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はてなキーワード: 人民元とは

2009-09-30

ゼーリック世銀総裁ドル世界一強いというスーパー通貨の座を降りるだろう」


マンデル教授人民元はやがて米ドルに代替する」

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ロバート・マンデル教授といえば、金本位制度の復活を唱える世界的論局でもあり、1999年度のノーベル経済学賞受賞。通貨政策研究第一人者として知られる。

中国時報(9月18日付け)によれば、そのマンデル教授中国で開催された「アジア論壇」の席上、次のような講演をしたようだ(広州で9月に開催)

(1)二、三年以内に人民元日本円に代替する国際通貨の位置を獲得するだろう。アジアにおいて「ユーロ」のように基軸通貨になるだろう。

(2)二、三十年以内に人民元米ドルに代替する世界通貨になる可能性が大きい。あたかも英国ポンド戦後米ドルに代替されたようなケースになるだろう。

大変化の兆しはIMF改革における中国の主導権とSDR債券の発行による。まもなくSDR通貨における中国の比率は10%に達するだろうと、マンデル教授は解説した。

米国でも同じ予測を立てる傾向が顕著である。

ゼーリック世界銀行総裁は9月28日に首都ワシントンのジョン・ホプキンス大学で講演し、「ドルは今後、決定的な通貨の位置を降りるだろう」云々と述べ、これを海外メディアは大きく伝えている。

オルブライド元国務長官も、同様な主旨で米国の力の後退を語っている。

ゼーリックは「超大国の通貨としてのドルが不変という状況は激変過程にあり、ドルに代替する通貨としてのユーロと元がますまる影響力を高めるだろう。とりわけユーロ世界流通する速度をあげ、信頼性が強化されている」とのべた(ヘラルドトリビューン、9月30日付け)。

日本円のことは一切出てこない点に注意。

昨年9月15日のリーマンショック以来、世界最強の通貨日本円である。ところが、何も言及がないという事実は驚くべきことではないのか。

もっともゼーリック世銀総裁ブッシュ政権下で国務副長官、通商代表をつとめ、「中国米国はステーク・ホルダー(利害共通者)と言い始めた人物だけに、日本円には言及せずとも、つづけて人民元に触れ「今後十年、二十年という展望人民元は確実に、その影響力を世界市場で顕著に増してくるだろう」としている。

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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 

     平成21年(2009年)9月30日(水曜日)貳

        通巻第2726号 

2009-09-09

ウラジオストック、ナホトカ紀行(その3)

人民元建て「中国ソブレン債券」を発行

 オフショアで60億元を調達し、ハードカレンシー化への第一歩

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英紙フィナンシャルタイムズ9月9日)速報に拠れば、中国オフショア市場で初めての人民元建て国債を発行する。

香港オフショア市場を利用して総額60億元を世界投資家から調達、発行は9月28日。ただし利率、償還期間の詳細は不明。

これは中国通貨戦略の具体的発動で、自国通貨ハードカレンシー化への第一歩であり、注目される。

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ウラジオストック、ナホトカ紀行(その3)

ロシア北朝鮮中国国境では何が始まっているのか?

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(承前)

ウラジオストックの中央広場にあるフェリー乗り場からおんぼろフェリールースキー島へ上陸して驚いた。

道路ぬかるみ、舗装は溶けて泥道、大雨のあとの水たまりの悪路を日本製ランドクルーザーが進むが、生い茂った森林の伐採作業場ばかりが続き、激しい凸凹道に車酔いを感じながら一時間後、ようやくイベント会場となる現場に到着した。

普請の騒音が高い。

現場日本製クレーンが林立している。ブルドーザ、シャベルカーも殆どが日本製だ。そうか、日本抜きにして開発は成り立たないんだ。

建設現場の横に長い看板、「2012年APECサミット会場」(ロシア語)がなければ何の工事かよく分からない。俄かづくりの観が否めない。アゼルバイジャンなどからの流れ者労働者が混在している理由も分かる。

建材や鉄骨が臨時の波止場に積み上げられ、労働者が居住するプレハブマンションが周囲に建っている。「でも冬は零下二十度になるというのに、あんな住宅大丈夫か」と問うと「真冬は工事が中断」という答えが返ってきた。会場になるコンベンションホール外国代表の宿泊予定のホテルも、まだ影も形もない。

ふたたび鋼鉄が錆びてぼろぼろのフェリーウラジオストックへ戻る。80歳を越えた老女がスターリン勲章を沢山つけて誇らしげに入ってきたので、意地悪な質問。大祖国戦争って何ですか。

ビルが林立して壮観だった

さて船から市内を眺めやるとウラジオストックは意外にも高層ビルが林立して壮観である。港には軍艦が三隻、写真を撮っても誰も咎めなかった。

瀟洒なレストラン豊饒なメニューの昼飯のあと、名物の「潜水艦C56博物館」を見学した。戦争博物館を兼ねる。

展示内容が「大祖国戦争」と「第二次世界大戦」ばかりでソ連軍満州侵略に触れていないのはロシア歴史観だから仕方がないにせよ、「日露戦争」の記述があまりにも少ない。ガイドに理由を問うと「あれ(日露戦争)は『小さな戦争』ですから」と答えたのには驚いた。

翌日、立派な高速道路を飛ばしてナホトカへ行く。

ナホトカは狭い町で展望台に登ると港湾全体が見下ろせる。

港は撮影禁止と聞いていたが、軍事施設もなく、石炭のバージ船が沖合待ちをしている程度、かつて日本のバック・パッカーの出発点だったシベリア鉄道の始発駅は閑散としていた。

ナホトカで一番大きなホテル中国資本の遠東大飯店(ユンドァン)という。わざわざ見学に行ってみたが、ほぼガランドウに近く、対岸側にあるチャイナ・タウンの長い長い商店街も人が殆どいない。門前の四階建てのホテル中華風のつくりだが、そもそも中国人客の姿がない。

チャイナタウンは火が消えていた

中華門の傍で焼き鳥を焼いている中年男に「中国人か?」と訊くと「そうだ」。

「商売はどう?」、「うぅん最悪に近いな」。「中国人を殆ど見かけないが?」、「そうさ、北朝鮮キルギスウズベキスタン、そしてアゼルバイジャンからの安い労働力に奪われ、殆どの中国人は帰ったよ」と言う。

われわれ四人組が泊まったのはナホトカで高級な、ガイドブックにも出ているピラミッドホテル。だが、これとて民宿に近い。地下のレストランは客も疎らで、ウラジオストックの繁栄ぶりに比べると天地の開きがある(ただし味は旨かった)。

ナホトカの町を歩いている女性のセンスも田舎風で流行遅れ所得格差が歴然としており市内唯一のデパート「グム」を見学して品数の貧弱さに唖然とする。書店絵本小説くらいしかない。村上春樹翻訳? ナホトカでは見かけなかった。

2006年に524人の遺骨が収容され、慰霊祭も行ったというナホトカの日本人墓地は台座が毀され荒れ果てていた。

慰霊祭から僅か三年後、お墓だった場所は草ぼうぼう、日本人墓地標識落書き、おそらく大理石だった台座がインテリアの飾りにでも使うのだろう、殆ど盗まれて、まるでハゲタカの被害にあったような荒廃ぶりである。

ウラジオストックにあったお墓のほうが立派で、墓園の入り口には花屋もあったのに。

ホテルの裏にこれ見よがしにあった日ロ友好の壁が虚しい気がした。

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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 

     平成21年(2009年)9月9日水曜日)貳

        通巻第2703号 

2009-08-21

中国情勢 - 薄熙来(重慶市書記、前商務大臣)が政治力を背景に後継レースに参入 

やくざ団体を手入れし地元黒幕1400余名を逮捕、全国から拍手喝采

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薄熙来・重慶特別市党書記は、『重慶平和と安定』のためと獅子吼して同特別市域内にはびこるマフィアやくざ十四団体を一斉に手入れさせ、1544人を逮捕した。陳明亮、岳村、黎強らマフィアボスを含む67名の手配中の大物も捕縛、これで悪は一網打尽と旨を張った。党の高官とやくざはぐるの地域が多いだけに、この措置が本当なら政治家のお手本として庶民の絶大な人気を得るだろう。

薄熙来の遼寧省省長時代に同地域内の黒社会撲滅に辣腕を振るった王立軍を重慶公安局長に指名して、遼寧省から呼び押せた。王は着任早々からやくざへの手入れの機会をうかがっていた(香港紙『大公報』)。

重慶の十四の黒社会組織への捜索で、かれらのアジトからピストル48丁、弾丸900発、現金合計三億元を押収した(多維新聞網、8月17日付け)。このほか組織犯罪銀行口座を凍結し、総額十五億三千万人民元を封鎖した。

かれらはみかじめ料を支払わない商店レストラン放火したり、高利貸しで期日に遅れると見せしめの殺害など凶悪なことで知られ、麻薬、博打、凶器準備、売春など従来のマフィアの「ビジネス」を超えた商業活動は共産党の脅威でもあった。

とくに重慶中央政府の特別配慮による開発予算が300億ドル。あちこちにモノレール、立体交差、政府建物、駅舎などを突貫工事宇宙都市のような激甚な発展ぶりをみせ、同時に全土から儲かるとばかりマフィアが蝟集して利権をむさぼり、表向きは貿易商社銀行などを経営していた。

地域マフィア顔役は同時に地域全人代代表でもあった

就中建設土木が盛んで砂利、セメント、建材を扱う表向きの顔があった。巴南区などは黎強の組織が一手に支配しており、マフィアボスでありながら財閥大富豪としても知られる。なにしろ表の顔として黎強は重慶全人代代表。陳明亮は重慶古物商工会理事長兼地区人民代表だった。かれらの元には千もの企業がぶら下がり、不動産ビジネスの殆どを抑えていた。

また地下銀行高利貸しビジネスでこれまでに貸し付けた額面は三百億元とも。こうなると地元警察公安は買収されている可能性があり、アンタッチャブル土地にしがらみのない政治家にしか大鉈(なた)は振るえまいと言われた。

組織が縄張りを決め、組織構成員は軍隊のような訓練を受け、上下の序列にうるさく、なかには昼は公務員という『白道』、夜はやくざに早変わりの『黒道』を兼務する手合いもいて「重道(白黒兼務)社会」だから重慶と自嘲気味なところもあった。

さて薄熙来である。かれは共産党大幹部だった薄一波の息子、「太子党」の代表的人物として、大連市長遼寧省書記から胡錦涛の人事で重慶特別市書記に任ぜられた。直前までの商務大臣。来日回数も多く、かなりの日本通である。同時に世界貿易ネゴシエーターとしても活躍した。

辺地へ飛ばされて左遷かとおもいきや着々と政治的野心を秘めながらも中央への成績をあげた。

薄熙来の認識では次期総書記に有力とされる習近平よりも、自分がなる、ということだろう。野心を沸々と燃やしてきたことは華字紙でたびたび報道されてきた。

しかし薄熙来は「太子党」に勢力を扶植してはいても、上海派とはそりが悪い。だからポピュリズムに一気に打って出て、せめて次期首相くらいは射止めたい。おりしも次期首相後継最有力だった李克強に七月以降というもの、部下の汚職スキャンダルが多発し、任期急降下中でもある。

もし、薄熙来がそれらを計算に入れタイミングをはかったとすれば、それはそれなりに絶妙な政治的演出でもある。

2009-07-29

http://anond.hatelabo.jp/20090729215836

460人民元 = 6 374.11776 円

だったんだけど、あんまり変わらなくない?

物価考えたら高くつくだろうし

これが人民元じゃなかったら申し訳ないけど

一兆五千億ドルに目がくらんで「人権」抗議なし。「大国の矜恃」を忘れ、中国にへりくだりだしたオバマアメリカ

09年7月27、28日の二日間、米国首都ワシントンで「米中経戦略対話」が開催された。中国からは戴乗国・国務委員(外交担当)と王岐山・副首相経済担当)が、200名もの代表団を率いてワシントンへ乗り込んだ。迎える米国側はガイトナー財務長官クリントン国務長官。ふたりとも中国大好き人間、オープニングにはオバマ大統領が特別に出席し、「米中関係二十一世紀最大の同盟関係」と高らかに宣言した。もはや米国にとって日本はどうでもいいという宣言だ。

中経戦略対話が始まったのは2005年、米側はゼーリック国務副長官とポールソン財務長官。「副」長官でOK、大統領は出席せず、しかも当時の(といっても僅か四年前)米国中国に「人民元を切りあげなさい」「貿易ルールを守りなさい」とお説教口調で諭し、同時に人権尊重を呼びかけたものだった。

それから四年がたち、中国外貨準備は二倍に膨らみ、人民元は対米レートを20%切り上げ、それでも米中貿易不均衡は是正されず、米国の苛立ちは強まった。ところが、中国米国債を8015億ドル保有し(09年7月現在世界一)、ほかに米国社債株式金融商品不動産そのほかで、合計一兆五千億ドルが、米国建ての中国の対外資産を誇り、米中関係の基本を変えた。

財閥チャイナに目がくらんだということだ。ワシントン人民元が「不正に操作されている」とも言わず、ましてやウィグルの民が虐殺されたばかりなのに「人権」問題を議題に取り上げなかった。かくて米国は大国の矜恃を失った。

米国は目先、赤字国債の買い手をさがしている

ガイトナーは一月の指名公聴会で「人民元は不当に為替操作されており、米国は『中国は為替操作国』と指定する方向だし、オバマ大統領もそう認識している」と証言した。

その舌の根の乾かぬうちに前言撤回、三月のレポートでは中国が為替不正操作国リストからはずされ、こんどの戦略対話では、「米中貿易不均衡の縮小が人民元問題より意義がある」と発言した。

「目の前にあるのは赤字国債一兆八千五百億ドルの購買先だろう」とウォールストリートジャーナル揶揄的に書いた(7月28日付け)。

米国債の安全性とドルのレートに関心がある」と朱光耀・財務副大臣が言えば、ガイトナーは「財政赤字の解消に米国は取り組んでおり、ドルの安定、国債の安全に問題はない」と釈明する始末だった。これではまるで「中国米国の当局者が査問されている図」ではないか。

米中双方は「世界経済回復の共同の責任を負う」とオバマにおだてられた中国と、「米国ドルの安定を保障せよ」と言われっぱなしの米国という結末となった。わずかに王岐山が「中国内需拡大努力し、経済構造質的に転換している最中時間がかかる」と発言したのが前向きと言えばせめて前向きの言葉だった(博訊新聞網、7月29日)。

さはさりながら、米国イシューから日本が消えている。

2009-07-24

中国情勢 - 米中経戦略対話の中心は「人民元」(切り上げ)より「米国債権」の安定

二兆ドル超の外貨準備の威力。中国は250億ドルをAPECへばらまき

嘗て台湾高雄港は世界第三位の貨物取扱量を誇った。

いまは世界十傑から転落して十三位の地位に甘んじる。中国の港が年率40%増となって、高雄も確かに年率4%で増加してきたが、かの大陸の勢いには適わなかった。

台湾は2001年にWTOに加盟したが、国家としてではなく、「関税地域」としての加盟であり、これは五輪方式に似る。国連保険機構(WHO)加盟も、『地域』としての加盟扱いであり、しかも毎年毎年申請する必要がある。

これほど差別される台湾が、しかし経済的に生き延びる道は中国貿易、通商の拡大しかない。

台湾を代表するパソコンメーカーのエーサー(ACER)は、世界が非難したフィルター付きパソコン大陸仕様分として量産している。

中国は「中国ASEAN経済インフラ協力資金」として100億ドルを拠出し、くわえて別途150億ドルASEAN諸国へ信用枠として貸し出す。対象から台湾は外されている

さて26日から米中経戦略対話が再開される。

議題は米国債の安全性?

対中外交腰砕けのアメリカ人民元の切り上げを要求する意欲さえなく、議題から人民元をはずすという。

通貨バスケットSDRへの人民元加盟に関しても話し合わない。

▲しかし、この回復は本物なのか?

新車販売が世界一、各地は建設ブームに沸きあがる中国だが、これはV字型回復ではなく、W字型回復の左側。もう一回失墜があるだろう。

カンフル注射としての57兆円注入と銀行貸し出しの100兆円が、表面上の活気を産んでいるけれども、上海など火の消えた静けさ。

中国は巨大なディレンマを抱える

第一は保有外貨の70%以上が米ドル建て金融商品である以上、ドル暴落防止には、アメリカと同様に気配りする必要がある。

これまで外交武器と考えられてきた外貨が、守りの姿勢を堅持する方針に転換している。

第二に外貨を有効に投資するために海外企業海外鉱区、資源輸入先払いのほかにアフリカASEANソフトローンを組んで貸し付ける。皮肉にも、これらはドル建てである。

そして人民元の高騰を抑えるために為替に介入せざるを得ず、これは日本がそうであったように(03年から四年間、日本は為替介入に43兆円を投じた)、巨大なバランスシートの決壊を招きやすい。

第三は流入し続けるホットマネー放置すれば猛烈なインフレを将来するため、不動産投機株式投機(年初来68%高騰)への冷却政策を元に戻さなければならない。独自の通貨政策をとる余裕が薄れており、要するにドル相場への介入に限界がみえてきた。

すなわち人民元を劇的に切り上げる必要性がある。

米中対話は深刻な問題を先送りして当面はドルの安定、米国債権の安定を求めざるを得ず、長期的に中国国益になるかどうか、やっぱり日本と同様に『ドルの罠』に落ちたのか?

