はてなキーワード: ストローとは
小学生のころは、給食を残してよく昼休みまで居残りさせられたものだった。
どうしてもダメだったのが、血である。パック入りの血は毎日の献立に必ず組み込まれていて、何とも逃れようがなかった。
血を飲めずに俯く私を担任が呆れて見つめているうちに、昼休みは終わる。そんなことは頻繁にあって、おかげで私は昼休みに友達と遊んだ記憶が希薄である。
給食を残した児童を拘束するのは、まったく人権を無視した扱いだと思う。実際、現在の小学校ではそんなことはほとんど行われなくなったと聞く。
担任や両親はことあるごとに、血は体にいいだの、血を飲むと背が伸びるだのと言う。しかしどうも、あのドロッとした喉越しといい、鉄臭さといい、到底受け付けられるものではなかった。
飲んだあとに口の端でパリパリに乾いて固まるのも嫌だった。
クラスのほかの子供たちが抵抗なく、むしろ美味そうにストローに吸いついているのが不思議でならなかったものだ。
それが、血も案外悪くないなと思い始めたのは成人してからのことである。友人と旅行をしたおり、立ち寄った牧場で処女の搾りたてを振舞われた。
その時の衝撃は今でもはっきり記憶にある。
高原の清冽な空気の中で味わったそれは、ほのかな温もりと優しい喉越し、豊かな香りと甘み。濃厚な旨みと、決してくどく感じない鉄分。鮮やかな生命の味がした。
血とはこれほど美味いものだったのかと、胸が熱くなった。それまで飲んでいたのは血ではなかったのだとしか思えなかった。
もし給食の血がこんなに美味かったなら、その後の人生も今とは全く違ったものになっていたのではないか。そんな気さえした。
「俺もこの味に感動してこの仕事始めたクチでね。そう言ってくれると嬉しいよ」
彼の話では、給食や店頭で一般的な血は、凝固抑止剤や安定剤、乳化剤のせいで味や香りが随分犠牲になっているという。また、搾りたてと違って冷蔵されているため温度が低い。本来、血は搾りたて無調整でまだ温かいところを飲むのが一番であって、大量流通には向いていないのだ、と。
血は、ストレスを与えるだけ味が落ちる。だから彼の牧場では、なるべく処女を優しく扱う。そうしてのびのび育て、血を搾る時には眠らせて、その間に行う。リラックスした処女からは、私が飲んだような極上の血が採れるのだそうだ。私はその瞬間を思い浮かべてみて、その美しさ、荘厳さに思わず天を仰いだ。告白しよう、同時に股間の一物も天を仰いでいたことを。
飲む人に優しいのではなく、血を流してくれる処女に優しい、そんな信念のあるこの牧場に対し大いに尊敬の念を抱いたものであった。
私が処女の生き血を求めて夜をさまようようになったのはそれからである。以来、背も伸びて体調もすこぶるいい。大げさではなく、人生観そのものが変わった。
まるでおとぎ話の姫君のように静かな眠りにつく、清らかな乙女の首筋から鮮血を口にするとき、私はそこにこの世の神秘、そして神の姿を見ずにはいられない。
ただ、生活が夜型になったお蔭で、日光にはすっかり弱くなったのは少し困りものである。サングラスが手放せなくなった。
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のちのタモリである。
第二回ファック文芸部杯参加作品
そう、もうコンビニだと標準装備っぽい。
ホットスポットのあるファーストフードで紅茶など飲んでいたら、椅子に脚を伸ばして座るヤンキー系のいけるお姉ちゃん二人組。まあ別に人に迷惑をかけているわけでもないので、まあそうねと思いつつ。その斜め前にメタボな20代のお兄ちゃん。メタボばんざいと思っていた。
帰ろうかなと席を立つとお姉ちゃん二人はゴミを捨てずに席に置いたまま。となぜ思ったかと言えばそのメタボなお兄ちゃんがそのゴミを片付けようとしていたら。
「店員でもないのになんてやつだ。メタボなんて思ってごめんよ」と膨らんだ腹を見ながら心で謝りつつちら見していた。
