専業主夫をしている。
いまはもう何も描けない。
物語が描きたい。
41歳になった。
この15年、何もできなかった。
25年前、賞を取ってデビューをした、それまで勤めてる仕事場に勤めながら連載もした。仕事場がブラックだったので、そこの事情でひどい鬱になって倒れた。そのころ、結婚もした。
最初の7年は、仕事で鬱になったのの後遺症で心身ボロボロでほとんど寝たきりだった。
後半の4年は、子育てで。子供が睡眠障害があって、一日4時間しか寝なくて、全くほとんどといっていいほど仕事ができなかった。
下の子が生まれて、下の子に障害があることが分かった、たぶん一生世話が必要。
妻が一人で家の事ができないので、ご飯を作るのと、子供の面倒以外の家事は自分がやっていた。集中するために、送り迎えをお願いした日も、妻が送り迎えがしんどくてできないというので、集中してる最中に無理やり集中を切って子どもを迎えに行くことが頻繁にあった。
漫画の描き方には、人それぞれがあると思うけれども、自分の場合、集中するまでに時間がかかって、ただ、集中してからはかなりのペースで描くことができる。連続で8時間以降から。途中で集中を切られるととてもつらい。吐きそうになる。これは、比喩ではなくて、集中してる状態のときに別のことに急に切り替えると、頭痛がして吐きそうになる。
毎日、吐きそうになりながら、子供を迎えに行って、家事をして、でも、仕事の締め切りに間に合わない。妻が家のことを全部できない。
睡眠不足の中、全然仕事をすることができなくて、ようやくもらった仕事もいくらも飛ばした、信頼がなくなって本当に仕事がなくなった。
3年前から妻が外で働くようになった。、そして自分が家のことを全部している。本当に全部。本当に全部。本当に全部。ゴミ捨てからお風呂の掃除からご飯の支度から洗濯から食器洗いから子供の送り迎えから土日の子供の面倒からなんでも。土日も妻は何もしてくれない。仕事が大変なのもあるけれどもずっと寝ていたり、パソコンで仕事をしている。
自分のための時間が取れない。漫画が描きたい。自分の仕事がしたい。
家の仕事は誰かがしないといけない。できる人が全部しないといけなくて、妻はそれができないのでそれを自分がしないといけない。でも、そうすると自分の仕事ができない。漫画が描きたい。
いまは月に頑張って細切れの時間が頑張って40時間取れるかどうか。一日1時間、2時間という時間で、とりあえず手を動かして、頭を動かして、でも、自分の中の物語と物語を作る力がどんどん劣化していくのがわかる、感覚が日常の中で摩耗していくのがわかる。でもどうしようもない。時間が取れない。
何もできない15年の間に、アンテナも、センスも感覚も、何もかもなくなってしまった。絵も大分描けなくなった。
朝起きて、子供を起こして、怒って着替えさせて、ご飯を食べさせて、学校に送りだして、下の子を送り出して、食器を洗って、買い物に行って、洗濯物をして、部屋の掃除をして、ご飯を作って、子供たちを迎えに行って、子どもたちにご飯を食べさせて、宿題をさせて、昼間片付けた下手を下の子にぐちゃぐちゃにされて、お風呂に入れて、寝かしつけて、子供が相変わらず睡眠が少ないので、寝かしつけた段階で、大体11時。体中くたくたになって寝て、そして次の朝また、起きて、子供を起こしての毎日を繰り返す。下の子の障害もあり、これを一生繰り返すのがもう確定している。考えると気が狂いそうになるので考えないようにしている。一切の思考をやめて、ただ、目の前のことを片付けることだけを考えるようにしている。思考に膜を作っている。
スポットのように、わずかの、文章を書ける時間ができる。でも思考を初めて膜がとれると、まず考えてしまうのが、この生活を一生続けるということだ、気が狂いそうになる。それを押しのけて、集中できるように、物語と綴る脳に切り替えられた時には、もう、子供を迎えに行く時間になっている。何もできないまま、ほんのわずかな時間が終わる。
