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2018-02-17

女性専用車絡みで無自覚差別を展開する人たち

最近女性専用車男性らが乗り込み、トラブルになったというニュース話題になっている。多くのコメントはこの男性らに批判的だ。そしてその多くが、自身差別主義者的であることに無自覚である

女性専用車とは

鉄道会社男性乗客に対し、任意で非乗車の協力を求めるものであり、法的根拠がない。なぜ任意かというと、法的拘束力を持たせるためには運送約款を改訂する必要があるが、到底そのような改訂が許されないことが、鉄道営業法及び鉄道運輸規程趣旨からして明らかであるためだ(なお法34条2号は今日でいう女性専用車とは無関係)。

これらの法は、鉄道公共インフラであることに鑑み、誰でも円滑に利用できるようなルールを定めたものである。この誰でもという点が肝心で、これを不当に制限することは許されない。鉄道会社は、法的拘束力のある男性乗車制限不可能であることを認識しているからこそ、「任意のお願い」という形で逃げている訳だ。

他の女性専用サービスとの違い

一部に、女性専用車公共インフラではない一般女性専用○○サービスと対比する向きがある。が、代替性の高い(公共性が低い)一般サービスと、鉄道のような公共インフラの核心をなすサービスでは、その性質が大きく異なる。

例えば、飲食店が店の特色を出すためにレディースデー女性のみ優遇をしているとしても、気に入らなければ別の店に行けば良い。ホテル公共性を有する面もあるから一般ホテル性別に基づく宿泊拒否を出来ないという点では飲食店より制約があるが、(近年のホテル事情では)鉄道よりは代替性が高いので、防犯のため女性専用フロアを設け、男性の立入りを禁じる程度のことは許される。

女性専用車差別

公共空間であっても、許されないのは不当な制限差別であり、現実差異に基づいて合理的制限を加えることは、差別とは言わない。しかし、女性専用車合理的制限とは言い難い。

第一に、男性である点に着目して排除している点で、不当である差別が許されない理由は様々であるが、大きな理由の1つとして、本人のコントロールの及ばない属性に基づいて排除される不当性が挙げられる。性別は、その最たる物だ。

第二に、制限の内容が不当である。先にも述べたように、鉄道公共性が極めて高いサービスであり、特定車両への乗車禁止利便性を著しく損なう。乗換や出口付近に適した車両選択できないといった不便もあるが、最も大きいのは、女性専用車が無いとき比較して相対的に混雑率が向上させられた車両に乗ることを男性のみが強制される一方、女性は空いた車両に乗ることができるという点であろう。一級国民と二級国民世界だ。

統計的根拠差別正当化しない

痴漢被害は、男性加害・女性被害類型が非常に高い割合を占めるいうデータがある。従って男性排除すれば、痴漢被害は大きく減少するだろう。これ自体ロジックであって、誤謬は無い。

しかしこのような犯罪類型が多いからといって、男性という属性のみをもって、大多数の無関係男性問答無用痴漢加害者予備軍に仕分けることが不当なのであって、それ自体差別であり、許されない。

よく誤解されているが、多くの差別根拠はある女性男性に比べて圧倒的に育児休業結婚退職をすることが多いか就業差別が行われてきたし、人種差別に際して黒人白人に比べて犯罪率が高いというデータはあった。今日、このような就業差別人種差別が決して許されないことは論を待たない。根拠があることは、差別正当化しない。

ついでに言っておくと、差別意識が無いことも差別正当化しない。

痴漢差別も許せない

痴漢は許し難い犯罪であり、撲滅すべき対象であることに疑いはない。しかし、その手段として差別が用いられることも、許されるべきではない。監視カメラ導入、警備員の乗車、混雑率緩和といった痴漢対策を徹底すべきであろう。また一市民として、道徳的観点から満員電車に乗車する女性子供配慮することも求められよう。

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男性らの態様が正当な手段か、という論点は残されているが、長くなったのでいったん筆を置く。

 
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