この仕事に従事している人達はみんな基本的にはいい人達だし、1つの事に向かって頑張る仲間達なので基本的には好きなのですがそれでも少々もやもやがあるのでここで眠い目をこすりながらこの場を借りて愚痴をこぼします。
言葉を選ばずに言うと、技術者がビジネスの面で非常に子供なため頭が痛いこの頃なのです。
更にそれが結構な人数な為やっかいです。しかも実力のあるアニメーターでもそんな感じの人がいたりするので更に更にやっかいです。
仕事したくないけどお金は欲しい。自分は後輩の育成なんか面倒だからしたくないけど使えない後輩は仕事が増えるから嫌だ。誰でも良いからなんとかしてくんないかなー自分はやりたくないけど。という人が結構います。
ていうか、そんな感じでみんな他力本願で何もしないから今もアニメ業界はこんな感じなわけです。
声がでかいと真っ当だった純粋無垢な後輩達の耳にも入ってこういう思考に汚染されていってしまうので更に深いため息が出ちゃいます。負のスパイラルです。幸せ逃げまくり。
染まらなかった管理能力のあるまともな人たちはこんなやつらと仕事したくねえ!と業界を去ってしまいます。
ぶっちゃけアニメーターが貧乏になってしまう原因の片棒をこういった方々が担いでいると私は思っています。
人より可愛い絵が描けるだとか、セルワークができるから自分は人並み以上に金を貰えるべきだと言う方がいるが、人よりできるからなんだという話。
ものに付く金銭的な価値とは質だけではなくどれだけ需要があるかなので、質さえ良ければ金銭的価値が高いという訳ではないはずです。
質が良い作品と売れている作品は別物で、どんなに出来のいい絵を描いたところで興味を持ってもらえてお金を出してもらえないならそれは金銭的には無価値なのだけどその事をわかっていないのか、わかっているけど知らないふりがしたいのか、業界内にはそんな方が沢山います。
そしてそういう人ほど先のことを考えず目先の小遣い欲しさに単価は良いけど作業は重い作品ばかり引き受けていたり、1日の労働時間が人より短かったりするのです。
稼ぐ為に作業効率を良くするとか徒党を組んで強気に単価交渉してみるとかそういうことをする気がない。
アニメというと絵が動くコンテンツなので芸術に属するものと捉えられがちだが、その本質は製作委員会が売りたいグッズやDVDなどのコマーシャルビデオである。
もちろん監督の意図だとかアニメーターのこだわりだとかそういうものが込められているのでバッサリと芸術じゃないとは言わない。しかし、クライアントから発注を受けて部品を納品するというプロセスで動くのでどこかの工場でなんらかのネジを量産する仕事とそう変わらないのだが、その事にも気付いてない方が多くてこれも困る。
オートメーション化された工場で作るネジと全て手作業の原画や作監作業を一緒にされては困ると思うのだろうが、いくらオートメーション化されていたって規格が違えば手作業でそれを調節しなければならない部分はあるだろうし全てが機械だけで回っている訳ではないはずです。それに絵を描く作業は確かに大変だがこの世で一番大変かと言われたらそうではないし大変な作業は世の中には沢山あります。
作画のプロ。ネジ作りのプロ。分野は違うけど両方共にプロフェッショナルなわけですが後者はちゃんと会社に雇用されていて給与としてお金が貰えているのは何故でしょうか。
工場で働くプロ達は毎朝ちゃんと決まった時間に出社してその日のノルマ分をきちんと生産して利益を出しているわけですが、作画のプロ達はというと規律を嫌い、適当に自分の好きな時間に働いて今日は気分が乗らないからと明日に仕事を伸ばしたり、頼まれた以上どころかやり過ぎなくらいクオリティを上げてみて自分の首を締めてみたり、締め切りギリギリにドバッと上がりを出してその後の工程の人が悲鳴をあげたり、挙げ句の果てには締め切り守らずトンズラしたりするのです。(もちろんきちんとしているアニメーターもいます)
会社はこんな感じの人達を正社員でなんて雇えないし、アニメーターも正社員になったら毎朝早起きさせられて気が乗らなくても仕事させられるからなりたくない。
そしてアニメーターは「アニメーターが稼げないのは業界が悪い!」と言うのです。
他にも参入コストだとか技術者の多さとかリスクの大小だとか要因は色々ありますが大きな問題はこういった身から出た錆的なところだと思います。
明確にアニメの仕事に従事しないといけない理由がある訳でもないならお金がないのは業界のせいって言ってる人たちはみんなアニメ辞めて真っ当な仕事に就けば早いのに…。はっきり言って絵が描きたいだけなら趣味でも描けるんだし…。と思ってしまうわけです。