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はてなキーワード: 現実逃避とは

2010-01-23

すごい彼女

 http://anond.hatelabo.jp/20100119221742

 つづき。

 橋を渡って半島に入ると、二車線の道はくねくねとまがってトンネルに入り、そのまま半島の東岸を縫いはじめる。右手に真っ青な海が広がり、その青のまぶしさに彼女は表情を輝かせる。

「ごめん、逆がよかったね。西側からめぐるべきだった」

 助手席の彼女は首を横に振り、徐行して下さいと嬉しそうに言う。速度を落とすとシートベルトを外してシートをまたぎ、彼女は後部座席の右側の窓ガラスに両手をそえ、カーブで揺れる自分をそれで支えて、海の美しさにみいる。

「晴れてよかったですね」

「うん」

 バックミラー越しにはにかんで笑う。こっちのほうがお互いが見やすいかなどと思う。

 夏が過ぎ去ろうとしている半島交通量も少なく、のどか田舎道は岬めぐり巡礼者たちにはおあつらえ向きに思える。都会を離れ、人混みの孤独から離れ、何か嫌なことから離れ、ただただ陽光と、波の色と、緑のあいだを抜けてくる風のことだけを思う。それはとても贅沢な旅であると僕はもう知っているのだけど、彼女はまだそれを堪能してはいなかった。

「窓あけてもいいですか、ちょっと暑いかもだけど」

「ああ、そうですね」

 思いつかなかったとばかりに彼女は目の前のガラスおろしてしまう。そのねっとりとした海風に髪をなびかせて、窓枠を両手で掴む。それでカーブで揺れるのにバランスをとって、いいなあとのどかつぶやく。僕も窓を開けると潮のにおいが車内を舞う。嬉しくなってハンドルとんとんと指先でたたく。

「そういえば、坂田さんって、なんで岬めぐりなんて思い立ったんですか?」

 不意打ち的なふしぎそうな目がバックミラー越しに向けられる。

 どぎまぎするが嘘はつけない。

 視線もそらせない。彼女は仲間だし、知ってもらったほうがいい事ではある。

「あー、長いですよ? それに退屈かも」

 バックミラーのなかで頷かれると、もう逃げ場はなくなった。

東京仕事を辞めたって、話しましたよね? その仕事雑誌作る仕事だったんです」

 へーという顔をするので、軽くため息をつく。

「立派なものじゃないんです、下請けですから。営業用語ではプリプレスって言うけど、今ならDTPかな? その会社雑誌だけじゃなくて、会社案内とか、IR資料とか、パンフレットとかもやっていて雑誌は半分ぐらい、でも雑誌は儲かってなかったと思う」

「どんな雑誌やってたんですか?」

カード会社の全会員に配る旅行誌。その旅行誌でだいぶ儲けていたらしくて、けっこう力を入れていた雑誌だった」

 ついこの間までの事とが、彼方の事に思えてくる。

出版関係やりたかったんです。プリプレスは誌面を作れるけれど、文章も写真自分のではなくて加工するだけ、下請けにしては給料が出ていたから続けられたようなもので、責了前は缶詰になるし、仕事ハードで、それで」

「やめたんですね?」

 得も言えない沈黙が何か責めるように続く。やりたいことを諦めたですね、おめおめと実家の安定した楽な仕事をするんですね? そんな声が聞こえてくる。言い訳する。

カード会社合併したんです、別の会社と。それで会員向けにやっていたサービスを見直すことになって、対象になったのが旅行誌をはじめ定期刊行物で、合理化ってやつで。先方はコスト切りたくて、会社もねばったんだけど価格が安すぎて、雑誌仕事がほとんどなくなって、残るはIR仕事。で、もういいかなって。この業界先がまったく見えないし、この年でこの不況転職もどうかと思うし、親はやくざ仕事はやめて、山形実家を継げってうるさいし。やけばちだったんです」

 それで、やりたいことを諦めて現実逃避

 バックミラーを見るとふしぎそうな顔をしている。

「それでなんで、岬めぐりなんですか?」

「ああ、実は先方に提案してたんです。担当者の方が、いいアイデアないかなって言うので、多いんですそういうの、クリエイティブってあんま垣根ないから。見透かされてたんですかね、出版やりたいの。で、けっこう夢中になっていろいろ調べて」

 彼女は窓枠に片肘をついて海風に吹かれながら、嬉しそうにする。

「こんなすてきですもんね」

 それで救われる。

インターネットやりたいんです。ずっと紙だったから、ネットの双方向性というか、でもネットの事は全然わからなくて、でも紙だと刷るのにお金がかかるけれど、ホームページを作るのってそんなにお金がかからないから作ってみたいと思うんです」

 唖然と言う風体で彼女は口をぽかんと開ける。

「どんなページなんですか?」

旅行サイトです。雑誌みたいに。あちこちまわってそれを記事にする。それでたくさんの人が読んでその旅をしてみたくなるような、そんなサイトがいい」

 彼女は考え込んで、しばらく黙る。

「じゃあ、写真は必要ですよね。もしよければ、写真を撮りましょうか? だって、こんな素敵な景色を撮らないなんてもったいないし、あなたは運転中だし、私以外撮る人いないし、これ撮りたいし」

 僕の答えは明確で、不良資産になってるカメラを処理してくれるなら、嬉しい以上の言葉はなくて、後部座席のカメラ機材を教えた。彼女はわくわくと、すぐにシャッターを切る。それを見た瞬間、その同乗者がすごい才能を持っていることに気づく。嬉しそうに見せられたプレビュー画面をみて、これはすごいと、わかる。


 ■シリーズリスト

 ・女の子ひろった

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 ・これこそ逃避

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 ・すごい彼女

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 ・ふたつ恋した

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2010-01-21

Wikipediaには載っていないうつ病の症状

いろんなことを覚えてない。

鬱が酷ければ酷いほど覚えてない。

  • よく転ぶ

酷いときの症状。

軽くなってからはほとんどない

  • 飲酒量の自制が効かない

現実逃避現実逃避

現実逃避現実逃避

信じられないことに、モテる

男は難あり女に興味をもつの?

2010-01-19

これこそ逃避

 つづき

 http://anond.hatelabo.jp/20100116012129

 逃避ってどんなものかと聞かれれば、いまの僕がそうだと真っ先に挙げる。現実と折り合いがつかず消化ができず、ちいさな軽自動車であてのない旅に出る。これこそまさにと思う、しかも由緒正しい逃避の旅。

 東北都市マクドナルドはひとけがなく、昼時だというのに店員の声が聞こえるのはたまに。閑散とした店内の奥のほうで長居をして、ぬるくなったコーヒー片手にノートPCをいじっているとそんな気持ちが首をもたげる。都会の仕事を辞めて、実家を継ぐことにしたのも半ば投げやりだったし、子どものころから親の仕事を見ていたからと言っても、正直なところ田舎の酒屋の跡取りになることに実感がわいてこない。そんな息苦しさから逃れようと企てたのが日本じゅうの岬を回るという計画で、半月ばかり車を走らせるうちにだいぶ気分が晴れて来ているのだとは思う。

 それでもときどきこんな心地になる。

 これは逃避だって。由緒正しくてもれっきとした現実逃避で、いつか現実に戻らなければならないって。

 山形から秋田青森岩手を回るうちに、日本海から津軽海峡太平洋と潮の色が変わっていくのを見た。押し寄せる波がどこも違うのを確かめた。海からの風を全身で浴びるのは快いものだし、誰もいない岬で砕ける波音に耳を澄ませながらシャッターを押すことがこれほど開放感に浸れるものだとは思わなかった。ずっと続く海岸線の青をただ見つめながら軽を走らせることも気に入るようになった。

 98年式のスズキのポンコツもすっかり相棒の風体で、近いうちに廃車にしなければならないのが名残惜しくなる。使いつぶすつもりで、実家の車庫の奥から引っ張り出してきたのに。

 今日回る予定の岬をチェックしながら、ちらりとPC時計を見る。

(間に合うかな、また帰還は深夜かな)

 僕は同乗者を待っていた。

 昨夜ひろったヒッチハイカー、察するに家出最中であるらしい。雨の夜の国道でずぶぬれになっていた若い女の子で、大阪の友人の家まで行くのだといい、正直なところそれ以外のことを僕は何も知らない。仙台着が深夜になり安宿に泊まらせたが、朝になって大阪へはあなたの車で行くという。

