2019-07-22

「Design of Family」のための国の助成制度

生殖医療の現状について、現行の制度がどのようになっているか調査してみました。自身が30代半ばの社会人という観点から、調べた感想講義の内容を含めて述べます

1.はじめに

 私の住む茨城県の県北地域は、常陸太田市の様に子育て支援の充実度をPRする自治体が多い印象です。

http://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/data/settle/16/ )

実際、私自身は子供が二人いるので、いばらきKidsカードhttps://www.kids.pref.ibaraki.jp)のようなサービス存在は、非常にありがたいと思っていますファミリーレストラン子供用のジュースサービスされる程度ではありますが、あるとないとでは大違い。ジュースがあれば子供は泣き止みます

 これらはあくまで、産まれた後の話です。では、その前の段階である妊娠出産に関してはどうなのか。子育て支援大事ですが、子供が産まれないことには始まりません。ということで、妊娠出産に関して、国がどのような制度を設けているのか、また、自治体がどのような考えを持っているのか、調査してみようと思いました。特に今回は、東京大学大学院講義「問いを立てるデザイン」(尾崎マリサ准教授)内で生殖医療の現状に関して講義を受けた後ということもあり、不妊治療に関して掘り下げることとしました。

2.不妊治療制度

 茨城県不妊治療助成事業に関する説明は、いばらき結婚子育てポータルサイト記載がありました。( http://www.kids.pref.ibaraki.jp/kids/birth01_1_1/xs=_.RoYzvWEN82T/

上記ウェブサイトによると、

対象となる治療

体外受精,顕微授精

体外受精・顕微授精の治療ステージ助成対象範囲

http://www.kids.pref.ibaraki.jp/~kids/kosodate/birth/birth01_1/stage.pdf

助成内容

(1)助成限度額

  1回目:30万円

  2回目以降:20万円

  男性不妊治療を行った場合上記+初回30万円(以降20万円)

(2)助成回数

  初回申請時の妻の年齢が39歳まで:通算6回

  40〜42歳まで:通算3回

  ※43歳以降に開始した場合助成対象

対象

以下の全ての要件に該当している方が対象

(1)治療開始時に法律上婚姻をしているご夫婦で、夫又は妻のいずれか一方が県内に住所を有すること

(2)治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満であること

(3)申請日の前年(申請日が1月から5月場合は前々年)の夫婦合算の所得額が730万円未満であること

(4)茨城県指定する医療機関において実施した治療であること

申請手続

治療終了から60日以内(治療終了とは、妊娠または医師の判定による)

指定医療期間

茨城県10箇所(水戸市内2箇所、つくば市内3箇所)

市町村不妊治療助成事業

茨城県では各自治体も独自助成を行っています

http://www.kids.pref.ibaraki.jp/~kids/kosodate/birth/birth01_1/2019hunintiryouhijyoseijigyou.pdf

3.所感

 不妊治療制度のもの厚生労働省主導の事業なので全国共通と思われるが、調べて一番驚いた点は、所得額の観点から共働きで夫・妻ともにバリバリ働いているような家庭は、助成が想定されていないという事実です。また、講義中でも述べられていた通り、助成を受けられるのは、結婚している場合のみであり、同性のパートナーのようなケースはそもそも想定されていないことがわかります

 上限年齢を見ると、講義でも述べられていたリミットの44歳前後対象上限となっていますしかし、妻の側の年齢上限が設定されているにも関わらず、男性側の年齢上限が特に規定されていない点も、講義を聴いた後だからこそ、違和感を覚える点です。講義で述べられていた値をそのまま書くと、不妊の原因の4割が男性起因とのことで、その一因が女性の側と同じ年齢にあることは容易に想像できます

 一方で、助成対象範囲内に胚凍結が含まれていることから若いうちに予め卵子精子を凍結し、その数年後に不妊治療を受ける、といった形は、選択可能な様です(結婚していることが前提な様だが)。

 日本はこれから人口が減るわけですし、出産子育て問題は、これから日本社会をどう構成していくかを考えるうえで大きな課題個人的には考えています。将来、自分の子供たちに負担を強いることになるわけですし、それは避けてあげたい、と親なら誰しも思うはずです。幸い、私の住む茨城県の県北地域は、保育園の数も多く待機児童が少ない印象で、共働き家庭にも子育てがしやすい印象です。物価も安いですし。

「問いを立てるデザイン」内の主要なテーマひとつであった“多様性(この場合は多様な家族)に寛容な社会”のためにも、もう少し多くの人が取り入れられる助成制度に変わっていくといいなというのが、今回制度を調べた後に感じる正直な感想です。

以上

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