2009-07-16

ついに中国高官の海外逃亡が一万人を突破。持ち出した金は6500億人民元(9兆円)

中国外貨準備高2兆ドル突破の影で。

異様に膨れあがる中国外貨準備高、ついに2兆ドル突破した。2兆1316億ドル。これは第一四半期に404億ドルだけの増加で当面は停滞と見られたのに、第二四半期はいきなり1779億ドル増。それも五月単独で806億ドルという急膨張となった(フィナンシャルタイムズ、7月15日)。

これは、輸出回復より資金流入と保有するユーロの評価高が原因だ。

普通は経常収支が外貨準備高を押し上げるが、中国の場合は「熱銭」と言われるホットマネーが主役である。

投機資金がどっと中国へ流れ込んで、このため冷却されていた不動産株式が上昇に転じ、セメントなど商品が時の対象となる。

過去二年半という僅かな時間のなかで、中国は一兆ドルを積み上げた。ドルに代替する通貨をと叫びIMF改革とSDR債権購入を主唱しつつ、自らがドルの罠に落ちた。

さて中国に入ってくるカネもあれば出て行く金もある。海外鉱区や米国企業買収などで流出するカネは合法的な投資行為だが、不正にでていくカネがあとを絶たない。

典型の事件は中国銀行開平支店長一味が巧妙に海外へ移し替え、カナダ経由で米国へトンズラした事件で、かれらが持ち出したのは5億ドルだった。この類いの経済犯罪、偽インボイス、でっちあげプロジェクトによる不法な投機などにより海外資産を隠匿し、出張と称して逃亡する中国共産党高官は、ついに公式統計で一万名を超えた。

7月14日付け「博訊新聞網」によれば、かれらが中国から持ち出した不正なカネは、6500億人民元に達しようという。

邦貨換算で9兆円が帳簿から消えている。全外貨準備高のじつに4・5%が海外へ蒸発しているのだ。

2009-07-06

いったい、中国は、どこからパクり続けるつもりなのだろうか

SDR建てのIMF債。

G8にオブザーバーとして招かれた中国が、SDR貿易通貨化を主張するという話である。

SDR(special drawing rights)は、ユーロ、円、ポンドドルの4通貨による通貨バスケットと言える。

この合成通貨であるSDRを、実在する貨幣と同様に使えるようにしようというのが、米ドル基軸通貨から追い落とす中国の次の狙いとなっている。中国は、SDR建てのIMF債を購入することで、IMFの帳簿上にバッファーを作り、外貨準備機構へと切り替えようとしているのである。

SDRが最初につくられた時は、金兌換であった。金の生産量と経済の発展とのアンバランスから、金兌換が不可能になった時点で、国際的な不換紙幣制度を作ることは、不可能となっていた。というのも、不換紙幣制度を支えるのは税収であり、国民を持たないIMFのような国際機関が不換紙幣を発行しても、その裏づけが存在しないのである。

複数の不換紙幣を合成したSDRにおいても、同じ事が言える。IMF債には金利がつけられないのである。もし、金利をつけるのであれば、SDR建てでの貿易決済に対して、一定の比率で手数料を徴収し、それを金利に充当するという手段が必要になる。その手数料を支払ってでも、SDR建てで決済したいという動機がなければ成立しない話なのであるが、中国は、米ドル基軸通貨の地位から引きずり落とすという目的があり、アメリカ金融機関から貿易決済の実務を取り上げる為に、SDR建てでの貿易決済が実現する事が重要となっている。今の所、SDRユーロ、円、ポンドドルの4通貨による合成通貨であるが、ここに人民元を加えるというのが、次の狙いとなる。

IMFが国際決済機能を持つ金融機関となるというのが最初の前提となるのだが、この決済機能は、国家間の資金移動においてIMFを一枚噛ませて、しかも余分な手数料を支払うという話になる。

通貨とは、一般受容性によって通貨足りえている。人は、通貨を欲しがるのではなく、それを使う事によって入手できるモノを欲するのである。SDR払いでモノを売ってくれる人がいなければ、SDRを幾ら持っていても何の役にも立たない。

SDR通貨として機能するとしても、需要の少ない通貨は2way-priceのスプレッドが広がりやすく、流通性にかけるばかりか、交換時のレートが悪くなり、不経済となる。

商売には、買い手が強い時期と売り手が強い時期とがある。買い手が強い時期ならば、SDR建てだろうが人民元建てだろうが、どんな通貨でも取り引きを強要できるが、売り手が強い時期には、売り手が指定する国家通貨でなければ、取り引きが出来なくなる。

米ドル基軸通貨足りえたのは、ドルポンプとしての日本が存在したからであるが、SDR基軸通貨になるには、どこの国家がポンプとなるのであろうか。

中国がそれを目指しているのは理解しているが、山塞品と不良品ばかりの中国工業製品世界中の人々の物欲を刺激する商品になるとは、考えにくい。それに、それが出来るのであれば、人民元基軸通貨にしようとするであろう。

SDR貿易決済通貨化は、米ドルユーロで大火傷した経験から始まっているのであろうが、その海外資産も、元をたどれば、グローバリゼーションによって、アメリカ欧州に輸出できるようになって手に入れた利益である。

買い手と売り手の力関係を、権力によって管理・強制するというのが共産主義であり、買い手も売り手も努力しなくなり、人々は管理・強制する側になる為だけに努力するようになり、物質文明が衰退するのが共産主義欠点である。

外部から技術安価供与されるという状況が無い限り、共産主義は長続きしないのだが、いったい、中国は、どこからパクり続けるつもりなのだろうか。

グローバリゼーションの終結を告げるG8で、グローバリゼーション継続貿易国家管理外貨取り引きへの定率課税を訴える中国空気の読めなさは、清朝時代から変わっていないようである。

2009-07-04

SDR建てのIMF債。

G8にオブザーバーとして招かれた中国が、SDRの貿易通貨化を主張するという話である。

SDR(special drawing rights)は、ユーロ、円、ポンドドルの4通貨による通貨バスケットと言える。

この合成通貨であるSDRを、実在する貨幣と同様に使えるようにしようというのが、米ドル基軸通貨から追い落とす中国の次の狙いとなっている。中国は、SDR建てのIMF債を購入することで、IMFの帳簿上にバッファーを作り、外貨準備機構へと切り替えようとしているのである。

SDRが最初につくられた時は、金兌換であった。金の生産量と経済の発展とのアンバランスから、金兌換が不可能になった時点で、国際的な不換紙幣制度を作ることは、不可能となっていた。というのも、不換紙幣制度を支えるのは税収であり、国民を持たないIMFのような国際機関が不換紙幣を発行しても、その裏づけが存在しないのである。

複数の不換紙幣を合成したSDRにおいても、同じ事が言える。IMF債には金利がつけられないのである。もし、金利をつけるのであれば、SDR建てでの貿易決済に対して、一定の比率で手数料を徴収し、それを金利に充当するという手段が必要になる。その手数料を支払ってでも、SDR建てで決済したいという動機がなければ成立しない話なのであるが、中国は、米ドル基軸通貨の地位から引きずり落とすという目的があり、アメリカ金融機関から貿易決済の実務を取り上げる為に、SDR建てでの貿易決済が実現する事が重要となっている。今の所、SDRはユーロ、円、ポンドドルの4通貨による合成通貨であるが、ここに人民元を加えるというのが、次の狙いとなる。

IMFが国際決済機能を持つ金融機関となるというのが最初の前提となるのだが、この決済機能は、国家間の資金移動においてIMFを一枚噛ませて、しかも余分な手数料を支払うという話になる。

通貨とは、一般受容性によって通貨足りえている。人は、通貨を欲しがるのではなく、それを使う事によって入手できるモノを欲するのである。SDR払いでモノを売ってくれる人がいなければ、SDRを幾ら持っていても何の役にも立たない。

SDRが通貨として機能するとしても、需要の少ない通貨は2way-priceのスプレッドが広がりやすく、流通性にかけるばかりか、交換時のレートが悪くなり、不経済となる。

商売には、買い手が強い時期と売り手が強い時期とがある。買い手が強い時期ならば、SDR建てだろうが人民元建てだろうが、どんな通貨でも取り引きを強要できるが、売り手が強い時期には、売り手が指定する国家通貨でなければ、取り引きが出来なくなる。

米ドル基軸通貨足りえたのは、ドルポンプとしての日本が存在したからであるが、SDRが基軸通貨になるには、どこの国家がポンプとなるのであろうか。

中国がそれを目指しているのは理解しているが、山塞品と不良品ばかりの中国工業製品世界中の人々の物欲を刺激する商品になるとは、考えにくい。それに、それが出来るのであれば、人民元基軸通貨にしようとするであろう。

SDRの貿易決済通貨化は、米ドルユーロで大火傷した経験から始まっているのであろうが、その海外資産も、元をたどれば、グローバリゼーションによって、アメリカ欧州に輸出できるようになって手に入れた利益である。

買い手と売り手の力関係を、権力によって管理・強制するというのが共産主義であり、買い手も売り手も努力しなくなり、人々は管理・強制する側になる為だけに努力するようになり、物質文明が衰退するのが共産主義欠点である。

外部から技術安価供与されるという状況が無い限り、共産主義は長続きしないのだが、いったい、中国は、どこからパクり続けるつもりなのだろうか。

グローバリゼーションの終結を告げるG8で、グローバリゼーション継続貿易国家管理外貨取り引きへの定率課税を訴える中国空気の読めなさは、清朝時代から変わっていないようである。

http://www11.ocn.ne.jp/~ques/diary/diary.html

2009-07-03

動き出した。

まさかと思われるほどにスピーディである。

7月1日、IMF理事会は設立以来60年で初めとなるIMF債券をSDR建てで発行することを正式決定した。従来、日米英ならびにEU加盟国からの融資依存した資金調達手段の多様化が走りだす。

 

この舞台裏では英米の妥協がある。

第一はIMF中国との先鋭的対立が急速に和解した。ウォールストリートジャーナル中国語版(華爾街新聞、7月2日)に拠れば、かねて対立していた両者の関係IMF側が折れて、中国の四月の経済成長率を6・5%から7・5%に嵩上げしたことで突如の和解となった。

 

第二に09年六月、ロシアのエカテリンブルグにおけるBRICs会議の合意をふまえ、中国ブラジルロシアインドが700億ドル(約6兆7000億円)分を購入する方針が示されてIMF理事会を揺さぶっていた。