 いわく、あなたは優しくて善良で、こんな幸運はめったにないから、とのこと。

 お金出すから電車で行けばというと、わたしもふらふらしたいのだと言う。

 由緒正しき岬めぐりをふらふらだと言われていい気はしないが、彼女も僕と同じように逃げたい現実があるのだと、そう思うことにする。本当に何も持たずに逃げ出してきたというので、服代を持たせて買いに行かせて、もう三時間はたっている。

(しまったな、何時までに帰ってきて欲しいと言うべきだった)

 これで帰ってくるのが三時になれば、今日の計画は全部おじゃんで一泊の宿泊代が無駄になる。諦めて昼食をとろうかと思ったけれど、一時までは待つことにする。そうやって無為に時間が過ぎていくのは苦痛ではあるが、せっかくはしゃいでいる彼女を見ると、まあ、それぐらいは我慢するかというぐらいの余裕は持てる。

 女の子だからそこまでしてあげるのかと考えて見て、きっと男であっても同じ事をしただろうと思う。

 雨の国道で車に乗せてやり、ヒーターを全開にして、タオルを渡し、コーヒーを飲ませる。それからとりあえず仙台まで送る。きっとやったはずだ。違いがあったとすればもっと遠慮なく事情を聞いて、ツインの同じ部屋に泊まっただろうという事ぐらい。

 ノートPCから視線を上げて考える。

(一緒に行くと言われて連れていくことにしただろうか?)

 それも結論は同じ。

 たぶん僕はその少年助手席に乗せて旅をしただろう。

 結局のところ僕が欲しかったのは道連れの旅仲間で、車で旅する限りガソリン代にそれほどの違いはない。むしろ同乗者が女の子だから生じる諸問題の方が大きいわけで、それが女の子であることによって相殺される。旅の仲間が同姓であればそれはにぎやかで楽しくなるが、異性であれば華やいだ心地になる。

 コーヒーを飲み干したことに気づきレジカウンターに立つ。

 オーダーをしながら、出ていった彼女の事を思う。

「お客さま、おつりです」

 ぼっとしていた。

 そのままコーヒーを貰って、ぼんやり小銭をポケットに入れる。

 やっぱり、撤回

 ひろったのが女の子でよかった、それも彼女で。

 お待たせしましたとの声を聞いて顔を上げたのは一時半をまわった頃だった。

「ぎりぎりになってしまって」

「お帰り、ずいぶんかかりましたね」

 のんきにPCを片付けるはじめながら、ユニクロイトーヨーカドーしまむら、あちこちの衣料品店の袋を抱え、恥ずかしそうに向かいの席に座る彼女をみる。

「なんか、いろいろ迷っちゃって」

 ポケットからお金を出され、余った予算を渡される。

「持ってて下さい。消耗品とかあるでしょうし」

「あ、なるほど」

 緊張ぎみにそれをポケットにしまいながら彼女はいう。

「牡鹿半島ですよね。けっこうぎりぎりですよ? わたし、土地勘あるんです、この辺。行って帰ってこれるかな?」

「あ、日没までに向こうに着ければ、帰りは深夜でもいいんです」

 一瞬意味がわからないと目をしばたかせたが、門限や最終電車などない気ままな旅なのだと思い出して、なるほどと感心する。それからレジカウンターに駆け寄り、遅めの昼食をテイクアウトする。彼女の衣類を後部座席に積み上げ、エンジンをかけると、胸が高鳴った。彼女マクドナルドの包みから僕の分を置いたのを確認して、車を出した。

 仙台から牡鹿半島まではほとんどが国道45号で、松島までは大観光地のど真ん中を行く。それでも松島を過ぎると山間に入り、鳴瀬川を越えるとまた町中を走る。牡鹿半島はその外れにあり、目指す黒崎という岬は両側を大きなふたつの島にはさまれた、珍しい岬になっている。

遠足で行ったんです。釣り客が多かったって印象があります」

 チーズバーガーをほおばりながら彼女は言う。

「多いだろうね。格好のスポットだものね、町からも近いし」

 調べたところ、牡鹿半島宮城県屈指のレジャースポットを形成していて、当然ながら海で楽しむ事には退屈しそうにない。しかし、今日岬めぐり特急の弾丸旅行になりそうで、天気予報を聞く限りは天候には恵まれていた。

「そう言えば、学生さんなんですか? 聞いてなかった」

 何気なく聞いてちらとみると、あっと口を開いて、気まずそうにする。自己紹介さえしていなかった事に気づいたのだ。

「カワシマです。そうなんです。実家から仙台大学に通ってて」

実家?」

「うち貧乏なんです。だから、とてもひとり暮らしをさせるお金はないって、実家から通えるところへ。ひどいんですよ。大学まで片道二時間以上かかるんです、もう4年ですから、慣れてしまいましたが」

 僕はふと気づいて聞く。

「じゃあ、定期とか持ってないの?」

「あ、いまは学校休みだから。定期はいつも一ヶ月定期なんです」

 まずいことを聞いたと、うつむく彼女を見ながら思う。

「でも、聞いて下さい。それでも一ヶ月の定期代が二万円もするんですよ? 二万円です。信じられます?」

 たしかに彼女にとって移動は高嶺の花の代名詞で、閉鎖的な田舎実家から逃げ出すにはヒッチハイクしかなかったのだと、僕は気づく。彼女が言うように運転手が、あまり危険性がなく、安心していられ、自分の望みを聞いてくれるのであれば、これは幸運であると思うであろうし、その幸運に飛びつきたくなる気持ちもわかった。自分の自由になる車がなければ実家に閉じこもっている以外になく、大学実家の行き来に膨大な時間を費やす以上、ほとんどがその移動に費やされたに違いない。牢獄から牢獄へ。あまり遊び慣れていないからはしゃいでいるのだと、気づく。

(あなたに出会ったのは幸運か……)

 それならばと明るくする。

「じゃあ、牡鹿半島楽しみましょう!」

 きょとんとする彼女を尻目にCDをかける。

 こういうのはベタなのがいいのだ。

 岬めぐりが車内に流れた。

 やけっぱちにはちょうどいい。

 ■シリーズリスト

 ・女の子ひろった

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 ・これこそ逃避

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 ・すごい彼女

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 ・ふたつ恋した

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2010-01-12

http://anond.hatelabo.jp/20100112132948

現実逃避の最底辺は

コスプレネットに逃避して逃避先で楽しむ層じゃなくて

耐えられない現実に雁字搦めにされて闘う方法も無く我慢大会を行う層だから

逃避先で楽しむ人達は別に、間違ってないと思う

http://anond.hatelabo.jp/20100112132948

現実って何?

コスプレは一人でもできるでしょ(海外コスプレーヤーを見れば分かる)

ネットコスプレの方が仕事より比重が高いだけでしょうに

自殺未遂を繰り返しながら小説を書きつづけた太宰治現実逃避してたの?

人間関係が嫌になったのを人のステータスのせいにしないこと

コスプレ現実逃避する人、ネット現実逃避する人

コスプレイヤーです。

コスプレをやめた理由は、人間関係

親に虐待されてる人、学校ドロップアウトしてニートしてる人、

三十路過ぎなのに「40になってバイトなくなれば死ぬからいいよ」と嘯くフリーター

登校拒否留年してるのに、コスプレイベントでは長蛇の列で超笑顔の人気コスプレイヤー

コスプレを始めて数年後、親に虐待されている子はまともな定職に就けずにキャバ嬢に(※)、

ニートの人は、借金重ねて(理由は知らない)変な輩に追われつつもまだコス会場に毎週来てて、

三十路過ぎのフリーターは、三十路半ばの新聞配達員になって。

登校拒否の子は、コスプレ風俗で稼いだお金で何万もするコスプレ衣装を山ほど買うようになって。

現実が嫌なら戦わなくちゃダメじゃん、それが出来ない人とは一緒に居るのは辛い。

ただ、傷ついて、ダメになっていく友達を見続けるのは嫌だった。

いくら僕が諭しても、全く聴いてくれなかった。

だから僕はコスプレをやめた。コスプレの仲間から逃げた。

今、僕はサイトを運営している。

でも、周りに居る人はコスプレのときと似たような人ばかりだ。

人気ブロガーと持ち上げられつつも、大学中退ニート歴数年の人。

人気サイトとしてチヤホヤされまくりだけど、現実派40手前で契約の工員さん。

オフ会をたくさん企画して、mixi内では知名度が高いけど、三十路過ぎフリーターの人。

3番目の三十路過ぎフリーターさんが「僕/私からmixiを取ったら、死ぬしかない」と言っていた。

ああ、やはりこの人たちもネットに逃避して、現実を見ようとしていないのかな?

