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ロバート・マンデル教授といえば、金本位制度の復活を唱える世界的論局でもあり、1999年度のノーベル経済学賞受賞。通貨政策研究の第一人者として知られる。
中国時報(9月18日付け)によれば、そのマンデル教授が中国で開催された「アジア論壇」の席上、次のような講演をしたようだ(広州で9月に開催)
(1)二、三年以内に人民元は日本円に代替する国際通貨の位置を獲得するだろう。アジアにおいて「ユーロ」のように基軸通貨になるだろう。
(2)二、三十年以内に人民元は米ドルに代替する世界通貨になる可能性が大きい。あたかも英国ポンドが戦後、米ドルに代替されたようなケースになるだろう。
大変化の兆しはIMF改革における中国の主導権とSDR債券の発行による。まもなくSDR通貨における中国の比率は10%に達するだろうと、マンデル教授は解説した。
ゼーリック世界銀行総裁は9月28日に首都ワシントンのジョン・ホプキンス大学で講演し、「ドルは今後、決定的な通貨の位置を降りるだろう」云々と述べ、これを海外メディアは大きく伝えている。
オルブライド元国務長官も、同様な主旨で米国の力の後退を語っている。
ゼーリックは「超大国の通貨としてのドルが不変という状況は激変過程にあり、ドルに代替する通貨としてのユーロと元がますまる影響力を高めるだろう。とりわけユーロは世界で流通する速度をあげ、信頼性が強化されている」とのべた(ヘラルドトリビューン、9月30日付け)。
日本円のことは一切出てこない点に注意。
昨年9月15日のリーマンショック以来、世界最強の通貨は日本円である。ところが、何も言及がないという事実は驚くべきことではないのか。
もっともゼーリック世銀総裁はブッシュ政権下で国務副長官、通商代表をつとめ、「中国と米国はステーク・ホルダー(利害共通者)と言い始めた人物だけに、日本円には言及せずとも、つづけて人民元に触れ「今後十年、二十年という展望で人民元は確実に、その影響力を世界市場で顕著に増してくるだろう」としている。
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通巻第2726号