■神々へ挑んだ人々の記録あるいは神話のこと

• 我々は何ものなのか、どこから来て、どこへ行こうとしているのか、とはゴーギャンがその画のタイトルに用いた言葉である。
• 神の限りない無条件の愛が人を生み育てた、とは何度か聞いたが腑に落ちる答えではない。神とはそんなお人よしなのか。神の限りない愛情を背景に人間が存在しているにしては、人間世界では不幸が多すぎる。天災とは天が与えたもうた災禍と書く。大量虐殺する天とはいったい何者なのか。
• 神は何かを得るために人類を生み育てたと考えた方が納得し易い。腑に落ちる。
• ロバート モンローの書に、「誰か」が食料・飲料・麻薬的な何か「ルーシュ」を採取するために地球生命を生み育てたとある。
• 神は純粋な愛、善意で人を生み育んだのではない。上質なルーシュを採取するために神は人を責め苛むことすらした。積極的に苦悩・葛藤を覚えさせ、身を揉む状況に陥れる仕組みさえ作った。
• カスタネダの書にある。ドンファンは捕食者のことを弟子であるカスタネダに伝える。宇宙は捕食的である。心は外来の装置である。捕食者の心を植え付けられた人間。内的対話によって思考を誘導され続ける人間。苦悩と葛藤を抱え続ける人間。それを促進させる仕組み。
• これを邪悪といわずして何という。
• 捕食者の心は最初からあったものでは無いように描かれる。ある時点まで人間はもっと純粋でパワフルな存在だった。それがある時を境に何らかの邪悪な意図により、人間には捕食者の心が植え付けられ、諍い、争いの絶えない世界を形作られた。人間は家畜同然であり、飼育される中で苦悩と葛藤に苛まれ続け、その結果としてルーシュを生産する畜物として飼いならされ続けている。当の人間は万物の霊長を自称し、食物連鎖の頂天に君臨する最上位の存在として自己優越感に浸っており、その実、苦悩と葛藤にまみれているという。これ以上の悲喜劇があろうか。
• バベルの塔の話が創世記にある。
• ベベルの塔は巨大な建造物と伝えられるが、私は物質的な巨大建造物ではなく、情報空間に構築された構造物であった可能性を考える。
• そこに何があったのか。誰が何を意図したのか。
• おそらく当時の人々、バビロニアの人々、シュメール人か、彼らは、神々の邪悪な意図を知ったのではないか。ノアの箱舟の話にある大洪水。「誰か」は上質のルーシュ採取のために洪水さえ起こしたという。それはノアの経験した洪水だったのではないか。洪水の後、生き延びた人類はノアの子孫のリーダーシップの下、バベルの塔を築いた。神はそのことを知った。そして言葉を分断した。コミュニケーション不全を引き起こすために。
• たしかに人間社会の問題の根っこにはコミュニケーション不足がある。これが99％の問題の根っこである。私自身の仕事の中で得られた洞察である。
• こういうことができる存在とは何なのか。
• 前提条件を変えられるのが創造者だ。宇宙の設定要素を自在に改変できる存在、管理者としての立場にあるのが「誰か」だ。創造者にとってこの宇宙は仮想現実といえる。仮想宇宙である。

ユダヤ古代誌を読んで

• 知恵の木の実を食べたのはエバ（イヴ）が蛇にそそのかされてのこと。神は知恵の木の実を食べてはならぬと禁じていたにもかかわらず。知恵の木の実は捕食者の心を人の心に植え付けた。神はそれを知っていてそれを禁じたが、約束を破り知恵の木の実を摂取したのは人類の方だった。
• その頃はすべての生き物が同じ言葉で話していた。
• 人類の繁栄は神の慈悲であると考えず、己らの才覚によるものだと考えたニムロデ（ノアの子孫）。彼は人々を扇動し、塔を建造した。再び洪水に襲われても生き延びられるようにと、である。洪水で人類は一度滅亡の瀬戸際まで追い詰められた。ニムロデは、先祖を大量虐殺した神への復讐も考えた。ふたたび洪水を起こすようなら神に復讐すると唱え、人々はこれに賛同した。
• 神は洪水を起こすようなことはしなかった。代わりに言葉を乱した。多様な言葉を人々は話すようになり、コミュニケーション不全に陥った。
• この塔のあった場所はバビロンと呼ばれるようになった。当時の人々、へブル人にとってバベルは混乱を意味する言葉だったからである。バビロンとは混乱の都市の意であった。
• 「シビュラの言葉（託宣）」のなかに塔にまつわる話がある。この塔の話には、複数の情報ソースがあるということだろうか。シビュラの言葉によれば塔は風により倒された。人々はその言語の多様性によって離れて暮らさざるを得なくなった。居住地域が異なっていたから多様な言語が発生したのではなく、まず言葉の多様性を神が人為的（神意的）に作り出したことから、その結果として人々は分断されて生きることを強いられ、多数の言葉が生じた。まず言葉の分断があって、人々の分断が生じたということだ。

まとめ

• 創世記に記されていることをそのまま受け止めれば、慈悲深き神と浅慮で愚かな人間によって紡ぎだされた物語といえる。傲慢な人間は神に至ろうと思い塔を建てたが神はそれを一蹴した。
• 傲慢なニムロデ。しかし神は、洪水でも人間は知恵を得られなかったから虐殺をすることはやめたが塔を崩壊させることはした。これは何を意味するのか。塔は実際に神に近付き得た、その手前まで行ったのではないか。塔はほとんど完成していたらしい。

しかしだな

• 原初の園では、知恵の木の実は存在していなければならなかった。人間が食べてはならぬというのなら、最初から存在させねば済むことだったのではないか。それでは人間の自由意思を侵すということになったのか、そう考えたのか神は。人間を試したのではないか。人間の神の命令に対する従順さを。それを破ったがために神は人を罰し、男には労苦の罰を、女には出産に関する痛みの罰を与えた。蛇は、原初の園において人とともに存在感を強く放っていた。当時の蛇は手足があり、人の言葉を話す存在だった。
• 神は知識のない、ただ人懐こい（神なつこい）ただ可愛らしいアダムとエバを望んだ。知恵の萌芽により、神との約束をたがえた罪悪感により、神と目を合わせようとせず、顔をそむけるアダムを見て神は訝しんだ。アダムが禁忌を侵したことを覚った。
• カスタネダのいう（ドンファンのいう）、トルテックの伝える、宇宙の深淵からやってきた捕食者をどうとらえる。意識の暗い海を、イーグルをどうとらえる？

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