オンラインで交流するならいいけど、オフラインで会うようになって、相手の顔も知った今、

現実逃避する友人の存在が重たくなってきた。

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キャバ嬢が悪いとは言っていない。生活のために望んでも居ないキャバ嬢になることに疑問を覚えるだけで

2010-01-08

ある会話

A「まったくきみは現実から逃避しているのだよ。目の前の習わし、風習、決まり事、自分にとって面倒なすべてのことを否定しては、僕はヒトとは違う、なんて言葉を吐いて優越感に浸っている。君は逃げているだけだ。現実逃避だよ。どうだね、何か反論は出来ないのか」

B「現実を否定するのが逃避だとは誰が決めたのだよ。眼前に広がる常識を疑って何が悪いのかね。むしろ、きみたちは常識を受け入れることによって、自分の頭で考えることから逃避しているんだよ。妥協している。それこそ逃避だよ。現実逃避現実へ逃避しているんだ。”逃避”という言葉について少し考えてみようじゃないか。行動として簡略化した場合、それは本質的には単なるある一方向への移動とみるべきだよ。相対的であれ絶対的であれね。つまり相対的な逃避とは例えばよく使われる意味での現実逃避だよ。”現実”が存在していて自分は立ち往生している。これも逃避として考えられる。つまり現実時間的に進んでおり、相対的に見れば自分が後方に移動して見える。だから逃避だ。だからだね、逃避というのはある一方向への移動として考えられる。ここで重要なのは”ある一方向”という言葉だよ。これはanyではなく特定の一方向だ。しかも面倒だが、其の方向は相対的であるべきだし、ある場合はそうなっている。其の相対性は個人個人の価値観社会価値観バランスによって位置づけられる。ある直線を仮想して一方を物事のあるべき姿、追い求める価値観だとすれば、その逆方向に進むことが逃避である。つまり君は僕が現実逃避しているとおっしゃるが、その逃避の判断基準の底には、無意識的にではあるけれど社会から強制された価値観がでんとたたずんでおらっしゃる訳であるのだよ。僕が現実逃避ではないことを論理立てて説明するには、社会価値観を僕が細かく切り分けてその問題点を明快に説明する必要があるわけなんだが。物事はそうは単純にはいかない。社会通念そのものを否定するのは傲慢というよりは無知だよ。結局僕は自分現実逃避していることを否定できない。それとは逆に僕が君の行為に現実逃避レッテルを貼れば君は比較的簡単にそれを論破できる。その社会的価値観を行使することによってね。社会とは過去から積み上げられてきたものだから、社会価値観であれば、それ自体が肯定される理由となるんだよ。ジャイアンの「お前のものは俺のもの」理論だよ。社会は強者だ。この強権を行使して僕の価値観は否定される。なんということだろう。こうして僕が一生懸命価値観本質を追究しようとしても、いとも簡単に否定できる。ああああああ。なんということだ。なんということだ。」

A「そういった思考が逃避というのだ。君の考え方は、考えるために考えているとしか思えない。答えもなければ対策もなく発展もしない。全く持って役に立たない。」

2010-01-07

頼むから勘弁してください・・・.

現在M2

修論追い込みの時期に少しだけ現実逃避で少しグチをこぼしてみる.

うちの研究室は,「できるだけ大学院生が後輩の指導をするように」ということになっている.(教員が忙しい&大学院生に「ものを教える」経験を積ませるため)

自分B4の時は,M1の先輩がメインで指導,M2の先輩は研究内容が全然違うため,全く指導せずと言う状況だった.

自分M1の時は,僕がメインで指導(去年の今頃は,自分研究就職活動そっちのけで,毎日のように終電近くまで指導していた),M2の先輩は9月以降は指導せずと言う状況.

で,今年.

自分修論もやばいのでそろそろ修論の追い込みに没頭したいのだが,B4の後輩がそうさせてくれない.

M2も最後までB4の面倒を見るのが「当たり前」だと思っている様子.

今までも「基本的には○○くん(M1)に見てもらうようにしてね! 僕も△△くん(B4)と同じように,研究論文としてまとめて提出しなきゃいけないから見てあげられる余裕はないよ!」と何回も言ってきたんだけど,右から左に受け流している様子.

「個別相談を受けないようにすれば良いのに,それができない性格」である自分が悪いのは分かっているけれど,どうすれば僕への相談を諦めてくれるだろう…?

研究する時間がなくなってしまっているので,毎日のように睡眠時間を大幅に減らして研究…というのもちょっと辛い.

2010-01-06

http://anond.hatelabo.jp/20100106085336

女性ですか?

そりゃ女にとってはナンパしてくれる男はありがたいですから好評価になるでしょうね。

ただ、男にとっちゃ女は「遊び」なんですよ。

男からみるとナンパな奴なんてのは遊んでばっかの駄目人間ということになるんです。

身に付けたい力アンケートで男が語学力、女が女子力だったのをみれば解るとおり、男女の違いが明らかですね。

男は本音では異性とは無関係の力が欲しいということがわかる。

もしかしたら、ナンパな男ってのは現実逃避している奴が多いのかもしれませんね。

2010-01-04

氷河期氷河期というけれど

就職氷河期だというけれども、どんな時代であれどんな事象あれ『できるやつはできる。できないやつはできない』

時代の責任にしてしまうのは現実逃避なんじゃないかと思う。

『本来なら採用されてしかるべき人間採用されない。その基準が曖昧すぎる』ってこと。

年配者、、、いや正社員自分達の立場を守ることに固執しているから新規採用がされにくいんだってこと。

この点に声をもっと挙げていくのなら氷河期世代の惨状は今よりも理解が進むと思う。

権利ばかり主張する人間を相手にするかっていったら、やっぱりそうそう相手にされるもんじゃないだろうか。

http://www.asahi.com/politics/update/0104/TKY201001040121.html

鳩山首相の年頭会見(要旨)

 4日の鳩山由紀夫首相の年頭会見の要旨は次の通り。

 【抱負】百年に一度の改革のため、政権交代を実現したが、これからがスタート。正念場の1年と覚悟を決めている。補正予算と本予算を一刻も早く成立させ、国民の暮らしを少しでも豊かにしたい。

 【参院選内閣改造】今、考えることは、予算を成立させ、国民の命を守る政治をすることだ。(参院選の)勝敗ラインを申し上げる立場ではない。(衆参)同日選も念頭に置いていない。内閣改造も一切考えていない。閣僚がコロコロと代わることで、国としての存在感が薄くなる。国益のうえから安易に改造を行う発想をとるべきではない。

 【政治主導・事業仕分け内閣の中に政治家がしっかり働いてもらえるような準備を行う。規制改革、制度改革に広げて事業仕分けをやる。独立行政法人公益法人改革、天下り禁止もさらに徹底する。

 【外交安全保障】普天間(飛行場)移設を解決していかなければいけない。決してムダに時間浪費させるつもりはない。期限を切って理解いただいて結論を出す。(日米安全保障条約締結50年は)大きな年、チャンスとして活用したい。言うべきことを言いながら、信頼関係を高めていく。重層的な形で、日米同盟進化させるのが大事だ。

 【憲法改正政治家だから「憲法かくあるべし」は一人ひとりが持ち合わせるべきだ。私も安全保障以上に、地域主権のあり方を抜本的に変える発想に基づく試案を世に問うた。民主党の考え方をまとめていくことが肝要。与党超党派でしっかりと議論し、与野党との協議で決めていくのが筋だ。

 【献金事件】年末に知りうる範囲の中で説明し尽くした。検察は結論を出し、決着がついた。私自身もなぜという思いがあり、国民ストンと落ちない部分があると思う。国会の中で議論があれば、自分なりに丁寧に答える。(献金の)使い道をどこまで把握できるかはあるが、説明したい。

