【私の治療前】
何も無い平坦な床で転んだり、柱・ドア枠・壁など、明らかに目に入るはずの障害物を避けられず、ぶつかるなどの現象が頻繁に起きる。
夜、なかなか眠りにつけない。仮に眠りについたとしても、何度も何度も目が覚める。
寝床から起きられなくなる。とにかく身体が重い。歩くのもきついので、スポーツのような運動は出来なくなる。
プライベートな時間が確保できても、不調となる以前に楽しんでいた趣味などに対する興味や意欲を失い、娯楽を何もしなくなる。
簡単な計算もできなくなるし、二三の選択肢からものを選ぶような簡単な作業すらできなくなる。
自分がしたことだけでなく、世の中の何もかも自分が悪いのだと感じて、本来自分とは無関係の他人の不幸すら、自分のせいで起きたと罪悪感を抱くようになる。このため、自分から他人に対して何かの要望を出すようなことも出来なくなる。
気づいたら泣いている。
薬を服用し始めて眠りにつけるようにはなったが、眠っている時に悪夢にうなされて、大きな悲鳴を上げて飛び起きることが度々あり、その度に妻にハグされて正気を取り戻していた。やがて少しづつ、悪夢や就寝中の悲鳴は減ってきた。
医師から身体を動かすように勧められたことから散歩をするようになったが、その散歩をできるようになるまでにも、半年以上の時間を要した。
服用している薬の副作用で性欲の減退、治療前に比べて15kg超の体重増加が起こって、これまでのところ元には戻っていない。
【疑問点】
うつ病を発症した後、私は休職に入り、家族と医師を除き、人との接触を断った。うつ病を発症したら、先ずは休養させるのが第一なので、医療機関の診断を受けて治療を開始したら、家族は患者に学校や仕事を休ませるはずである。
しかし、うつ病を発症した彼女が休養に入っていた形跡は、これまでのところ確認されていない。ということは、彼女は治療を受けていなかった可能性が高いと判断せざるを得ない。
彼女の恋人、家族、トレーナー、マネージャーは一体、何をしていたのか?
彼女がうつ病を発症していたことを知っていた場合、それにも関わらず休養をさせず、テニスの大会に参加させ続けていたのだとしたら、彼らの責任は極めて重大である。
彼女がうつ病を発症していたと彼らが知らなかった場合、彼女の変調にすら気づかないようなネグレクトの状態に置いていたことになる。
いずれにしても、テニス大会の運営に文句を言う前に、恋人、家族、トレーナー、マネージャーの責任が厳しく問われるべきであろう。まさかとは思うが、彼女の健康よりも、彼女が稼ぐお金を優先したのだろうか?
もしも、彼女が治療を受けていなかったという私の推論が誤りで、彼女は実際には治療を受けていたと仮定する。そうすると今度は、別の疑問が生まれる。
私を含むうつ病患者が服用するような薬は、テニス大会におけるドーピング検査には引っ掛からないのだろうか?風邪薬すら引っ掛かる検査に?
また、うつ病治療のために服用する薬の副作用やストレスからの過食で太ったり、逆に食事を取れずに痩せたりといった変化は、彼女の身体には起きなかったのだろうか?
私を含めて現在うつ病の治療を受けている人間や、過去にうつ病の治療を受けた人間は、彼女があれだけ身体を動かすことができて、体格に変化も無いのを見て、驚いているというのが率直な気持ちである。彼女が受けた治療の方法や服用した薬の詳細について、我々は是非とも知りたいと願っている。そのような治療方法や薬に関する知識は、私たちにとっても福音になるかもしれないからである。
彼女との試合に敗れた対戦相手が選手控室に引き上げようとしていたのを「一人でシャワールームで泣くよりも、私と一緒にインタビューを受ける方が良い」と言って、コートの上に引き留めてインタビューを受けさせたというエピソードも、うつ病を発症した私から見ると大きな驚きである。治療を受ける前も受け始めてからも、私にはあんな積極的、能動的な行動をとることは出来ない。あの時に引き留められた対戦相手は、彼女のことを「敗者の私を気遣ってくれた」と称賛していたが、私の場合、何かの間違いで自分が褒められたら「こんな私なんかが褒められて申し訳ない。死にたい」という気持ちになって苦しくなり、とても耐えられなかった。称賛されるに値する行動をとることはおろか、自分の行動の理由を人前で語ることなど、私にはできなかった。
私を含むうつ病患者が服用するような薬は、テニス大会におけるドーピング検査には引っ掛からないのだろうか?風邪薬すら引っ掛かる検査に? TUE申請すれば使える薬もある。 ただそ...
ご教示ありがとうございます。