はてなキーワード: 全国商工会連合会とは
前回(中小企業向け「軽減税率対応の周知・普及」費用は46億3620万円 https://anond.hatelabo.jp/20190828030401 )の続きです。
前回の投稿で「軽減税率対応の周知・普及」の中小企業向け費用は46億3620万円であると書きましたが、そこに含まれているはずの「窓口相談等事業」で新たに「競争入札」および「随意契約」が行われていることが分かりました。
まずは「競争入札」について。
平成30年度消費税軽減税率対応窓口相談等事業(事業者支援措置に係る講師派遣等による周知・広報事業)
株式会社パソナ 2018年4月6日契約締結 7213万3200円
平成30年度2次補正消費税軽減税率対応窓口相談等事業(消費税軽減税率制度に関する周知・広報及び講師派遣等事業)
株式会社電通 2019年3月28日契約締結 6億7500万円
以上について、応募社数の記載はありません。また、落札率についても非公表です。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/nyusatsu/zuikei/koukyounyuusatuitaku30fy.htm
続いて「随意契約」について。
平成29年度消費税軽減税率対応窓口相談等事業(事業者支援措置等に係る講師派遣事業等実施事務局)
株式会社パソナ 2017年9月22日契約締結 5935万6947円
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/nyusatsu/zuikei/zuikei_itaku_29fy.htm
「消費税軽減税率制度に係る事業者支援措置(補助金等)説明会」講師派遣事業ホームページ(http://keigen-zei.jp/)を確認したところ、講師派遣事業の事務局(軽減税率対応講師派遣相談窓口(事務局))を、株式会社 パソナ 官公庁事業部 官公庁第2チームが担当しているようです。
株式会社電通に関しては、軽減税率対策補助金ホームページのプライバシーポリシーページ(http://kzt-hojo.jp/privacy/)で軽減税率対策補助金事務局を担当していることが記載されていました。
元々、平成27年度に開始された、「消費税軽減税率対応」に関する講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置、専門家派遣は、全国商工会連合会などの中小企業団体等に委託されており、こちらは41億7700万円となっています。
パソナや電通への支出と重複するのか否かは資料が見つからずはっきりしませんが、時期を見るに、中小企業団体等への委託後に、追加で競争入札及び随意契約が行われているようです。では、なぜそれが必要だったのか。
もう1点、パソナへの委託について、平成29年度は随意契約ですが、平成30年度では競争入札になっています。これは各業務内容が異なることを指しているのか、それとも別の理由によるものなのか。いくつも疑問が浮かびます。
(次回、平成27年度以降、中小企業庁のパソナの随意契約(委託費)が急増 https://anond.hatelabo.jp/20190829175345 に続きます)
中小企業や小規模事業者の皆様は、消費税軽減税率制度に関するパンフレットや講習会などの案内を受け取られたことでしょう。同周知案件の担当は、経済産業省・中小企業庁ですが、それらのコストに関するExcel資料がWeb上で公開されています(以下ご参照)。
■0140 消費税軽減税率対応(委託費・補助金) - 経済産業省
https://www.meti.go.jp:443/information_2/publicoffer/review2017/saishu/28014000METI.xlsx
「消費税軽減税率対応の周知・普及」に関するコストは大きく分けて2種類。「パンフレット制作」と「講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置、専門家派遣」です。
まずは、パンフレット制作。印刷・発送などを含む支出が1億5920万円で、これは凸版印刷しか入札者がない「一者応札」です。
また、講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置、専門家派遣は、全国商工会連合会などの中小企業団体等に委託されており、こちらの支出は41億7700万円です。
合計すると、46億3620万円。いずれも「軽減税率」という国民を混乱させるような分かりづらい制度がなければ必要のなかった支出です。
穿った見方かもしれませんが、わざと分かりにくい制度に設計して、説明・広報のための案件を(官邸のお友達企業に)発注しているのではないかと疑念を持つ人もいることでしょう。そこで思い浮かぶのは、あの企業です。
(次回、「軽減税率対応の周知・普及」案件でパソナが随意契約 https://anond.hatelabo.jp/20190828032359 に続きます)
詳しくは以下リンク先の経産省のEXCELをご覧いただきたいのですが、「軽減税率対応の周知・普及」に伴うパンフレット制作の入札が経済産業省の外局である中小企業庁の担当で実施されていました。
■0140 消費税軽減税率対応(委託費・補助金) - 経済産業省
https://www.meti.go.jp:443/information_2/publicoffer/review2017/saishu/28014000METI.xlsx
ちなみに費目は
事業費 パンフレット加工編集、印刷、発送等 1億3390万円
その他 人件費 1060万円
とあります。
■中小企業庁:「消費税軽減税率対策に関するパンフレット」を公表します
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2017/170307zeiseikaisei.htm
1億3390万円という数字の多くは印刷費が占めるのでしょうが、とはいえ、企画・デザイン・編集を含め、この金額に見合うものとは思えません。
そもそも、なぜ冒頭のEXCEL資料を見つけたのか。それは、なぜここまでややこしい「軽減税率」制度を導入したのか、と疑問を感じたことが出発点でした。
もしかしたら、わざと分かりにくい制度に設計して、パンフレットなどの広報資料を(官邸のお友達企業に)発注しているのではないか。そんな仮説を立てて、いくつかのキーワードで検索したところ冒頭のEXCELを見つけました。
国民の関心事である消費税増税、そして軽減税率に紐づく本来必要のなかったはずの広報案件のコストになぜ関心を持たないのか。これは自戒を込めて言えば、マスコミで報道されない情報は大した情報ではない、という刷り込みがされているからだと思います。
疑問を感じたら、自分で調べて、一次情報にたどり着く。その大切さを今回改めて思い知りました。
本稿では多くを指摘しませんが、全国商工会連合会などの中小企業団体等に委託した、講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置、専門家派遣の費用、41億7700万円も本来、軽減税率という国民を混乱させる制度がなければ必要のなかった支出です。そのことについても批判があってしかるべきであり、多くの方々の関心事となることを期待しています。
※修正前の投稿では「随意契約の疑いあり」などと無知なことを書きました。競争性が十分に確保されているかどうかは疑問ですが、「競争入札」は「競争入札」ですので、訂正いたします。