献金問題、現実逃避モードに入りました。いや全部の分野で逃げまくってるか。

2009-12-27

サイバー経営企画マネージャーになるまで。そして紆余曲折あって

中学日本バブル最絶頂期。テレビに映る大学生社会人世界はそれはそれは華やか。俺もいつかあんな風に遊ぶんだ、と思いつつ田舎の市立中学に通う。高校受験に必要(内申書云々)という理由で、やりたくもない運動部で日々を無為に過ごす。

高校:地元の県立高校に進学。どうやら絶好調だった日本経済に陰りが見えてきたらしい。一応進学校だが田舎なのでのんびりしている奴が多い。適当勉強しつつ、適当部活に精を出す。部活が義務でなくなる(大学受験には内申書は関係ないらしい)と不思議部活で汗を流すのが楽しくなる。そういえば、中学高校と女に縁がない。童貞

大学:親がブルーカラー家計に余裕もないので、浪人せずに入学できるところを選んだ。一度、東京に出てみたくて、地元国立ではなくて東京の私立にした。その選択を許してくれた両親に感謝。世間では、阪神大震災オウム事件と暗い雰囲気が漂い始めた。Windows95が発売されたが一度も触ることがなかった。大学に入学するとすぐに彼女ができた。非コミュの俺になんという奇跡大学ではなんかめちゃくちゃ勉強をした。

就活日本経済どん底。山一証券拓銀破綻した。金融恐慌の一歩手前。MARCH就職先なんてロクなもんじゃなかった。同級生たちも皆が微妙企業就職していった。俺たちは後にロスジェネ世代と呼ばれるようになる。俺はといえばイマイチ無名な外資に滑り込む。大学勉強に励んでいたのが役に立ったらしい。

社会人1年目:最初の配属先の上司リア充全快のコミュ力抜群の人だった。が、人を育てたり指導するのが下手な人だった。おかげで、なかなか仕事を覚えられずに苦労した。このころの人事評価は同期の中でも最下位を争っていたのではないかと思う。現実逃避のために、先輩たちに連れられて毎日飲んでばかりいたような記憶がある。この最初の上司のことは、後に反面教師として意識するようになった。

ネット現実逃避仕事イマイチ不完全燃焼だったころ、PCを買った。Pen2、64MBメモリ、6GBHDD。テレホタイムアナログモデム接続し朝までLoopitでチャット。翌日は寝不足仕事に力が入らない。東芝事件が起こり、2ちゃんねる発見する。ますますネットにはまった。

部署異動:異動先のボス体育会系で面倒見がよかった。細かいところまで指導はしてくれないけど、仕事を丸投げして任せ切ること、部下のモチベーションを高めること、組織を動かすことがうまい人だった。ここでの数年間は貴重だった。次々とふってくる重い仕事をこなすうちに仕事が楽しくなり自信もついてきた。気が付いたら人事評価も同期の中でトップの方までのぼっていた。世間ではネットベンチャーブーム。IPOブームが盛り上がっている。そして、日韓W杯が開催されるよりもずいぶん前にネットバブルがはじけた。失われた10年という言葉流行っていた。このころ付き合っていた彼女結婚

転職:より広い裁量と成長機会を求めてベンチャー転職ストックオプションで一攫千金という下心も。社長とは微妙にウマが合わなかったが、毎年2ケタ成長する売上、どんどん大きくなる組織ビジネスのダイナミズムを間近で感じられる環境に満足していた。とにかくひたすらに働いた。毎晩タクシー帰り、休日も出勤した。会社はいつの間にかIPOを果たしたがストックオプションは大した財産にはならなかった。ライブドア堀江さんが時の人となり第二次ネットバブルが盛り上がっていた。小泉竹中路線で景況感は良かったような気がする。このころ部下の女の子(といっても同い年)に手を出してお互いにラリラリ状態。今考えると社内でもバレていたかもしれない。不倫が妻にばれてプライベートはプチ修羅場。部下の子は会社を辞めた。何をしてもこの罪を償うことはできないと思う。この後、真人間になり部下達の育成に力を注いだ。最初の上司反面教師だった。このころの部下たちは今でも俺を慕ってくれている(と信じたい。)

退職社長意見が合わないことが我慢できなくなり退職することにした。全てのリスクを背負って世間と向き合っているのは彼なのだから、あの会社は彼のやりたいように運営すればいい。意見が合わない以上、引くのは俺だ。ていうか、俺の存在なんか社外では全く無名、社内でも歯車の一つに過ぎない。この後、今に至るまでこの社長は俺にとって反面教師として心の中で大きなウェイトを占めている。株は最後まで大した財産にはならなかったがコツコツためてきた貯金があるので節約すれば夫婦2人で2年くらいは暮らせそうだった。次の仕事のあてもないままに会社を辞めてしまった。なんかアメリカサブプライムローンというのが問題になっているらしい。評論家サブプライムローンの残高は少ないので世界経済に与える影響は限定的とか言ってる。

フリーランス:もともと非コミュで友人知人が少なく、人脈と言えるようなものもなかったが、何人か仕事を回してくれる人がいた。1案件いくら、という感じで個人事業主として仕事をこなしながらお金を稼いだ。報酬は、仕事を回してくれる人がピンハネ済みだが、こんな俺に声をかけてくれることにとても感謝していた。そして毎回、全力で仕事をこなしていき、仕事をくれる人の期待に応えようとがんばった。リーマンブラザーズが破綻したらしい。年越派遣村ニュースには共感も反感も感じなかった。年が明けて所得税計算すると、サラリーマン時代に比べ収入(額面)は倍近く、税金は倍どころじゃない。事業税って何?住民税が2つあるの?国民健康保険高すぎ。上場企業正社員という安定的な地位を捨てたのだから、将来への備えは自分で何とかしなければならない。麻生総理を攻撃するマスゴミとピントのずれた正義を振りまく鳩山邦夫に、日本はもう駄目かもねとかオヤジさいことを考えるようになっていた。ていうか俺もう33か、立派なオジサンだし将来への希望も見いだせなくなってきた。

再就職:昔、一度誘ってくれた中小企業社長がまた誘ってくれた。商売上手なところ、コンプラ意識が強いところ、人の感情に配慮しながら上手に組織を動かせるところが、前のベンチャー社長とは正反対な人なので、ほとんど迷わなかった。ほぼ即断で、その人のお世話になることにした。その会社個人事業主的なメンタリティの人が多く、商売に対して貪欲な人が多い。世間の常識を疑い果敢にビジネスチャンスを切り開こうとする。一方で吹けば飛ぶような存在なので自分たちを一瞬で破滅させかねないコンプラリスクには皆敏感でグレーなことには手を出さない。こんなに前向きに清々しい気分で働ける職場は初めてだ。こんな環境をもたらしてくれた社長感謝。ここに居続けるためには俺も商売人にならなくては。民主党政権を取った。来年の納税額は3百万円を超えそうだが、子供がいない我が家には何の恩恵も無さそうだ。自民党政権のままで緩慢な衰退を迎えるよりは、民主党が急激に破滅させた方が日本の立ち直りは早いかもしれないと思う今日この頃

年の瀬にこの20年余を思い出しながら書いてみた。

2009-12-19

将来の夢考

 http://anond.hatelabo.jp/20091217224219

 つづき。

「やっぱりラオスラオスに決まりです」

「なんでまた、そんなところを」

 ぼくはガイドブックから視線を上げて、うれしそうにする彼女を見る。

 彼女ラオスガイドブックを開き、ぺージをめくりながら、つぎつぎ指さす。

「やっぱりメコン河ですかね。特にこのシーパンドーン、四千の島という意味だって書いてありますし、あとはボーラウェン高原、すごくきれいなところなんです。さっきFlickrでチェックしたら、みんなバイクで。やっぱり取らないといけないですかね、免許

 ぼくはぽかんとする。

「あー、いや、1人あたりGDPとか、総人口とか、交通の便とか、そういうのを調べないと。それじゃあ、観光目的だよ」

観光目的です」

 はっきりと言う。

 彼女のいまの夢は、観光目的ラオス工場を建てるということ。

 一見すると私益と社益の混同ではあるのだが、社益を私益にFIXさせることが出来るようになると、あんがい会社勤めは悪くないと思い始めたようだった。

ラオスをバックパック旅行したいと思っていたんです。でも、それだといろいろ心配しないといけませんよね? でも工場建てて、そこに派遣されれば、全部解決だって気付いたんです」