 

第三にIMFの英米主導が終わる流れの始まりを英米が認めた。

IMFの主導権の一部をBRICs諸国にも明け渡した歴史ターニングポイントとして記憶するべきかも知れない。

これからIMFが発行する債券は、合成通貨の「SDR」建て。つまり実際の通貨ではなく概念上の人工通貨米ドルユーロ日本円英国ポンドの四つのバスケット中国はこのバスケットスイス・フランと人民元を参入させようとしている)。

▲周小川、王岐山らの動きは揺さぶりではなく、ホンネだった

新規SDR債券は最長で5年。加盟国と中央銀行の間で売買が認められ、将来は債権マーケット流動性も生じる可能性がある。

SDR債権は三月に王岐山副首相が主唱し始め、ロンドンのG20サミット直前には周小川中国人銀行総裁がSDR通貨発行を突如言い始めて日米欧をすっかり慌てさせたが、いまから考えればこれらは政治伏線だったのだ(詳しくは拙著人民元ドルを駆逐する』に詳述)。

中国ロシアブラジルインドBRICs四カ国が国際準備通貨としてのSDRに着目し、SDR債発行に合意したのは中国の主導、ロシアの追認が大きく、ドル基軸通貨というIMF体制の根本を揺らす目的がある。

人民元ハードカレンシー化への動き、これから加速するだろう。

2009-06-27

台湾・馬政権中国武器産業企業台湾工作目的投資を禁止できるのか

つい昨年までビジネス情報界で流行した新造語は「CHAINDIA、チャイディア」だった。

印度中国の興隆が世界経済をダイナミックに変えるという楽観的見通しから来ていて、実際に同題名の本がベストセラー入りしていた。

CHAIWANも、チャイナ台湾を足して二で割って造語。しかし、台湾では誰も国にしないので、これはひょっとして日本ジャーナリズムだけに通用する造語かも。

さて不況入りした台湾経済は未曾有の失業者をだして、日々、馬英九政権を困惑させているが、打開を図る一環として大陸からの観光客歓迎、人民元通用という画期的政策に加え、大陸からの資本投資を許可する方向にある。

てんで話は逆さまである。台湾企業が六万社、大陸投資した金額は公式統計でも2000億ドル突破している。現実には5000億ドルとも言われる。

今度は中国大陸からも、台湾投資して貰いましょう、と路線変更。馬政権は『大陸地区人民台湾投資許可辨法』をすでに制定している。

大野党の民進党は、このなかにある第六条『防衛条項』を問題化し、「もし中国の軍系列企業138社が、国策を秘めて台湾投資した場合、どういう対応がとれるのか」として、下記の軍企業投資は完全に禁止せよと要求している(自由時報、6月12日号)。

 中国工業集団公司

 中国工業建設集団

 中国航天科学技術集団

 中国航天科工業集団公司

 中国航天工業集団

 中国船舶工業集団

 中国船舶重工業集団公司

 中国兵器工業集団

 中国兵器装備集団公司

日本でもラオックスがすでに中国資本参加にはいった。

資源森林地域中国資本の買い占めの対象となっている。不動産のまとめ買い、とくにベイエリアではマンションの五十、六十戸を中国資本が「まとめ買い」している。現実池袋北口など、全国各地にはニュー・チャイナタウンの出現。

日本のなかで、とくに先端技術をもっている中小零細企業がつぎつぎと狙われるわけだが、スパイ防止法もない日本に抜本的対策はあるのか?

2009-06-25

この差は何?悲しくなってくるわ

与謝野財務相

[更新:06/25 10:41]

米国の強いドル政策維持は明らか

強いドル米国世界各国の利益

日本の決済手段、ドル基軸通貨として使う方針に変化ない

中国共産党研究員

[更新:06/25 11:08]

ドルは下落が見込まれるため金の購入を進めるべき

人民元の国際的役割を支援するため、一段の金保有が必要

中国エネルギー資源購入に外貨準備を使うべき

中国にとって、米国土地購入は米国債よりも良い選択肢

2009-06-09

ロシアパラジウム硬貨(コイン)発行を連邦議会で議論中

中国人民元ハードカレンシー計画を横に見ながら。

世界一信用のある貨幣は言うまでもないが「金貨」である。

金貨を発行しているのはカナダ南ア、豪、オーストリアなど。世界的なベストセラー南アクルーガーランド金貨だったが、アパルトヘイト政策時代に西側の制裁を受けて、以後、カナダ政府メイプルリーフ金貨が一位になった。

中国パンダ金貨を記念コインとして発行し、日本も、ときに記念コインを出すが、偽物を作られた。発行金額と金の含有に差がありすぎて市場価値の落差を国際的マフィアが目をつけたからである。

さてロシア議会ではボリス・グリズロフ議長が、サンクト・ペテルブルグで開催された経済フォーラムに出席した折に「世界市場パラジウムロシア通貨を提示してみたい。実現すればツアー時代のゴールド金貨のように強い通貨として輝くだろう」(英文プラウダ、6月8日付け)。

http://english.pravda.ru/business/finance/05-06-2009/107730-ruble_palladium-0

ロシア銀行家のなかには「希少なメタルで出来たコインは世界市場で歓迎される上、インフレ予防に役立つ。ロシアがまったく発行しないとは考えられない」という。

しかしロシア議会には疑問視する声もあがっている。

「猛烈なインフレの時は金貨やプラチナ硬貨は役に立つものの、一時的発行などでは退蔵されるのがオチである」。

▲それにしても何故パラジウム

パラジウムは錆びない銀色希少金属で1803年に発見された、プラチナ属の金属で、インジウム、ロジウムなどとともにレアメタルだが、プラチナより融点が低い。

たとえばK18金ではゴールド75%、銀15%、パラジウム10%で成り立つ。プラチナ合金ではプラチナ90%、パラジウム10%、ほかに眼鏡フレーム歯科医療器具、メッキ液などに広く用いられ、コインとしても500円硬貨くらいなら勝ちはあるかもしれない。

ロシアがなぜ、しかもこのタイミングパラジウム硬貨などを言い出したのか、背景がよく分からないのである。

マカオの繁栄は終わったのか? サンズホテル倒産

ラスベガスの高級感と優雅さに欠け、カネだけの博打場は限界があった

マカオは旧ポルトガル植民地。1999年に中国に返還されたが、爾後、なにが一番変わったか? 

唯一の産業=博打ビジネスが以前より繁盛し、本場ラスベガスから大手三社が殴り込み、そして、大不況の到来とともに米系一社倒産し、それでも二十四時間不夜城マカオの博打場は盛業を極めていることだ。

マカオにはれっきとした独自通貨がある。

植民地時代からのマカオ・パカタである。香港ドルとほぼ等価。ところが、マカオで、この独自通貨にお目にかかるのは稀、殆どが人民元か、香港ドルで決済されている。ホテル米ドル建てか、香港ドル建てだ。

2004年頃までは香港ドルが圧倒的に優位だった。人民元優位に転倒がおこったのは05年以後で、いまではマカオ中のホテルでもレストランでも人民元の天下となった。香港もそうである。香港マカオは「人民元合衆国」の一員と名付けても良いだろう。

香港マカオは「特別行政区」で、「一国両制度」のもと、五十年間は自治が保障されている。だから独自通貨を維持している。

独自の行政法憲法らしきもの)があり、一応、言論の自由があり、独自のパスポート(或いは居住証明)が発行され、世界中旅行できる。

 

しかしEU通貨が「ユーロ」で統一されたように、人民元という通貨が共通となって、香港マカオ中国の「出島」のごとき存在となり、“人民元合衆国”の一員となったのである。

▲博打ビジネス経済が成立する

最初にマカオへ行ったのは三十五年前だった。

香港からフェリーで行った。三時間以上かかった。船酔い客が続出した。マカオの公式の博打場はフェリー乗り場に近いリスボアホテルしかなかった。

このホテルマカオ経済を牛耳るスタンレー・ホーの経営である。

筆者は麻雀パチンコもやったことがないので、トランプ博打の遣り方を知らないが、このとき同行した弟が二十ドルほどかけて、五十ドルほど勝った。

十五年ほど前にも行った。やはりまともなホテルと博打の施設はリスボアホテルしかなかった。

マカオ事実上、この最大財閥=スタンレー・ホー一族の天下だった。マフィアが入り乱れ、麻薬武器密輸売春が盛んで、治安が悪く、筆者はもっぱら香港から日帰りだった。

 

返還後、行政法が改正され、外国の博打ビジネスの進出を緩和した。

一斉に博打ホテル開業した。とくにラスベガスの大手三社、サンズ、MGM、ウィン・グループがやってきて、つぎつぎに豪華ホテル開業し、そこに中国大陸からどっと、年間1200万の博打打ちが、あたかも中山競馬場へいくような気軽さで押しかけるようになる。

フェリー乗り場と中国との国境ゲートからは各ホテルがそれぞれ無料バスを運行している。まるで昔の面影はない。

 

2年前にもマカオへ行って驚嘆したことが幾つかある。

第一はマカオ通貨が殆ど使えないこと。第二は二十四時間不夜城ホテルではロシア美女のダンスフィリピンからの楽団がショーをやっているが、本場ラスベガスのような娯楽性がない。ショッピング街が貧弱極まりない。家族で遊べない。第三に付帯設備が貧弱。エンタテインメントの風情に乏しい。そのうえ、レストランはまるで町の食堂である。

