もちろん俺は髪の毛を染めなくてもブサメンではなかった。でも童貞だった。モテなかった。
いやモテなかったわけではなかったと思う。思いたい。
当時いた趣味のサークルの女子は皆優しくしてくれたし、嫌われたり嫌がられたりという事もなかった。
俺が誰かを本気で好きになったり、女性が俺に惚れたりというトリガーが無かったせいだと思う。ゆるく仲良く、しかし発展しない間柄にしかならなかった。
いや俺、顔は整っていたし(過去形)、スマートで細マッチョだったし、身長だって180あったし、セクハラもしないし、紳士的な態度を心掛けていたし、当時は真面目な正義漢だった。
身だしなみもさほどお金はかけなかったけど平均以上の見た目、人様に迷惑はかけない容姿だったと思う。
でも童貞だったし、彼女が出来そうな気配は全くないままだった。
ブサイクと言っても顔の造形の良し悪しではなく、性格の悪さとスケベな欲求が顔から出ているような内面からブサイクな男の事だ。
そんなブサイクのほうが女性にモテているという現実に俺は歯ぎしりし続けた。
どうして女性はブサイクな男に引っかかってるの?と不思議だった。
俺は「彼女いなくて孤独でも死にはしないさ」と心の中で強がってみたが、年月が過ぎると共に彼女できそうな気配はどんどん薄れていった。一方で何人かの友人が結婚した。
多分イケメンなのに30歳になっても童貞という現実に歯ぎしりしていた頃、ようやく女子に告白された。
いや告白という立派なものではなかった。他の男との付き合いがうまくいっていないという女性から俺に乗り換えたいという話だっだ。
そりゃ俺はイケメンで真面目で童貞だ。相手の彼氏はクズ男だと知っていたのでわずかにプライドが傷付いたが、童貞を捨てたい焦りがあったので付き合う事にした。
その結果は最低だった。
相手はメンヘラで常に自分優先、相手を気遣う事もせず、セックスを誘っておいていざ挿入というタイミングで拒むという嫌がらせのような事をする女性だった。最後にはネットで知り合った男と浮気していたが問い詰めても否定するばかり、別れた後は恩を仇で返すような発言をネットで吹聴していた。
この経験で俺は重度の女性不信になったし、イケメンとかどーでもよくなっていたし、真面目にふるまっても無駄と思い知らされた。
人間不信と精神的な引き籠りで、俺の人生は落ち続けるばかりとなった。
それから8年ほど後にヘンメラ女性とは正反対の性格の女性とお付き合いする事が出来て、それも1年ほどでフラれてしまったが(相手にとても良い相手が出来た)、このお付き合いで俺の人間不信が完治するほど素晴らしい1年間だった。
このお相手とはいまでも友人関係が続いているが、俺は独り身のままなので未練と嫉妬が増大して身悶えしている日々だ。
女性にフレンドリーに話しかけたら「遊んでる男が口説いてきているのかと思った」と言われ、高い身長も「上から高圧的に見られているようで怖い」と言われた。「彼女がいると思った」と距離を置かれたり、イケメンへの偏見で避けられたり。
誤解なきように補足するが、俺はそんなに凄いイケメンではない。崩れていない整っているだけの顔で特別な華はなく、スマートで高身長も街中でよく目にするレベルだ。正しくはイケメンではなく「整った普通」だろう。その程度でも妙な偏見で苦労した。
最初の彼女が出来たのも、真面目なイケメンを装うのをやめて道化のようにおどけるようキャラを変えた頃だった。ずっと真面目にしてきたところも少しだけ不真面目に、少しだけセクハラ発言もしようと努力し始めた頃だった。セクハラ発言をしてこなかった童貞がキャラを変えるためにセクハラ発言をするのは難しかったし恥ずかしかったが、真面目なだけでは駄目なんだと思ったので悩みつつも頑張った。おかげで酷いメンヘラ彼女で苦労する事となったが。
次の彼女が出来た頃には自分の顔には劣等感しかなかった。内心で俺ブサメンですフヒヒと振る舞っていたが、とても気が楽だった。彼女も僕の外面ではなく内面に好意を持ってくれた事が大きな救いだった。
それから数年後の現在、僕は独り身の独身で寂しい日々を過ごしている。
いまでもご年配からはイケメンだねぇと言われるが、とても複雑な気持ちになる。
…何の話か?
若い男性は「孤独でも平気」と思わずに、積極的に女子と仲良くすべきだと提言する。
正直俺はイケメンよりブサメンのほうがモテルと思っているが、ブサメンにはブサメンなりのハンデがあるのだろうから結局顔は関係ないという事になる。孤独でもいいと思う要因は人それぞれだが、孤独で良い事なんて何一つないから彼女作る事を真面目に考えておくべきだ。
男だって女性の口説き方なんてよくわかっていない。なのに女性が告白されるのを待つばかりだと恋愛が始まる事なんてなくなってしまう。
0点を出すのは何ヶ月ぶりだろう