ここ数年でいろんな作品にハマってきた。大学生になり、それまでと違って使える時間もお金が増えたこともあってゲームもイベントも沢山参加していた。
しかし、その作品たちの多くに浮上してきたもの、それが構図のトレス疑惑や素材等の著作権違反問題だ。
まず1つ目は刀の擬人化。ゲーム内のアイコンに全くの他者が作った素材をトレスしたものを使用していた。これに関しては公式側から謝罪があったが、更に一番大好きなキャラ二人の立ち絵にトレス疑惑が浮上していた。「刀の持ち主の流派の写真を参考にしただけではないだろうか」と心のどこかで思っていたものの、マイナスのイメージが一度でも付いたキャラを好きでいることに後ろめたさ、心苦しさを感じる様になり、段々ログイン回数が減ってそのまま離れてしまった。
2つ目、数字をモチーフにしたアイドルグループが活躍するジャンル。ある時、キャラクター達が某有名アイドルジャンルのキャラクターの外見や性格などの設定を丸パクリ、あるいは継ぎ接ぎして作られていること、またゲーム内カード絵、CDのジャケ絵などの構図がその他様々なジャンルの構図をパクっていることをかなり辛辣な言葉で指摘しているアカウントを見てしまった。そのいわゆる「ラレ側」には、今までハマって来た作品がいくつもあった。そこで気になり始めてしまい、作品アンチのアカウントを覗くようになった。「いくらなんでもそれはこじつけだ」と思う意見もあれば、「言われてみれば確かに」と思ってしまうような意見もあり、「自分はこの作品を好きだと胸を張って言ってはいけないのではないか」とどんどん暗い気持ちになってしまった。それからは1つ目の作品の時と同じようにログイン回数が減っていった。この頃「ラレ側」の作品の一つにもかなりハマっていたことも在り、その作品を好きでいる以上もうこのジャンルに関わってはいけない、と思うようになり、アプリをアンインストールした。
3つ目は、フィギュアスケートを題材にしたアニメ作品。最終回を目前に控えたある日、メインキャラの部屋が海外のアーティストが撮った写真と全く同じデザインであること、その作品の使用許可は出ていないことを知ってしまった。他にも背景やED映像に著作権のある写真や本当のスケーターの動画を許可なしで使っているのではないかという問題が浮上していた。これに関しては、今までの2作品で疲弊していたこともあり、アニメの終了と同時に熱も冷めた。
4つ目は、今まさに頭を悩ませていることだ。有名アイドルゲームシリーズの男性版で、本当に好きなユニット、キャラクターがいる。ゲーム配信時からどんどんコンテンツが進化していき、ついにアニメ化もした。大好きなキャラが動いて喋ることが嬉しくて、このジャンルにはまって本当に良かったと思った。しかし、最終回も近くなってきたある回の放送で「かっこいい」と純粋に思っていたカットと似た写真が既に存在していることを知った。こじつけだと思いたかったが、ポーズは全く一緒、何なら着ている服もほとんど同じ。「この作品でもか」「またなのか」という感情でいっぱいだった。また離れられれば楽なのだが、今度の問題はアニメの話だ。今まで離れてきた作品と違って、コンテンツの大元とは違う場所で起こっていることなのだ。どっちでも同じだろう、と思う人はいるかもしれないし、私の頭が無理やりそう思わせて逃げているだけかもしれない。しかし、今度は離れるには原作への熱量があまりにも大きすぎたのだ。はやく公式が何かしらのアクションを起こしてほしいと思いながら、せっかく買った円盤も開封できないままでいる。
これまでの事はすべて私の気持ちの問題で、人によってはこういった問題を目にしても気にせずその作品を好きであり続けられるのかもしれない。パクリだと騒がれているものの中にも、法律には何も反していないような事例もあるのだろう。それでも、ルール違反でなければ何をしてもいいわけではなく、トレパクという問題が浮上することで着いた暗いイメージに嫌悪感を覚える人ももちろんたくさん存在している。こういった問題が起きることで離れていく人を「元々そんなに好きじゃなかったんだろう」「本当のファンだったらそんなことはするべきじゃない」と批判する人もいるが、他作品が作り上げたものを何の敬意もなく、横から取って作品を作っている側の人達は「何をしても許す、あるいはスルーしてくれる人」のためだけにコンテンツを作っているのだろうか。
ふとしたことでその作品にどっぷりはまるのと同じように、何か一つでもマイナスになるようなことがあれば簡単に熱も冷めてしまう。もちろんそれはその人の勝手だが、決して1人2人という程度ではない。作品を支えたり、応援する人の何割かがごっそり減ることだってある。自分の好きな作品やキャラクターが、他の誰かが苦労して作ったものをあたかも自分達のものだと言わんばかりに使って称賛されていることが、どんなに苦しくて辛い事か考えてみて欲しい。