2017-10-09

たばこが続かない

彼女喫煙者かも……みたいな増田を見てふと気づいた。

おれ、たばこが続かない。継続して吸うことが無いのだ。

ほら、たばこって大麻よりも依存やすいみたいなことよく言われるじゃん。

事の真偽は知らないけど、そんなに中毒性が強いのに、なんで吸っても吸っても続かないのかなあと気になるんだ。

今やたばこなんて害悪しかなくて、吸えば吸うほど健康悪化するし後ろ指をさされるしでいいことが無いのは知ってる。

でもなんかこう、そんなに中毒性が高いものなのに続かないっていうのは、自分の体のどこかがおかしいんじゃないかって、ちょっと思うんだ。

ある意味、「趣味禁煙」「禁煙なんて簡単だ。その証拠に私は何度も禁煙している」みたいなものなのかもしれないけれど。

初めて吸い始めたのは大学生のころだったかな。

それまではむしろたばこなんて嫌いだったんだ。

小学生の時に所属していたスポーツチームの監督が、喘息持ちのメンバーの前で思いっきり吸っていて、ひどいなって思ってたから。

同じく小学生のころ、卒業文集に「今だから言えるごめんなさい」みたいなコーナーがあったんだけど、同級生女の子が「お父さん、たばこが嫌いだからってお父さんのたばこ隠してごめんなさい」って書いてるのを読んで、それは違うだろうと思ってたから。

テレビを見てもたばこによる健康被害のことしか言ってないし、たばこなんて人間の屑がやるもんだと思ってた。あと火が怖かった。熱いじゃん。

でも大学生のころ、彼女に振られて家族喧嘩して成績も下がっていって……ととにかくなにもいいことが無い時期があったんだ。

もうやる気なんて失せて、なんにもやりたくなくて、でも元々エネルギーが有り余ってるような性格だったから何かやりたくて、じゃあどうせなら非行にでも走るかって思って、吸ってみたんだ。

一番オーソドックスなのを、と思ってマイルドセブンを買った。何年かしてもう一度買おうと思ったらメビウスになってた。それくらいの興味しかなかった。

吸ってみた感想は、正直よくわかんなかった。別にまずくもないけどおいしくもない。ベーコンから肉のにおいを取ったものをひたすら嗅いでいるような、ひどくぼんやりした感じ。

でも思ったのは、とにかくこれ、ぼんやりできるなってこと。火をつけて、吸って、はいて、でも下手するとやけどするから気をつけなくちゃいけなくて、の繰り返し。

火への注意って意味では集中してなきゃいけないけど、それ以外は単純作業で、でも健康への害っていう意味では自傷行為のような面もある、それがとにかくエネルギーの切れてた当時のおれにはちょうどよかった。

活動としての強度がちょうどよかった。だからひたすらぼんやりできた。彼女に聞かせたかった話とか、母を泣かせてしまたこととか、研究者になる夢とか、全然考えなくてよかった。

たばこ吸ってる人ってみんな、すごいストレスと抱えてるけどうまく吐き出せなくて、その代わりにたばこを吸ってるんじゃないか、なんて思ったりしてた。

から夜な夜な近所を徘徊しては、落ちてるたばこの吸い殻を集めて、家に持って帰って捨ててた。

つらいよな、おれもめちゃめちゃつらい、でもさ、ポイ捨てしてみんなに迷惑かけちゃいけないよ、今回はおれが拾っておくからさ、お互い早く元気になれるといいね、なんて思いながら。

人とのつながりが切れていたおれにとって、たばこを吸って自分の体を傷つける一方で、そうやって善行を積むことでなんとか社会に居場所を作りたかったんだと思う。

なんだかそういうメンタルの動きが大きくなるにつれて、たばこを吸わなくなった。最初に買った1箱目か2箱目も、全部吸い切らずに捨てちゃったはず。

でもメンタルの波が若干収まったころ、またなんとなく吸うか、みたいになって、数か月に1度たばこを買ってた。1箱吸いきることはまれで、2~3本吸って人にあげちゃったり、半年放置して捨てたりしてた。

時は経って、おれは地方とある会社就職した。

田舎シフト勤務のこの業界では、趣味パチンコたばこしか存在しないようなものギャンブルに興味のないおれは、周りに流されてまたなんとなくたばこを吸うようになっていた。

たばこを吸っていると上司の覚えがいい。喫煙所で顔を合わせるという単純接触効果しかないんだけど。同期や後輩もみんな地方出身マイルドヤンキーばかりで、たばこなんて当たり前だった。

あるとき同期の女の子を好きになった。めちゃめちゃかわいかった。喫煙所毎日のように彼女について話した。仲の良かった先輩が親身になって相談に乗ってくれたりした。

彼女は酒もたばこもやらない人だった。それらに嫌悪感は無いけれど、自分ではやらない。そんなところも好きだった。

一緒にご飯に行ったり、お茶したり、家に来てくれたりもした。傍から見てもうまくいっていたと思う。

もっと彼女と同じ景色を見ていたくて、おれは酒とたばこをやめようかと思っていた。そう彼女に話すと、彼女はいつも「そんなことしなくていい」と言った。

どうしてそんなことを言うのかよくわからなかった。

そしてついに彼女告白した。結果はだめだった、と思う。なんというか、適当にはぐらかされた。

しばらく経ってから彼女がおれの相談に乗ってくれていた先輩と付き合いはじめたと知った。不意打ちだった。

奥手でうまく動けないおれに、常々「そんなだからだめなんだよ」と言っていた先輩。元ヤンで、中学からずっとたばこを吸ってる先輩。

たばこすら続かないおれと、吸い続けたうえ彼女を手に入れた先輩。

全く関係ないことは知っているけれど、比べようと思えばいくらでも比べられるものなんだな、人って。

最近本屋で、小さな瞬間が云々という本を見かけた。ただ鼻を触るだけ、そういうまず仕損じることのないようなことから始めることで、習慣を身に着けることができる、みたいな内容だったと思う。

ところで今おれの部屋にはアメリカンスピリットの3本ぐらい吸ったウルトラライトが1箱、未開封のライトが1箱、煙草屋で買った、手巻たばこのセット(一式と葉っぱの試供品がいっぱい入ってる)が転がっている。

前回たばこを吸ったのは3か月前だ。ただ、それだけ。

  • 俺はかなりの年月、煙草を吸ってた。今は完全に止める事が出来たが。 止めようと思ってもなかなかやめられなかったが、禁煙治療であっけなく達成できた。 吸い始めの頃は、ただただ...

  • 酒が飲めない人、飲めても美味しくない人がいるように ニコチンを摂取してもドーパミンが放出されないタイプの人が一定比率いる。 それだけのことです。

  • 俺は一時期吸ってたが強いやつを吸うとすぐに貧血起こしてたから1mg、せいぜい3mgまでだったな。 そしていまは完全に止めてるが、同じようにやはり中毒性を感じたことは無かったなぁ...

  • 15年前にタバコをやめた者です。19年間吸ってました。タバコが習慣化しない人が居るなんて不思議です。 ただ、タバコが習慣化しない彼と俺との共通点は、タバコに対する嫌悪感を持っ...

  • シンプルにふかしてるだけやで

  • そんな好きでもないタバコと縁が切れてない時点で中毒だって 自覚できてないのがかわいそう

  • 非喫煙者から見たら、全然タバコ続いてるよ。コピペである言い回しだけど「言いたかないがあんた中毒だ」

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