 

優雅に時間を過ごし、贅沢な食事をワインを飲みながら楽しみ、或いは瀟洒なショッピング・アケードを冷やかし歩くという贅沢な空間のなかに味あうリクレーションの発想がないのだ。

中国人はひたすらマネーゲームに熱中し、カネカネカネと念仏を唱え、ほかの楽しみがない。博打に勝てば美女を買うぐらい。

▲これからマカオの迷走が始まりそう

マカオには決定的に“遊び心”が欠落している。

そして2009年6月1日、マカオの「夢の市街区」(ドリームタウン)が開業した。目玉はスタンレー・一族(娘のパンシーが経営参加)とラスベガスの大手が合弁の新築ホテルハード・ロックホテル」。

認可料金も莫大で、「夢の市街区」の建設費用21億ドルのうちの、じつに40%が『ライセンス料金』としてマカオ行政府の懐に入った。

04年にラスベガスサンズホテル開業し、06年にラスベガスのウィン・グループリゾートホテルを建て、MGMミラージュも店開きし、07年にベネチアホテル開業した。ラスベガス御三家が揃っていた。繁栄はピークに達した。年々顧客がふえ、売り上げはラスベガスを凌いだ。

ところがラスベガス経営者らが首を傾げた。ラスでは博打の胴元の稼ぎは、全体の売り上げの26%でしかなく、付帯設備からの売り上げが凄いのだが、マカオでは計算が狂った。

共産党幹部の出入りが激しくなったのも、ここで合法的な賄賂が受け取れるからである。業者の招待でマカオへ「出張」し、博打をする。業者が天文学的金額をかけて、故意に負ける。

共産党幹部は合法的にべらぼうな賭け金を受け取る。領収書が発行される。合法の賄賂である。

08年、リーマンブラザーズの倒産ウォール街大不況が、マカオ根底的に揺さぶった。

そして、三月にラスベガスの老舗「サンズ」が倒産した。

マレーシア首相北京で語る。「もうドル決済はやめよう」

暴言かリップサービスか・・・マレーシア華僑に配慮か?

マレーシア首相のナジブ・アブドラ・ラザク北京で言い放った。

中国マレーシアは二国間貿易での決済を人民元マレーシア通貨で行うことを熟慮している」。

ザクマレーシア財務相も兼ねる。

ドルは減価する一方であり、赤字を埋め合わせるために米国財務省は輪転機を回しているだけだ。世界通貨としてのドルを代替するためにも、ドルリンクした通貨体制にいつまでの身を置くより率先して中国マレーシアの二国間貿易には、お互いに当該通貨で決済すればいい」。

この発言は6月3日、ラザク首相温家宝首相と会談後に行われた。

 

二日前に、ガイトナー財務長官北京を訪問して「ドルは安全、米国債権は投資対象として安全だ」と講演したところ、会場から失笑漏れたばかり。

 

天安門追悼二十年に世界各地で「なつかしい顔見せ興業」。

6月4日は様々な出来事が世界各地で起きた。

香港では「天安門事件犠牲者を追悼する」集会が開催され、15万人が集まった。

米国ワシントンでは、在米華僑留学生が集会を開き、王丹にくわえて、柴玲が会場に現れた。

二十年前の彼女は「天安門ジャンヌダルク」と言われ、学生運動ヒロインだった。香港から外国亡命し、米国に定住した。同棲相手がヘッジファンド経営していた。

柴玲は、二十年後にはふくよかに太り、中年のオバサン、久しぶりに民主化運動へ現れたのも、日和見主義との批判を畏れたのか、「ビジネスが忙しかった。違う分野でも民主化運動に協力できる」と言って彼女会社からのカンパだと100万ドル寄付金を持ってきた。

 

学生運動の象徴だったウアルカイシ(吾爾開希)は、過去数年来定住していた台湾から、マカオへ現れ、中国への入国を拒否された。一晩、パフォーマンスを示した後、台湾へ送還された。

天安門事件は風化したのか?

2009-05-25

今度は新「通貨バスケット」を提唱し米英を揺さぶり続ける中国

世界市場人民元をいかように信用するのか、そのプロセスが明示されない

英米のホンネが見える。

中国基軸通貨の「米ドルをやっつけろ」とばかり、今度は通貨バスケット導入を主唱している、と英紙『フィナンシャル・タイムズ』が報じた(22日付け)。

「やっつけろ」の箇所の原文は「knock off its perch」。

動きを整理してみよう。

三月に中国人銀行総裁の周小川が、IMFを改革し、「SDRを通貨に」と主唱した。

この発言に欧米がたじろいだが、公の場で議論はおさえられた。しかしG20(ロンドンサミット)のロビィでは、この中国の提案でもちきりだった。ガイトナー財務長官は狼狽した。

同じく中国人銀行日銀に相当)の胡暁煉・副総裁女性)は「IMF改革のために『SDR債』を発行したらどうか」と提案した。

SDRは1969年に創設され、185ヶ国でクォータを分かち合っている。ロンドンサミットではIMF増資が決まり、日本1000億ドル、EU1000億ドル、中国400億ドルを拠金する。IMF資本金は7500億ドルに増えた。

ウォール街が調べたら、中国外貨は82%がドル建てだった

中国外貨準備は1兆9540億ドルだが、このうち、7679億ドルが米国債権の保有である(三月末現在)。日本は6867億ドルだから中国日本より多い。

ところが、中国ポートフォリオを観察したところ、外貨準備高の82%がドル建ての金融商品で、とくに長期債より短期債(なかでも財務省証券)にシフトしている(ウォールストリートジャーナル5月22日付け)。

ドルを長期に保有する投資戦略が短期の債権社債へ急激にシフトしていると言うのだ。

これを背景に「2010年にもGDPで中国世界第2位になる」などと傲慢な自信が溢れだし、09年五月半ばに上海で開催された「陸角嘴フォーラム」のテーマは「上海をいかにして香港ロンドン、NY並みに世界金融センターにするか」だった。中国を代表するバンカー中央政府からは周小川人民銀行総裁ら700名が出席したことは小誌でも述べた。

上海の国際金融センター計画は遅れている

一年後に迫った「上海万博」に、米国館が出来るのかどうか、まだ定かではない。

しかし上海金融センター化は、近未来の大きな目標である。

嘗て朱容基首相は「箱ものばかりつくってどうするんだ」と嘆いたが、金融センターに必要なのは第一にNY証券取引所のようなコンピュータ管理の巨大システムである。

第二は規制緩和がなお必要なことである。

兪正声・共産党上海市委員会書記は「上海を国際金融センターとすることは、中国金融分野を開拓するためでもあり、経済発展方式の変換と調和的な持続可能発展の実現のための選択でもある。上海にはすでに比較的整った金融市場システム金融機構システム金融業システムがあり、国際金融センター建設を加速するための良好な条件が備わっている」と獅子吼した。

小川人民銀行総裁はこのことに深くは触れず「世界金融危機は、G7の間で解決可能であり、中国はこの一連の動きの中で発言力を高めた」と述べるに留めた。

会場からは「中国は国際化のために人民元建てのボンドを発行し、世界に買わせろ」などと威勢の良い発言もあった(ウォールストリートジャーナル、5月18日付け)。

 

問題点を指摘したのは屠光紹・中国証券監査委員会副主任だった。

金融センター化する鍵はなんといっても中央政府の権限になる規制緩和である。上海市政府中央政府との政策のすりあわせがない限り、すぐに国際化することは無理があり、また上海市条例など、中央政府の政策改正にともなって地方政府レベルでの規制緩和が夥しい」と問題点を指摘した。

 

第三に必要なのは透明な情報、それを可能とするための言論の自由である。

言論の自由がない国では、マーケット情報操作を受けやすく、決して国際的な取引が出来ない。

ところが上海市トップの愈正声は、金融国際化に一言だけ言及した後、次のようなインフラ整備に関して自慢げな報告をしただけに終わった。「上海南匯区を浦東新区に組み入れることを中国国務院がこのほど認可した。新たな浦東地区は国際的な金融センターと水運センターとして上海建設するにあたっての機能集中エリアとなる」。

人民元ハードカレンシー化して、世界シェアの3%だって?

