はてなキーワード: NOSAIとは
それは、増田の諸君を含めて「獣医師は稼いでいる」って思っているんじゃなかろうか、と。
残念ながら獣医師は「6年間の投資に見合うほどのリターンは得られない(ただし、一部の人を除く)」が正直な実感。
獣医師の仕事として、世間の人がまず頭に浮かぶのが小動物臨床、いわゆるペットのお医者さん。
そして、鳥インフルエンザや口蹄疫のときに注目される公務員獣医師。
といったところかな。
獣医師の仕事の範囲としては、ほかには医薬品メーカーでの研究職や畜産コンサルタント、動物園獣医師などなどいろいろあるけど上記3つについて知っている範囲で書いてみる。
小動物臨床は専門ではないのでざっくりとしか書けないけど大まかなイメージとしては、
卒業→病院に就職→3年位で次の病院に就職→3年くらいで次の病院に就職・・・を繰り返し、タイミングのよいところで開業
というのが多いのかなと。
医師のように研修制度が充実していたり、医局があるわけでもないので、就職先は自分で探して回る感じ。
開業までは労働時間からすると給料も安い。医師でいうところの研修医がずっと続く感じ。
医師のように総合病院があるわけでもないので、勤務獣医師である限りは高給は望めない。
そして、開業。
実家がもともと動物病院ならいざ知らず、自分の代で開業したときに開設費用を自分の代で返せるかどうかってところ。
最近は動物病院でもCTとかMRIとか置いてたりするので、買った病院はがんがん使わないとペイできないんじゃないかな。
小動物臨床は自由診療なので、診療費の値づけは病院が決められる。
けど、よっぽど腕がよくないと周りの病院と価格差つけられないんじゃない?
勤務獣医師だと食ってけないので開業する人はいっぱいいるしね。
成功した人は稼げてる。
大動物診療は、あまり知られていないけど農業共済組合(NOSAI)に所属している獣医師が多い。
これはNOSAIに牛などの飼主が加入し、NOSAIの獣医師が加入者の家畜を診療する。
診療費は固定されたお値段。(全国のNOSAIで統一されてるかは知らないが、県内は同一価格になる)
なぜなら獣医の収入が上がる=農家の収入が減るor畜産物の価格が高くなる。
ただでさえ輸入畜産物より高いのに、肉の値段牛乳の値段高くなっても買ってくれるの?
そして、知的好奇心を満たしてくれる度合いは小動物に比べると低い。
仮にブラックジャック級の腕を持つ獣医師がいて、その牛を助けることができたとしても、牛を治療するよりも処分したほうが経済的に合理的ならそちらが選ばれる。
わが子のようなペットと収入に直結する家畜じゃこの差が生まれるのは当然。
公務員獣医師。これもあまり知られていないけど、公務員獣医師には2系統いる。
鳥インフルや口蹄疫で獣医師が足りない!っていわれてるけど、正直どっちも足りていない。
家畜衛生は家畜保健所にいて法定伝染病(鳥インフル等)の監視だったり、地域の家畜の衛生向上だったりと農家をまわって診療したり検査したりしている。
公衆衛生は保健所やと畜場にいて、飲食店の監視だったり、と畜した牛なんかが病気にかかってないかなどの検査をしたりしている。
これは公務員の給料の基準になる俸給表が医療職の表が適用されていないので、扱いとしては農学部卒かよくて大学院卒と同じ扱いになるため。
最大出世で本庁課長級に一人二人なれて、もしかしたらその上になれるかどうかってところ。
私立の獣医学部卒業に2000万かかるとして、そういう人が公務員なりたがると思う?
一番足りなくて困っている公務員獣医師がこれだけの処遇しか受けていないっていうことをわかったうえで、獣医学部の新設によって鳥インフルに対応する獣医師を増やすかどうかを考えてほしい。
自治体によっては15年間特別手当(斬減して15年目になくなる)をだしたりするとこもあるみたいだけど、それって15年間給料一緒ってことだと思うんだよね。
それって何やっても(何もしなくても)給料一緒ってことだったら、やる気なくならない?
獣医師を大量生産→小動物が飽和→公務員に流れるのを期待するより、
公務員獣医師の待遇改善→公務員が増える のほうが早いし合理的な気がする。
それと、既存の獣医学部の教育にもっと投資して、小動物じゃなくて家畜の診療のための授業がもっとできるようにするとか、定員を増やすとかしたらいいと思うんだよね。
そういうとこの学生が卒業したって大動物臨床に進むとは思いがたいんだよね。
私大のニーズが小動物診療に偏るのはしかたないので、そういうところで大動物診療の授業がもっとできるようにするとか、大動物診療に力を入れている大学の定員増やすとか予算増やすとかの方が効率的に思えて仕方ない。