ちら見に気がついたか、彼はゴミ箱の上にゴミを置いた。「ゴミ乗せたままじゃん?中途半端ないい人野郎」
自分のゴミを捨てて車に乗った。そのメタボは席についていた。(窓から見えいた)
ライトをつけるとそのメタボはゴミを自分の席に持っていくではないか。そのゴミ箱にのっていった(お姉ちゃんの)ゴミと引き換えに自分のゴミを捨て、お姉ちゃんの方のゴミを自分のテーブルにのせている。
彼は他人のゴミを捨てたのではなく、摩り替えたのだ。セロもびっくり。
しばらく観察していると彼は「チューチュー」とストローを吸っている。彼にとってそれはきっとゴミではなく宝だったのかも知れない。
もっともポテトがあまっていたとか、カップに残っていたドリンクを透視して
「ごはんはぜんぶ食べなきゃいけまちぇん!」と資源を大事にする人かも知れない。なら「食いしん坊バンザイ」
ただ何食わぬ顔で 宙宙と悦に浸ったその表情。
彼はそういうわけで見渡しのいい真ん中くらいの席にいたのだろう。
狭い地域であるが世界は広い・・・と思わされた一件。
ちびちびやればいいじゃない。と、ちびちびちびやってる増田がいってみます。
ある程度の受託とある程度の日銭が入るビジネスとある程度のスキルがあれば、
もしかしたら何か引っかかるかもしれないなというところへ冒険もできようというものです。
自分は自分の時間を自分で使いたいがために独立した。
成功しない一番の理由は成功しない理由を捜すことから始まる。
起業は悪い事ではない。失敗したとしても少なからず糧になる。挑むことこそが社会貢献だと思う。
ただ、君が憂慮しているような人たちは大半は起業すらせずに終わるだろうからなんの問題もないと思う。
google:生活保護法がある限り、経済的理由での中絶は認められない。
[多数論証][アローの不可能性定理][多体問題][じゃんけん]
[ロバ売りの親子][粉屋と息子とロバ]粉挽きとその息子と驢馬
[ホトトギス][不如帰][時鳥][織田信長][豊臣秀吉][徳川家康][上司]
「合理的無知=コストパフォーマンス的に、政治の勉強に膨大な時間を費やすより、適当に暮らしてた方が合理的。」
The Ultimate English: ディベートのジャッジについての考察
はてなブックマーク - 審査員を審査する(仮題) : 作品情報 - 映画.com
1年生の算数の時間に、先生が「2-1は1、では1-2は?」というので「-1」と答えたら不正解にされた。
「パパが教えてくれたもん」
「おまえのパパは気違いだ」
群臣は趙高の権勢を恐れ、「これは馬です」と答えたが、「鹿です」と答えた者は暗殺された。
相手を黙らせたからといって、相手の意見を変えさせたわけではない。
相手を黙らせたからといって、その人を説得できたわけではない。
ジョン・モーリー
はてなブックマーク - ディベート教育とか、キモイので、やめてほしい(ほしかった) - 女教師ブログ
ymScott 社会, 思考 ディベートってのは「自分ですら本気にしていない事を詭弁を駆使して観客に納得させるゲーム」のことだろ。
何でそんな詐欺技術を教育しなきゃいけないのか未だに解らない。
ディスカッションをこそ学ばせるべき。
チェリー・ピッキング (英: cherry picking) とは、
数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみをならべたてることで、
命題を論証しようとする論理上の誤謬、あるいは詭弁術。
ストローマン(英: straw man)は、
議論において対抗する者の意見を正しく引用しなかったり、
歪められた内容に基づいて反論するという誤った論法、
あるいはその歪められた架空の意見そのものを指す。
藁人形論法ともいう。
衆人に訴える論証(しゅうじんにうったえるろんしょう、羅: Argumentum ad populum)とは、
