2024-11-24

おっさんnobodyknows+ファーストテイクを見て泣く

数日前のこと、Youtube音楽を聞いていた。誰か特定歌手が目当てだったわけではない。

適当音楽動画を開いて聞き、曲が終わったら右の動画リンクに表示されている音楽動画クリックして聞く。そんなことを繰り返していた。

そうして十曲ぐらい聞いた後だったと思うが、気がつくとnobodyknowsの「ココロオドル」の公式MVを開いていた。

ENJOY 音楽は鳴り続ける  IT'S JOIN 届けたい 胸の鼓動 ココロオドル アンコール わかす Dance Dance Dance(READY GO!)

いつ聞いてもノリがよくて楽しい曲だ。そしていつ見てもnobodyknows より女達のほうが映っている時間の長いMV映像意味不明だ。

思えばこの曲との付き合いは長い。もう20年近く聞いている。ただ「ココロオドル」という曲は馴染みが深いがnobodyknowsというグループには特に思入れがない。

自分にとってこの曲はニコニコ動画の思い出と不可分に結びついているため、あまりnobodyknowsの曲であるという感覚がない。

いや、正直に言えば「ココロオドル」は好きだが、nobodyknowsは好きではなかった。

別に何かはっきりと嫌いになるような理由があったわけではない。自分は彼らのライブに行ったこともなく、人間性も知らない。

じゃあなぜ毛嫌いしていたか理由は単純で彼らがヤンキーだったからだ。といっても、彼らが本当に不良だったのかどうかは知らない。たぶん違うだろう。

彼らはヤンキーといっても、反社会的勢力とかではなくて、今でいうところのマイルドヤンキー若者版という感じだった。当時はマイルドヤンキーという言葉はなくて、こういう若者のことをB系と呼んでいた気がする。

nobodyknowsだけじゃなくて、当時のHIPHOP界隈はほぼ全員このB系だったと思う。はっきり言うと自分は彼らのことを嫌っていた。見下していた。自分人生とは関係がない人たちとみなして関わらないようにしていた。

自分ヤンキーいであることを差し引いて考えても、彼らはみんな同じような格好して、同じような歌詞ばかり書いて、同じようなツレと女と車の話ばかりしていて、HIPだHOPだと言ってるくせに、自分たちが一番型にはまっているのがダサいと思っていた。

まあ、それはともかく、「ココロオドルはいい曲である。Nobodyknowsにあまりいいイメージをもっていない自分がずっと好きなんだから、逆説的にそれだけ曲がすごいとも言える。

それで「ココロオドル」を聞きながら、何の気なしに動画コメント欄を見ると、やたらと「THE FIRST TAKE」に関するコメントが多いことに気づいた。

どうやらnobodyknows+が「THE FIRST TAKE」に出演したらしい。しかも、非常に評判がよい。THE FIRST TAKEを見て「感動した」だの「泣いた」だのそんなコメントであふれていた。

(知らない人のために説明すると「THE FIRST TAKE」というのはYoutubeチャンネルを持っている音楽番組のことだ。特徴としては一発撮りであるということ。つまり、歌の途中で間違ったり、発声いまいちだったりしても、リテイクはなしで、そのまま動画にして公開する。そういう番組であるもっとも、自分も星街すいせいが出演したときニュースになっていたな、ぐらいの知識しかないので、あまり偉そうなことはいえない)

自分にはそのコメント理解不能だった。ココロオドルはいい曲だが、彼らのTHE FIRST TAKEを見て何を泣くことがある。

画面右を見るとリコメンド動画の一番上に、その「THE FIRST TAKE ココロオドル」回の動画があった。だからせっかくだから見ておいてやるかぐらいの気持ちクリックした。

動画が始まると、画面中にゆるい恰好をしたおっさん達がぞろぞろと出てきた。このおっさん達が20年ほど歳を重ねたnobodyknowsだった。かつてのB系ボーイはおっさんになっていた。おっさん達はマイクテストをやり始めたが、声も20年分歳をとっていた。

これ大丈夫かな、とちょっと心配になったところで、もう何度聞いたかからないあの歌がアカペラで始まった。

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そしてどうなったか

やばいくらい感動したね。

動画が終わるころには涙が流れてたもん。

なんなんだろうこの涙は。いい年したおっさんが、なにを泣くことがある(よく考えると自分おっさんになってたわ)。

いやあ、言葉ではうまく言い表せないが、信じられないぐらいかっこよかったね。

聞いてるうちに自分脳内で、20年分の日々がフラッシュバックを起こしていた。といってもあまりいい思い出はない。悪い思い出もあんまりない。とりたててどうこういうことのない20年だったが、とにかく自分フラッシュバックの海の中で泣いていた。

