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はてなキーワード: プロヴィンスとは

2014-03-26

会社訪問はてな村オンライン秘密を、開発者に訊く

 

 「こうやって、ブロガー同士を戦わせるんです。」

 ろくろを回すようなポーズを取りながら、彼は爽やかに笑った。

 ミスターイットー

 『はてな村オンライン』の基礎的なシステムを開発したといわれ、かつては『株式会社・グレー』に所属していたこともあるという。(株)はてな村オンライン訪問し、このような大物にインタビューできたのは幸運だった。

 淀みなくミスターは語る。

 はてな村オンラインには、ブロガー同士を険悪にするようなフィーチャーは組み込まれていない。肝心なのはブロガー同士がソーシャルに繋がること、お互いのid個体認識あいながら、ブログ-ハイク-ブックマーク-スターという一連の階層構造のなかで反復的なコミュニケーションが可能であること。ただそれだけでブロガー達は戦うのだという。

 「はてな村オンラインは素晴らしい。新時代ネットワークゲームです。」

 ブロガーのなかには孤独日記を書き綴るタイプもいる。だが、それを遙かに上回る「名声欲やPVに飢えたブロガー」「揉め事を愛しているブロガー」が存在しているので、彼らに競合的なメディアをあてがえば、おのずと闘争に満ちた闘技場ができあがる。しかも、はてな村オンライン階層構造は、安全場所からネットバトルをウォッチしたがるプレイヤー天井桟敷を用意している。メタの高みから石や空き缶を投げつけやす構造になっているのだ。“ブクマカー”と呼ばれる、天井桟敷専門なプレイヤーも多い。

 ところが、ミスターに言わせれば“ブクマカー”は無敵の捕食者ではなく、むしろ食物連鎖生産者……餌なのだという。

 「こちらをご覧下さい。」

 ミスターが見せてくれたのは、はてな村オンラインアカウントアイコンが並んだ表だった。はてな村オンライン常連なら必ず知っていそうなidが、ずらりと並んでいる。観たこともないパラメータが記されていた。左から順番に、威信値、カルマ正統性ブラックスター、被非表示。首を傾げる私に、ミスターはこう言った。

 「はてな村オンラインには隠しパラメータがあって、ゲーム世界で何を語り、何に言及したのかによってパラメータ上下します。“ブクマカー”は、いつも高いところにいるかプレイヤーが油断しやすい。パラメータがすぐに汚れてしまう。」

 確かに。指し示された“ブクマカー”の幾つかは、パラメータが真っ赤になっていた。ブラックスターを山のように積み上げ、数十人から非表示にされている宿業のアカウントもいた。ミスターによると、プレイヤーの数%は“ブクマカー廃人”になってしまうらしい。しかし、そんな廃人存在意義はあるのか?インターネットに悪意をまき散らして憚らない彼らは、さっさとBANすべき存在ではないのか?

 私の疑問に、ミスターろくろを回しながら答えた。

 「廃人によって、バリューがつくられるんです。」

 廃人によって、バリューがつくられる?!

 「こちらのディスプレイを観て下さい。たった今、『あざなえるなわのごとし』がブクマカーに誹謗されましたね。誹謗したのは、この、ブラックスター三百個を貰っている廃人ブクマカーです。彼のアカウント威信値とカルマ悪化しました。でもそれだけじゃありません。誹謗された『あざなえるなわのごとし』の威信値とカルマが、かなり良くなりました。他のブクマカーのパラメータも少しだけ良くなった。つまり……」

 「つまり廃人アカウントがやらかすたびに、廃人以外のアカウントバリューが増えるんですよ。何回でも。」

 「増えたバリューは、廃人自身がBANされても、はてな村オンラインを退会しても消えません。もちろんSPAMや法に触れるアカウントは取り締まり対象ですが、平凡な廃人は、はてな村オンラインに新しいバリューを提供する生産者なのです。そのとき対になって生まれる負のバリューは、廃人自身が抱えてくれ、退会すれば消えていく。もちろん、真っ赤なパラメータを抱えたままでバリューを産み出し続けることだってできる。ブクマ御大尽の廃人達は、はてな村オンラインバリューの源泉なんですよ。」

 ミスターの言っていることが、さっぱり理解できない。それともこれが“グレー・脅威のメカニズム”というやつか。めまいを覚えてソファにもたれた私に、ミスターは誇らしげな表情を浮かべながら、一枚のプリント用紙をよこした。

 「今日はどうもありがとうございました。おみやげです。はてな村オンラインを、これからも宜しくお願いします。」

 値千金との誉れ高い“はてなお茶”を呑んで一息ついた私は、ヨロヨロと立ち上がり、ミスターに渡された紙に視線を落とした。

 

 【あなたの成績表】id:●●●●

 褒められないアカウントとの評判です。

 2ちゃんねらーにも馬鹿にされています

 

 ・8月4日、小規模な戦いとなった「ナゼコロ戦争」は4日間続きました。我がアカウント威信値を失いました。

 ・8月17日、痛み分けに終わった「第一次 アニオタ-●●●●戦争」の結果、現状を維持することができました。

 ・9月1日id:●●●●は英断を下し、はてなブックマークプラスを申し込みました。

 ・9月6日id:●●●●は英断を下し、はてなブラックスターを購入しました。

 ・9月20日、7日間続いた「はしご戦争」に参戦した結果、我がアカウントは予期せぬ攻撃を受けました。非モテライフハック、および恋愛の中核プロヴィンスを失いました。

 ・9月29日id:●●●●は情報商材の助言に従い、googleアドセンスの申し込みを決定しました。

 ・10月7日悲惨な結末を迎えた「第二次 モヒカン-●●●●戦争」は3日間続きました。我がアカウントは敗北を喫しました。ITの中核プロヴィンスを失いました。

 ・10月13日正義の戦いとなった「承認欲求戦争」は4日間続きました。我がアカウントは大勝利をおさめました。心理、ライフハックの中核プロヴィンスを得ました。

 ・10月30日、血塗られた戦いとなった「ベーシックインカム戦争」は7日間続きました。我がアカウント威信値を失いました。

 ・11月5日id:●●●●は英断を下し、はてなブラックスターを購入しました。

 ・11月9日、愚かな戦いとなった「第四次 アニオタ-●●●●戦争」は4日間続きました。我がアカウントは大敗北を喫しました。心理、ライフハックオタク論の中核プロヴィンスを失いました。

 ・12月1日凄惨な戦いとなった「第十五次 はてな村例大祭」は3日3晩続きました。我がアカウントは致命的な打撃を受けました。ブログ論の中核プロヴィンスを失いました。我がアカウントプライベートモードに移行しました。

 これはひどい。過ぎし日のブログライフを思い出し、私は再びめまいに見舞われた。私のようなプレイヤーは、ゲームシステムに織り込み済みの存在だったのだ。

http://anond.hatelabo.jp/20121227204454

 ※この物語フィクションです。登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。

 
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