■迅雷について私が知っている二、三の事柄

• 迅雷とは

  迅雷 (Xunlei, Thunder) は、中国広東省深セン市のIT企業迅雷網路が開発したダウンロードマネージャ(ダウンロードソフト)である。ある種のP2P的な方式と通常のダウンロードの方式とを組み合わせて、様々なファイルのダウンロードサービスを提供する。P2P的な方式を採用するにより、いくぶん高速なダウンロードを実現する。

  迅雷網路は迅雷のダウンロード方式をP2SPと呼んでいる。
  この記事の内容は、P2SP方式とはなんぞや?という想像の話である。

• 迅雷を触ってみる

  迅雷を起動すると、迅雷の話題の動画の画面が表示される。そもそも動画サイトの動画ダウンロードクライアントであったため、その経緯から考えれば自然な作りではある。
  しかし、先に引用したwikipediaの迅雷の日本語の項目の説明文にはそのあたりの説明がなく、Wikipediaの記事から受ける印象とは少し異なる。
  初回起動時の設定画面において、ブラウザに迅雷用の機能拡張を追加するように強く勧められる。これらを導入すると、ダウンロードリンクを踏むたびに迅雷が立ち上がるので、かなりうざい。
  「迅雷口令」というフォーマットのダウンロードリンクはこれらがないと使いこなすのが面倒そうだが、「迅雷口令」というフォーマットのダウンロードリンクを見たことがないので、個人的にはブラウザ機能拡張は要らないと思う。
  説明が後になったが、「迅雷口令」とはbittorrentでいうところのmagnetリンクみたいなものであるようだ。
  筆者は日本のネット環境で迅雷を使っているため、通常のダウンロードでP2SPとやらの恩恵は受けられそうにない。ある程度のpeerが周囲にある場合は効果があるのだろうが。
  
  また、有料会員への入会を勧められる。有料会員になると高速ダウンロードが可能らしい、私は動画を落とすつもりはないため、初回起動時に「どうせ、動画のダウンロードが早くなるだけだろ」と思っていた。それはそれで正解なのだが、どうやらそれ以上のサポートがあるらしい。詳しくはbittorrent機能編で。

• 迅雷のbittorrent 機能について

  私は迅雷の回し者ではないのだが、とりあえず誤解を解いておく。
  迅雷はpeerのデータのダウンロードだけして、決してアップロードしてくれないというデマがあるが、実際はそうではない。

  • スクリーンショット:接続してきた迅雷を捕捉してカウンターでデータを貰う
  • スクリーンショット:逃げられる直前
  • スクリーンショット:一方的に奪うことも可能

  
  さて、迅雷でTorrentファイルを落とす場合は、他のbittorrentクライアントと同様に"*.torrent"ファイルをドラッグすれば良い。このあたりはμTorrentと何ら変わらない。なお同時最大ダウンロードは20までとなっている。
  ところがμTorrentと異なり、Trackerサーバーを追加する機能がない。まぁ、Transmissionにも見受けられない機能なので、その機能がないだけで迅雷を叩くのもどうかと思うが。
  で、迅雷でtorrentファイルを落とし始めると、torrentファイルごとに掲示板が付いている。ところが迅雷の利用者はbittorrentの仕組みを理解していないのか「慢!(日本語で「おそい」)」という書き込みを、ちらほら見かける。「田舎に帰りたい」という独り言も見たことがある。
  
  話がずれたが、ダウンロードの仕組みとしては、最初の"*.torrent"ファイルに記載されたTrackerサイトにscrapeしに行く。迅雷のサーバーに常時接続しているのだが、こちらにも問い合わせを行う。あれっ?と気付いた方は健全である。迅雷クライアントはTrackerサイトに自身を登録しないのである。代わりに、迅雷のサーバーをSeedとして登録する。なんという迷惑行為。ターゲットとなっているTrackerサイトは確認できる範囲では http://tracker.torrentyorg.pl/announce のほか、複数箇所を汚染しているようである。
  ここからは憶測となるのだが、迅雷のサーバーに接続してきたpeerのうち、十分なデータ量があるpeerを迅雷クライアントに紹介している模様。つまり、迅雷のサーバーがTracker代わりでもあるのだ。ただし、迅雷のサーバーに迅雷以外のbittorrentクライアントは接続できない。
  そして、有料会員である場合は、迅雷のサーバーがクライアントの代わりにデータを収集してキャッシュするらしい。このキャシュサーバーこそが、こちらが幾らデータをアップロードしてもずっと0.0%表記で、相手からデータを奪えない悪名高いpeerの正体らしい。
  迅雷のサーバーの理屈からすると、迅雷のサーバーのキャシュデータにアクセスできるのは有料会員だけなので、それ以外のpeerにはダウンロードさせない、ということなのだろう。いや、迅雷が生成したデータならともかく、人のデータでなに商売してるねん!と思う。
  
  1時間まるっきりデータをダウンロードできなかった場合、ダウンロードは自動的に停止状態となる。この時表示されるエラーメッセージには、確認できたものとして2種類あった。

  • Bt子任務下載失敗

    どうやらpeer自体が見つけられなかった場合らしい。

  • Bt链接失敗

    peer自体は見つかったものの、接続できなかったらしい。

  ていうか1時間で切れちゃうので、夜通し起動させておくことが出来ない。これは、迅雷ネットワークのピーク時間にも関わることとなる。あくまで個人の使用感として、深夜もしくは人々が外出する時間帯は、迅雷クライアントの稼働率がガッツリ下がっているようなのである。あくまで個人の感想としては、快適につながりやすい時間帯は夕方から夜間である。
  
  あと、非課金ユーザーとして数週間、迅雷を使用して分かったのは、非課金ユーザーと有料会員は接続しないように操作されている可能性があるということ。でなければ、P2Pサービスであるので、非課金ユーザーが有料会員のpeerに接続した状態で有料会員が会員向けキャッシュデータを受け取った場合、非課金ユーザーにもキャッシュデータが流れて行ってしまう。それでは有料会員の有利性が崩れてしまうことになる。
  
  話を少し戻して、迅雷のクライアントはTrackerサイトに自身をエントリーしないという話をした。このため、世界最大のシェア率を誇るはずのXunlei(迅雷)と遭遇することは非常に稀で、あちらから接続してこない限り出会う事は無い。前掲のスクリーンショットのように、出会った場合はカウンターでデータを受け取ることもできるが、逃げ足が速い。
  
  で、結論として、非課金ユーザーとして迅雷を使うメリットは日本のネット環境では微妙であるということ。
  非課金ユーザーと有料会員は接続しないのであれば、別のbittorrentクライアントで積極的にXunlei(迅雷)の有料会員からデータを受け取るほうがまだマシであると感じた。

Permalink | 記事への反応(1) | 21:03

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