2021-08-12

「とにかくPCR検査!」に反対する理由

 スタンスとしてはマススクリーニングとして公費PCR検査隔離は反対。診断治療入国時の検査能力拡大は賛成。

  

検査及び診断方法

 新型コロナ検査・診断方法は主にこの3つが挙げられる。

  1. 遺伝子検査PCR検査・・・精度は高いが専用の設備必要であり、自前の設備がないと結果が出るまで時間がかかる。PCRとは違うがLAMP法というのもある。
  2. 抗原検査・・・精度はPCR劣るが、設備不要検査開始から結果が出るまで30分程度と早い。やり方を覚えれば自宅でできる。
  3. 医師の臨床診断・・・数回の検査で陰性であったが感染の疑いが強い場合や抗原検査の結果すら待てない場合に「感染疑い」として感染者と同じ対応をするために使われる。

 抗体検査CTによる画像診断は言及しない。現状PCR遺伝子検査のほうが有用でありこの検査ができない時に仕方なく臨床診断の補助として用いるものだと考えるからである

  

標準予防策と経路別感染対策

 標準予防策とは、未知の病原体潜伏期間考慮して「すべての患者の汗を除く湿性生体物質(体液、血液排泄物、その他分泌物など)、粘膜、傷のある皮膚」を感染性のあるものとして感染対策を行うことである。例えば手洗いやマスクなどは唾液などの付着や飛散を考慮して行われる標準予防策である

 無限リソースで「俺もお前もウィルス持ち」とやれば検査不要である。が、無限リソースもなければ厳格な適用生活に支障をきたすので無理がある。

私の感覚では感染対策の基本といえばこちらの方なので、検査隔離感染対策の基本と言われても違和感がある。

  

 経路別感染対策とは感染力が強いなどの理由で標準予防策では不足な疾患別に行う対策であるこちらには検査などで疾患を特定することが望ましい。

経路は3つあるが正直この3分類では説明しきれないところがあるので、定義よりざっくりこういうものだと言う話をする

  1. 接触感染・・・病原性物質がついた物などに直接皮膚や粘膜が触れることによって起こる感染
  2. 飛沫感染・・・患者の口や鼻から唾液や鼻水を直接吸い込むことで起きる感染
  3. 空気感染(飛沫核感染・・・空気中に浮かんでいるウィルス細菌を吸い込んで起きる感染

 エアロゾル感染なんて無いと言っても、空気中に浮かんだ水分を吸い込んで起こる感染は分類されていないのでそういう言い方にならざるを得ない。

飛沫でも飛沫核でも無ければ何というのかという問題である

 新型コロナでは接触感染対策隔離など)・飛沫感染対策ソーシャルディスタンスなど)が取られているが、一部空気感染対策(陰圧室管理など)が取られている。

  

検査目的有用だと思われる検査方法

有症状の診断と治療、経過観察=PCR検査必須と言っても良い。

疾患の原因を追求し治療方針を立てるためには精度の高い検査有用である

重点的にリソースを回し、検査能力を確保・拡充するべき。

  

病院等の施設における有症状者の隔離=自前の設備がなければ抗原検査有用

自前で1時間以内にPCRLAMPができなければ、迅速に陽性者を振り分けられる抗原検査の方が有用

抗原検査の精度が低いという話をするなら診断結果が出るまで個室隔離である。もちろんそれだけの個室があればという話にもなる。

  

日々の健康管理としての検査=抗原検査有用

精度よりも自分リアルタイム検査ができるという方が有用である

検査キットに補助金を出して購入しやすくする程度までならやるべきだと思う。

  

濃厚接触者の陰性確認PCR有効

無症状のうちから感染性があることを考えると濃厚接触者は無症状でも感染の疑いがあるものとして扱ったほうが良い。

この場合、迅速な治療必要としていないので、時間はかかっても精度が高い方が有効と考える。

  

感染様式モニタリング調査PCR有効

精度が高い検査を用いる必要がある。ただし、検査より感染を起きる状況を聞き取り分析する人間の方の方が圧倒的に不足していると思う。

  

出国での水際対策PCR検査有効

現場での委託含む)自前の検査設備を持て。

  

コンサートなど短期間の催事=どちらかといえば抗原検査有用

すり替えが困難でリアルタイムな結果がわかる現場での抗原検査のほうが良い。

1万人規模とか規模が大きくなると現場での検査は困難になるので事前PCR検査になるのしょうがない。

  

ドラマ撮影スポーツなど感染対策が困難になる職業PCR検査有効

現場から確実に陽性者を弾くべし。

マスコミだと派遣ADとかお上に逆らうことこそ我が人生みたいなやつから感染しそうだけど。

  

無症状者から感染者を掘り起こして隔離=支持しない

民間が自前で行うなら健康管理とみなして抗原検査をすすめる。

だが、公的検査隔離を行うのは反対。隔離して感染対策する人間をどっから調達するのかの考えたら、その人達ワクチン接種に振り分けたほうがいいと思う。

  

結論

PCR検査有用な場面が多く検査能力を拡充すべきだが、抗原検査有用な場面もあり戦略目的によって使い分けるべきである

また、検査というもの感染しているか否かを振り分ける手段であり、議論されるべきは戦略目的の方である

よって戦略目的が語られない、あるいは「感染者を見つけて隔離すべき」から感染実態調査しないと対策ができない」というように目的がブレるような、「とにかくPCR検査を増やせ!」という検査件数しか見ていないような話には反対である

戦略目的が変われば検査後に必要リソースが変わるからである

  

追記

これをかくのに今月参考にしたリンクコピペすんなと言われても同じ考えの人がいるのはしょうがないし、別に目新しいことを書いたつもりもない。

スタンダードリコーション https://www.inazawa-hospital.jp/media/standard.pdf

新型コロナウイルス感染症に対する検査の考え方  http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_kensaguide0526_2.pdf

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん