではない。
(アイデア自体を保護の対象とすると、そのアイデアに該当するありとあらゆるあらゆる表現が差し止めになりうるため、自由な表現活動を阻害するから)
モーションをそのまま真似したとか、キャラクターが丸コピとか、何かしらの表現上の類似性がないと厳しいだろう。
そして類似性はとてもロジカルに判断されるので、「ただ似てると思った」だけでは厳しい。
また、キャラクターの表現は著作物として認められるものの、個別のキャラクターをいくら差し止めたところで、元のゲームを差し止められなければキリがないのは想像に易い。
ソフト売り切りだった時代ならともかく、Steam時代は当該キャラクターを削除したアップデートを行えば、それで終わりだ。
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8月14日、Gunosyのクーポンタブがリリースされた。いうまでもなくSmartNewsのクーポンチャンネルに触発されてのことだろう。デザインはもとより、ラインナップもマネそのものといえる作りになっている。ニュースに毎日触れてもらうきっかけづくりという点で、偶然同じ方向に向かう可能性があることは理解できる。しかし見た目だけを似せても、そこに込められた想いまではコピーできない、と元社員さんらしき方から指摘されている。
過去を振り返ってみても、GunosyはSmartNewsのマネをしてきた節がある。アプリの作りはいうまでもなく、例えばSmartNewsが媒体から記事を提供を受けるためのフォーマットであるSmartFormat。Gunosyは同様のフォーマットとしてGunosyFeedを用意しているが、仕様はSmartFormatの丸写しといえるレベルになっている。当然、SmartFormatの方が歴史が古い。RSSやAtomというオープンな仕様を拡張したものなので似たものになるのはある種仕方ないといえなくもないが、ドキュメントの作りまで似るのは果たして必然といえるのだろうか。Gunosyでは「SmartFormatがあればそれを貰えれば大丈夫ですよ〜」と媒体に依頼することすらあるそうだ。
法務的には著作権法や意匠法、不正競争防止法で争う可能性も脳裏によぎるが、SmartNewsの法務は温厚な人のようで、そういうことはこれまでしてきていないようだ。まあ実際訴訟をして勝てたとしても得られる実利が少ない面はあるし、釣りゲームで争ったGREEとDeNAのような泥沼は避けたいという判断が働いてもおかしくはない。
しかし、もし当事者ならば確実に怒るのが、社是までコピーされていること。SmartNewsは「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」。Gunosyは「情報を世界中の人に最適に届ける」。当然、SmartNewsの方が制定が古い。よくもまあ恥ずかしげもなくこういうことができるなと感心する反面、Gunosyは社是という根本からして「SmartNewsになりたい」と思っていることが端的にわかるのだ。そしてこれは今後も続くのだろう。