■Coinhive問題の違法性はどこにあるのか？

この問題に関して「xxという観点から問題はないです」という無罪派のエントリーはたくさん見かけるし、自分もそれにほぼ同意してるんだけど、それらエントリーにブコメで「いやダメでしょ。なんで合法なのかなぁ」的なことを書いてる人もそこそこ見かけているわけで、でも彼らが少ない文字数のブコメ内で論拠をちゃんと示してくれていることはほぼ無く、自分としてはどこに違法性があるのかを本気でわからずにいる。一例をあげると、

この件については憤ってる技術者が何に憤ってるのかほぼ理解できない。日本人技術者なら変なことはしないだろうと信頼してたが、実際のレベルはバックドア仕掛ける中国と変わらんわ http://b.hatena.ne.jp/entry/365915261/comment/arrack

どこらへんがバックドアと一緒なのかが全然わからない。この反論になってない反論が俺には理解できない。

人んちに勝手に上がって電気使ってご飯作るようなもんだろ。マイニングを肯定するハテナーが多いが。 http://b.hatena.ne.jp/entry/365915261/comment/hammam

侵入してないので「上がって」はいないし、そもそもクラサバモデル自体、クライアントに対して確実に電気の使用は強いるものであり、ある意味では「人んちの電気」を使わざるを得ないので、この例えが何を言いたいのかがよくわからない。

んでちょっと、自分の頭の整理も兼ねて、ブコメやTwitterで見つけた「xxだから違法」という主張を少しまとめてみつつ、それらへの反論を書いたりしてみる。反反論が出てきたらいいなというか、「無罪派」が散々エントリー上げてるので、有罪派の人もエントリー上げて主張してくれると議論が深まるんだけどなという期待を込めている。

主張1：ユーザーの同意を得なかったから違法である

• よく見かけるし、今回神奈川県警も同意を得ているサイトは摘発しなかったとニュースには載っていた。
• しかし、クライアントに何を強いる場合に「同意を得る」必要があるのか、法的根拠が不明確に思える。
  • CPUに負荷をかけることに対して、であれば、Coinhiveではなくても負荷が高いウェブサイトは多数あるはず。この論理でいくと、極論誤ってリソース負荷が高いJavaScriptをバグで作ってしまったら逮捕されることにもなりかねない。
  • クライアントPCのリソースを活用して対価を得る行為に対して、であれば、いわゆる「広告と何が違うのか？」になる。広告も少ないとは言えPCのCPU、メモリ、ネットワーク等々のリソースは使わせてもらっている。他にもユーザーのPCリソースを使って何らかのスクリプトを動作させ、それが間接的に収益を生む仕組みはマイニングに限らない。
• とはいえユーザーの心情を斟酌する意味ではは同意を得るのが望ましいと、個人的には思っている。

主張2：ユーザーのPCに不正な負荷をかけているので違法である

• 先述の通り、それであるならば、CPU負荷が高いJavaScriptをページに埋め込んだらそれは違法なのか？という話になる。
• またCoinhiveがかける負荷は設定可能であり、基本的には余剰リソースを使用してマイニングを行うため、他のPC操作に影響を及ぼすほどの負荷にはならない。

主張3：広告と違い、気付くことができないので違法である

• 出典は毎日新聞（ https://mainichi.jp/articles/20180612/k00/00m/040/150000c ）。違法であるというか、立件に踏み切った根拠として挙げている。
  • これ文意が正直わからない。何に対して「気付くことができない」って言ってんのこれ？スクリプトが動くことに対して？でも大抵のスクリプトは気付かんよね。お金稼いでることに対して？確かに動画はわかりやすいお金稼ぎの仕組みだけど、気付かず金稼いでる仕組みなんて他にもあるよね？
• 「気付くことのできない」スクリプトの動作は、おそらく「気付くことのできる」ものよりも多いと思われ、気付けないスクリプトは違法であると言われると、ちょっとどうしたらいいのかわからない。
  • 有名どころではFacebookにログインしたまま、Facebook外の「いいね！」ボタンが設置されたページを見ると、そのページを閲覧した情報はFacebookに送られる。
  • この仕組みは間接的にはFacebookの収益につながるわけだし、こういう仕組みを「気付かない」人も多いと思うけど、では違法なのだろうか？

主張4：広告と違い、拒否できる仕組みがないので違法である

• 出典は同じく先程の毎日新聞の記事。
• この主張は本当にわからないんだけど、広告を拒否できる仕組みって何？AdBlockとかのこと？でもそれデフォルトの仕組みじゃないしねぇ。

主張5：利用者の意図しない動作をCPUに対して強いたので違法である

• http://b.hatena.ne.jp/entry/365933688/comment/rascalrascal とか。
• これは結構真面目な話わからないのだけど、自分が所有する財産であるPC、その内部にある各種計算リソースに関して、その利用券はすべて所有者に帰するというのは法的な根拠があるのだろうか？　財産権のような形で？
• しかし先述の通りクラサバの仕組みではすべてがすべて「意図した動作」を自分が所有する計算リソースに対して実行させられるとは限らない（まぁスタンドアローンでもそうか）。むしろ知らないことが多い。
• だからといって何をしてもいいわけではないだろうが、ではどのようなケースが「他人の計算リソース利用権を不当に奪った」と言えるのだろうか。そしてセーフであるケースは、何故にセーフと判断されるのだろうか。その線はどこに引かれるのだろうか。

今のところこんな感じだろうか。繰り返しになるだろうか、倫理的、心情的、道義的にNGかどうかという話はどうでもよくて、注意喚起ではなくいきなり逮捕に至るほどの法的根拠、違法性がどこにあるのかを気にかけている。こんなもん社会的コンセンサスないし許されないだろという気持ちには同意するにしても、違法かどうかは別の話である。

コメントやブコメがもしも入ったら追記するかも。

Permalink | 記事への反応(3) | 23:28

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