2017-03-31

部活動制度なんてやめよう

春山安全登山講習会登山部の高校生が亡くなったニュース

とても悲しく感じると同時に、昔ちょっとだけ高校教員をやっていた自分は、現在部活動の仕組みにまた憤りが湧いてきた。

部活動」を「ただの教員」が監督すること。

この安全面における危険性について、一人でも多くの人に知って欲しくて今回記事を書いている。

もちろん今回責任者とされる教員かばうつもりはない。

悪天候の中自然の力に大きく左右される競技を敢行したり、ビーコンや連絡機器管理がなっていなかったりなど、責任者である以上はその辺りは弁解の余地はない。

ただ、常日頃からこの国の部活動制度自体もっときちんと整えられていれば、このような事故が起こる可能性など元からなかったのではないかと思ってしまう。

在職中、部活動制度は本当に酷いものだった。

大前提としてその日の定時内での業務を終えた後に夜7時8時まで、または土日に終日部活動を見なければいけないし、その手当は土日の「日当」が千円ちょいなどだ。

週休0日など普通だ。

もちろん部活以外の業務ーー授業や授業の準備、テスト作成や200人分の採点、生徒指導クラス運営進路指導受験対策広報などの他の校務分掌ももちろん山ほどある。

これほど多くの業務を一人の教員が抱えているなんて日本くらいで、国際的に見ても異常なことである

ただ今回フォーカスしたいのは「部活動安全面」なので、教員多忙さについては今回は割愛しておく。

(だが本音ではこちらも世間に知ってもらいたい。)

さて私はスポーツ経験なんて高校の時に強豪でも何でもない普通卓球部所属していただけで、体育ではなく一般教科担当だったが、赴任して任されたのはサッカー部

サッカー一般的競技ではあるけれども、10代のまだ加減を知らない若い子たちが全力で取り組むのだから試合普段練習も本当に危ない。

だが、ボクシングなど特別資格必要競技でない限りは、毎年誰かが顧問枠に入らねばならない。

たとえベテランノウハウ必要危険の伴う競技であっても、例えばその年に前任者が離任すれば、適任者がいなくても誰かがその顧問枠に入らねばならないのだ。

そして実際、素人の私が見ていて、ゾッとしたことが何度もあった。

生徒が過呼吸を起こして倒れた。

生徒がボールで顔を打ち前歯がぐらついた。

生徒がもみ合って後頭部から床に倒れ、一瞬意識が飛んだ。

こんな緊急時に、スポーツに関して何の資格も持っていない、ただ「教員」をやっているだけの素人が、人命に関わる判断を速やかにしなければならない。

幸い大事には至らなかったが、運が良かっただけだ。

その生徒たちも、私もだ。

今回多数の若い犠牲者を出してしまった雪山での部活動

引率していた教員たちの中に、どれだけ登山に詳しくて顧問をさせられていた先生たちがいただろうか。

また「ベテラン教員が同行していた」とも報道されたが、私としては「どれだけベテランでも所詮教員だ」と思ってしまう。

だってあくま教員なのだ

登山専門家ではない。

授業をしたり、クラス運営をしたりという多種の職務の傍ら、その「片手間」と言わざるを得ない多忙な状況下で顧問をしてきたに過ぎない。

何年登山部に関わっていても、登山を専門にやっているプロではないのだ。

そんな人たちに子どもたちの安全と命を預けていいのか。

預けさせていいのか。

教員にとっても、子どもたちにとっても、本当に不幸なことだ。

もう、教員監督させる部活動制度はやめよう。

甲子園などの部活動文化が定着している日本では、なかなか難しいと思うけど。

でもせめて、登山サッカーなど危険が伴う競技を、その競技に関して無資格人間に、さらに他の業務多忙な状況下で監督責任押し付けるのは、今すぐにでもやめよう。

お金がかかっても、体育の教員を増やしたり、きちんとしたインストラクターを雇うべきだと思う。

部活動に励む生徒と先生」は青春の一部として美化されがちだが、そこに生徒に対して危険があるのならば、変革が必要ではないだろうか。

この話を「教員になったなら当然のこと」「自分で選んだ職業から仕方ない」で片付けないでほしい。

学校子どもの命を預かる現場だし、実際にこのような事故が起こってしまったのだから、この悪しき因襲と環境は一刻も早く改善されるべきだと思う。

一人でも多くの人が、現場から見た部活動の現状を知ってもらい、「おかしい」と感じてくれることを願っている。

  • ヘレン「アメリカ等の世界レベルの課外活動では確かに教員ではない専門家が付いているケースが多いわ。でも、その教員以外というのがクセモノよ。教員以外ということはつまり部外...

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