2024-09-15

街コンでは幾何学の話をしている(モテ男バージョン)

街コンに行くと、いつも何を話すべきか迷う。

人が集まる場だし、みんな軽い話題で盛り上がってるんだろうけど、俺はいつも違う。

俺には誇りがあるからもっと深い話をしたいんだ。

今回も例に漏れず、気付けば幾何学の話をしていた。

あなたのお顔は本当にお美しいですね」と最初に口火を切る。

女性たちは不思議そうな顔をしていたけど、そんなのはお構いなしだ。

だって、これは美の根本に関わる話なんだから。誰でも分かるだろう。いや、分からなきゃおかしい。

「たとえば、ピタゴラスの定理。a² + b² = c² なんて、中学生でも知ってるでしょ?でも、あの定理が持つ幾何学的な美しさ、理解してます?ただの数式じゃないんですよ、これは宇宙の秩序そのもの象徴してるんです。直角三角形の辺の比が、どうしてあんなに完璧に収まるのか、その背後にあるシンメトリーバランス、これはただの計算じゃ説明できないんです。幾何学は、自然界に隠された美を可視化する手段なんです。あなたの顔のすべてのパーツはそれを示していますもしかして気づきになっていませんか?」

女性たちは相変わらずポカンとしていたが、そんなことは全く気にしない。

俺の言葉は少しも止まらない。

「それに、円と黄金比ですよ。黄金比の美しさって聞いたことありますよね? φ(ファイ)という無理数、1:1.618...っていうあの比率は、自然界でも至るところに現れるんです。貝殻の螺旋や、ヒマワリの種の配置、果てはギリシャパルテノン神殿まで。これらすべてが、幾何学的な美しさの証明なんですよ。建築家芸術家たちは、何千年も前からこの黄金比魅せられてきたんです。それが美の基準なんです。たとえば、あなたが好きな絵画も、おそらく黄金比に従って構図が決まっているはずですよ。あなたのお顔もまさにそのとおりで、僕はあなた数学的に美しいことを証明できます。」

ここまで来ると、女性の一人が「えぇ〜?本当ですかぁ〜?」と、曖昧な笑みを浮かべているのが目に入る。

だが、その目に理解の色はない。いや、むしろ遠ざかっているかもしれない。

それでも俺は一歩も引かない。だって幾何学は俺の人生のものなのだから

俺な自分人生否定しない。

「次はもっと複雑な話をしましょうか?ユークリッドの『原論』はご存知ですか?あれは古代ギリシャで書かれた数学書で、数千年の間、数学の基礎として使われてきたんです。『原論』の最初定義は、点は幅を持たないもの、線は幅を持たず長さを持つもの。これをもとに、無限に広がる空間の中で幾何学的な図形を描くんです。そして、その空間の中に、あらゆる美が存在するんです。アポロニウスの円錐曲線における楕円の美しさなんか、誰でも感動するはずです。見てください!ほらあなたの腕はアポロニウスと言えるし、あなたの全身は原論誕生にすら資するべき存在と言えるでしょう」

俺の幾何学講義は終わらない。

彼女たちは完全に引いていたが、そんなことはもう気にしない。

これが俺の誇りであり、俺の魅力なのだから

「俺にとって幾何学は、ただの学問じゃないんです。これは美を追求する哲学であり、生き方なんです。人々がモナ・リザアフロディーテ像に美を見出すように、俺はピタゴラスユークリッドにその美を見出しているんです」

幾何学の美しさを語り終えた頃、ようやくふと我に返り、周囲の反応を確認してみた。

すると、女性陣の顔には一種沈黙が漂っていた。

皆、頬に赤みを浮かべているが、目は明らかに遠く、何か別の世界意識飛ばしいるかのようだった。

ひとりは下半身をチラッと確認し、もうひとりは、首元の鎖骨の付け根あたりをいじっている。

こちらを見ている女性もいたが、彼女の表情はどう見ても「本当にこの人何を言っているの…」という困惑のものだった。

「ええ、そうですね……幾何学って、すごいですね……」と、一人がようやく口を開いたが、その声には熱意も、理解も、ましてや感銘など微塵も感じられない。

表面的に場を繋ごうとするその言葉は、俺が夢中で語っていた美の真髄が、まるで真空の中に吸い込まれたかのように、何も響いていないのをはっきりと感じさせた。

もう一人が、さら微妙な笑みを浮かべ、「あ、そうなんですか……それで、その定理って、なんでしたっけ……?」と、曖昧質問してくる。

しかし、それは好奇心ではなく、ただ適当に話を引き延ばすための、無理やりな興味に過ぎないことは明白だった。

俺はその瞬間、すべてを理解した。

ああ、やっぱりこうなるのか、と。彼女たちの心を動かすことは簡単でも、幾何学的美しさを彼女たちに理解してもらうことはできないんだと。

俺の語るピタゴラスの定理も、黄金比神秘も、彼女たちにとってはただの退屈な講義に過ぎない。

彼女たちは、たぶん俺の年収や、俺の背景、俺の地位の話を楽しみにしていたのだろう。それが街コンで求められる「会話」なのだ

「まあ、こういう話、ちょっと難しいですかね……」と自分から話を切り上げるが、内心、虚しさと諦念がこみ上げてくる。

俺は分かっているんだ。結局、幾何学の美を理解できる人間は、ここにはいない。

俺の知識哲学は、街コンの場にはそぐわないのだ。

諦めが胸に染み渡り、俺はふと目の前のグラスを手に取る。

冷たい水が喉を通り、ほんの一瞬だけ現実感を取り戻すが、同時に心の中でつぶやいた。

俺は幾何学を愛している。それだけで十分だ。理解されなくてもいい。これが俺の誇りなのだから

女性たちがどれだけ俺に興味を持ったかなんて、もうどうでもよかった。

最終的に、女性たちがどれだけ幾何学に興味を持ったかは知らない。

だが、俺の中では確信がある。

幾何学こそが、真の美であり、それを理解しない者は本当の美を知らないのだと。

彼女たちには理解できない美が、俺の中にある。それだけで、俺は満たされているんだ。

俺は腰を振りながらそう思った。

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