2022-05-31

気まぐれな雑感

エビデンスとは単一概念ではなく、ピラミッド状の階層構造をしている。

これを理解している者と理解していない者が対話をしても(ご覧になった通り)無益である

また、ビル(四角形)ではなくピラミッド三角形であることにも重要意味がある。

仮に、頂点から底面に下ろした垂線上に”真実”があると仮定すると、上位の階層ほど垂線からの幅は小さく、下位の階層ほど大きい。

そして”とあるエビデンス”は、その幅のどこかに存在する。

まり、上位のエビデンスレベル研究結果ほど”真実”に近い可能性が高く、下位であればあるほど低いと言える。

ここで気をつけたいのは、下位のエビデンスだとしても、正鵠を射ている場合もあるという点である

例えば「専門家意見」はエビデンスレベルこそ低いものの、侮り難いものがある。

実際、COVID-19パンデミック初期には専門家意見を参考に対策を進めるしかなかったが、外れていたもののほうがずっと少なかったのは、みなさんご承知の通りである

そして、この専門家という生き物は、自分意見検証する生き物として知られている。

この生き物に観察される営みを研究といい、研究によって自説のエビデンスレベルを上げようとしてもがき苦しみ最後死ぬ

この生き物の幾多の屍を土台にし、エビデンスは構築されるのである

マジ泣けるよねー。

(ただし、専門家ごとに専門領域が異なるため、ピラミッドの下から上まで全部自分で行うわけではない)

ではなぜ専門家エビデンスレベルを上げるための研究を行うのか。それは過去の忌まわしい人類歴史への反省からである

cf.ヘルシンキ宣言

「自説を開陳するだけの者はオ○ニストであり、過去歴史を知らぬ愚か者である(オマエ・ダレヤネン BC.260-198)」

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バイザウェイ、私は、歯科は(日本だけではなく世界的にも)産業構造的にエビデンスの構築の価値相対的に低い業界だと思っている。

誰かが「これは価値あるものだ!」と着想しても、一部のアカデミアを除き、エビデンスを構築する行動に対するインセンティブが乏しく、携わる人は少ない(ブーメラン)。

それよりも横展開して、商業誌投稿したり(ブーメラン)、本を書いたり、セミナーをしたり(ブーメラン)、スタディグループを作ってマネタイズしたほうがメリットがある(←これは、これらの内容や活動が間違っているとか価値が低いということを意味しない)。

しかしこれらの活動根本的な問題内包している(ブーメラン)。

それは「これは価値あるものだ!」という『ご意見』はエビデンスレベルが低く、”真実である可能性が低いことに対する自覚が乏しいことである

そしてその自覚がないまま、自説の普及に勤しむからやっかいなのだ

このような【専門家とは言えない彼ら】を、私は4種類+αに分類した。

A: 普及に勤しんでいたらアカデミアの誰かに検証され、概ね正しいことが明らかにされる(たまたま正鵠を射ていた幸運な例:私の乏しい理解ではインプラント

B: 普及に勤しんでいたらアカデミアの誰かに検証され、価値がないとされて廃れる

C: 普及に勤しんでいたらアカデミアの誰かに検証されるも中途半端に終わる(最も多いパターン

D: 普及に勤しんでいるが誰から相手にされない(例:脳歯科)。

いずれのタイプも決められたプロセスを経ずに患者適応する、あるいは適応させるように普及させるという点においては同類であり、過去の事例は仕方がないが、特に現代では慎むべき行動であるというのが私の認識である

A~Dのサブタイプとして以下のZがある。

Z: 普及に勤しんでいたら批判的な声に晒され、自説にこだわるばかりにカルト化し、他者攻撃する。彼らは批判されればされるほど、仲間どうしで傷を舐め合い、結束を固め、ますますカルト化するという特徴を持つ(例:近藤内海長尾)。

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では、歯科界において、エビデンスの構築の価値を高めるにはどうしたら良いだろうか。

エビデンスの構築に携わる人をすぐに増やすのは現実的ではないが、エビデンスの構築の価値を重視する人を増やすことは今日からでもできるはずだ。

こうした問題に近道はない。一つ一つ丁寧に取り組んでいく他ないだろう。

メディアtwitterのような患者を含む不特定多数に向けた発信はエビデンスレベルが高いもの根拠にする。

・発信には根拠を明示する、その限界も明示する。

・自説を発信したいなら質の高い論文査読あり)を書く。

不適切医療は根気良く丁寧に、しかし迅速に対応して潰していく。

ひとまずこれらが現時点での最適解だと思う。

賢明な皆様ならすでにお分かりであろう。これらはすでに彼が行っていることだ。

しかし、そんな彼に今、「カルトへの対応」という新しい難問が出現した。

今後彼がどう対応していくのか、気になって夜しか寝られない。

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