2020年までに世界外貨準備の3%は人民元に」とする発言は上海銀行監査委員会副主任から飛び出した。

この目標は達成可能の数字ではある。

ちなみに、世界の取引通貨シェアは下記の通り

 通貨         07年12月    08年12月

~~~~~~      ~~~~~~   ~~~~~~~~

米ドル        44・6%      44・8%

ユーロ        34・3%      35・3

ポンド         9・3        7・2

日本円         3・5        4・3

スイスフラン      1・9%       1・7%

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(出典    BIS報告)

この一覧を見ても、人民元はまだ世界通貨の片隅にも評価されておらず、国際決済に人民元を使う動きはない。

そこで中国は、正面切って「ドル基軸体制に代替する」などと豪語しながらも、じつは六カ国のの中央銀行と「通貨スワップ協定」を結んだが、総枠は950億ドルでしかない。

バーター貿易的な決済はベトナムラオスカンボジアタイミャンマーなどで行われており「人民元経済」を形成しているが、これらは率直に言ってアングラ経済の類いである。

そこで新手が繰り出される。中国ブラジルとの間に貳国間決済の導入を合意し、貿易人民元ブラジルレアル通貨で決済し合うとした。

これらが背景にあって、「2020年までに世界での外貨準備の3%だ」と上海銀行監査委員会副主任の張光平が発言したわけだが、現実の数字を横目に「ドル、ユーロポンドにつぐ日本円スイスフランに追いつき、追い越し、同様に日本円も駆逐して、人民元世界第四位の主要通貨となるだろう」と言い出したことを記憶に留めたいものである。

2009-05-19

上海の国際的な金融センター実現にはまだまだ距離がある

箱モノは出来た。インフラも整備された。しかし言論の自由はないままだ。

衝撃的な変化が連続している。

中国外貨準備は1兆9540億ドルだが、このうち、7679億ドルが米国債権の保有であることが分かった(三月末現在)。ちなみに日本は6867億ドル、優に一千億ドル、中国日本より多い。

これを背景に「2010年にもGDPで中国世界第貳位になる」などと傲慢な自信が溢れる。

注目の経済フォーラム上海で開催された。陸角嘴フォーラムという。

テーマは「上海をいかにして香港ロンドン、NY並みに世界金融センターにするか」。(この題名から東京が落ちていることに注意)。この討論のために中国を代表するバンカー中央政府からは周小川人民銀行総裁ら700名が出席した。

金融センターと化す“容れ物”だけは既に出来た。

嘗て朱容基首相は「箱ものばかりつくってどうするんだ」と嘆いたが、金融センターに必要なのは第一にNY証券取引所のようなコンピュータ管理の巨大システムである。

日本森ビル建設した「世界金融センタービルは101階建て、すでに昨年、上海の陸角嘴の一等地に鳴り物入りでオープンしたが、賑わうのは展望台だけで、入居したテナントはまだ45%程度。関係者は真っ青になっている。

しかも上海は、森ビルの隣にもうひとつ金融センタービル建設する。

第二は規制緩和がなお必要なことである。

フォーラムの席上、上海市をおさめる兪正声・共産党上海市委員会書記は「上海を国際金融センターとすることは、中国金融分野を開拓するためでもあり、経済発展方式の変換と調和的な持続可能発展の実現のための選択でもある。上海にはすでに比較的整った金融市場システム金融機構システム金融業システムがあり、国際金融センター建設を加速するための良好な条件が備わっている」

などと獅子吼した。

 

中央政府上海市政府の政策すりあわせが前途に山積み

ところが同フォーラムで周小川人民銀行総裁はこのことに深くは触れず「世界金融危機は、G7の間で解決可能であり、中国はこの一連の動きの中で発言力を高めた」と述べるに留めた。

席上、会場からは「中国は国際化のために人民元建てのボンドを発行し、世界に買わせろ」などと威勢の良い発言もあった(ウォールストリートジャーナル、5月18日付け)。

問題点を指摘したのは屠光紹・中国証券監査委員会副主任だった。

金融センター化する鍵はなんといっても中央政府の権限になる規制緩和である。上海市政府中央政府との政策のすりあわせがない限り、すぐに国際化することは無理があり、また上海市条例など、中央政府の政策改正にともなって地方政府レベルでの規制緩和が夥しい」と問題点を指摘した。

第三に必要なのは透明な情報、それを可能とするための言論の自由である。

言論の自由がない国では、マーケット情報操作を受けやすく、決して国際的な取引が出来ない。

上海では市場に必要不可欠の企業情報からしてインサイダー取引デタラメ資産内容、虚偽に満ちた業績報告など、一から出直すべき状況の中で、貧弱な情報空間を放置たま金融センター化を目ざすという剛気な姿勢は良いにせよ、基本的に矛盾なのである。

おりしもこのフォーラムと同じ日に、中央政府電子台(つまり国営放送)CCTVの会長が更迭された。

上海市トップの愈正声は、金融国際化に一言だけ言及した後、次のようなインフラ整備に関して自慢げな報告をした。

上海南匯区を浦東新区に組み入れることを中国国務院がこのほど認可した。新たな浦東地区は国際的な金融センターと水運センターとして上海建設するにあたっての機能集中エリアとなる」

また兪正声・上海市共産党委員会書記(兼中央政治局員)は、「国際金融危機という重要な時期に、国務院は、『現代サービス業と現代製造業の発展と国際金融センターと国際水運センター建設上海による加速推進に関する意見』を発表し、上海南匯区を浦東新区に組み入れることに同意した。この措置は、改革開放をいっそう推進し国家全体の競争力を向上させようとする中国の決心を示すだけでなく、上海経済構造転換と長期的発展を促進するという戦略的な意義を持つ」と発言した。

つまり土建屋的発想のインフラ整備に関しての成果を自慢しただけで、言論の自由に触れていない事態が浮き彫りになった演説である。

上海市場の国際化、まだまだ道は遠い。

2009-03-31

 人民元基軸通貨にする為の長い道のり。

 米ドル基軸通貨の地位から蹴落とし、人民元をその地位に据えるには、アメリカを滅ぼして、アメリカの地位を乗っ取るというわかり易い手法がある。しかし、さすがにそれは難しいとして、中国の力を蓄えつつ、アメリカを弱体化させるという、遠回りではあるが、着実な道を選択している。

 IMFの準備通貨米ドル以外の通貨を加えるべきという中国中央銀行である人民銀行総裁の発言が出ている。この発言は、十分に予想可能な内容である。しかし、問題は、そのタイミングにある。

 アメリカは、1兆ドルの予算バッドバンクを始めるが、負債を単純に買い取るだけでは、企業反省しない。

 不良債権には、仕入れのコストがかかっている。現在価値に比べて、そのコスト分の支払いが過大だから、不良債権となっている。この仕入れのコストを支払う為に、政府から融資を受けなければならない。しかし、担保物権には、本質的価値が無い。そこで、政府から融資を受けるが、その融資バッドバンク出資し、不良債権バッドバンクに売り渡し、代金として、出資分を返してもらう。そのお金で、コストを支払う事で、連鎖的な破綻を防げる。

 バッドバンクへの出資と、政府からの融資とは見合っている。企業利益を上げて政府からの融資を返済すると同時に、同額だけ、バッドバンクへの出資を減資する。この仕組みが活きている間、企業には順当に利益を上げてもらわなければならない。つまり、産業管理体制に入り、さらに、国内産業保護する為に、保護主義バリバリにやるという事になる。

 自由貿易体制を維持する装置としてのドルポンプが無い状態で、アメリカ貿易センターとしての活動を、事実上ストップする事になるのである。

 このタイミングで、IMFの準備通貨を多様化しろと主張するのは、米ドルとの交換比率を固定でき、多くの消費者世界工場としての生産能力を持つ中国通貨"人民元"を準備通貨に加えろという主張に等しい。

 IMFフレームで、南米中東反米国家人民元を貸し、中国生産された工業製品を買わせるという手法を想定しているのであろう。反米でさえあれば何でも飛びつく中東諸国や、工作が浸透している南米諸国が賛成に回るという読みで、このタイミングで出してきたのであろう。

 アメリカは、自由貿易体制と国内の産業管理体制を、同時に維持するという綱渡りをすることになる。これは、背反する条件となっているので、ゲームボード軍事力によってひっくり返すという手段ぐらいしか、選択肢が無い状態へと向かうのである。

2009-03-12

それでも軍事費二桁成長は、いずれ中国経済の崩壊を早めないか?

公的統計でさえ、すでに米国に迫る世界第二位の軍事大国

公式の中国軍事費は次の通り(「公式」とは中国発表した数字、ロケット打ち上げなど別項目で勘定しているため、世界基準の算定方法ではなく、欧米はこの三倍とみている)

1999      1076億4000万人民元

2000      1207億5400

  01      1442億0400

  02      1707億7800

  03      1907億8700

  04      2200億0100

  05      2474億9600

  06      2979億3800

  07      3554億9100

  08      4184億0400

2009年予測   4806億8600万人民元

(1人民元は14円)

中国空母二隻建造を堂々と公言するようになり、また中東南アジアアフリカ諸国では中国武器市場に溢れるようになっている。

いずれ手に負えない化け物として北京へ跳ね返るだろうが。。。

 