論理学における誤謬の一種であり、多くの人々が信じているという理由で、ある命題を真であると論証結論付けること。
多数論証、多数派論証とも。
88% の人々が UFO を信じているのだから、UFO は実在する。
世界中の大多数が神を信じているのだから、神は実在する。
人身攻撃(ラテン語: ad hominem、argumentum ad hominem)とは、
ある論証や事実の主張に対する応答として、その主張自体に具体的に反論するのではなく、
それを主張した人の個性や信念を攻撃すること、またそのような論法。論点をすりかえる作用をもたらす。
人格攻撃論法ともいわれる
偽善者は素晴らしい約束をする、約束を守る気がないからである。
[多数論証][アローの不可能性定理][多体問題][じゃんけん]
科学哲学者のカール・ポパーは、反証可能性を持つかどうかを「真の科学」であるかどうかを見分ける基準として提唱しており、それ故彼は精神分析学は科学ではなくて疑似科学に過ぎないと断じた。
[天動説][地動説][コメンタリオルス][コペルニクス][ガリレオ]
7対1の賛成多数によって判決は下された。
[差別]黒人が人間だと考えることは不可能である。モンテスキュー
1932年7月の国会議員選挙ではナチ党は37.8%(1930年選挙時18.3%)の得票率を得て
230議席(改選前107議席)を獲得し、改選前第一党だった社会民主党を抜いて国会の第一党となった。
「ソ連軍に包囲される前にベルリン市民を脱出させるべき」という進言を退けたヒトラーは嘯(うそぶ)く
選択肢が3つ以上あるとき、
定義域の非限定性、全会一致性、無関係な選択対象からの独立性、非独裁性をすべて満たす
コミュニケーションにおける最大の問題はそれが達成されたという幻想
韓国地下鉄火災事件における「多数派同調バイアス」と「正常性バイアス」
多数の者に人気のあるほうが善いというふうにはならない。セネカ
多数決をとってみたところでそれが正しさの保証とはならないデカルト
[同調圧力][空気の研究][馬鹿]同調圧力・空気の研究・馬鹿・いじめ
多数論証
88% の人々が UFO を信じているのだから、UFO は実在する。
世界中の大多数が神を信じているのだから、神は実在する。
米国人の6割「原爆投下は正しかった」、米世論調査 国際ニュース : AFPBB News
米調査組織『ギャラップ』によると、アメリカ人の92%が神を信じている。
Amazon.co.jp| 神は妄想である―宗教との決別| リチャード・ドーキンス, 垂水 雄二| 本
神が宇宙をつくったなら、その神は誰がつくったのですか? - Yahoo!知恵袋
多数の者に人気のあるほうが善いというふうにはならない。セネカ
Amazon.co.jp: なぜ人を殺してはいけないのか―新しい倫理学のために (新書y (010)): 小浜 逸郎: 本
最大多数の最大幸福は、道徳と立法の基盤である。いかなる法律も自由の侵害である。ジェレミ・ベンサム
多数者の利己主義 vs 民主主義 衝撃的な引揚げ体験を目にして
「みんなのためだ、行ってくれ」
人生の大きな目標のため、日常のどうでもいいことは中庸。デカルト
公益目的でなければ、他人に関する思いで君の余生を消耗してしまうな
[権内][権外][分限自覚][エピクテートス]意志の力でどうにもならない物事
相手を黙らせたからといって、相手の意見を変えさせたわけではない。
相手を黙らせたからといって、その人を説得できたわけではない。
ジョン・モーリー
沈黙を守ってバカではないかと思われる方が、
あれこれ喋ってその疑惑を晴らすよりましだ。Better to remain silent and be thought a fool than to speak out and remove all doubt.
