はてなキーワード: ヴィダルサスーンとは
今から髪の話をしようと思う.
当方,25歳頃からようやく脱オタファッションを始めた化粧っ気のない女である.プチプラコスメを調べたり,基礎化粧品を揃えたり,クローゼットの中身を総とっかえしたりと色々やった.どれもそこそこに楽しく,しかし一方で疲弊し,どこまでいっても不毛感が付きまとった.ただ,ひとつ例外があった.それは美容室に定期的に通うことである.不毛なだけに髪の話.身嗜み中級者~上級者からは「何を当然なことをぬかす」と言われそうだが,ズブの素人的には,ホント,これはよかったなあ,と個人的には感じた.
昔は「クソ伸びたな」と思ってからようやく美容室を予約する,てな通い方だったので,頻度もまばらだった.髪型は適当な一つ結び.前髪は自分で切る.美容室に行く頃にはいつも伸びきってボロボロ.美容室の,磨き上げられた鏡に映る自分の髪型にげんなり.話しかけられるのは嫌だし(話しかけられるたびに作り話で応対し,そのせいで何度も話すと設定ズレが起きる),髪型の指定は難しいしで,なんとなく行きづらくなって美容室を変える,ということを何度となく繰り返した.髪の毛を切った後はいつも憂鬱で,早く伸びてくれることを祈っていた.
打って変わってここ二年くらい,約一か月半周期で美容室通いをしている.「伸びたな」と思う前に予約する.ネット予約ができるタイプの美容室で,値段は当方の居住圏内フツー並.担当美容師はいつも同じ人.最初にショートボブに切ってもらった時に,「一カ月半から二カ月後くらいに来てくださいね」と言われたので,なんとなくその通りに従っている.
よいなあ,と思ったのは以下の点.
・髪質にあったアドバイスをもらえる
担当美容師曰く,「一か月半くらいの頻度で通ってもらえると,前回のカットラインが残っているので,切りやすい」とのこと.毎回同じ髪型だし,髪の延びるスピードだっておおむね一定なのだから確かにそういうものかもしれない.「ちょっと伸びたので,いつも通りに切ってください」で済むのは本当に気楽.
とはいえ例えばたまには「ンンン~?」となることもある.「最近髪型にお悩みはありませんか?」とか聞かれたときに答えて,切ってもらって,その後一週間後くらいに「アラアラアラ」となる感じの.あれ?すっげえまとまりづらくね?的な.個々人のブローの技術の問題なんだろうけど.そういった場合に,次行ったときに「前回はちょっとアレだったんで,次はアレしてもらえませんかね」で伝わるのが気楽.
>・髪質にあったアドバイスをもらえる
切ってもらってるときは,基本的に読書している.切り終わって,流して,ブローしてもらっているときなどに,自分から質問してみるようにしている.例えば今の髪型にあった髪の毛の乾かし方などを,逐一質問して教えてもらう.向こうはプロなので,的確なアドバイスをしてくれる.通い始めて長くなると,「増田さんはこの辺に重みが出やすい髪型なので,乾かしたあとにこの辺を手で押さえて冷やすといいですよ」なんてコメントももらえるように.あと美容師あるあるとか,カット技術のうんちくなんかも教えてもらい,たのしい.ヴィダルサスーンのサスーンさんって元建築家だったんですよ,とか.自分のことを話すのは苦手なので,かわりに質問ばかりするようにしている.
今の髪型はワンレングスのショートカット.気付いたら,昔悩んでいた数々の髪トラブルは消滅していた.
最近はYoutubeでセルフブローの動画もみたりして,自分はなにからなにまで下手だけど,下手なりに多少は前進していて楽しい.てかYoutubeって,美容師向けの動画もたくさんあるんだな,と少し驚き.カット技術は,調べれば調べるほど職人仕事であることがわかって面白い.
コスメなどを勉強するときは,ひたすらに孤独だった.たぶんそれが不毛感の正体だったのだろうと思う.美容室通いは,プロにお金を払って身嗜みのひとつをお任せするということだ.自分に合う美容室や美容師が見つかるかどうかという問題はあるけれど,足しげく通う常連客は,たいてい親切にしてもらえる.美容のアウトソーシングだわね.定期的に美容室に通うという文明を手に入れ,とてもよかった.