不安になるアメリカの杜撰な武器管理

いや中国のことを批判してやまないアメリカは、膝元でおきた以下の数字をみて愕然としている。

予算局が集計した「行方不明」になった武器の夥しさである。

ISNニュース3月10日付け)によれば、アフガニスタンイラクという両戦域をかかえるアメリカは、武器をせっせと当該戦闘地域の部隊に運んでいるが、多くが行方不明というのだ。

2005年から2008年までにアフガニスタンへ運び込まれたアメリカ武器は、むろん、米兵、米軍下請け傭兵ならびにイラク正規軍警察に配給された。このうちの36%が「返却」されておらず行方不明だという。

アフガニスタンへの武器は242000点におよび、これらには自動小銃機関銃ピストルショットガンが含まれている。そのうちの36%が追跡不能状態。

また2004年から05年にかけてイラクへ同様にはこびこまれたアメリカ武器のうち、AK47ライフル11万丁。ピストル8万丁が「行方不明」。

杜撰な管理をかいくぐり、武器密輸され、転売されたか、あるいはテロリストの手に渡った。

▲そして米中艦隊南シナ海でにらみあった

つい先般、米国の観測船(?)が南シナ海中国艦隊五隻に取り囲まれる“事件”が起きた。米中外相会談が開催されている最中のこと、両国間に緊張が走った。

この地点に注目である。海南島沖合。

中国海南島南部「三亜」に潜水艦秘密基地を建造した。しかもICBM搭載の潜水艦の集積地といわれ、米軍は観測を続けてきた。

「海洋を抑える西側帝国主義揚子江ファナティック国家主義者との対決」(英紙ガーディアン3月10日)は政治の表舞台での「戦略パートナー」「ステ-ク・ホルダー」「G2」という米中関係の緊密ぶりとは別の思惑で進んでいる。

「14・9%もの軍拡に突き進んだ中国米国への顕著な挑戦をしめしている」(同紙、サイモン・ティスダル記者

2009-03-10

エクアドル通貨主権を再確保するかもしれないという噂。

エクアドルは、2000年1月19日に、それまでの自国通貨であったスクレの使用を停止し、米ドル通貨として流通させるようになった。ペルーとのアマゾン上流を巡る国境紛争に敗北したのが原因とされているが、ようは国内経済破綻したわけで、米ドルをそのまま流通させる以外に、貨幣経済を維持できる状況ではなくなったのである。この辺は、ハイパーインフレの末に通過主権を投げ出したジンバブエと、理由は違うが行動は一致している。

米ドル通貨として使用し始めた後は、親米派政権を取り、経済の立て直しを行ってきた。そこにグローバリゼーションを原因とする地下資源の高騰の波が来て、輸出品であった石油によって、経済状況がかなり改善された。と、同時に、反米・反資本主義の動きも出てきた。というのも、エクアドル石油産業外資に牛耳られており、その利益の半分を外資が取っている。この外資の取り分を減らせば、もっと豊かになれると考えるのは普通の事である。

エクアドルのコレア大統領反米左派であり、麻薬カルテルが牛耳っているコロンビアと敵対しているという点で、ベネズエラとは利害が一致している。また、ベネズエラチャベス大統領とコレア大統領は、思想的にかなり近いようである。

ベネズエラエクアドルに対して、コロンビアという共通の敵の存在を理由として軍事同盟をもちかけている。その軍事同盟の敵に、アメリカが含まれていたとしてもおかしくは無い。

アメリカ覇権にかげりが見えてくると、南米がきな臭くなるというのは、仕方の無い事なのかもしれない。

エクアドルの新通貨発行は、米ドルとの交換比率の変更によって、外資系企業資産家を叩く道具として使われることになるであろう。全額を1対1の固定レートで交換した後に、ユーロ人民元といった通貨を含めた通貨バスケットから算出された、大幅に割り引かれたレートを適用し、米ドルの流出を防ぎつつ、実質的に外資金持ち資産没収するのである。資本家外資を叩き、共産主義革命を進めるという展開である。

南米はいろいろと面倒な事になっているようである。

2009-03-02

仲大軍『中国世界恐慌にどこまで耐えられるか』(草思社

経済危機に直面した中国ナショナリスト論客が考えることは?

外貨準備中国海外資産の買収に向けよ、と声高に主張する書

中国にはデタラメ新聞、誇大な嘘放送のテレビラジオとそれに基づく官営のシンクタンクが圧倒的だが、民間のシンクタンク私企業相手のレポート作成で細々と食いつなぐところがある。

優秀な人材は日米欧の大学金融機関シンクタンクに散った。

とくに日本で“活躍する”北京系の学者の多くが「中国日本なしでも生きていけるが、日本中国なしでは生きて行かれまい」と中華思想丸出しのご託宣をのべる手合いが、リーマンショックで株暴落が始まる前まで大勢いた。

事態は急転した。

北京系は沈黙した。輸出産業の対米依存で食いつないできた中国が、明日にも倒産しそうな雲行き。失業は公式に2000万、実態はおそらくその五倍以上だろう。

こんな折に不思議不思議中国海外企業の買収、石油ガス鉱区の買収に熱心。米国債権も売り払うそぶりはない。

中華ナショナリスト経済学者論客らは、いったいこの事態を打開するに、どんな主張をしているのか? 興味が湧くのである。

その回答のひとつが本書。読んで、やはり案の定の感想だった。

著者の仲大軍は中華思想の持ち主、民間シンクタンクでも、中国経済ナショナリストの典型と考えられる。

したがって政府への批判は経済政策批判のみである。

 

中国外貨準備は一兆9500億ドルだが、このうち1兆2000億ドルを中国米国債株式社債などに投じたのは「アメリカによる拉致」だと逆の論理を張るのだ。

基本的に論理矛盾である。

第一に中国は貯まる一方だった外貨準備を「有効に投資運用する」ために米国債権を買い続けた。これは自主的判断であり、拉致ではなく、ましてや米国からの強制も無かった。

第二に中国はそれでも有り余る外貨運用するために、2000億ドルを外貨準備から取り崩してCIC中国投資公司)を設立した。これも中国政府高官の判断であり、欧米マネージャーは内部の決定に関与していない。ブラックストーンなどへの投資の失敗は、自らの見込み外れでしかなく、責任アメリカにはない。

第三に外貨準備が急増したのは輸出好調によるものだが、裏で人民元を安くするために、猛烈にドルを買った結果である。

2002年から三年間、日本が円を支えるために猛烈に為替市場に介入した。合計43兆円がドルの買い支えに使われたように中国も為替市場への介入により、ドルが実態貿易のはるかに上回るドルを手にした。

だから仲大軍がいう『拉致』とは首を傾げるほどの逆解釈になる。

もっとも著者はこういう。

「災難が(米国ウォール街に)突如やってきた時、アメリカは『もし貴国が助けてくれなかったら我々は共倒れになる』と言うだろう。これこそアメリカ中国を『拉致した』という真の意味」、「投入した(中国の)巨額の外貨準備(ドル債権)は回収できなくなる。もしも、アメリカ市場救済に参加すれば、肉団子をなげて狗を追い払うようなもので、新たに投入したお金がもどってくるかどうか」。

だから「アメリカ企業株主権を交換せよ」。それころが「中国海外資産保全できる」

つまり、アメリカ企業を片っ端から買収せよ、という過激攘夷主義がでてくる。

ところが中国国内を見渡せば、アメリカ新自由主義市場経済万能を説く買弁家と売国奴ばかり、アメリカの『発展モデル』は破綻した。

仲大軍のアメリカ経済解釈は正鵠を得たものも多い。

たとえば、「アメリカ債務政府債務が十兆ドルに、民間の債務は数十兆ドルに、「アメリカはおそらく身上をつぶしても、このような巨額の債務を返済できないであろうし、最終的には借金を踏み倒す結果をなろう。借金踏み倒しの方法は、ドル札を刷り、ドルの価値を大幅に下落させ、超インフレをもたらすことで、その結果、ドルを保有しているすべての国の外国資産が大幅にその価値を減じることになる。中国の保有する二兆ドル近い外貨準備はとうの昔に水のない鉄板の上で水切りをするような無駄骨折りとなるだろう。その結果は『大きな清算』である」とする。

本書の訳文は平明で、こなれているうえ、原文になり訳注が随所に施され、難しい論議をわかりやすくしている。坂井臣之助ほか訳。

2009-02-27

ブラックストーン等への投資で60億ドルも損出をだしたはずなのに?

CIC中国投資公司)が5%の配当を発表する不可思議

上海証券新聞は2月24日、中国投資公司(CIC)が2008年度に100億ドルの利益を出した、と伝えた。配当は5%を確保できた、という。CIC中国初の国富ファンドで、外貨準備高から2000億ドルを回して07年に設立。

「ん?」

CICブラックストーンに50億ドル、モルガンスタンレーに30億ドルを投資し、昨年リーマンショックで株暴落後、時価が20億ドルに減少、「もう海外投資はしない」と言っていたんじゃありませんか?

英字紙『チャイナ・ディリー』(2月25日)によれば、同行は流動性の高い金融商品におよそ900億ドルを投資して配当を得たという。

主な投資商品はと言えば米国債財務省証券などの配当が30億ドル。これにくわえて国内の中国銀行中国建設銀行への出資分への株主配当が「相当」あった由。

これって、日本で言う“タコ足配当”。

その中国建設銀行は、58億ドルの社債劣後債)を新たに発行すると言うから、これも摩訶不思議。同行は時価発行総額では世界第貳位。

10年物の利息が3・2%、15年物が4%の配当を謳っている。中国建設銀行劣後債海外投資家が買うとは思えないので、中国国内の「投資家」が買わされるのだろうけれど、お笑いだったのは、中国国内の格付け機関CICCがトリプルAを格付け。史上最悪の金融詐欺CDSを抱えていたファニーメー、フレディマックAAAの格付けをした、どこかの国のそれと違って身内お手盛り、ってわけですね。

さらに驚くべきニュースがある。

中国は国内の国有銀行にこれまで禁じてきた株式購入を解禁したことだ。