Abraham Lincoln
馬鹿をさらけ出すよりは黙っていて馬鹿だと思われる方がましである。
キングスレイ・ウォード
世の中で成功を収めるには、
馬鹿のように見せかけ、利口に活動することである。
「なんとなく」を可視化し、「変えられるもの」に集中する - 点と点をつなぐためのメモ - connecting the dots
[ロバ売りの親子][粉屋と息子とロバ]粉挽きとその息子と驢馬
[アローの不可能性定理][民主主義][じゃんけん][trade-off]
[最大多数の最大幸福][ジェレミ・ベンサム][全体主義][ファシズム][ナチズム]
「監視カメラ」と「防犯カメラ」とは、全く同じものを指している。どちらの語を使用するかは、本人のイデオロギーによって決めることである。
実際のカメラはどちらなのかを議論することには意味がない。
相手を黙らせたからといって、相手の意見を変えさせたわけではない。
相手を黙らせたからといって、その人を説得できたわけではない。
ジョン・モーリー
チャーチル「日本にこれほどの力があったのならもっと早くいってほしかった。日本人は外交を知らない」 : メカAG
チャーチルの『第二次世界大戦回顧録』のなかにこんなことが書いてある。
日本人は無理な要求をしても怒らず、反論もしない。笑みを浮かべて要求を呑んでくれる。
しかし、これでは困る。反論する相手を捩じ伏せてこそ政治家としての点数があがるのに、それができない。
それでもう一度無理難題を要求すると、またこれも呑んでくれる。
すると議会は、いままで以上の要求をしろという。
無理を承知で要求してみると、今度は、笑みを浮かべていた日本人はまったく別の顔になって、
「これほどこちらが譲歩しているのに、そんなことをいうとは、あなたは話の分からない人だ。ことここにいたっては、刺し違えるしかない」といって突っかかってくる。
人生の大きな目標のため、日常のどうでもいいことは中庸。デカルト
[ロバ売りの親子][粉屋と息子とロバ]粉挽きとその息子と驢馬
言葉でも文章でも相手がわからなければ何にもならないんだもの
五島昇
[思想][頭脳][論文][卒論]多量の思想を少量の言葉に収める。
多数の者に人気のあるほうが善いというふうにはならない。セネカ
何度も止められましたが、そのたびに時計や万年筆などの貴重品を渡して、見逃してもらっていました。
それがここでは女を出せと言われた。これは本当に困りましたね。
リーダー役の人物が土下座して「みんなのためだ、行ってくれ」と頼んだ。
そうやって女性を送り出していった人間が、生きのびて帰ってきたわけですから。
404 Blog Not Found:結局自己責任が一番安上がり
同じ仕事を日本人なら月20万円、中国人なら月1万円が相場とする。
搾取者は日本人をクビにして中国人を採用し、その際に他の会社と競争力を持たせるために、月2万円を中国人に払うとする。
この時点で、搾取者は月18万円の得。中国人は2万円の得、日本人は20万円の損。
泣く者は一人、笑う者は二人。合計金額は変わらないのに、この方が笑う者が増えている。
人生の大きな目標のため、日常のどうでもいいことは中庸を決め込むのは正しい
大事を小事の犠牲にしてはならない。
小事省事
議論したり反駁したりしているうちには、相手に勝つようなこともあるだろう。
しかし、それはむなしい勝利だ―相手の好意は絶対に勝ち得られないのだから。
われわれは喧嘩口論に近付いてはならぬ。
これらのことからは足を遠ざけねばならない。
無知な人々のするこのようなことは、何にせよ無視されねばならない
(このようなことは無知な人でなければすることは出来ない)。
そして
大衆がする尊敬と侮辱とは、どのみち大同小異と見なされねばならぬ。
われわれはこちら〔侮辱〕に腹を立ててもいけないし、あちら〔尊敬〕を喜んでもいけない。
くだらない質問には答えぬがよい。
ろくな答えのできないものには、問いかけぬがよい。
くだらない話には耳をかさぬがよい。
あげ足をとるような相手とは議論せぬがよい。