自分と同じころデビューした人間が、賞をとったりしているのを見ると本当に、自分はこの15年間何をしていたのだろうと思う、感性も摩耗して、むしろ、日常を生きるために積極的に摩耗させて、何も感じなくさせて行っている、日常に楽しいことが何もない。希望がどこにもない。気を紛らわすことが何もない。普通の人は、映画をみたり、漫画をみたり、物語を消費して、その日常をやり過ごしていくのだろうけれども、物語に触れるのがつらい。自分が手に入らなかったものがそこにあるから、いくら頑張ろうとしても頑張れる環境が手に入らない、これから死ぬまで。
物語が書きたい。自分の中に、ずっと前からあったいろんな物語が、結局外に出ることなく、砂になっていく。
高校生の時から、作家になりたいと思って、自分の中にある物語を出していきたいと思って、大学の時からあちこちに投稿して、インターネットでも書いて、そしてデビューした。いろんな人間がいるけれども、自分は日常を楽しめない人間で、学生生活を送っているときも、友達と遊びに行ってるときも、どこか、斜め上から自分を眺めている自分がいた。物語を書いて、お話を考えて、それを文章に落としていくときだけが、生きてるって感じがした、楽しかった。
あの頃は楽しかった。会社勤めは忙しかったけれども、仕事から帰ったら、自分の時間を自由に使えた。自分以外の誰かの事を考えないでよかったから。仕事が終わったら仕事のことを考えずに物語の事を考えていられた。夜の9時まで大体残業があったけれども、仕事が終わった瞬間から、お話の事を考えることができた。家に帰って作業して、1時頃寝て、ずっと書き続けてられた。
今は、常に家族のことを考えてないといけない。晩御飯の事とか、毎日子供が話してくるゲームや友達の話に耳を傾けないといけないし、園や学校での行事について準備をしないといけない。物語の事だけを考える時間というのが一切取れない。自分がさびていくのがわかる、わかるけどどうしようもない。だれも助けてくれない。だれも助けてくれない。
今、自分がとてもつらいのは、いつか、どこかで、また文章を書いて、物語をかいて、発表できる、そういう希望が、胸の中のどこかにあるからだ。
希望がつらい。
それでも、日常を自分が管理しないといけない。妻は家のことが全部できないから。死ぬまで、自分は日常をしないといけない。
全部諦めたい。諦められない。辛い。
妻と子供がいっぺんに死んでくれたら、と思うこともある。自分が死にたいと思うこともあるけれども、それよりも妻と子供が死んでくれたら、と思うことの方が多い。でもその理由は、自分が物語を描きたいからではなくて、自分が死んでいなくなったら、妻と子供の日常を守る人間がいなくなるからだ、そういう風に考える自分も辛い。
このまま誰にも見つからず、だれもに褒められず、誰にも気づかれないまま、日常を送って死んでいくんだと思う。
気が狂いそうになる。
https://anond.hatelabo.jp/20200307134829
いっぱいいっぱいになりすぎやで
奥様に正直に伝えてみてもええんちゃうか
伝えてるがどうにもならない。
時間をとるって言っても結局まともに見れない。
https://anond.hatelabo.jp/20200307135550
どちらかの親に頼らないか?
いっぱいいっぱいになりすぎやで 奥様に正直に伝えてみてもええんちゃうか
うんち
どちらかの親に頼らないか?
anond:20200307135158 anond:20200307134320
https://anond.hatelabo.jp/20200307134320 主夫なんだけど、だれも助けてくれない。辛い。 今、ずっと子どもが家にいて煮詰まってる。 これを描いてる今も、嫁は仕事に行ってる。
家事は家事代行とか使って負担を減らせないかな? そんなに思いつめるほどなら安いものだと思うよ。
よく頑張ってる。偉いぞ。 少なくとも太宰治より人間だ。 作品はどうだか知らないが、太宰より人間としては上だ。 あの太宰は糞人間。いや人間付けてはいけない糞そのもの。 女遊...
お前は英一郎か?
小説家なのか漫画家なのか どっちやねん
・こどもが義務教育おわって文系大学生にでもなれたらそのへんがゴールでは。独り立ちできる程度のゆるいニート(障害年金で暮らす)で恋愛でも期に外にいくかなと思う ・実際社会...