2021-02-04

電車に「吊革」ってあるじゃん

電車に「吊革」ってあるじゃん

そっか、無いか。ごめんごめん。

じゃあ、仮に有るものとして聞いて欲しいんだけど、今日乗った電車の吊革は本当にひどかった。

最近コロナの影響も何のそので、通勤電車の混雑がまたひどいけれど、今日座席に座るどころか狛犬ポジションも取れず、

やむなくドア前の吊革を掴んで、押し合いへし合いする車内の圧力に流されまいと思ったんだ。

ところで、吊革で身体を支えるときって、その輪っかに指先を絡めるだけでいいのに、

なぜか自然と手全体まで力が入りグーの形になるんだ。知ってた?

そうだよな。俺も今日まで気づかなかったよ。

苦痛に耐えるので精一杯だから、手がグーだかパーだか考えてる余裕なんて無いわけで。

でも手汗は気にしろって?

それはともかく、なぜ気づいたかというと、今日の吊革はゴムみたいに伸びてさ、そのグーの手がそのまま吊革の下に居た通勤友達の頭にゴーンって当たったんだ。

人間ってとっさの場合、本当にイテッって言うのな。わりと無口な奴なのに。

いや、グーの手というとこぶしで殴ったかのように聞こえるダメ絶対だが、それは心外

吊革を掴むと手首は下側になるわけで、正確には、手の付け根のわりと硬い部分でゴーンっていったわけよ。

まあ、グーで殴るよりひどいか

とにかく、人間の頭って強打した場合、本当にゴーンって音するのは新発見

というか、あんな手の硬いところで重力加速度のまま叩かれたら、たしかに痛いだろうことはよくわかるけど、

まさかまさかで吊革がゴムのように伸びるとは思ってなかったわけよ。ビヨンビヨーンのダッダーンなわけよ。ひとりエキスパンダーなわけよ。

から、ついププッって吹き出し笑いしちゃった。通勤友達もそれに吊られて一緒にププッ。

乗客みんなもそれ見てププッププッ。君もププッ…えっ、ネタが古いって?

そして、証拠を見せるごとくに吊革を2、3回ビヨンビヨーンさせては通勤友達も納得。乗客たちも笑いに包まれ殺伐とした車内に温もりが生まれた。愛が生まれた。

それでも代わりの吊革を誰も回してくれないわけよ。

思えば「嵐は愛に気づくために吹いてる」のだから、本当の愛には嵐が必要なんだね。おードリーム

とにかく、ゴムゴムの吊革じゃ満員電車というウェーブに立ち向かえない。

それに俺、身長が160cm無いじゃん。いや、今さらまじまじ見なくても。

から、吊革の上にある鉄パイプを掴もうと思っても手が届かない。

まり、ひとりパイプフィニッシュ排水口じゃなく俺が手詰まり

このままじゃカーブで、コロナ対策で全開の窓から車外に飛ばされてしまう。

しかしだ。狛犬ポジションも取れない車内の混雑具合が、このときばかりは功を奏す。

ここで、予備知識として群速度と位相速度の話をしよう。

難しい話は聞きたくない?