 なんとも途方がないことをうれしそうに言う。

 確かに製造業生産拠点を東南アジア工場移転しており、その中でもラオスの特に南部は穴場ではあるのだ(北部は中華系が占拠している)。いまは無理でも、3年後ぐらいなら、けっこうよい投資環境が整っているかも知れない。

「ね? いい考えでしょう?」

「え、ああ、筋はいいかも……」

「だから、いまのうちからラーオ語勉強しなくちゃ」

「はあ……」

 こんなことをわざわざ言い出すまでもなく、多くの日本人会社の夢と自分の夢を重ねることにより夢を実現させている。それが出来るようになれば、リスク会社に背負わせたまま自分の夢を実現することが出来る。

 彼女のようにそれがたとえ観光目的であったとしても、それが社益とFIXされれば、そのような夢や情熱を持つことは推奨される。

 ただ、上手く会社自分のつじつまを合わせなければならない。

 そのために同僚と夢を話し合い、共有し合い、仕事をこなして認められ発言力をつけ、いくつものプロジェクトを成功させ実力をつけなければならない。会社が夢を見ないなら、そこに自分ビジョンを植え付ける、たきつける。会社絶望したのなら実績だけ作って、自分を別の会社に高く売りつける。

 なんともたくましい。

 半年ほど前、彼女がしきりに仕事を辞めたいと言っていたのを思い出す。

 もう何度目かの作戦会議のあと、まだぐしゃぐしゃになってぼくのところに投げ出されていない別の案件で行き詰まっているらしく、彼女は言う。

「わたし、もうこの会社やめたいんです」

「え? なんで?」

製造業合わないって思うんです、機械苦手だし」

「はあ」

「それに、子供の頃からの夢があるんです、わたしデザイナーになりたいんです」

 それはよくある現実逃避で、ほとんどの場合上手くいかないことは保証できるのだが、彼女の場合、それが根深いように思えた。

「みんながなりたいものに、生活を掛けてしまうと、とってもつらいですよ?」

「ああ、よく聞く話ですね。競争者が多くて誰もがなりたいところは自然に過酷な労働環境になるって」

作家なんかだと、たいてい仕事を持っていて、作家業が軌道に乗るまではその仕事をつづけるのがほとんどですし。本業年収の倍を作家業で稼げるようになってから、作家業を本業にするなんて、よく聞く話で、それに」

 ぼくは、言うべきか、言うべきでないか迷う。

 それに気付いた彼女は、視線で続きを促す。

 それなりに痛いことではあるのだ。

本業にしてしまっていたときがあったんです、プロカメラマンだったんです、昔」

 ぼくは、彼女に話す。

 進学校に入りながら、大学受験をやめてカメラ専門学校に入ったこと。それから、先輩のつてをつたってプロの端くれになったこと。下積み時代は長くて苦しくて、それでもある分野ではそれなりに認められるところまでは行ったこと。しかし、生活は激務で荒れ果て、収入は底辺に近いところだったこと。

 それを彼女は静かに聞く。

「それで辞めたんです。先行きも暗いし。これをつづけても意味がないって」

 彼女は首を傾げる。

「なんで辞めたんですか? カメラ

「いえ、辞めたのは、カメラで生活することで、カメラは辞めてません」

 ああ、なるほどと彼女は頷く。

「ぼくはカメラは好きだけど、カメラで生活することは好きじゃないって気付いたんです。実際のところ変わらないんです、カメラで生活していようがしていまいが、カメラすること自体は何ら変わらない。それが仕事である意味はないって気付いたんです」

「それで製図屋さんに?」

「ええ、この業界ニッチなんです。みんなきっとずっと製図ばかりしているのは退屈だろうと思うんです。なので高給で、仕事が楽で、専門性が高くて、安定しているにも関わらず、あまり多くの人がなりたがらない」

「でも、趣味カメラをやりたい人にはぴったり」

 ぼくは笑う。

「そのとおり」

 彼女が遠慮がちに聞く。

「どんな写真を撮るんですか?」

「え? ああ、自然が多いですかね。アマゾンとか一度撮ってみたいかなぁ」

 結局のところとぼくは思う。

 誰もが思いつきやすい夢というのは、非常に環境の厳しい実現しても不幸になりやすい夢であると。そこにあるレッドオーシャンを目指すよりは、誰も気付いていない未開のニッチブルーオーシャンを目指す方がいい。

 しかし、そんな南の楽園への道は紆余曲折が待っていて、それを探すためにそれほどハードではない仕事とのダブルスクールをすることは悪いことではないと。むしろ、そっちの方が、自分の可能性が多様になり、レッドオーシャンの血みどろの戦いに振り回されることなく、自分のやりたいように出来るのだと。

 レッドオーシャンの嵐の中では船はコントロールさえ失ってしまうが、誰もいない大海原では、自分が取りたい進路を選ぶことができると。

 そして、多くの日本人はもっと楽ちんな、会社自分の夢を実現させるために、会社自分の折り合いをつける選択をしているのだと。

 いままさに、彼女がしているように。

「というわけで、ラーオ語覚えてくださいね?」

 唐突な彼女言葉にぼくは視線を上げる。

「え?」

「だって、そうですよね? うちの会社ラオス工場を建てたら、製図屋さんも派出所ラオスに作らないと、契約あるんだし。そのときあなたが派遣されるためには、ラーオ語が話せるのはあなただけという状況になっているのが、望ましいんです」

「はあ」

 なんとも、深慮遠謀な話だ。

「しかし、ラーオ語って、なんともニッチな」

「だからこそ、ブルーオーシャン、でしょ?」

 ああ、それでラオスかと得心がいく。ラオスにほんとうに工場が建てられるかどうかはともかく、その夢のために情熱的に生きれるのであれば、それはよいことなのだ。

「計画にはぼくも入っているんですか?」

「え、だってあなたがいないと不便なんです、いろいろと。それに、あなた、わたしのことどう思っているの?」

 伏し目がちに聞く彼女を見て、ぼくはどきりとする。

 さんざんに曖昧だ、曖昧だと揶揄されてきただけに、その曖昧さを維持したいのだということは言えそうになかった。

 彼女は、言葉定義にとらわれやすい。

 たとえば、結婚してもいいというと、結婚ネガティブな面に意識がむき、それはどうかなと思い始める。同じように、恋人になりたいというと、恋人が出来たときのネガティブな面に意識がむく。

 彼女はきまぐれだから、そのきまぐれに、その言葉定義が合わなくなったとき、たとえばその気まぐれには恋人であることが不都合であったとき、その関係性を疎む、という性質があるのだ。

 なので、彼女のきまぐれにいつでもつきあえるように曖昧にしておく。

 これがぼくが彼女とつきあううちに見つけた処世術だったのだ。

 ぼくはとてもストライクゾーンが広く、そして彼女ボールゾーンがおもいっきり広い。

 なので、なるべくそボールに球を投げないように、細心の注意を払う。

 でも、ほんとうのところはそんな他人が作った言葉定義は、いわばレッドオーシャンで、ぼくと彼女だけにしか適用できそうのない、ニッチブルーオーシャンを探したいと思っている。

 それはいったいどういうものなのかというと、それはぼくにも分からず、そのときどきに都合のよいように、彼氏にも、友達にも、相棒にも、変化するなにかだと思うのだ。

 ときには問題を解決したり、ときにはいっしょに遊んだり、ときには恋愛物質に翻弄されたり、ときには抱きしめたり。

 ようはぼくは彼女と一緒にいたくて、いろいろなことがしたくて、そこには好きという気持ちも、愛しているという気持ちも、一緒にいると楽しいという気持ちも、悪ガキのように作戦会議をするのも楽しいという気持ちも、彼女のあらしの側にいるとこっちも活性化するのでうれしいという気持ちも、ごっちゃになって含まれている。

 それを定義する言葉がなくて、言葉曖昧になる。

「ねえ、どうなんです?」

「ラーオ語、覚えます。ひょっとしたら会えなくなる可能性を消しておきたいんです」

「また、曖昧

 彼女は不機嫌そうに眉をしかめた。

(それはきまぐれなあなたに合わせるためなんだけどなぁ……)

 それでも、彼女はよしと意気込み、ラオス工場を建てる計画の推進をはじめる。

 その姿があまりにも眩しくて、ぼくはそれに見入ってしまう。

 彼女の飛躍するような自由奔放なあらしの側にいると、こちらまで、もっと高い理想と夢を追わなければならない気になってくる。

 彼女は停滞を嫌う。

 それがぼくに向くときに、うわ、頑張らなくっちゃとなるのが嬉しかったりするのだ。

(しかし、ラオスか……、途方もないなあ……)

2009-12-17

家族との対峙

 どんなに個人主義自由主義だといっても、家族関係というのは逃げられない最後の砦のような関係だと思います。

 青少年向けの物語って、特にライトノベルとかそうかなあと思うんですが、両親の存在を消すか薄めるか非現実的にするかしないと、なかなか成立しないんですよね。そもそも、物語は親から離れたところで成立するものだと言っても過言ではないかもしれない。

 親から離れるというのは、もちろん自立を促す要素が多分にある。けれども、それが離れるというよりも逃げるといったほうがいいような場合もあるわけで、その場合は現実逃避という評価になってしまうだろう。

 いやー、『紅』という作品を見たんですが、ヒロイン女の子が、最後に家族と向き合う選択をするんですよね。話の大まかな流れとしては、「家」に縛られたお姫様を奪い去って逃避行、自由な外の世界へ、という感じなんだけど、そういう安易な方向で終わらせなかったのは作品の普遍性というか完成度という点で、成功だったのだろうと思う。

 この前、『シャナ』の話で書いたことですが、シャナの3つの名前は、それぞれが彼女の属する位相の異なる価値に対応していて、シャナミクロ日常価値でもマクロな使命の価値でもなく、かけがえのない個人としての選択をしたのでした。

『紅』のヒロイン紫も、それと同様だったということができます。男の子との幸福だが閉じた関係でもなく、「家」のしきたりという与えられた使命にただ従うのではなく、かけがえのない個人紫としての選択をするわけです。この選択のシーンは、シャナシャナとして戦いに赴くときのシーンと見比べると、まったく世界観の異なる作品同士でありながら、まったく同じことが起こっているのがありありと分かります。というより、セリフの内容と言い方というレベルでさえ、同じなのです。

 どちらも、フレイムヘイズやあるいは「家」のしきたりというあらかじめ与えられた使命がスタートでした。そこから、ミクロ日常幸福経験した上で、改めて個人としての選択をするという構造になっています。物語が発動する部分というのは、この、あらかじめ与えられていた、はめ込まれてしまっていた関係をリセットするという部分に求められるでしょう。そして、ゲームリセットと同じように、再プレイしたときには、前よりも上手に、もっと先のステージまでプレイできます。物語の効能もそれと同じで、前と同じ現実に戻ったように見えながら、実は物語によって経験したことを通して、以前とは少し違ったよりよい優しい関係を築くことができるのです。

2009-12-14

現実逃避だよなコレ

うひょー

原稿会社ずる休みしたった!

しかもいつも10冊売れるか売れないかのコピー本

2009-12-13

昨日親父が死んだ

俺今30代で引篭もり歴5年ぐらい

半年前ぐらいに職安仕事を探して職についたが

能力がない事をズバズバ言われたり

童貞だのホモだの健忘だの言われるのが辛くて辞めた

ここ数カ月は誰とも会話らしい会話はない

母親が声をかけてくることがあるがはっきりと返事ができない

時々友人からメールが来るが返信しないので今ではそのメールすら年に1回来るか来ないか

同居の姉がいるが姉からは当然嫌悪されている

母親自分に情けがあるようだ

以前ゴミ出しとか思い荷物持ちを手伝わされていたが

煩わしくなってしまったのか今はもう何も頼んだりしてこない

その母は1年前ぐらいに乳がんが見つかり手術を受けた

途中心臓も患っているのがわかりバイパス手術も受けている

父親は4年前ぐらいからアルツハイマー痴呆症現在は末期で寝たきりの状態だった

昨日の早朝4時ぐらいに母が尋常じゃない様子で「車で病院まで送って欲しい」と起こされたがそのまま寝てしまった

10時頃目を覚ましたら母親から留守電が入っていて「午前5時ちょっと前に息を引き取ったから」との事

悲しくてと言うより情けなくて泣いた

そして母親から12時から葬式で13時半に出棺との事

親戚に合わせる顔がないので行きたくなかった

早朝目が覚め父親の遺体を置いているかもしれないと思い

和室に行くがそこにはいなかった

そこには母がいて御飯準備できていると言ってくれたが

自分の部屋に戻り再度ネット現実逃避

10時頃再び寝る

目がさめたのがさっき16時ぐらい

今思っていること

父親が死んだとかリアリティがないし考えたくない

もう一度父親の顔を見ておきたかった

誰にも必要とされていないしニートの俺には生きていく術もない

母が哀れすぎる

死にたい

2009-12-06

親の金ラバーズ (裏表ラバーズ替え歌)

無職現実突きつけられた私の脳内環境は、

2次という実態のないものに侵されてしまいまして、それからは。

どうしようもなくふけにまみれた部屋の環境

掃除するだけの生活力などが存在しているはずもないので

ツンデレで黒髪でイノセントな嫁をペットにぶちまけた左手の中

どうにかこうにかヒロインの妹を落とすルートをほしがっている、性。

鳴らない携帯見つめて2ch朝鮮Disってウリナラマンセー

現実嫌悪現実逃避で"ダメだこいつなんとかしないと"

どこかにいい職ないかな、なんて真っ白な履歴書に問うよ

自問自答、自業自得自作自演連れまわし、ああああ

ただ黒歴史に触れちゃって、でもやりたいことって無いんで、

不細工で、無職で、ニートで、電話でキョどって鬱になって

どうにもこうにも二進も三進もあっちもこっちも

今すぐ樹海へ飛び込んでいけ!!

もーアラサーなっちゃってー

ヘルス童貞捨てちゃってー

昼にカーテン閉めちゃってー

Amazonで使う親の金!

他人の声に怯えちゃってー

夜中にゲロを吐いちゃってー

もー明日からがんばってよ

働きたくない、ない!!

だれか歌ってくれないかな…(ぇ

2009-12-03

わたしへ

いつも

たよりすぎていないですか

いぞんしてませんか



いつも

こまったことになると

かなしいはんめん

よろこんでいませんか?

たよれるから

たよれるちゃんすができたから

甘えられるから

甘えるチャンスができたから

甘えるネタができたから


依存してませんか?

いぞんしようとしてませんか?

かなしみをネタに 甘えて依存して よろこんでいる? あまえている

まるで

その問題は突然自分にふりかかってきたみたいな いいかたをして

じぶんはふこう かわいそう

そんなのは 甘えです


じぶんのなかみの 結果がそこにあるだけです

すべてりゆうはじぶんのなかに

 せきにんは じぶんじしん




しあわせになりたいとねがうようで

ふこうをよんでるのはじぶんじしん


しあわせの種も

ふこうの種も

まいているのは自分自身


こうどうと

 そして

結果

=周りの状況

をよくみること 観察すること


現実逃避しないで

ちゃんと周りをみれば

わからなくなんてないよ

ふうんだなんておもわない


こたえは

すぐそこにある

じぶんのなかに









わからないようにみせかけて

ぜんぶわかってる

2009-11-30

人間のやる事は総て...。

現実逃避である。

それ逃げろや、逃げろ!

現実からな。死に飲み込まれて朽ち果てるまで!

             〜T/H

ラブプラスやってて、DS割られたとか離婚言われたとか

本当にどーしょーもねー嫁ばっかだな。

旦那に現実逃避ぐらいさせてやれよ。PCエロサイトみたり、二次嫁愛でたりさせたり、オナニーさせてやれよ。

オナニーもしなくなったらおしまいだぜ?

