2022-05-30

中国IoTの雄、シャオミのIoT機器が動かなくなった日

 小米科技シャオミ)といえば、日本ではスマートフォンメーカーイメージが強いだろう。しかし、中国ではIoT家電リーダー的な存在としても知られている。スマートウォッチスマートスピーカーロボット掃除機スマート炊飯器など、さまざまなメーカーが同社のIoT基盤に対応した製品提供している。これらの製品サーバー不具合で突然動かなくなってしまったのである

 異変4月30日早朝、中国各地でスマートホームディスプレイインターネットから遮断され、シャオミの「米家(ミージャ)」アプリからIoT機器操作できなくなった。同日午後にも同じ障害が発生したという声があった。微博ウェイボー)などのSNSでは「米家崩了(米家が壊れた)」という言葉ホットワードになった。

 中には、デバイスがつながらない様子をアップするIoT家電ヘビーユーザーや、「エアコンタイマーがつかなかった」「(IoT家電の)音声制御ができなかった」という意見もあった。また、シャオミが提供するアプリの一部も起動後に応答不能となって操作できなかった。

 こうした事象を受けて、シャオミは緊急メンテナンス実施し、サービスは数時間で復旧した。シャオミの担当者は「クラウドネットワーク障害により、米家アプリや音声制御、その他の関連サービス4月30日午前5時30分以降、異常になっていました。緊急メンテナンス後にサービスは復旧しました。デバイスオフラインなどの場合は、再設定する必要はありません。ご不便をおかけして申し訳ありません」とコメントしている。

 同社のIoT基盤には、PCスマートフォンタブレットを除き、4億3400万台のIoT機器接続されている。米家アプリの月間アクティブユーザー数は6390万人、5台以上の機器接続しているユーザー数は880万人だった。

 クラウド障害で同社サービスが突然使えなくなるのは今回が初めてではない。2019年11月にも、同社の人工知能AIアシスタント「小愛」(シャオアイ)が動作しなくなったことがある。だが、今回はIoT機器での障害である。早朝だったから影響が少なかったものの、日中であれば、調理時にスマート家電動作しない、エアコン空気清浄機が動かない、ネットワークカメラ子どもペットの様子が見られないなどといった影響が想像できる。シャオミは電気自動車EV)の開発を発表しているが、サーバーエラーなどで自動車が正常に動作しなくなる恐れもある。

 新型コロナウイルス感染症中国武漢市を中心に拡大した際はこんなこともあった。多数の人がステイホーム時間を持て余し、「愛の不時着」など当時流行動画を視聴したことからシャオミのスマートテレビセットトップボックスから動画配信サービス「iQiYi」(愛奇藝:アイチーイー)が利用できなくなった。これは、サービスへのアクセス集中が原因であり、シャオミのスマートテレビからは別の動画サービスを利用することができた。

 シャオミは、iQiYiのサーバーダウンをマーケティング活用し、「中国ナンバーワンテレビメーカー」だとアピールした。確かに中国電子商取引ECサイトオンライン予約サイトでは、サーバーダウンになることが人気サービスの裏返しとして紹介されることがある。しかサーバーダウンを自慢する風潮があるとしたらリスキーだ。

 IoT機器障害サーバーダウンだけではない。2019年湖北省IoTシステムへのハッキング事件が起きている。この時は、洗濯機ドライヤー充電スタンドなど、10万を超えるIoT機器オフライン化され、利用不能になってしまった。警察当局によると、犯人の2人は被害に遭ったIoT企業の元従業員だったという。退職時にソースコードを盗み出しておき、競合会社を立ち上げた際に悪用した。

 もちろん、IoT機器を使っていてもほとんどの場合問題ない。しかし、まれ障害不具合が発生することはある。さまざまなIoT機器が家庭や産業向けに普及していき、社会に浸透していくことだろう。

https://news.yahoo.co.jp/articles/54c8765053f09b2c7a36cc1e37f4cb65ffc17405

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