2023-11-01

自己愛パーソナリティ障害は誇大性,賞賛への欲求,および共感の欠如の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療精神力動的精神療法による。

パーソナリティ障害概要も参照のこと。)

自己愛パーソナリティ障害患者自尊心の調節に困難を有するため,賞賛および特別人物または機関との関係必要とする;優位性を維持するために,他者を低く評価する傾向もある。

自己愛パーソナリティ障害推定生涯有病率には大きな幅があるが,米国一般集団では最大6.2%にも上る可能性があり,女性より男性に多い。

併存症がよくみられる。患者抑うつ障害(例,うつ病,持続性抑うつ障害), 神経性やせ症, 物質使用障害特に コカイン),または他のパーソナリティ障害(演技性, 境界性, 妄想性)を有していることも多い。

NPDの病因

自己愛パーソナリティ障害寄与する生物学的因子に関する研究ほとんど行われていないが,発症に関わる有意遺伝要素が存在すると考えられている。養育者が子供を適切に扱わなかった(例えば,過度に批判的であったり,過度に子供賞賛称揚,または甘やかしたりすることによる)可能性を仮定する理論もある。

特別な才能や能力をもっており,自己像および自己感覚他者賞賛尊敬と結びつけるのに慣れている患者もいる。

NPDの症状と徴候

自己愛パーソナリティ障害患者自分能力過大評価し,自分の業績を誇張する。自分が優れている,独特である,または特別であると考えている。患者自分に関する価値および業績についての過大評価はしばしば他者に関する価値および業績の過小評価を含意する。

患者は大きな業績という空想―圧倒的な知能または美しさについて賞賛されること,名声および影響力をもつこと,または素晴らしい恋愛経験すること―にとらわれている。普通の人とではなく,自分と同様に特別で才能のある人とのみ関わるべきであると考えている。このような並はずれた人々との付き合いは患者自尊心裏付け,高めるために利用される。

自己愛パーソナリティ障害患者賞賛を受ける必要があるため,患者自尊心他者から肯定的評価依存し,このため通常は非常に脆弱である。この障害を有する患者はしばしば他者自分のことをどのように考えているか注視しており,自分がどれだけうまくやっているかを評定している。他者による批判ならびに恥辱感および敗北感を味わわせる失敗に敏感であり,これらを気にしている。怒りまたは軽蔑をもって反応したり,悪意をもって反撃したりすることがある。または,自分のうぬぼれの感覚(誇大性)を守るために,引きこもったり,その状況を表向きは受け入れたりすることがある。失敗する可能性のある状況を避けることがある。

NPDの診断

診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5])

自己愛パーソナリティ障害の診断を下すには,患者に以下が認められる必要がある:

誇大性,賞賛要求,および共感の欠如の持続的なパターン

このパターンは,以下のうちの5つ以上が認められることによって示される:

自分重要性および才能についての誇大な,根拠のない感覚(誇大性)

途方もない業績,影響力,権力,知能,美しさ,または無欠の恋という空想にとらわれている

自分特別かつ独特であり,最も優れた人々とのみ付き合うべきであると信じている

無条件に賞賛されたいという欲求

特権意識

目標を達成するために他者を利用する

共感の欠如

他者への嫉妬および他者自分嫉妬していると信じている

傲慢,横柄

また,症状は成人期早期までに始まっている必要がある。

鑑別診断

自己愛パーソナリティ障害は以下の障害と鑑別することができる:

双極性障害自己愛パーソナリティ障害患者はしばしば抑うつを訴えて受診し,その誇大性のために,双極性障害と誤診されることがある。自己愛パーソナリティ障害では 抑うつがみられることがあるが,他者より上の立場にいたいという欲求が常にあることで,双極性障害と鑑別される。また,自己愛パーソナリティ障害では,気分の変化は自尊心に対する侮辱によって引き起こされる。

反社会性パーソナリティ障害自分のために他者を利用することは両方のパーソナリティ障害の特徴であるしかしながら,その動機は異なる。反社会性パーソナリティ障害患者物質的な利益のために他者を利用するが,自己愛パーソナリティ障害患者自尊心を維持するために利用する。

演技性パーソナリティ障害他者の注意を惹こうとすることは両方のパーソナリティ障害に特徴的であるしかし,自己愛パーソナリティ障害患者は,演技性パーソナリティ障害患者とは異なり,注意を惹くために気取ったことやばかげたことをするのを非常に嫌い,賞賛されることを望む。

NPD治療

精神力動的精神療法

自己愛パーソナリティ障害一般治療は全てのパーソナリティ障害に対するものと同じである

基礎にある葛藤に焦点を当てた精神力動的精神療法が有効なことがある。境界パーソナリティ障害のために開発されたアプローチの一部は,自己愛パーソナリティ障害患者用に効果的に改変できる場合がある。具体的には以下のものがある:

メンタライゼーションに基づく治療

転移焦点化精神療法

これらのアプローチでは,自分および他者感情的経験するあり方の問題に焦点を合わせる。

自己愛パーソナリティ障害患者は,習熟度を高める機会を魅力的と捉えることがあるため,認知行動療法患者にとって魅力的となる場合がある;患者賞賛への欲求により治療者が患者の行動を方向づけられる場合がある。自己愛パーソナリティ障害患者の中には,マニュアル化された認知行動療法アプローチ簡単すぎる,または自分特殊欲求を満たすには一般的すぎると考える。

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