「カーネギー国際平和基金」を含む日記 RSS

はてなキーワード: カーネギー国際平和基金とは

2021-09-27

なぜAUKUS同盟による原潜取引は核不拡散にとって悪影響なのか

以下はカーネギー国際平和基金による投稿抜粋超訳です。日本であまりキチンと指摘されていないと感じていたので気になる部分をテキトーに抜き出してテキトーに訳してみました。先日のQUAD会談でモリソン首相から日本へはフランスより先に事前通告があったとの報道でしたが、政府内で日本としての反応をどれほど検討したのでしょうか。対北朝鮮では豪州のそれを認めるのは悪手のような気がしますが・・・

https://carnegieendowment.org/2021/09/21/why-aukus-submarine-deal-is-bad-for-nonproliferation-and-what-to-do-about-it-pub-85399

-----------------------------------

AUKUS同盟が核不拡散に果たす役割については、少数の核専門家twitter上で論を交わしている一方で、大多数は大戦略議論に気を取られてしまっている。核専門家の間でも、同盟が核不拡散に及ぼす影響がどれだけあるか、そしてその与える影響が負のものかについては議論が分かれている。

 

私の評価では、AUKUSの原潜取引は核不拡散にとって深刻かつ負の影響を及ぼす。豪州が原潜を運用することは、IAEAの定める核原料の査察システムから核原料を取り除く「抜け穴」を利用する、最初核兵器保有国が出現したこと意味する。私は豪州それ自体がこの原料を悪用するとは思わないが、この抜け穴の利用が危険前例を作り出すことを心配している。将来、核保有を企む国々は海事原子炉隠れ蓑として使うことができるようになるだろう。

 

2002年ジョージブッシュ政権テヘランに対して「ウランの濃縮と再処理活動を破棄せよ」と勧告した...私にとって、日本ドイツオランダといった核兵器保有国が濃縮プログラムを行っていることは脅威では無い...だが、イランは、自国日本比較することによってこのダブルスタンダードの隙を突き、この「濃縮する権利」を主張した。この主張は功を奏した。欧州においてさえ、イランに濃縮を辞めさせよという主張を支持する国はなかった。特にドイツは、イランに濃縮プログラムを破棄させることに強行に抵抗した - それは恐らく自国ウラニウム濃縮を行っており、将来的に自国が同様の圧力さらされることを恐れてのことだった。結果、2006年合衆国安保理決議において濃縮プログラムを破棄するのではなく、「停止」するよう変更した。

 

多くのアメリカ人の読者は、「だからどうした?安保理が不拡散強制できないのであれば、合衆国が、必要とあれば単独で、制裁もしくは軍事行動をもって不拡散強制するだろう」と考えるかもしれない。

 

この反応は近視眼的である米国による制裁はより幅広い国々から同意があってこそより効果がある。実際、合衆国制裁正統性がないと受け取られた場合は多数にのぼり、今後中期的にドルに変わる国際基軸通貨が出現する可能性がある以上、合衆国単独政策効果は低くなると予想される。

 

NPT条約核兵器保有国に原子炉を搭載した艦船を建造・運用することを禁じていない。だが現実的には、IAEA海事原子炉保障措置(セーフガード)をすることができない(その位置が秘匿されアクセスできない潜水艦特にそうだ)。結果として、IAEA包括的保障措置協定(Comprehensive Safeguards Agreement)において、核兵器保有国に「禁止されていない軍事的活動」、つまり海事原子炉のためなら保障措置から核原料を取り除くことを許している。

 

これは明白で憂慮されるIAEA保障措置の抜け穴である。だが今日までは、海事原子炉核兵器保有国とNPT条約の非批准国によってのみ運用されてきた。包括的保障措置協定が約50年前に起草されてから、非核兵器保有国がこの抜け穴を利用しようとしたことはない(かつてブラジルカナダを含む少数国が、真剣検討したことはある)。

 

にも関わらず、この抜け穴が核保有を企む国によって利用される恐れは常にあった。実際に2018年イランIAEAに「将来的に海事原子炉を建造する」計画があると通知した。その上で、もしイランが実際にこの手段に出れば、ロシア中国を含む国々から制裁、あるいは軍事行動さえも含めた深刻なバックラッシュ にあっていただろうし、それがイランの行動をおそらく抑止したのだと考えられる - 少なくとも、これまでは。

 

AUKUS原潜取引により、この潜在的バックラッシュは弱まったと考えられる。もし豪州が実際に核原料を保障措置から取り除けば、このバックラッシュは更に弱くなるだろう。従って将来において、核兵器を取得しようとする国 - イランであれ他であれ - は、豪州の先例に倣うことにより、核原料をセーフガードから取り除く費用を許容可能なうちに抑えられると計算するようになるだろう。

 

豪州イランでもブラジルでもない」は全く正しい評価であると同時に、国際外交においては殆ど無関係議論である世界の残りの多くの国々は、豪州海事原子炉の取得という抜け穴を許す一方で、合衆国敵対国が同様の行動に出ることを罰する行動をダブルスタンダードだと考えるだろう。従って、国際的制裁執行合衆国独自単独行動に強く反対することになるだろう。結果として、AUKSでの原潜取引保障措置抑止力を低下させ、核拡散を引き起こす恐れが高まることになる。

※残りはこの取引の及ぼす悪影響を低減させるための現実的政策提言の部分なので興味あったらご自分でどうぞ。

 

 
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん