2020-02-05

東北大学工学部機械系の就活における推薦制度の闇

社会人になって何年か経つが、母校の教授記事に出ていて驚いた。

理系大学院生を就活疲れから救う 大学推薦制度を改良、1カ月半で就活完了 | 日経 xTECH(クロステック)

自分は途中から自由就活に切り替えて就職した身だが、本件に関して思うところが多くあるので書いた。

あくまで当時の話だが、制度の一番の問題点を偉そうに記事で語っていたので、あまり変わっていないのだと思う。

「良いところに就職できそうだから工学部」という高校生に向けて内情が伝わればいいと思っている。

以下長文。まとめだけ読んでも良い。

背景

問題点に入る前に、東北大学工学部機械系の就活の特徴から話そうと思う。

講義研究がきつく、就活に対して理解がない教授が多い

学部3年生を過ぎると、落とすと即留年実験や厳しい進級要件に追われ、研究室配属後は、平日休日区別なく働かされる学生結構割合存在する。

また、元記事教授を始めとして、多くの教員バイトインターン就活を快く思っていない。

講義ゼミ説明会面接のために休ませて欲しいと言う申し出を認めない人も多い。

そのため、地理的な不利と相まって就活時期の動きが相当制限されるのが事実である

その分、非常に推薦の求人が多く就職には困らない

ただ、そのような鍛えられた工学大学院生需要は高く、加えて地方ながら旧帝大名前一定の評価があるらしい。

実際、真面目に就活をしなくても無内定にならない程度には求人が来る。

推薦については、景気にあまり関係なく学生200人に対して毎年2倍以上の枠が安定して存在する。

動物のお医者さんという北大舞台にした漫画に「人買い」のエピソードがあるが、学部合同説明会はまさにあのような様相となる。

メーカー系だとCore30はもちろん、日本代表する超大企業が揃っており、企業を選ばなければ就活には全く困らない。

例を上げると、

など、枚挙に暇がない。

ただ、業界に著しく偏りがあったり、大手子会社中小企業も多数含まれているのも事実である

この少子化と売り手市場において、そんな推薦に対して多少の物足りなさを覚える就活ガチ勢もいる。

推薦を就職担当が一元管理しており、それなりに面接負担がある

大学推薦というと、研究室の学生教授が知った企業コネねじ込む、といったイメージが強いと思うが、これは一昔前の話であり今は中々聞かない。

記事にもある通り、大学推薦と言う制度自体機械系全体で管理しており、各教授の推薦状の発行を制限しているため、基本的に抜け駆けは許されていない。

就活時期の推薦選考フローは以下の通りである

  1. 企業からの推薦要請に応じて大学側が推薦枠の数を決定する
  2. 大学学生募集をかける。1次募集・2次募集がある。
  3. 企業担当者との「ジョブマッチング面談」もしくは就職担当者との面談によって推薦対象者を決定する
  4. 推薦状が発行される
  5. 企業選考へ進む(大手企業場合、1次面接か2次面接をすっ飛ばせるだけの企業が多い)

3,5で分かる通り、自由就活に比べてES選考グループディスカッション足切りはないが、人気の大手企業を狙う場合、ある程度頑張って学内選考および企業選考を勝ち残る必要がある。

制度問題点

ここまで書くと、大変さはあるかもしれないが世間一般から見ると恵まれているという意見が多数だろう。俺もそう思う。

問題点は背景で書いた以下の規定および、記事の以下の規定である

企業からの推薦要請に応じて大学側が推薦枠の数を決定する

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/013000472/?P=2

大学推薦制度を利用する企業が、自由応募制度東北大学機械系の学生採用することは認めない。


このような仕組みにおいて何が起こるのか?

以下はリクルーターにも聞いて裏を取った当時の実話である

~事例1:推薦応募開始前~

企業「今年は採用目標を増やすので推薦枠を15人設けてくれませんか」

就職担当「一部の企業学生が集中しすぎると他の企業不公平になるからダメ。5人で。」

企業「じゃあ残りの10人は自由で応募いただくということで」

就職担当「推薦された学生が不利になる可能性があるからダメ。うちの学生自由で取った事がわかったら来年から推薦枠なくすから。」

企業・・・

~事例2: 推薦応募開始後~

ト○タ、ホン○等の人気企業の推薦枠を競って学生数十人が争う。

からあぶれた人々は自由応募をすることを禁止されているため、泣く泣く諦める。

推薦を取り直そうと2次募集を見ても、人気企業の枠は1次募集で埋まっているため、行きたい会社が残っているとは限らない。

自由応募で別業界を狙うか、子会社領域の違う会社妥協することとなる。


完成車や重工等の花形業界を狙う学生は、小さい頃から車や飛行機に夢を持ち、必死勉強してきた人揃いである。

そんな人達が、

夢の企業への就職可能性を閉ざされる。

大学に隠してでも人材を確保するぞという気概で、黙って自由応募を受け付けてくれる企業存在する(した)。

しかし、昔からの長い付き合いがある人気企業は、大学報復を恐れて受け付けてくれないことが多いのが現状である

非常に理不尽ルールであり、一刻も早く見直すべきだと思う。


なお当時、就活担当職員(※1)に対して自由応募を認めてくれるよう必死に訴えかけたところ、非常に面倒くさそうに当時の就職担当教授につないでくれた。

ただ、件の教授就活時間をかけず研究に没頭することの重要性や、別の会社でもやりたいことはできるなどの一般論を説くばかりで、あまり話が通じなかったので諦めてしまった。

結局、自分外資や推薦が来ていない業界に切り替えて自由就活を行い、最終的に複数内定を得ることとなった。

まとめ

一言で言うと「学生就職平準化のため、大学が推薦枠を絞り学生自由応募を禁止する」のが問題である

これらが曖昧になり、抜け駆けや裏切りを許してしまうと、大学推薦制度に対する学生企業の信頼がなくなり、制度崩壊してしまうから

記事のこの意見や、背景にも一定同意はするが、学生企業希望無視して推薦枠を意図的に絞っていることを言わないのはフェアでないと思う。

そもそも面接が何度もあり、落ちることがある時点で推薦制度の意義は崩壊しているのである

進学先を就職と言う軸で考えている学生の一つの判断材料となれば幸いである。


※1 上から目線で態度が悪いので学生から非常に嫌われていた

追記

快挙を修正しました。

  • 一言で言うと「学生の就職先平準化のため、大学が推薦枠を絞り学生の自由応募を禁止する」のが問題である。 これを冒頭にいれやがれ

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