2022-09-30

書店員を辞めることにした

新卒で入った書店を辞めた。

10年働いて、書店仕事自体は好きだし、出会った職場の人は驚くほど良い人達ばかりだった(だから続けられた)。けど辞めた。

小さい時から本が好き本屋バイトをしたりして、労働は本当に嫌だけど本に救われて支えられてきたから本に関われるなら耐えられるかもと思いインターンまでして入った会社だ。

最初に配属された店舗は、都市中心地にある店舗毎日走り回って忙しかった。

大量の品出しと客注と問い合わせとレジを処理しながら、無茶振りしてくるお客様相手営業さんの対応発注時間内に終わらせたり終わらせられなかったりしていたらあっという間に数年が過ぎた。腑が煮え繰り返るような腹が立つお客様もいたし、理不尽クレームには泣かされることもあって辛かったけど、毎朝大量の新刊を目に出来て、自分が並べた本が売れていくのは単純に楽しかった。

幸いにも上司には恵まれパワハラ等も受けることなく、周りのパートスタッフさんにも正社員として尊重してもらいつつ育ててもらったので本当に感謝している。

2020年初め、コロナの詳細がまだ不明瞭だった頃、他社では休業する店舗がぽつぽつ出始めた。

弊社は希望するスタッフは手当を受け休めたが、正社員店舗運営上そんなもの利用出来そうになく(書店はいつでも人手不足だし、初の緊急事態宣言が出るときは異常な忙しさだった)、マスクをしていない人も沢山出歩いてる中で毎日毎日不安と苛立ちを胸いっぱいに抱えながら出勤した。この頃から会社はこっちの命とかはどうでもいいのだろうなという小さな怒りと悲しみが芽生えた。この頃から人手不足自分責任業務が増えていったこもありどんどん苛々が溜まるようになった。

2年前に異動になって店長になった。期待されての昇進ということだったが内情は玉突き人事と上の世代人材不足による皺寄せだろうと推察している。

何せ同期は10人いたけど、3年以内に半分くらいになり、知らない間に辞めてたりしておりほとんど残っていない。同期どころか今会社の中核を担うはずの世代は皆ほとんど辞めてしまっていた。そりゃそうだ。店長だけど手当はないし、給料は上がらないか残業しなければ手取りは18万いかない。残業してはいけない風潮だからタイムカードを切ってから残って事務作業したりしてる。接客業から休みも年間100日弱。元日8時から働いてる。

それでも現場パートさんは、それよりも安い給料時間内に余りにも多くの作業を求められながら働いている。更に上からの指示でやることがどんどん増えていくので、それを説明理解してもらい、ただでさえギリギリ業務時間内に捩じ込んでもらわなければならない。無理を言っているのを承知で、給料に見合わないことを求めているのを承知立場としてやってもらわなければならない。

疲れた

自分も売場担当として作業しながら業績を分析報告してやたらある様々な報告を出し疲弊してるスタッフさんに頼み、辞めるアルバイトを優しく見送り新しいアルバイト教育する。突発的に会議が入るかもしれないので先の予定はあまり入れられず締め作業のために友達からの誘いを断り休みの日にかかってくる仕事電話に起こされ正月GWも盆休みもなく働く。18万に満たない給料で。

こういう業界だと分かって入ったんだから自業自得自己責任だと思う。マネジメント仕事が嫌なだけだろというのもその通りだし、自分なんかよりも頑張ってる人は社にも業界にもいくらでもいて、正社員で働いてるだけマシなのも分かる。何なら日本社会がそういう社会自分よりも労働条件が過酷な人なんていくらでもいる。こんなことで疲れたとか言うのは正直甘えだし努力不足だとも思う。でもも自分は無理だ。

物語や本がないと生きていけないと思っていたし、多少の苦は耐えられると思った。実際そうだったけど自分が変わってしまった。

本を好きなときのまま働き続けたかったけど私の愛が足りなかった。全てを乗り越えられるほどの本への愛。

まだ次の仕事は決まってないけど、10年近く3日以上の休みを取ってないのでとりあえずしばらくはのんびり休みたい。

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