それもこれも中国政府は景気テコ入れとして四兆人民元(5850億ドル)もの景気刺激策発表したが、実際に中央政府は30%しか負担せず、残りは地方政府が調達する。

となると行き着くのは銀行からの借り入れ。銀行には預金が増えていても貸し出せるカネがない。だから社債を出し、その銀行株価を支えるために銀行株式投資をするのを許可した(もっとも、これまでも内緒銀行株式投資をしていたのは中国では常識だけど)。

旧正月は、ことしは1月26日だった。このため実際の一月ビジネス稼働日が少ないため、中国国家統計局は一月統計発表していない。株式が30%上昇し、バルティック指数が二倍になり、鉄鋼が20%値上がりに動き、運輸人口が60%増えたとは言っても、それらは旧正月の小売り急増によるもので、通年の統計にはならない。

 

中国人預金がすきである。国有企業に働いた者には年金もつく。

中国年金基金は2007年に4397億元規模だった。08年は525億元に増え、当局は上限20%での投資を認めている。その裡の6%が海外投資にまわっているが、理事長の戴相龍は「もっと海外投資に力を入れる」と言明している(ウォールストリートジャーナル、2月26日)。

08年の同年金投資による増加は8・98%だったそうな。

戴相龍は元中国人銀行総裁、前の天津市長経済幕僚エリートとして世界的に有名。

2009-02-16

政府紙幣発行をめぐって日本の政・財・官界の右往左往

 ケインズ学派から「構造改革」派が議論を横取り? 不況政局に利用

 学問的議論が政局横取りされた格好である。

それが政府紙幣発行をめぐる賛否両論、とくに自民党内に議員研究会が設立されると、こんどは旧小泉スクールにも飛び火し、竹中ブレーンの一人と言われた高橋洋一東洋大学教授)が、突如、政府紙幣発行の旗振り役を演じだした。

 丹羽春喜論文換骨奪胎だと酷評する向きもある。

 米国の動きが拍車をかけた。

 もともと丹羽理論を応用するかのようにノーベル経済学賞の二人が新政府発行論を揚言した。スティグリッツクルーグマンだ。とくに後者政局の変動にカメレオンのごとく説を曲げる、変える、豹変する。ところがクルーグマン信者日本エコノミストに多いから始末に負えないのだ。

 日銀の08年末の資金供給量は101兆2610億円。3年ぶりに100兆円の大台を超えている。これは金融機関などの資金繰りを支える目的で、とくに年末資金を供給した。量的緩和政策である。

 具体的には金融機関日銀当座預金の残高と、紙幣貨幣の残高の合計が通貨供給量。 日銀2008年11月から当座預金の一部に0.1%の金利を付けている。当座預金金利がつくというのは異常事態である。(或る意味で、この措置は政府紙幣発行が別のかたちの国債発行であるとすれば、同様な効果がある)

 そもそもの政府紙幣発行とは、太政官札による幕末維新の藩札の統一が近代日本では嚆矢であり、江戸の金銀小判の流通がやんで、紙幣経済日本に落ち着いた。日銀はまだ無かった。

 丹羽説は総需要喚起、あまっている生産体制を稼働させ、実効需要を増やせとするケインズ理論の延長にあり、純粋学問的仮説なのである。

 

 ▲米国の議論をみて、飛び出した軽率エコノミスト

 ところが、これまで顧みられなかったこの議論、クルーグマンインフレ目標値などの珍説とともに米国内の議論をみて、あわてて飛びついてきた経済学者エコノミストジャーナリストらの大合唱が巻き起こり、状況が激変したのだ。

政府紙幣発行議論は自民党内で白熱し、細田博之幹事長記者会見で「そんなことができるなら毎年30兆円ずつ発行し、(国・地方の)800兆円の借金を全額返したらどうか。空理空論で意味がない」と否定的態度を表す(2月2日)。

 一方、前向きなのは菅義偉選挙対策委員長ら。「これだけの危機の中、政治主導でいろんなことがあってもいい」と含みを持たせた。

 こうした政府紙幣発行議論に対して日銀白川方明総裁は否定的。

通貨に対する信認が害される恐れがある」と強調したうえ、「政府債務返済能力への疑念から「長期金利の上昇を招く」とむしろ副作用危険性を指摘した。

 

日銀は当惑どころか明らかに反対

白川総裁政府紙幣が市中で流通した後、日銀に戻ってきた紙幣を(1)政府が回収する場合、(2)そのまま日銀が引き受ける場合があり、それぞれ問題があるとした。

 現在、10円、50円、100円、500円などの硬貨はまぎれもなく「政府紙幣」であり、日銀に還流してきた硬貨の一部は政府日銀から回収している。

政府日銀に回収分と同額の財源を渡しているが、政府紙幣も同じ仕組みになると、「(発行額に見合った)資金調達が必要になるという意味国債の発行と実体的に変わらない」(白川総裁

財務省の杉本和行次官は「政府紙幣財政規律との関係から慎重な検討が必要。発行には法改正もいる」と官僚らしく面倒臭そう。また財政法に抵触する可能性があり、貨幣法の改正が必要だろうと手続きが輻輳する可能性にも言及した。

私見を述べれば、アカデミックな議論が、突如、政局に利用されている感じが否めない。もともと丹羽春樹教授の「政府貨幣発行による打ち出の小槌」は、学説であり、政治レベルに降りるときは必ずしも学説通りに実行されない。与野党の妥協の結果、かえって中途半端な実行がなされると(まさに高橋洋一説は丹羽説の歪曲)、景気回復に繋がらない可能性も出る。

丹羽春喜教授の仮説は、そのまま実施される可能性がないゆえに、かえって危ない。

ちょうどドル円固定相場の復活論に似ている。つまり固定相場制というのは、理論的に正しく、しかし運用されると猛烈な投機がおこる。人民元相場がまさしく、その犠牲であり、固定の枠内で投機筋は通貨商品と変える“商機”をそこに見いだすからである。

2009-02-12

 中国、「もう海外投資はしない」はずの金融路線を再転換、積極攻勢か

 英紙「フィナンシャル・タイムズ」(2月12日)によれば、中国国有企業の「シナルコ」(CHINALCO)は、豪州最大の鉱山リオ・テント社の窮状を救うために現金で195億ドルを投じると報じた。

引き替え条件はレアメタル鉄鉱石、銅山、石炭などの鉱区。転換社債とも引き替えるので、CHINALCOは、いきなり9%から18%株主になる。

 コンゴにも90億ドルという天文学投資を続けている。

 道路鉄道学校病院建設北京政府は90億ドルもの資金を投入しているが、交換条件は、ずばり銅鉱山だ。

鉱脈に付帯するのがレアメタルの代表=コバルト。これがないとハイブリッド車エンジン触媒や高速輪転機の裁断機などが生産出来なくなる。

 つまり戦略物資の独占的確保である。

かつてコンゴ内戦コバルト鉱山の権益をめぐって争われ、ベルギーフランスなどが落下傘部隊を投入してコバルトを守った。

 

また中国銀行AIGアジア部門の買収に乗り出すという。

 総額200億ドル、世界一保険会社AIGアジアビジネス部門をごっそりいただこうと言うわけだ。

 倒産かどうかで揉め続けているベルギー最大の銀行フォーティスにも中国触手を動かしている報道がある。

 ともかく金融危機直後から中国の首脳は「もう海外投資はしない」と言ってきた。

 温家宝ロンドンで「米国債継続的にさらに購入するのは熟慮する」と消極的な姿勢を見せた。それから十日も絶たないが、「米国債の購入継続は規定の方針。中国は購入をやめると人民元高騰に陥るためやむを得ず、米国債購入を続けざるを得ないようだ」(同フィナンシャル・タイムズ。同12日付け)。

 中国は積極路線に再転換した可能性がでてきた。

 中国の輸出が減少しているという話。

 中国の輸出が減少しているという話。

 買い手が居ないんだから、輸出したくてもできないわけで、こうなるのは必然である。で、問題は、退職金どころか未払い給料すらもらえない民工の不満から、非合法な物資の生産に手を染める、腐敗資本家が増えてくるというレベルへと進みつつある。

 日本太平洋側の小漁港に、中国人漁船で乗りつけ、120Kgもの覚醒剤を持ち込んだというニュースが出ている。

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20090209-OYO1T00445.htm?from=main2

 麻薬覚醒剤偽札武器・兵器という商品は、金儲けという点では、一番合理的な商材である。

 今の中国において一番美味しいのは、偽札製造である。中国の場合、金融機関人民元に対する信頼が低く、金持ち外貨や純金で蓄財する傾向がある。外貨偽札を作るビジネスは、金持ちの隠し財産として隠匿されるのだから、中国政府にもバレないし、発行元である外国政府にも当然バレないという、美味しいビジネスなのである。

 次に美味しいビジネスは、麻薬覚醒剤製造輸出である。中国国内で販売すると政府と敵対するが、外国に輸出するのであれば、賄賂次第で大手を振って生産できるようになる。麻薬芥子の栽培は小麦やとうもろこしよりも簡単であるし、水の必要量も少ないという特徴がある。覚醒剤の原料になる物質も、地方政府お墨付きで咳止め薬を作ると言えば輸入し放題となる。

 最後に残ったのが兵器・武器製造であるが、もともと、安売り粗悪品として、中国製の武器・弾薬・地雷は、後進国の戦場に大量に供給されている。このビジネスは、地方政府中央政府事実上支配している。安定した輸出が可能な主力輸出品となりえる商材であることから、不景気が直撃し、民生用輸出品を作っていた工場がばたばたと倒れているのに、安定した経営状態を維持していると言える。それどころか、倒産した工場から高性能な工作機械安価に買い叩き、加工精度と量産能力を向上させつつある。

 もう一回、文化大革命をやらないと、共産党の一党支配は継続できないかもしれんね。

 "革命は銃口から生まれる"というし。

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