考えるとこれは少し不思議なことだ。というのも、自分は先ほど若いころの彼らが歌うココロオドルを聞いていたのだ。その時はこんなふうに歳月を思い泣くことはなかった。なんなら薄ら笑いを浮かべながら、ベビースター食ってたぐらいだ。

仮に若いころの彼らがファーストテイクに出ていたとしたら、自分特に何も思わなかっただろう。

中年となった彼らの歌うココロオドルからこそ、より強い喚起力を持っていた。彼らが超えてきた20年の歳月が歌といっしょに押し寄せてきたかのようだ。

ただのおっさんノスタルジーじゃねえかと言われると、否定はできない。

ただ、この良さはちょっと、そういうノスタルジーみたいなもんだけでは片づけられないと思うのだ。

そういう懐かしさとは別に、誰が見ても感動できるような、普遍的な良さがこの動画にはあると思う。

それは、つまり、かっこいい大人を見たことによる感動だ。

この動画のnobodyknowsは魅力的である。余裕があるというか色気がるというか、いい感じに丸くなっている。若いころのギラギラした感じがなくなっている。

それはある意味では、恐れ知らずの若者マイルドヤンキーになってしまったともいえるわけで、人によってはこれを老化・退廃とみるかもしれない。

だが、自分には好ましいものとして映った。昔に比べたら、当然、容姿は衰えているというか、年相応に老けているんだけど、逆に魅力が増していると感じた。

こんなふうに思ったのは自分だけではないようで、ファーストテイクのコメント欄を見ると若いと思われる人から、「大人もいいもんだと思った」とか「大人になっても面白いことはあると思えた」というコメントが多くついている。

それにしても、かっこいい大人を見たのなんていつ以来だ。ちょっと見ないぞ。少なくともここ10年は見ていない気がする。もっとかもしれん。

もちろん、彼らはシンガーとしての実力と経験があるからかっこいいわけで、普通おっさん普通に立っているだけでかっこいいわけではない。

よくよく考えてみれば、彼らも急に20年分年をとったわけじゃなくて、この20年歌ったり、仕事したりなんやかや喜怒哀楽を刻んできたわけだ。

客をわかせて、自分たちも楽しんで、そんなことを続けていたのだろうということが動画からも伝わってくる。まさに呼応する心響き続けるだ。

動画を見て、少し悔しいとも思った。

ヤンキーと見下していた彼らのほうが、はるかにかっこいい大人になっているじゃないか。それに比べて、自分はこの20年、何をやっていたんだ。

かっこいい大人になること。本当はそれはテメーが自分でやりたかたことじゃなかったか

動画を見ていてそういう悔しさも滲んできた。

ただ、勘違いしてほしくないが、動画を見て流した涙は別に悔し涙ではない。

純粋に感動の涙だ。

なんていうか、この動画のnobodyknowsって見ててすごく楽しそうなのよ。

素人が偉そうなこと言うようだが、音楽を楽しんでいる感じとでもいうのだろうか。

特に中盤、歌詞を間違えてから、みんなが笑顔になって、そこから一気にあげていくのが、本当にかっこいい。

元々のココロオドル自体が聞いていると楽しくなる曲ではあるのけど、彼らが心底楽しそうに歌っていると、なんの関係もない自分もなにか嬉しくなってくる。

自分は初めてココロオドルという曲が心で理解できたように思う。きっとそれには20年の月日が必要だったのだ。

20年前この曲を作ってくれた、nobodyknowsに感謝20年歌い続けてくれた彼らに感謝。そして20年後にかっこいい大人の姿を見せてくれたnobodyknowsにも感謝である

というわけで、かつて若者だった現おっさんや現おばさんはTHE FIRST TAKEココロオドル」を一度、見てほしい。いずれ、おっさんやおばさんになる現若い人にも見てほしい。もちろん、それ以外の年よりやガキも見て損はない。

みんなが自分と同じように感動するとは思わないけれど、少なくとも音に乗り泳ぎ続けることはできる。そういう名曲なのだ

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