2024-11-21

くしゅたーると創業家による711取合い騒動解説転載

先ず、クシュタール側が仮に買収者となる場合は、二つの乗り越えなければいけない壁がある

それは日本外為法と、米国独禁法

日本外為法については既に報道されている通り、重要社会インフラ等に対する買収で、結果国益を損ねると判断すれば国が差し止めを求めることが出来るというもの

米国独禁法については、クシュタールが全米で展開するサークルKセブン&アイが合計シェアの点で反トラスト法にかかるのではないかという恐れ。

前提として、この規模のM&Aともなれば、関係当局との合意形成無しに物事が進むはずもなく、当然クシュタールとしては既に日米双方に対し擦り合わせを行っているとは思う。

Jパワーのような明確なエネルギーインフラ企業ではないセブン&アイ外為法適用できる合理的な論拠があるのかについては疑問はある。

独禁法については適切な規模の店舗統廃合、売却によってこちらはクリアできる可能性が高い。

どの道、セブン&アイとの合意形成と日米政府合意形成車の両輪のような認識で相違は無いと思う。

同じ西側諸国である日米間のやり取りとなるため、中国独禁法のような国家論理によってズルズル引き延ばされる可能性は低い。

どちらかの結果が食い違うような見切り発車を政府が許すはずが無いし、抑々そうなった時点で実現可能性は限りなく低くなるので、敵対的買収に発展する可能性は低いと見てる。

個人的な所感としては、時間はかかるが同盟国同士の擦り合わせによりクリアできなくは無いという感想

次に、創業家伊藤興業設立SPC)が買収者となるパターンこちらのほうがよりクリア

上記外為法適用も無く、当然独禁法適用も無い。

いくらセブン&アイ経営陣がクシュタール提案異論を唱えても、経営陣の言う「適切な企業評価」に株価が全く追いついていないのは事実で、その論理だけでクシュタール提案を蹴るのは株主利益を明確に損ねる行動であり、ある種の背任行為に近い。

それを前提とした落としどころを作るには、必然的にクシュタール提案を上回る「対案」を出さねばいけない。

その結果が創業家に於ける買収という選択肢なのだと思う。

現時点で具体的な金額やをあえてアナウンスしているのも、「我々の提案はクシュタール案を超える条件です」ということを明示するためのアナウンスメントだと個人的には解釈してる。

何よりも、この絵描いてるのは創業家ではなく、政府意向も多分に入ってるんじゃないの?と思ってる。

通常、創業家の持つ5,000億円の株券に対するLBOとして8兆円という規模が適切なのか?という議論もあろうが、国策TOBの名の元にそこはおっつけてくるのではないかと。

そういう意味ファイナンスに関しては問題ないと見てる。


次に、時期の問題だが、昨日飛ばしニュースのあったNHKの内容を基にするなら、今年度末(勘違いしている人も居るが、年度末は3末の事で12末じゃない)をターゲットにするのは非常に説得力が強い。

セブン&アイは多くの3末決算企業と違い、2末決算なので、遅くとも2末までには配当を出すのか、M&Aを前提とした無配とするのかを決定しないといけない。

同時に、上場廃止を前提とした国内M&Aの場合TOB開始からクローズまで通常一ヶ月は空けるのが通例なので、3末に買収を終えるのであれば、セブン&アイ決算である2末までにはTOBを開始する必要がある。

この2点を合算して考えると、仮に3末をターゲットとした創業家によるTOBが実行されるのであれば、2末までには具体的なアナウンスメントを出さないといけない。

通常ターゲットの期日に近づくにつれて株価TOB期待でジリ高になる。

言い換えれば2末までにアナウンスメントが無い場合TOB期待は急速にしぼむor失望売りが出ると考えて良いとは思う。

纏めると、クシュタール案に対し超えなければいけないハードルが極端に低い分、実現可能性は高いという印象。

最後に、NHKリークについてだが、大前提としてNHKが何の事前調整も意味もなく、19時台の「国営TV」であれだけ具体的な内容国策M&Aという重大ニュースを報じるとは到底考えられない。

何らかの意味があると解釈するのが自然だと思う。

日経WEB飛ばし記事とは重みが全然違う。

らくだが、あれはクシュタールに対する「これ以上条件上げた叩き合いするなよ?」という牽制球なのではないか個人的には捉えている。

今日否定はまぁ、様式美みたいなものではないかと。

IR出た後のドカ売りに関しては正直私も良く分からないし、何名かの投資家が指摘しているようにインサイダーチックなフロントランニングである可能性も否定はできない。

反面、先述の通り、既にクシュタールの買収提案ラインには近づいており、実現可能性と時間的価値を割り引いた結果、市場での売却を選んでいる可能性はある。

どの道、今のマーケットでの価格形成TOBの成立可能性は切り離して考えるべきだと個人的には解釈してる。

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