道をふんで訪れるものとだけ交際して、礼儀しらずは相手にせぬことだ。
荀子
争気ある者とは与(とも)に弁ずる勿れ。
荀子
やたらに人と争い競う性質の者とは
事の是非を語り合うことはしないほうがよい。
君子(くんし)は三端を避(さ)く
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ymScott 社会, 思考 ディベートってのは「自分ですら本気にしていない事を詭弁を駆使して観客に納得させるゲーム」のことだろ。
何でそんな詐欺技術を教育しなきゃいけないのか未だに解らない。
ディスカッションをこそ学ばせるべき。
もし議論に勝ったとせよ、
相手の名誉をうばうだけのことである。
通常、人間は議論に負けても
自分の所論や生き方は変えぬ生きものだし、
負けたあと持つのは負けた恨みだけである
どの港に入るのか分からなければ、どの風も追い風にはならない。
404 Blog Not Found:ΔxΔp≧h/4π(が欲しかった) - 書評 - そして世界に不確定性がもたらされた
Amazon.co.jp: 99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書): 竹内 薫: 本
トレードオフ 最も賢いクマと最も愚かな観光客の知能レベルは、ほぼ一致する。トレードオフ(Trade Off)
安全と利便性
リスクとリターン
一長一短
ケースバイケース
例外
論理飛躍
擬似相関
シンプソンのパラドックス: 集団を2つに分けた場合にある仮説が成り立っても、集団全体では正反対の仮説が成立することがある。
「自分の無知」を盾にして、「知ったかぶりをする相手の無知をさらけ出す」
自分の批判対象の主張を徹底的に賛美してみせ、
その論理を極限まで押し進めることによって
【処世術】馬鹿のように見せかけ、利口に活動すること【処世訓】
相手を自分の好みに変えようと思うことは相手の人格を無視した行為。
人々が自分に調和してくれるように望むのは非常に愚かだ。ゲーテ
[ロバ売りの親子][粉屋と息子とロバ]粉挽きとその息子と驢馬
浴場での出来事、つまり湯をはねかける者、押す者、罵る者、盗む者
[悪口][陰口][告げ口][お世辞][心にもない言葉]ねたみ・批判にあった時
どんな馬鹿でも、あらを探したり、難癖をつけたり、苦情を言ったりできる・・・
そしてたいていの馬鹿がそれをやる。
自分の行いが馬鹿げている人に限って、
真っ先に他人を中傷する。
中傷誹謗に対する最善の返答、
それは黙々と自己の義務を守ることである。
ジョージ・ワシントン 米国初代大統領
沈黙を守ってバカではないかと思われる方が、
あれこれ喋ってその疑惑を晴らすよりましだ。
アフガニスタンの諺
相手を黙らせたからといって、相手の意見を変えさせたわけではない。
相手を黙らせたからといって、その人を説得できたわけではない。
ジョン・モーリー
徳をもって人を支配する者は王たり。
力をもって人を支配するものは弱く、
富をもって人を支配する者は貧し。
筍子
一般に人間は犬に似ている。
他の犬が遠くで吠えるのを聞いて、自分も吠える。
ドアのベルを軽やかに鳴らして先輩が入ってきた。さて、勝負はここからだ。ぼくは甘ったるいアイスコーヒーを一口飲んで、気を落ちつかせた。
「あ、アイスコーヒーひとつね。どうしたの、今日は。いきなり呼び出したりなんかして」
先輩は店員とぼくに順番に声をかけて、席に着いた。相変わらずせわしない人だ。先輩、といつも呼んでいるけれど、本当は先輩は先輩でもなんでもない。ただ、姉御肌なところとか、面倒見のよさだとかで、ぼくが、部活の先輩みたいだ、といった一言がそのまま定着してしまった。本人は不満らしいけれど、ぴったりなのでしようがない。
「まあ、そんなにあわてないで。コーヒーがくるまで待ちましょうよ。あ、お腹空いてたりしません?」
あわてて妙なことを口走りそうなのはぼくのほうだ。話す内容は何度もシミュレーションしたけれど、やっぱり少し緊張する。すこしでも時間稼ぎをしよう。と思っていたら追加のアイスコーヒーがやってきた。この店、人が少ないのはいいのだけれど、出来合いのアイスコーヒーは美味しくともなんともない。だからぼくは、いつもシロップを目一杯入れるようにしている。
「ほら、アイスコーヒーは来たわよ。お腹は空いてない。で、話って?」
先輩はストローでコーヒーをかき混ぜながらそう一時に言う。しようがない。ぼくはもう一度、アイスコーヒーを飲んで、口を開いた。
「話ってのはあれです。ともちゃんのこと。ほら、先輩って世話好きでしょう?だから、ともちゃんの為にいろいろ画策、いや画策ってのは言い方が悪いかもしれなけど、ともちゃんがうまくいくようにいろいろとしてたってのは判ったんです」
先輩はストローをかき混ぜる手をぴたっと止めて、タバコを取り出した。ぼくは構わずに続ける。
「ここ、禁煙ですよ。それにタバコ止めたんじゃなかったでしたっけ?そうそう、この間の遊園地だってそうでしょう?ずいぶんと手が込んでましたよね。けんじとよう子さんもグルですよね。ぼくもけんじの台詞がなきゃ気付かなかったですけどね。たぶん」
取り出したタバコを一本、手の中で弄びながら話を聞いていた先輩は、いつもそうするようにじっとこちらを見る。実のところ、ぼくはこの視線が苦手だ。だからいつもぼくの方から視線を外すのだけど、今日は先輩が先にそっぽを向いた。ぼくはちょっと不安になる。そんなぼくを尻目に、先輩はこう言う。
「まあね、勘のいい君のことだからそのうち気付くだろうな、とは思ったけどね。ともちゃんに上目遣いで頼まれたら断れないでしょ?気を悪くしないで」
ぼくは心の中でため息をつく。こればっかりは正解して欲しくなかった。
「で、どうするの?」
ぼくは表情を悟られないようにしながら用意していた台詞を口にする。
「どうもこうもないですよ。そりゃあもちろん、ともちゃんがうまくいくこと願ってますよ。ただ、意中の相手がわからない事にはどうにも。相手は誰なんですか?」
視線をそらし気味だった先輩が、またこっちを見る。ただし、今度は驚愕の表情。そしてそのままにやけ顔に移行していく。
「えーと、けんじじゃないですよね。明らかにグルだったし。それだと後は……、」
あわてて言ったぼくに被せるように、先輩が口を開いた。明らかに楽しんでる。
「教えてあーげない。そこまでわかってて、本当にわかんないの?どうしても知りたいっていうのなら、本人に聞いてみれば?ほれほれ」
そういいながら、テーブルの上のぼくの携帯をつつく。ぼくは顔が赤くなるのを自覚しながら、携帯をみるけれど、手が出せない。そうしていると、先輩が唐突にぼくの携帯を取り上げた。あー、短気なのだ。この人は。
「えーい、まどろっこしい。と、と、と、とあれ、君、苗字から入れてるの?じゃあ、のだな。はい」
渡された携帯は、すでに呼び出しをはじめている。ぼくは相手が出ませんように、と願をかけながら呼び出し音を聞いていた。電話は苦手なのだ。
「はい、もしもし」
かわいい声が、スピーカーの向こうから聞こえた。
「あのー、えーと、今時間ある?」
時間がないって言ってくれ。なんて、我ながら往生際が悪い。残念ながら、時間はあるらしい。ぼくはしどろもどろになりながら、これまでの経緯を説明する。先輩はにやけ顔のまま両肘をついてあごを支えている。少し嫌いになりそうだ。
「それで、相手が誰か教えてくれないかなーなんて。もちろん応援するよ」
しばしの沈黙。あー、地雷を踏んだかな。これだから電話は嫌いなのだ。先輩はもちろん先ほどの体勢のまま。ぼくはちらっとそちらを見て、すぐに視線をそらす。
「本当にわからないんですか?」
イエス。本当にわからない。
「本当に応援してくれます?」
イエス。応援しよう。不本意ではあるけれど。彼女はその質問のあとにもう一度沈黙をはさんで、ぼくには理解できない一言を放った。ぼくはもう一度聞き返す。先輩は今にも吹きだしそうだ。
たぶんぼくは呆けた顔をしていたのだろう。先輩はグラスに汗をかいたアイスコーヒーを飲みながらこう言った。
「まあ、うまくやんなさい」