とても悲しく感じると同時に、昔ちょっとだけ高校で教員をやっていた自分は、現在の部活動の仕組みにまた憤りが湧いてきた。
この安全面における危険性について、一人でも多くの人に知って欲しくて今回記事を書いている。
悪天候の中自然の力に大きく左右される競技を敢行したり、ビーコンや連絡機器の管理がなっていなかったりなど、責任者である以上はその辺りは弁解の余地はない。
ただ、常日頃からこの国の部活動制度自体がもっときちんと整えられていれば、このような事故が起こる可能性など元からなかったのではないかと思ってしまう。
大前提としてその日の定時内での業務を終えた後に夜7時8時まで、または土日に終日部活動を見なければいけないし、その手当は土日の「日当」が千円ちょいなどだ。
週休0日など普通だ。
もちろん部活以外の業務ーー授業や授業の準備、テストの作成や200人分の採点、生徒指導、クラス運営、進路指導、受験対策、広報などの他の校務分掌ももちろん山ほどある。
これほど多くの業務を一人の教員が抱えているなんて日本くらいで、国際的に見ても異常なことである。
ただ今回フォーカスしたいのは「部活動の安全面」なので、教員の多忙さについては今回は割愛しておく。
さて私はスポーツ経験なんて高校の時に強豪でも何でもない普通の卓球部に所属していただけで、体育ではなく一般教科担当だったが、赴任して任されたのはサッカー部。
サッカーは一般的な競技ではあるけれども、10代のまだ加減を知らない若い子たちが全力で取り組むのだから、試合も普段の練習も本当に危ない。
だが、ボクシングなど特別な資格が必要な競技でない限りは、毎年誰かが顧問枠に入らねばならない。
たとえベテランのノウハウが必要な危険の伴う競技であっても、例えばその年に前任者が離任すれば、適任者がいなくても誰かがその顧問枠に入らねばならないのだ。
そして実際、素人の私が見ていて、ゾッとしたことが何度もあった。
生徒が過呼吸を起こして倒れた。
生徒がボールで顔を打ち前歯がぐらついた。
こんな緊急時に、スポーツに関して何の資格も持っていない、ただ「教員」をやっているだけの素人が、人命に関わる判断を速やかにしなければならない。
幸い大事には至らなかったが、運が良かっただけだ。
その生徒たちも、私もだ。
引率していた教員たちの中に、どれだけ登山に詳しくて顧問をさせられていた先生たちがいただろうか。
また「ベテランの教員が同行していた」とも報道されたが、私としては「どれだけベテランでも所詮教員だ」と思ってしまう。
授業をしたり、クラス運営をしたりという多種の職務の傍ら、その「片手間」と言わざるを得ない多忙な状況下で顧問をしてきたに過ぎない。
何年登山部に関わっていても、登山を専門にやっているプロではないのだ。
預けさせていいのか。
甲子園などの部活動文化が定着している日本では、なかなか難しいと思うけど。
でもせめて、登山やサッカーなど危険が伴う競技を、その競技に関して無資格の人間に、さらに他の業務で多忙な状況下で監督責任を押し付けるのは、今すぐにでもやめよう。
お金がかかっても、体育の教員を増やしたり、きちんとしたインストラクターを雇うべきだと思う。
「部活動に励む生徒と先生」は青春の一部として美化されがちだが、そこに生徒に対して危険があるのならば、変革が必要ではないだろうか。
この話を「教員になったなら当然のこと」「自分で選んだ職業だから仕方ない」で片付けないでほしい。
学校は子どもの命を預かる現場だし、実際にこのような事故が起こってしまったのだから、この悪しき因襲と環境は一刻も早く改善されるべきだと思う。
ヘレン「アメリカ等の世界レベルの課外活動では確かに教員ではない専門家が付いているケースが多いわ。でも、その教員以外というのがクセモノよ。教員以外ということはつまり部外...