そんなことがあろうか、いや…じゃあスキップしよう。

とにかく、車内の密密具合が波動と同じ働きをもたらしたってこと。

まり、笑いは車内の先頭部と最後部まで、すなわち運転手車掌までウエーブのごとく伝達し、笑いの位相速度は電車の群速度を越えるのだと目の当たりにしたのだけれど、

それくらいぎゅうぎゅうに詰まる人間圧力というウエーブにゴムゴムの吊革で、足元おぼつかなく立ち向かう俺の危機感は伝達しなかったようだ。

くせの強い車掌は車内放送で俺の救済を強く呼び掛けてくれよ。

「吊革にお捕まりください」どころじゃねぇんだよ。まあ手錠みたいな形だけれども。

今はむしろ劇団ひとりエキスパンダーなんだよ。

仕方なく圧力波なるウエーブに身体の一切を委ねるも、いつもの吊革のようには踏ん張りが利かないから、その振幅には吐き気と新たなイベントを催すほど。

仕方ないので、危機感通勤友達に伝えようと、心もとないゴムゴムの吊革をできるだけ伸ばし、ゴム鉄砲のように友達の頭を狙うわけだが、

吊革をビヨーンと腕がちぎれるほど伸ばすと、吊革が鉄パイプから外れる。その勢いで電車の天板も外れ、酸素マスクが落ちてきた。

またのまさかまさか飛行機の墜落イベントかよ。

当然、電車は急に減速する。いわゆる緊急着陸ってやつだ。

マッハ7と言われる高速からディスクブレーキが働き、人圧がウエーブとして身体ごと前傾する中、

くせの強い車掌さんことキャビンアテンダントは、車内放送で衝撃防止姿勢と車内設備を教える。

前傾姿勢を取り、顎を引き、頭を前の座席に付けるとのことだが、俺には座席どころかゴムゴムの吊革しか無い。

こんな吊革が何の役に立つんだ!いや、人生において役に立たないものなど無いはずだ!

とりあえず顎を引き、前傾姿勢についてはディスクブレーキの勢いでみんな100点。スリルも満点。

あと、禁煙車は3号車らしいが、酸素マスクがあるからどうでもいいわけで、さっそく酸素マスクを身に付けよう。

そう。知ってのとおり「酸素マスク」とは、酸素で作られたマスクだね。

空気イス」と同じ意味合いだとは、なるほどわかりやすい例えだね。

しかし、広義には酸素放出するマスクを含むんだ。

それでもさすがコロナ禍と言うべきか、周囲を見ると、マスクをしたままその上に酸素マスクをつける奴が居た。

しかしそれはまだマシな方で、酸素マスクの上にマスクを付ける奴も居た。マスクマスクだった。

しかし、それは一見シュールに見える行動だろうが、理由の無い行動ではない。

与えられた酸素マスクはその広義性に本来意味を失わないよう、マスクのみなのだった。

もっとわかりやすく言えば、そこにあるのは酸素放出するマスク面のみで、それを固定する耳バンドは無かった。

まり、耳バンドを無くすことで本来酸素マスク定義酸素マスク酸素構成されたマスク)を片鱗でも感じさせる心憎いマスク

いや心憎いマスターことくせの強い車掌気遣いなのであり、マスクマスクはその車掌に対する返歌、

すなわちバンド代わりにマスクを使うという逆転人生な行動だったわけだ。

一方で、すっかり存在を忘れていた通勤友達には、だからか!と気付きが生まれたようだ。

吊革がゴムゴム製だったのはそれが理由だったのだ。

まりバンドが無かろうと、天板から外れたゴム製の吊革でマスク面を顔面に縛りつければよいわけか!

人生において役立たないものなんてないわけだ。上出来じゃないか

そんな天空の城もブレーキが効き始め、コロナ対策で全開になった窓から脱出できるくらいのスピードになった。

300km/hくらいかな。

直方向にね。いよいよ茶番は終わり、嵐のような風当たりの中を人がゴミのように脱出すべきときだが、

愛が生まれる代わりに、玉座の間こと窓の間からは何かが出ていくだけじゃなく、何かが入ってくる。

例えば、細かいゴミとかなんとかかんとか。

そうするとゴミは細かいからみんなの目に入って、大方の予想どおり「目が~目が~」の大合唱

乗客みんなの大合唱に、欲望という名の電車ならぬ、聴衆という名の車掌こと、くせの強い車掌は、

そこで大団円を感じて無料スマイルするわけだが、私と通勤友達も目の前が見えないもんだから

なんだかんだ有耶無耶ってなって、私だけ会社に無事到着。今日の昼飯は春を感じるしらす丼

ところで、しらすってさぁ、色合いも柔らかさもミニチュアの「吊革」みたいだと思わない?

って話から、こんな長々とした展開になったわけだけれど、もう昼休みわっちゃうよ?

そっか、電車に「吊革」なんて無いんだっけか。そうだったね。ごめんごめん。

  • そもそも乗客を立たせるような運行形態は法律上認められていない。 日本は違法状態を放置してるだけ。

  • おまえ、フミコフミオだろ? 最後に「所要時間何分」とか書かねーのか? アイツの「ボクだけが悲しんでるこの世界ボクかっこいい」ての大っ嫌いなんだよ!!

  • なんか面白いけど、唐突に終了したな

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