 

子供が生まれて嫁が忙しくなったらセックスレス

旦那は部屋の隅っこに追いやられるか、家事手伝わなきゃならんし、

仕事もしなきゃならんし、大変なんだよ。

そりゃあ、「俺は仕事をしてるんだ、家のことは全部やれ!」と、ひらきなおるバカ旦那は論外だがな。

 

そんな忙しい旦那のオアシスなんだよ。エロゲにしろ疑似恋愛ゲームにしろ。

そこに憩いを求めている旦那を暖かく見守ってやれよと思う。

さすがに、女房エロゲとかやれとは言わんがw

 

だが、2chまとめサイト見たけど、仲良くラブプラスやってる夫婦はいいよな! ナイスだよ。

共通の趣味ってーのはいいもんだ。だが、違う趣味も持つ方が良いとも思う。個人的な経験から言うと。

 

「つかず、はなれず」  これが夫婦長続きのツボだと思っている。

気ままな掌編 4/5 

http://anond.hatelabo.jp/20091128234950から続き

が、直後に球に美樹の瞳から激情が消え失せる。何事かと思った僕は、哀れむかのように眉を下げた彼女にじっと見つめられていることを理解した。

「ねえ亮太くん、もしかして私は分数の足し算引き算から教えないといけないのかな?」

その瞬間、僕の中で何かが切れた。同時に、一瞬目の前が真っ赤に染まった。気が付けば僕は勢いよく椅子から立ち上がっていた。口が勝手に動き出す。

「美樹さ、ちょっと酷過ぎるよ。そりゃ僕は美樹みたいに頭良くないけどさ、さすがに頭にくるよ」

続いて美樹が思いっきり机を叩く。噛み付くかのようにして立ち上がってきた。

「なに逆ギレしてんのよ。本当のことじゃない。こんな問題誰でも解けるわよ。分かんない亮太馬鹿って言って何が悪いのよ」

「そんなこと言ったってしょうがないだろ。ちょっと公式を忘れちゃってたんだから」

「忘れてた? 馬鹿じゃないの。あんな公式一回覚えたら忘れるほうがおかしいわよ」

「誰にだって忘れることはあるだろ。第一、美樹は説明が早すぎるんだ。そのせいで僕は計算の仕方を聞かなくちゃならなくなったのに。何さ。足し算引き算から教えようかって」

「付いて来られないほうが悪いんじゃない。自業自得よ。ほんと考えられないんだけど。どうしてあんな簡単な説明を聞き逃すことが出来るのよ」

「説明だって? あれのどこが説明なんだよ。理解させようって気もなかったくせに。というかね、美樹はいつも一言多いんだよ。今だってそうさ。もっと違う言い方があっただろ」

「私にはね、しなきゃならないことがあるの。別のことに時間かけてらんないの。大体亮太だって――」

お客様

「なに!」

突然横から割り込んできた声に、僕と美樹の声は見事に重なった。

「他のお客様の迷惑になるので静かにお願いしたいのですが」

見れば店長らしきおじさんが、笑顔で僕たちのテーブルの側に立っていた。こめかみの辺りに青筋が立っている。口角がひくひくと痙攣していた。その表情に昂ぶっていた僕の怒りはすぐさま現状を理解して冷めていった。注がれる他の客たちの視線が痛い。とても痛い。涙が出てきそうだった。

「す、すみません……」

そう謝って、僕は静かに腰を下ろした。人前で喧嘩だなんて、物凄く稚拙なことをしてしまった。自分を見失ってしまっていてことも恥ずかしくもなってきた。椅子に座った僕には、ただ縮こまるしかなかった。小さく小さく息を潜めるようにして縮こまって、そのまま消えてしまえばいいと思った。

そんな僕を見てひとまず気が済んだのか、おじさんはくるりと踵を返すと、大きな歩調でテーブルから立ち去っていった。他の客の視線はまだ突き刺さってくる。僕は彼らに向かって心の中で謝った。騒がしくしてごめんなさい。恥ずかしいものを見せてごめんなさい。いや、本当にもう、何と言うかごめんなさい。そしてから――忘れてはならない――ゆっくりと目の前の人物に目を向けた。真っ赤な顔で直立していた美樹は、まっすぐに僕を睨んでいた。

「帰る」

そう言って美樹は、持ってきた資料やレポートを残したまま店から出て行ってしまった。取り残された僕は、激しい後悔に襲われながらも空になった席を見つめることしかできなかった。

――やってしまった……

思いと共に、さあっと肩から背筋にかけての部分が冷たくなっていく。やってしまった。どうしようもないほどにこじらせてしまった。

「どうしよう……」

呟きは落ち着く場所を見つけられないまま宙に溶けていく。

後に戻れないことは明白だった。美樹は真剣に怒ってしまったし、それを引き起こしたのは他ならぬ僕自身だった。

どうしよう。そのたった五文字が重なり合い、大きくなったり小さくなったり、フォントを変えて、斜体になったり、中抜きや色を変化させながら頭の中を埋め尽くしていった。

――どうしよう……

見れば、カップに少しだけ残っていたエスプレッソコーヒーがすっかり冷え切ってしまっていた。二つ分のコーヒーカップ。さっきまで目の前には美樹がいて、一緒に向かい合っていたのに――

堪らなくなって、僕は勢いよく席を立つ。好奇に満ちた視線になど、構ってはいられなかった。美樹が残していった持ち物をまとめて会計を済まし、慌てて外に出た。途端に肌に触れた外気の暖かさにちょっぴり驚いた。店内から見た時は枯れ木が立ち並ぶ路地に北風が舞っているのかと思っていたのだけれど、どうやらそうじゃなかったらしい。頬を撫でる風はどこか温かく、射し込む日の光は思った以上に暖かかった。

僕はいなくなった美樹を探すことにした。

長い付き合いだ、性格はよく分かっていたつもりだった。扱い方も、悪い口のいなし方も熟知していたつもりだった。

それゆえの慢心か、それとも現実逃避を含めたちょっとした気の緩みが油断につながったのか。もしかしたら休日の朝っぱらから、美樹の電話に叩き起こされたのが種火となって、ずっと燻っていたのかもしれない。事の根に潜んでいる根源的な原因は、小さなものがそれぞれ絡み合って原型を留めていないほどに複雑な造形を結んでいた。

それでも結果論として、理由が何であれ僕はあんな風に美樹攻めてはいけなかった。少し頭に血が上ってしまったせいで、我を失ってしまっていた。あの時、瞬間的に僕の中で燃え上がった真紅の灯火は、しかしながら今はもうその輝きを失い、責めあがってくるような群青の水面に変化している。

美樹のことが心配だった。あれで彼女は結構傷つきやすいのだ。ガラス細工のような性格をしているのだと思う。光を透し澄んだ輝きを放つ一方で、一度砕けてしまえば硬く鋭い切っ先をあらわにする。どんな状態であろうとも、他の干渉を拒絶しているようなところがあったのだ。そして僕は、その実彼女が大きな淋しさを抱えていることを知っていた。

(5/5に続く)

2009-11-27

気ままな掌編 1/5

例えば、昼下がりの喫茶店女の子と二人きり、向かい合って淹れたてのコーヒーを飲むのって、結構幸せなことだったりするんじゃないかと思う。冬の柔らかな陽光が射し込む窓際のテーブル席で他愛もないおしゃべりに時間を費やしたり、静かに読書を楽しんだり。あるいは二人して課題に追われる羽目になっていたのだとしても、それはそれでいいような気がする。

同じ時間、同じ空間で、互いの気配を間近に感じ取ることができるのだ。これ以上、どんな幸福を望めばいいというのだろう。個人的な意見になるけれど、他にどんな幸福が存在するのか、僕にはまったく見当がつかない。

きっとそこでは、鳴り響く軽やかなポップス暖房によって心地よく温められた空気を一層朗らかなものに変えている。あちこちに配置された観葉植物は、滲み出る緑に彩られて活き活きと輝いて見える。芳しいコーヒーの香りに満たされたその空間は、何故だか分からないけれど、とても理想的で感動的な幸せで満たされているような気がするのだ。

亮太。何ぼおっとしてんの。早く勉強しなさいよ」

ただ、現実はそうそう甘いものではない。こんな風に、僕が現実逃避のごとく考えてしまう原因は案外すぐ側にあるのかもしれなかった。

例えば今、昼下がりの客もまばらなコーヒーショップで声をかけてきた女の子が美樹ではない他の誰だったとしたら、この何ともいえないやるせなさを感じる必要はなかったように思える。いや間違いなく、絶対にそうだった。もしも、今現在僕と向かい合わせに座っている女の子が、ただ黙々とシャーペンを走らせているだけ美樹じゃなかったのならば、僕は興奮した雄犬のように尾っぽを振りたくって、にこにこ顔で鼻の下を伸ばしていたはずだった。

目を閉じて額に拳を押し当てると、思わずため息が口から溢れてしまう。

――どうして神さまはいつもいつも人間に過酷な試練をお与えになるのだろう。

神仏に対する信心など皆無に等しいのだけれど、どこかでほくそ笑んでいるのであろう大いなる存在とやらのことが異様なほど腹立たしく思えてきてしまった。だって、目の前にいるのが他の女の子だったのなら、僕はすぐにでも時を止めてくださいませと膝を突いて真剣に祈っていたはずだったのだ。あるいは、代償として失うものを提示しながら遜ることも厭わなかった。

……まあ、出せるものは限られているのだけれど。いらなくなったマフラーとか、買い換えなきゃ行けないブラウン管テレビとか、あまり使っていないバイクとか、その他諸々の、あまり必要性を感じない品々ならばいくらでも出せると思う。たぶん。

そんな取りとめのない考えを展開したのは、頭皮に鋭い視線が突き刺さってきているのに気がついたからだった。そっと目を開けて正面を向くと、眉間にしわを寄せた美樹と目が合ってしまった。反射的に、強張った表情の下から乾いた笑いが込み上げてくる。

他にどうすることができよう。ヘビに睨まれたカエルが石のように固まってしまうみたいに、美樹に睨まれた僕は冷や汗を掻きながら嘘っぽく笑うことしかできないのだ。近づいてくる何かから逃れるために。もしくは、これ以上彼女を刺激しないために。

僕と美樹との間に生じている関係性という名のシーソーについて考えてみるとき、いつだって僕は宙高く持ち上げられている。不安に包まれたままどうしようもなく足をぶらつかせる羽目になっているのだ。原因として、そもそもの作用点が美樹のそれと比べて圧倒的に僕に近いことが挙げられるし、彼女がでかでかとアドバンテージと刻まれた分銅を抱えているのも理由にあるのだろうと思う。まったく理不尽だと思う。

意味もなく笑い続ける僕を心底憎んでいるように睨み付けてから鼻を鳴らして、美樹は続けていた作業へ再び意識を戻していった。週末に提出期限が迫ったマクロ経済学レポートを仕上げなければならないのだそうだ。前年のカリキュラムで、レポートに既存の論文トレースが見つかったために、手書きでまとめなくてはならなくなったらしい。最近の生徒は何でもかんでもインターネットコピペで済ませてしまうという教授の嘆きが、そうであるならせめて論文を熟読するぐらいのことはしてくれと、自らの意見レポート製作している生徒にとって見れば甚だ厄介な妥協案に落ち着いてしまった結果だった。視界に入る長い髪を邪魔そうに左手で押さえながら、美樹の大きな瞳は熱心に資料とレポート用紙との間を行き来している。

様子を眺めながら、こうやって黙っていてくれるのなら僕の気持ちも明るくなるのになあと、もったいなく思った。美樹はファッション誌で読者モデルをやってるから、それ相応に、結構な美人ではあったのだ。手足はすらりとして長いし、十分な背丈もある。引っ込むところは引っ込んでいるし、物足りない気がしないでもないけれど、欲しいところもちゃんと膨らんでいる。外を歩けば男性諸君の目を集めることはしょっちゅうだったのだ。同性からさえも、時折潤んだ眼差しを受けることがあった。美樹と一緒に歩くことができる僕は、確かに、傍から見れば多少なりとも羨ましく映っていることなのだろう。自覚がないわけではなかった。友達からは率直に、いいなあ、と言われたこともいくらかくらいはあったのだ。

(2/5につづく)

2009-11-24

安定しちゃってる

http://anond.hatelabo.jp/20091124223559

 私は社会から引きこもって10年が経過しようとしています。31歳にして社会経験全くなしです。

ひきこもりといっても外出は出来るし、買い物もするし、カウンセリングへも通っています。

ただ無職家族カウンセラー以外に話す相手がいません。でもこの事実は大きいと思うのです。

 こういった生活を10年続けてきて、しかも今現在、妙に生活が安定してしまっています。

もちろん親に食べさせてもらっています。父親もあと数年で定年です。財産があるわけでもありません。

それでも危機感は無く、毎日の生活を淡々と過ごしているだけです。

適度に運動をし、意味も無く英語勉強をし、夕食の用意をしたりしています。

日々の生活だけを考えれば、本当に安定してしまっているんです。しかし状況は深刻なんですよね。

 こう書くとただの甘えで、現実逃避しているだけじゃないかと思う人もいるでしょうし、私自身も思う時はあります。

だけど“甘えだ!”だけで済む問題なのでしょうか。

本当に私はどうなっているんでしょう?病気だって言われれば納得できるけど、どうもそうでもなさそうだし。

最近カウンセリングで私は”生きる事に無力なんだ”って思うようになったけど、そうだったらどうしたら良いのでしょう。

2009-11-21

小説を書くことを挫折した。

 色々と自分が嫌になったので、やけくそになって増田で思考を垂れ流すことにした。

 小説を書くことを挫折した。

 前々からそうなる傾向には気付いていた。書くことを全く楽しんでいなかったのだ。やれプロットの辻褄だの、やれ目を引くテーマだの、そういうことばかりを考えていて、シーンやキャラクターを生み出す楽しさを全く感じていなかった。

 短編は何作かつまらないものを完成させられた。

 しかし、長編は結局一作も完成させられなかった。次々に浮かんだ素晴らしき長編アイディアは、執筆に入った途端思いついた当初の美しさが嘘のように無くなり、小説として書いていくにつれただの醜い駄文の山になった。矛盾満載、キャラが不自然、文章の流れがド下手、何よりつまらない。その時点で、もう嫌になった。

 俺はそれを、「このジャンルは向いていなかったんだ」と現実逃避することにより自分を納得させ、諦める度に別のジャンル転向した。推理小説SF、風刺小説メタフィクション、現代物、官能小説ライトノベル。少しでも興味のあるジャンルなら、あれこれと挑戦した。だけど、全部駄目。結局完成させられなかった。

 最後の頼みだった自分の半生を元にした恋愛小説。それも駄目だった。書く途中で破綻している部分が何箇所も見つかり、もうそれで嫌になった。これなら書けそうと思っていたモノすら書けなかった。最後の頼みの綱だったが、書けなかった。

 思えば、俺は何がしたいのだろう。何か、作ることに憧れている。

 高校生の頃、ある作家に憧れ作品を作り出そうと思ったのは良いが、結局は駄目だった。色んな小説を読んで勉強をしたは良いが、全力を出し切れた、書き終わっただけで満足だと思った作品は、一つもない。

 書いていて楽しくない。面白さの定義を考えている内に、何が面白いのかすらわからなくなった。従って、進むべき道筋が見えず、どういう努力をすれば良いのか分からない。分からない。何も分からない。楽しくない。自分妄想を、ことごとく作り出せない。書き終わったとして、あまり達成感がない。自信がない。

 そもそも、俺は本当に小説が好きなのか。好きじゃないから、面白さの定義すらわからないのではないか。

 今分かった。俺は、ただ承認欲求が強いだけなのだ。褒められたい、ちやほやされたい、そういった類の欲望だけで創作を志し、更に言えば創作を続ける根本の理由もそれだけだから、自分の作品の不完全さに絶望し、最後まで書き上げることができない。これではとても絶賛されないからと、途中で諦めてしまう。

 それでいて、小説をやめて今度は絵の道に進もうかと無意識に逃避しているのだから馬鹿馬鹿しい。絵なら小説よりも作り終えた作品の自己評価がもっと客観的にやりやすく、だから成長していくうちに自信を付けていけられるのではないかとか、絵なら小説と違ってネット世界で受け入れられやすいのではないかとか、そういう甘えた考えばかりが頭を占めている。

 デジャブだ。思い起こせば、俺は小説世界にも作曲から半ば逃避して入ってきた。音楽理論ばかりに振り回され、作る楽しみを見いだせなくなり、挙げ句物語世界でなら楽しんでやれるんじゃないかと甘えて、小説を書き始めた。でも、結局は駄目だった。恐らく、絵の道に入っても同じことを繰り返すのだろう。

 それでも、何かの作品を作って賞賛されて、認められたいという欲望は、今現在全く枯れそうにない。

 俺はこれからどうすれば良いのだろう。

2009-11-16

やばいよ

やばいよやばいよ

やばいよやhばいやお

やばいやおよあはいyばいよ

いばいよいばいよいばおいばおいhぼあおy

げんじつとうひがとまrない

tめらなれないとめたくない

現実逃避が止まらない現実逃避がとめられないとめたくないのもうしわけないもうしわけないもうしわけないもうしわけないもうしわけないもうしわけないもうしわけないもうしわけないもうしわけない

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